Q)この10年くらいは、ずっと要さんがスタ☆レビをまとめてきていて、プロデューサーを立てるということはなかったのに、今回、36枚目のアルバムは、「愛は勝つ」の大ヒットでも知られるKANさんとの共同プロデュースになっています…
たまたま何度か、僕らと同じくらいの世代の長いこと音楽をやっている人たちが、アルバム作りに悩んでる話を聞いたことがあるんです。その一つの理由として「何を歌ったらいいのかわからない」って。で、まあ、僕ら的には「書こうと思えばなんか出来るだろう」とは思っていながらも、いつも以上の「新鮮さがほしい、刺激がほしい」という思いもあったんで、僕等のことを一番知ってくれているであろうKANに僕との共同プロデュースをお願いしたんです。確かに長いことやっていることで、ある適度のものはできる自信はあったけど、それが到達点を下げることもあるわけで。だから、いつもの僕等の見方とは違う見方をしてくれるようなプロデューサーをおくことで、きっとそれが新たな刺激を生んでくれるはずって思ってました。

Q)共同プロデュースということで、外の人を入れるということは、ある意味、冒険ですよね…
最初はね、KANちゃんからひとつふたつ刺激をもらえれば、スタレビはそこからいろんなことを考えて行くバンドだから、どんどん変わっていくだろうとは思っていたけど、思ってた以上にサウンド面でも、歌詞の面でも、精神面でも、すごく大きな変化をもらいましたね。うちは決して攻めていくバンドじゃないけど、KANちゃんのおかげで今回はかなり攻められましたね。

Q)お友達のKANさんが適任だったんですね…
今回は、「知らないスタ☆レビを作りだそう」ってわけじゃなくて、スタ☆レビの中に刺激をもらうことが一番だと思ってたんです。たとえば、自分ていうのは、自分でよく見えないじゃないですか…、例えば後ろ姿とかもね。まぎれもない自分なのに、見えない部分がある…、KANちゃんは、それを見てくれている仲間なわけですよ。だから、そういう意味では、僕らの気付いていないスタ☆レビを気付かせてくれるんじゃないかと思ってた。そういう意味での再認識とかチャレンジは、KANちゃんにうまく引き出してもらえて気がしますね。ただ…、ヤツの弱点は、こだわりすぎたり、ややこしいとこがずいぶんあるから…(笑)

Q)わかります…KANさんの最近のアルバムとかよく聴いていますから…
その凄さも十分わかった上でね、(笑)。僕にとっては、あくまでスタ☆レビ流でありたいと思ってたから、その歯止めはせねばいかんなと思ってたんですけど(笑)。

Q)なぜ、このタイミングで、そういう刺激が必要だと感じたのですか?
僕らにとって、アルバムを完成させて、その後ツアーに出るっていうのは、一番の基本なんです。だからアルバムが滞るわけにはいかないんですよ。「出来なかった」じゃすまない。だって、そのために準備しているスタッフやツアーを待っててくれるお客さんにも迷惑かけるわけだしね。だからって何でも作ればいいっもんじゃない。やっぱり「凄いヤツ」を作りたい。さっきも言ったけど、自分達の経験値からある適度のものを作る自信はある。だけど、この先もっと凄いスタ☆レビを作るためにも、今もっとハードルを上げておきたかったんだよね。そのためにも、KANちゃんの刺激が欲しかったっていうことだね。

Q)ある種の予防策だったのですね…
まあ、あの…、簡単に言うとアレですよ…、50歳を過ぎて詞が書きづらくなったってみんなが言うのを聞いて、だったら、僕ひとりじゃなくて、誰か手伝ってくれるヤツがいたらいいかなって思ったのが一番ですよ。

Q)「詞が書きづらくなった…」って、どういうことなんですかね…?
やっぱり、恋愛ひとつとっても、「学校帰りにキミを待って…」っていうのは、50歳を過ぎた人間には書けないじゃないですか、「誘拐犯」の歌じゃないんだから(笑)。そうなると、ある程度、普遍的なものに陥りがちだけど、でも、普遍的なものってどうしても個性が出づらくなる。それを手助けしてくれるようなアイディアだったり、新しい局面を出してくれるような人がほしかった。それには、KANちゃんは最適だったんだよね。

