Q)「昔話を繙くように」は、本当にいいメロディなんですけど…、相変わらずキーが高すぎるなぁと…
ははは…(笑)。でも、今回、歌がすごいうまく録れたんだよね。レコーディングって、まあ、これも2カ月くらいやってるんだけど、たまにライブはあってもツアーをやってるわけじゃないから、基本的にはノドが休んでる時なんだよね。レコーディング…歌入れの時には、いい状態でやってるはずなんだけど、でも、だからと言って、全部が全部いい状態じゃないこともあるんだよね。で、それを考えると、今回、レコーディングの時の声の状態が良かったっていうかね…。

Q)そうですね…録音のスケジュールが決まっていて、そこに体調を合わせるわけですから、歌入れは本当に大変です…
たとえば、もっと余裕のあるバンドだったら、「じゃあ、もっといい歌が録れるまで、あともう2か月かけてみようか…」ってなるんだろうけど、でも、僕らは、まずツアーによってスケジュールが決まっていくから、それが出来ないわけ。決められた期間の中で、歌も録っていかなきゃならないって中で、コンディションがいいとか悪いとかっていうのは、なんとなくはあるんだけど、じゃあ、1か月後だったらいいのかって言えば、それもわかんないから、じゃあ今録るしかないっていうか…。そういうことを考えると、今回は、このタイミングでいいコンディションだったんだろうなって思う。

Q)昔から言われてると思いますけど、要さんは、えらいキーが高いじゃないですか…。で、それって、衰えないというか、昔から全然変わらないですよね…
う〜ん、なんかね、やっぱりライブやってくことによってね、歌い方が日々変わっていくというか…。僕はね、もともと歌手になろうと思ってた人間じゃないから、それこそバックバンドとかやって、誰かの後ろでギターを弾いていたかったっていうのがあったけど、なんとなく自分が歌うようになって、結局、プロになってから、歌い手なんだってことを確認したんだよね…。

Q)もともと自分で歌うつもりはなかったとは驚きです…
それどころか、プロになって何年か経ってから、「歌上手ですね…」って言われはじめてから、「あれっ、オレって歌うまいのかよ…」って思いはじめて、それから少し上手くならなきゃって、歌に対する精進が始まったんですよ。歌が上手くなったらギターも上手くならなきゃって、自分のなかで、そういう相乗効果を作ろうとしているところはあるんだけど、歌に目覚めたのが遅かったから、いろんな人を見て「こうした方がいいのかな…」って自分なりにやってましたね。

Q)自分なりに見つけたスタイルなんですね…
あと、歌っていく中で、調子悪くなったり、本当に声が出なくなったりとかってこともあるから、でも、だからって休めないから、その中でコンディションを作る方法を覚えるんだよね。そうすると、出来るだけ「響き」でもっていこうとする…。そうすると、ラクにうたえるようになるんだよね。その「響き」を聴いているうちに、高さも稼げるようになるんじゃないかなって思うんだけどね。やっぱり、年くってから声を出すって、だんだん難しくなってくるからね。だからこそ、出来るだけ軽い声で「響き」でスーッって歌ってくことがいいと思う…、そっち側に自分が行ったのかもしれないなぁ〜。

Q)衰えるどころか、むしろ、響きが、より豊かになっている感じがします…
なんかね、それはね…カラオケで覚えたんだよ…「響き」っていうのは。生演奏っていうのは、雑多なキーじゃん、ちょっとずつズレてて。ところが、カラオケは機械で作ってるから、すごい正しいキーなんだよね。その中に歌をのっけた時、ものすごく響くところがあるんだよね。それを見つけちゃったんだよね。「なんだ、ここに乗っければ、歌が綺麗に響くんだ…」ってとこをね。それが、生演奏の中でも、見つけられるようになったんだと思うんだよね。その「響き」はね、歌い手さんでも知らない人が結構いるよね…。

Q)チカラを抜かないと響かない…?
うん、そうだね。あと、なにかの楽器と同じ波長を見つけるってことかな。そうするとね、そこの楽器が助けてくれるんだよね。僕はね、会場の中で歌う時は、その会場の響きに乗せるだけだから、すごいラクですね。歌ってる時は。

 