 


Q)KANさんとは、これまで、一緒にライブをやられたりしてますけど、もともとの出会いは…?
ずっと事務所が一緒だったんだよね…アップフロントで…。今は僕等は独立しちゃったけど。で、音楽的なつきあいがはじまったのは、え〜っと、1990年代に「アップフロントにいる全アーティストがステージに乗るようなバンドを組め!」って社長から言われてね…(笑)。そりゃもう、えらいことで…(笑)。森高(千里)とか、サムシング・エルスとか、シャ乱Qとか、すごいメンバーがいたんだけど。バンド名は「Pacific Heaven Club Band」だった。

Q)堀内孝雄さんや、谷村有美さんらもいらっしゃった大所帯のバンドですね。もちろん、その中に、KANさんもいらっしゃいました…
そうそう…。でもほとんどが歌の人で、演奏はスタ☆レビとシャ乱Qを合体させて、サムエルがコーラスに入ったりとか、KANちゃんがキーボードで入ったりとかしてやってたんです。まぁ実質、音作りはKANちゃんとスタレビが中心になってたんだけど、KANちゃんはホント凄かった。アッという間にバンドのテーマ曲作ったり。それまでもKANちゃんのアルバムは聴いてたけど、やっぱりアレンジ能力のすごさだとか、レコーディングだけじゃわからないことって、現場に行くとスゲ〜見えてくるじゃないですか。その時「コイツ、スゲ〜な!」って思ったんですよね。それで、そのへんから、とくに仲良くなりだしたってことはありましたね。

Q)最近のKANさんの「よければ一緒に」とか「Listen To The Music」とか聴くと、KANさんて「愛は勝つ」の印象が強すぎて、ちょっと世の中的には誤解されてる感じですよね…
うん、そうだね…。誤解されてると言うか、そのヒット曲がその人の全てみたいに語られちゃうんだよね。確かにそういう人もいるけど、KANちゃんはアルバム聴いてもライブを観ても、ホント凄いですよ。その辺を世の中の人がもっと知ったら面白いなと思うんですけど…。でも、まあ、僕等も含めてミュージシャンたちの中では、KANちゃんのことをリスペクトしてる人はたくさんいるしね。



Q)それで、結果的に、このアルバムになったわけですけど、出来上がってどうですか?
もちろん凄くいいアルバムが出来たとは思っているけど、え〜っと、そのぉ〜、自分個人の満足度で言うと、かなり低いんですよ…。

Q)えっ! そうなんですか!
なんだろうな…、自分だったら「ああする、こうする」っていう、僕のやりたいことが全部詰まったアルバム…、たとえば、前の「B.O.N.D.」なんかも、その前もそうなのかもしれないけど、それらは、すごく満足度は高いし、自分の中で納得できるんだけど、今回はKANちゃんにプロデュースを頼んだ分、僕自身が引いているところも結構ある。それによって面白い音になったんだから、スタ☆レビ的には大成功。だけど自分的には、言ってみれば「納得できない面白さ」っていうのがすごいあるんだよね。

Q)イメージしていなかった広がりが出来たといいことですね…
つまり、KANちゃんがやりたいことを僕が否定したら、プロデューサーに据える意味がないから、「う〜ん…それはどうかなぁ〜?」と思いながらも、僕はKANに乗っていくわけですよ…どんどん…。それで、結果的に、こんなに面白いアルバムはつくったことがないってくらい面白いものが出来た。だけど実は、僕的には、「こうすりゃよかった…ああすりゃよかった…」って部分がいっぱいあるわけ。だけど、そうしないことが、このアルバムの良さだから、それもわかった上で、自分の中で、このアルバムが成立しているんですよね。


Q)なるほど…それがKANさんにお願いした意味ってことですよね…
そうそう。人に話しててこんなに楽しいアルバムはないっていうくらい面白いものになったね…。それまでって、わりと自己完結してるから、説明するために言葉も用意するし、なぜこうなったかを理路整然と語れたりするけど、このアルバムは、「偶然こうなっちゃった!」みたいなところが沢山あるし、「なぜそうなっているか」っていう経緯もちゃんとドラマがあるんですよ。

Q)KANさんが加わったことでの化学反応ですね…
僕が音楽を作ったり、アルバムを作ったりする時って、ある程度頭の中で構築したものを、「ああだ、こうだ…」って、みんなに伝えていくんだけど、まあ、そこにはそれを受け止めて、わかってくれるメンバーがいてくれるんです。アレンジをやってくれてる添田(サポート・キーボード、アレンジも担当)も含めてね。でも今回は、KANちゃんがとんでもないところで、横槍を入れてきたりするんだ。そこでまた流れが変わっていって、まったく新しいものが出来たり、回り道をして結局もとにもどったり(笑)、そういうのが、今回、スゲ〜面白かった。このアルバムの一番の特徴だね。

Q)結果的に、すごくスタ☆レビらしい、楽しいアルバムになっていますよね…
そう。ここまでやって、つまんねぇもんが出来たら失敗だったと思うけど、絶対、僕ひとりのプロデュースじゃ出来なかったものが出来たから、個人的な満足度は低いけど(笑)、面白いアルバムになったって言うかね。僕が自分の中で全て納得して作るものっていうのは、そんなに面白いものにはならない…、だって、全部、自分の中から出てくるもんだからね…。自分がやりたいことを、人の手助けを借りてやれたら、そりゃ、配色も変わってくるし、構図も変わってくる。「へぇ〜」って自分を俯瞰で見られる楽しさがこのアルバムにはあって、すごい興味深い。

Q)それは、自分が自己満足に陥っているんじゃないか?っていう不安みたいなものもあった?
もちろんあったよ、それは。でも、ある種、音楽なんて自己満足の塊だからね、それもいいと思うんだけど…。でも、僕んちはバンドだし、僕はプロデューサーとしても、そのバンドの中にいるわけだから、その「未知なる自己満足を求めた…」って言うのかな…。

Q)マンネリに陥らないように、さらなる進化を求めていたのですね…
うん、さっきも言ったけど、アルバム35枚も作ってりゃ、ある程度こうすりゃできるっていう自信はあるわけですよ。しかも僕の場合、「ものすごい曲を書こう」とか思ってないから、とりあえず曲が書けなくなるってこともない。詞も、絶対ここまでにやるってなったら、何が何でも創り上げる…。だけど、それをさらに、なんだろうね…、ハードルを上げておもしれ〜ものにするって言うか…、それは、KANちゃんがいなかったら出来なかった。



Q)そういう、KANさんから受けた刺激という部分を、何か具体的に教えてもらえますか?
たとえばね、「セガホ」って曲は、一番最後に作った曲なんだけど、僕は、もともと別の詞を書いてたんですよ。「ほめてくれ」っていうタイトルで、僕の中ではスゲ〜気にいってた。KANちゃんを説得する自信もあったけど、、、

Q)KANさんの横槍が入ったんですね…
そう。KANが、「要さん、コレ面白くないよ〜」って言いだして、俺も「何が面白くねぇ〜んだよ!」ってね。気にいってたしね、「ウチのファンの人たちは、こういう俺を、というかスタ☆レビを楽しんでるんじゃないかな…」って思ってたから。だけど、KANが言うには、「ほめてくれって、今さらでしょ…」って。で、俺も「じゃあ、これ以上のものを書くんだったら、それ使うよ!」って言ったのね。

Q)それで、この「セガホ」は、KANさんの詞になったんですね…
実は俺の「ほめてくれ」の詞の中に、「どんな名声よりも 何よりも あたしゃ も少し背が欲しい…」みたいなフレーズがあったんだけど、そこにKANが食いついてきて、「そこをもっと広げませんか…」っていう話になって、「それを広げて詞が書けるんだったらいいよ…」って言ったんですよ。で、出来上がってきた彼の詞を見た時に、「確かにこういう路線はやったことないし…まあ、やってみるか!」っていう感じで取り組んだ。視点は同じようなところにあったけど、表現はまったく別物で、いかにもKANちゃんらしい。こういう曲をやることが、このアルバムの使命だと思ってたんだよね…。

Q)「港町は恋の色」の歌詞も、要さんとKANさんの共作になっていますが、言葉のリズムとかにKANさんのセンスを感じます…
これはね、意外と…、たとえば「チントンシャン」とか「トンチンカンな」とか、ああいうやつは僕がパッパッと書いたのをKANちゃんが見て書いてったんだよね。もともと、僕らの1枚目や2枚目って、そういう言葉遊びをやっていたところがあったので、もう少し、あってもいいんじゃないかなって思ってた。それが、うまいこと、広がったんだと思いますけどね。

Q)KANさんが歌詞に関わっているのは、その2曲だけですね…
うん、もともと、KANちゃんにはプロデュースだけで、詞とか曲は、アドバイス的なものでいいと思ってたんだけど、気が付いたら、ホントにべったり入り込んでたところがあって…(笑)。で、「これはちょっと共作にしないと自分としてはいたたまれないな…」と思って、「KANちゃん、これ共作にしたいんだけど…」って言ったら、「ああ、もう、そうして頂けるんだったら嬉しいです…」ってことになってね。

Q)「セガホ」以外に、KANさんとモメたと言うか、要さんの意向とは違った曲ってありましたか?
ああ、もうそれは、最初から、かなりありましたよ。僕は、最初からそれが見えてたから、KANにプロデュースしてもらうのは、最初は2曲でいいと思ってたの。その2曲は、必ずこのアルバムの刺激になると思ってたから。そしたら、KANちゃんが、「自分がやりたい曲を見つけますから、全曲聴かせてもらえますか?」って言うから、「いいよ〜」って言って、KANちゃんが2曲を決めたんだけど、他の曲にも、「これ、こういう雰囲気でやった方がいいんじゃないですか〜?」っていうアイディアがいくつか出てきて、その時点で、結局、4曲ぐらいに入り込んでて、「このままだと、ちょっと困ったな…」って思ってたんだけど…(笑)、でも、俺も頼んだ手前があるからね。

Q)KANさんも、あれだけアレンジのアイディアが豊富な人ですから、聴けば何かイメージが浮かびますよね…
そうそう。でね、たまたま、そういうことやってたあたりに、KANちゃんがもともと入ってたスケジュールで、タジキスタンとか、そういう中央アジアを旅する2週間くらいのお休みがあったの。それで、彼が、そこに行っている間に、「よし、俺がやりたいことは、この間にやってしまおう!」って、添田(サポートメンバー・キーボード、アレンジ担当)と、ベーシックなトラックを6割くらい、まず僕らが譲れないところは作っちゃった。

Q)「鬼のいぬ間に…」みたいですね…(笑)
だから、「港町は恋の色」なんか、KANちゃんが帰ってきてから。「あれ〜っ?この曲は、こんな感じなの…?」って不満そうに言うから、「いやいや、コレは俺がやりたかったことだから、まず、ここから始める…」って言ってそこは譲らなかったのね。KANちゃんは、どっちかと言うとボサノバっぽくしたかったみたいで、僕は、もうちょっとアジアのテイストがないとこの曲は成立しないと思ったから、テンポもゆるやかにして、やったんだけどね…。

Q)そのせめぎあい、想像できます…
そういうモメたのは、いくつもある(笑)。でも、8割方、僕が折れたんだよね。まあ、KANも「俺が8割方折れた…」って言ってるくらいだから(笑)、言い争いは絶えずですよ。



Q)バラエティに富んだ楽曲で、曲順も良く考えられていて、「あれ、もう10曲終わっちゃったの?」って思うくらい短く感じます。それほど、どの曲も良かったんですけど、ものすごく心を動かされた曲が、「昔話を繙くように」とか、バラードだと「おぼろづき」「道 〜The Song For Us〜」です…。あと、「馬鹿は死ななきゃなおらない」と「恋は神代の昔から」を混ぜたような「恋は医者でも治せない」は、サウンドはかっこいいですし、歌詞も楽しいですし、1回聴いただけで耳に残りますよね。フェンダーローズピアノのソロもいいですし…
あの添田のソロね…、あれはもう一発OKよ。今回、アルバムの楽曲的には、そうたいしたものは出来ないだろうって、最初、そう思ってたんだよね。だから、さっき言ったように、プロデューサーとか立てて、自分で全部作っちゃうのはやめようって思って、デモテープの段階でも、メロディも7〜8割くらいにしておいて、逃げを作っておいたわけ。そしたら、KANちゃんに、ことごとく、そこを指摘されて、「要さん、ここまでいいんだけど、こっから急にチカラ抜けちゃうよね…」とか言われて、だから「そうなんだ」と、もともと、ここは誰かと一緒に作ろうと思ってたところなんだって話をしてやっていったんですね。

Q)最初から、あえて遊びの部分を作っておいたんですね…
そう。「残りは、アレンジを決めてからここを作ろう…」とかいう風にね。だから、添田と二人でなおしたところもずいぶんあるかな…。添田がアレンジしてきた音を聴いてから、メロディをこっちにしたいってなおしたところもあったし、そういう曖昧にしていたところをKANちゃんに作ってもらったのが「昔話を繙くように」なんだよね。

Q)そうですね…「昔話を繙くように」は、作曲がKANさんとの共作になっています…
今思うと…、最初から「現場で完成させよう」って思ってたところがあると思うんだ…。僕の中だけで完成させようとは思っていなかったんだよね。結果、気が付いたら、詞のテーマも含めて、色の濃い、ひとつひとつの世界が出来たよね。

Q)そうですね…。中でも、とくに歌詞で感動したのが、「拝啓 子供たちへ 」ですね…
これはね、なんかね、歌詞とメロが一緒に出てきた曲で、最初は、こんなにも社会的なことを書こうとは思っていなかったんだよね。ただ、漠然と、なんか大人ばっかりが犯罪を起こしていて「なんだろう…これ…」って思ってて、やっぱりね、今の世の中っていうのは、とっても言い訳が上手になってて、責任とらないんだよね…大人がね。だから、それを見てる子供たちが健全に育つとは思えない…。

Q)なるほど…
何よりも…、やっぱり、みんなが小ずるくなってるんだよね。「これは犯罪じゃない」とか「法に触れない」とか言うんだけど、その前に、社会で暮らす人間としてのマナーとかモラルってあるだろうと。「法で裁かれないから、罰されないからいい」っていうのは、社会生活の中であり得ないことだと思ってたわけ。でも、出てくる人、出てくる人、偉い人たちが、そんな表現をしてたら、それは子供たちだって、そう思っちゃうでしょ。それを、自分の中ですごく危機感を持ってて、そこは、やっぱり大人たちが、自分を律しないことには、何も出来ないんじゃないかと思ったんだよね。だけど…、見るにつけ、子供たちが自浄作用を持つしかないのかな…って、あきらめとは言わないけどね。だから、僕は、子供に対してというよりも、実は、大人に対して語っているんだよね。

Q)歌詞の中にある、「変わらない明日のために 今何が変われるのだろう…」「君がいつしか大人になって 隣の人の痛みを知って その人をただ愛せるのなら 時代はきっと変わるだろう…」というような事ですね…。真理だと思います…
もともとはね、ある外交問題で、何代か前の総理大臣が「今の世代では解決できないから、子供たちの世代に結論は託そう…」って発言が新聞に書いてあって、その時、とてもいいアイディアだなって思ったのね。そんなに、なんでもかんでも決めることはない。あいまいにしておいた方が、お互いにいいこともあるんじゃないかってね…。よく、最近、「WIN WIN」ていう言葉を聞くんだけど、僕は、あれがいやで、たとえば、「LOST LOST」とかね…(笑)。そうしないと、お互いに勝った顔をしていると、どっかで驕ることになるというかね。

Q)「LOST LOST」ですか…
日本には「痛み分け」って素晴らしい言葉があるじゃないですか…、「俺も我慢するから、お前も我慢しろよ…」てね。だから、「そこは、触れずにおけるんじゃないの…」って。我慢しないんだよね、今はね。そこが、すごいイヤで、それで、この詞ができたんだよね。

Q)本当に素敵なメッセージソングです…
メッセージソングって言うか…、僕らも暮らしてく上で、人のことを言うよりも、まず自分がね、我慢しようぜっていうところから、なにかを始めたかった…。まあ、子供たちへって、僕も子供いないからアレなんだけど、まず、「子供の心になってしまった大人たちへ」っていうかね。そういうことが大きかったかもしれないな…。



Q)そもそも、曲を作る時って、ギターを弾きながら鼻歌で歌って作られると思うんですが、だいたいは、メロディが出来て、そこに詞を乗せるという順番ですか…?
そうそう、最近は、アレですよ…、iPhone…(笑)。あれで録音メモが出来るじゃないですか。そこに録音して、まず、雰囲気だけをメンバーに聴いてもらってますよ。だから、「ここはこういう風になるんだ…」って説明が必ず入るんです(笑)。伝わらないこともある…(笑)。たとえば、「道 〜The Song For Us〜」とかは、最初から、ああいう感じの構想があったから、「これは、メンバーに伝わるかな〜?」って思ってたら、意外とみんな賛成してくれたんですよ。

Q)メロディしかなくても、聴いた瞬間にアレンジが浮かぶものってありますか?メロディが求めるアレンジというか…
僕のイメージしているものと、聴いた人がイメージしたものとが、うまく合致すればいいけど、たとえば、「この曲は大勢で歌いたいんだ…」って言った時に、それが伝わるメロディかどうかってことが、ひとつのポイントになりますよね。「道 〜The Song For Us〜」とかは、早いうちにみんな面白がってくれて、選曲としては早いうちに決まったんだよね。今回、選曲会議も、すごい早かったんだよね。とてもスムーズにいった。

Q)その選曲会議っていうのは、メンバーとスタッフと、そこにKANさんが入って、要さんが「ラララ〜」で歌われたものを聴くのですか?
うん、まさに、その通り。iPhoneで…(笑)。柿沼は、もうちょっとまともに、ベース入れたり、キーボード入れたり、リズム入れたりしてくるけどね…。僕も、実は、10年くらい前は、Performer(音楽制作ソフト)に凝ってた時期があったんだけど、それはなんか時間の無駄だなっておもったわけ。僕の中にイメージがあったら、あとは添田(サポート・キーボード、アレンジも担当)がやってくれればいいだけだからね。もちろん、アレンジから作る場合もあるんだけど、僕の頭の中で音が鳴っているからそれでいいや〜って今は思う。今は一番シンプルな状態ですね。

Q)今回、収録曲は10曲ですけど、その選曲会議でボツになった曲もあるわけですよね…
今回は僕が書いた曲が15曲くらいで、柿沼が5〜6曲書いてきてたかな。わりと、僕んちは選んだらボツにしないようにしていると言うか、捨て曲ってのはないですね。レコーディングしてから決めようっていうのはないから、選んだら必ず形にする…、そういう風に選曲してるな。

Q)アレンジに関しては、先ほど言われたように、iPhoneの録音をもとに、「こんな感じで…」って添田さんにイメージを伝えるのですか?
うん。僕にアイディアがない時もあるから、そういう時は、添田に「ちょっとやってみて」って言って、それを聴いてから、おいしいところだけつまんで、「じゃあ、ここを中心にこうやって作っていこう…」とかってやってますね。たとえば、「入口は、リズムがない方がいいね〜」とか言ってね。まあ、デモテープを彼なりによく聴いてくれてるってところがあるから、わりと安心して頼めるって言うかね。

Q)今回、KANさんも、「昔話を繙くように」「港町は恋の色 」「セガホ」、柿沼さん作曲の「熊谷の風」に、編曲でクレジットされています…
KANちゃんとかは、逆に、僕のデモテープに忠実に再現してきちゃうんですよ…(笑)。たとえば、イントロとかって、あまり考えずに作るじゃないですか。歌が入るまでの「キー見せ」みたいなところがあるわけよ。それを、そのまま使ってくるんだわ。だから、僕にとってはあまりにも刺激なさすぎるから、「KANちゃん、これどうかな〜?」て言うと、「いや、これいいんじゃないですか〜」って…。まあ、添田も、そういう時あるけど、KANちゃんの場合、「このイントロは本当に何も考えずに2秒で作っちゃった…」っていうのを、そのまま使ってくるんだよね(笑)。

Q)でも、まあ、そのデモの段階のものがいい時もありますよね…
まあね。でも、僕自身は、考えずに作ったものだからね。だから、「昔話を繙くように」のイントロとかは、まるまる僕がデモの時にギターで弾いてたコード進行そのままなんだよね。

Q)シカゴっぽいですよね…
シカゴ! 「Hard To Say I'm Sorry」(「素直になれなくて」)みたいなヤツ…?

Q)そうです、そうです。ベース音の下降進行とか、ギターソロに入る感じとかも…
ああ…。この曲は、KANちゃんが「これでやりたい」って言った入口のところが「Honesty」の感じだったんだけどね。だいたい、ふつうは、Aメロ、Bメロみたいに作っていくんだけど、なんか、この曲は、不思議と、Aメロの自然な流れの展開があって、いつのまにかサビに行ってる…っていうかね。ちょっと不思議な感じで出来ましたね。

Q)本当にいいメロディですよね。メロディだけで聴かせられるというか…
ありがとうございます…うれしいですね…。なんか、ホントに自然と出てきたというか…、僕の場合は、いつも鼻歌で作るからね。あちこち番組に行けば、すぐジングル作っちゃたりするし、なんか、鼻歌で、自分がピーンと来るものがいいんだよね。だいたいの人は、鼻歌の中にコードはないだろうけど、やっぱり音楽を作ってる人間は、その鼻歌と一緒にコードがあって、そのコードとの絡みによって「このメロおいしいなあ〜」って感じさせられるかどうかなんだよね。


  【コンサートツアー】

STARDUST REVUE LIVE TOUR「SHOUT」
2014年10月 〜 2015年6月まで、全国60公演以上!

ツアーの詳細はコチラ!

  【レギュラー番組】

◎根本 要

JFN系列 全国24局ネット「要のある音楽

FM NACK5「NACK de ROCK」 毎週月曜日24:00〜25:00

FM COCOLO「KANと要のWabi-Sabiナイト
毎週土曜日18:00〜19:00 再放送:金曜日22:00〜23:00


◎柿沼清史、寺田正美、林"VOH"紀勝

調布エフエムをキーステーションに全国コミュニティFM45局ネット
スターダスト☆レビューの星になるまで


根本要・KAN プロデュース!
約2年ぶり通算36枚目のアルバム!
アルバムCD 「 SHOUT 」
 

2014年 8月 6日発売
IMPERIAL RECORDS / TEICHIKU ENTERTAINMENT
通常盤 TECI-1413 \2,870(税別)


アルバムの歌詞を見る
レコード会社 (IMPERIAL RECORDS)

 
 <CD収録曲>

  01 Love & Devotion (作詞・作曲:根本 要 / 編曲:添田 啓二)※1
  02 昔話をひもとくように (作詞:根本 要 作曲:根本 要・KAN 編曲:KAN)
  03 港町は恋の色 (作詞:根本 要・KAN 作曲:根本 要 編曲:KAN・添田 啓二)
  04 恋は医者でも治せない (作詞:根本 要・林 紀勝 作曲:根本 要 編曲:添田 啓二)
  05 おぼろづき (作詞・作曲:根本 要 編曲:添田 啓二)
  06 熊谷の風 (作詞・作曲:柿沼 清史 編曲:KAN・添田 啓二)
  07 この恋なくしての恋なんて恋じゃない (作詞・作曲:根本 要  編曲:添田啓二)※2
  08 拝啓 子供たちへ (作詞:根本要・寺田 正美 作曲:根本 要 編曲:添田 啓二)
  09 セガホ  (作詞:KAN 作曲:根本 要 編曲:KAN)
  10 道 〜The Song For Us〜 (作詞・作曲:根本 要 編曲:添田 啓二)※3

  ※1 tvk テレビ神奈川「ありがとッ!」(月−金12:00〜14:00)オープニングテーマ
  ※2 TBS系TV「ひるおび!」(月−金11:00〜13:53) 8月度エンディングテーマ
  ※3 BS-TBS「ひと・まち紀行〜日本の元気を、明日へ。世界へ。〜」
     (毎週土曜日22:00〜22:54)エンディングテーマ

LIVE Blu-ray & DVD発売!  

LIVE Blu-ray & DVD発売!
2014年8月9日、東京・日比谷野外大音楽堂でのライブ
(全24曲・約3時間)を完全収録予定!

Blu-ray & DVD
「 楽園音楽祭2014 STARDUST REVUE in 日比谷野外大音楽堂 」
2014年 12月 17日発売
IMPERIAL RECORDS / TEICHIKU ENTERTAINMENT
Blu-ray TEXI-75009 \7,000(税別)
DVD TEBI-64320〜1 \6,000(税別)


レコード会社 (IMPERIAL RECORDS)

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スターダスト☆レビューの歌詞一覧


根本 要(ねもと かなめ) Vocal, Guitar   1957年5月23日生  A型 埼玉県行田市出身
柿沼 清史(かきぬま きよし) Bass, Chorus  1957年11月11日生  B型 埼玉県羽生市出身
寺田 正美(てらだ まさみ) Drums, Chorus  1959年7月26日生  O型 埼玉県熊谷市出身
林"VOH"紀勝(はやし ボー・としかつ) Percussion, Chorus   1960年1月28日生 AB型 埼玉県熊谷市出身

1979年、第18回ヤマハ・ポピュラーソングコンテスト出場をきっかけに、1981年、シングル「シュガーはお年頃」、アルバム「STARDUST REVUE」でメジャーデビュー。これまでにシングル54枚(コラボCD 2枚含む)、アルバム36枚をリリース。「高い音楽性と低い腰」をモットーに、全国各地で毎年60〜70本のライブを開催。耳に残る良質なメロディ、根本要のハイトーンボイスと定評あるコーラスに加え、「生まれて初めてコンサートというものを見に行くときには、スターダスト☆レビューのライブを見に行け」と言われるほど、ショーアップされエンターテインメント性に富んだ楽しいライブパフォーマンスで、世代を問わず観客を魅了し続ける日本屈指のライブバンド。

1996年、小田和正との共演をきっかけに、ジョイントコンサートなどの活動を経て、2007年、作詞:小田和正、作曲:根本要による「オダ☆レビ」名義の曲「思い出はうたになった」を発表。毎年、12月に放送される小田和正の「クリスマスの約束」にも、2003年以降、ほぼ毎年のように出演している。2001年8月、デビュー20周年を記念したスペシャルライブ「つま恋100曲ライブ〜日本全国味めぐり〜お食事券付」において、朝10時から 夜8時までの10時間に101曲を演奏した事が、「24時間で最も多く演奏したグループ」としてギネス世界記録に認定されている。 1993年のアルバムに収録された「木蘭の涙」は、2000年以降、多くのアーティストにカバーされ、2005年に発売したアコースティクヴァージョンは「ニッカウヰスキー」のCMソングとなる。

2007年5月、デビュー25周年を記念したスペシャルライブ『スターダスト・レビュー25年に一度の大感謝祭〜6時間ライブ・おやつ付〜』 を地元さいたまスーパーアリーナで開催。このライブでは、録音・撮影OK、会場内での飲食自由、チケット料金は20歳未満半額、さらに、ロビーにおいて「さいたま物産展」、「スタレビ展」を同時開催するなど、ライブはもちろん、ライブ以外にも見に来た人を楽しませる、前代未聞の エンターテイメントライブ!として話題を呼んだ。

1984年発売、カルピスのCMソングとしてヒットしスタレビを一躍全国区にした5枚目のシングル「夢伝説」が、2008年に再レコーディングバージョンが発売され、キリンチューハイ「氷結ZERO」のCMソングに再度起用された。2013年、ライブ総数2千回を記録。同年10月からは、スタレビが観光大使を務める埼玉県行田市(根本の出身地)の行田駅で「夢伝説」が発車メロディとして流れている。

2014年8月、36枚目となるアルバム「SHOUT」を発売。その後2014年10月〜2015年6月(予定)にかけて全国60ヶ所以上のツアーを予定。

スターダスト☆レビュー オフィシャルサイト

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