Q)これまで、2千回以上ライブをやってきて、スタレビの場合、3時間は当り前で、5時間、6時間、ギネスに認定された10時間やったこともあるわけじゃないですか…。本当に声が出なくなったってことはないんですか?
あの…、もう、どうしようもなく声が出なくなったってことは…、え〜…ない。だけど、それは、気持の問題だと思うんだけど…。

Q)いやいや、気持の問題ってことではないでしょう!
たとえば、「いい歌」っていう基準が高いところにある人は、「今日、ここで歌ってる…」ってことが許せないんでしょ。でも、僕の場合は、そもそも基準がそんなに高いところにないから、「それで歌えるように、なんとかやろう…」ってやってるから。そうすると、不思議なことに、歌ってると、後半には、少し蘇ってきたるするんだよね(笑)。

Q)ホントですか…?
そうそう。だから、そんなのを味わっちゃうと、最初の方で「今はダメだけど、あとはなんとかなるだろう…」って思っちゃったりする…。そもそも、最高のコンディションで歌ったなんていうことは、一度もないですよ。もう、いつも自分の中では不満タラタラで、「あ〜あ…」っていう感じで…。でも、その中でも、「ああ、でもここはうまく歌えた…」っていう部分もあったりしてね。

Q)じゃあ、2千回以上やっていて、歌えなくなったことは一度もないんですね!
「全く歌えない…」って思ったことは、一度もないかな…。とにかく、声は出てるから。MCではガサガサのかすれ声でも、歌い出すと出るんだよ(笑)。だから、お客さんは、「録音したテープかなんか流してるんじゃないの?」って思ってる人もいるんだよね(笑)。本当に「カスカスの声」でも、歌うと出るんだわ〜。あれ不思議だね…。あの、さっき言ってくれた10時間の「100曲ライブ」やった時…、あの時、最後の10曲がシングル曲だけ年代順に遡っていくっていくやつだったのよ…。

Q)それは、キツイですね…
そう。あの時、「シングル曲ってこんなにキツイんだ…」って、初めて思ったね(笑)。それまで、自分の中では、そんなこと考えたこともなくて、ただただ歌ってて、疲労度が高いとか低いとか、曲の難易度みたいなことは考えたことなかった。歌詞の「ややこしさ」が、僕にとっての最大の関門だからね(笑)。

Q)要さんの歌詞間違いは、ファンの中では有名ですからね…(笑)、「歌詞は生き物」と言われたこともありますよね…(笑)
そうそう。それで、シングルを4曲くらい歌い終わった時、「あれっ〜? なんでオレこんなにヒーヒーいってるんだ?」って思ったのね。「ああ、そうか、シングルっていうのは、結構、限界っていうか、一番いいところで歌おうとするから、同じ熱の入り方をしてるんだ」ってその時に始めて気付いた。だから、今は、シングルの中に、ラクに歌えるポイントを作っていくっていうか…、高い声が出なくなるんだったら、高い声をうまく出せる方法を見つけようとする…というかね。

Q)もともとノドが強いってこともあると思います…
でも、本当にね、50歳すぎてからはね、経年変化ってのはスゴイありますよ。ビックリするくらい。今も、この2か月くらい、「あれっ?おかしいな〜?」って思って試行錯誤してたの。そしたら、先日90分くらいのステージをしたときに「あっ、いけた〜!」って感じがあって、乗り越えたかどうかはわからないけど、とりあえず、その2か月くらい悩んでたのは、ちょっと解消したのね。そういうのが、やっぱりポコポコでてくる…。そりゃやっぱ、小田(和正)さんとかと話していてもそうだけど…、小田さんと山本潤子さんと話した時かなぁ〜、やっぱり、そんな話をず〜っとしてたのね。

Q)山本潤子さんも、今、休まれていますもんね…
そうなんだよね…。だから、僕は、やめたって言えないから、工夫して出すようにする方法を見つけてきた…。あと、スターダスト☆レビューの場合、一番ありがたいのは、それを許してくれるお客さんだったってことだと思うんだよな。「その声でもいいよ」っていうね。だって、僕が、潤子さんとか、小田さんみたいな歌を歌ってたら…、基本があの声だからね(笑)。でも、僕の場合、シャウトしてもいい曲もあれば、「木蘭の涙」みたいな曲もあるし、まあ、だから振り幅があって、「こっちはヤバイかもしれないけど、こっちはなんとかなる…」って曲もあったから、最後まで終わらせることができたりしてたんだよね。もしも、「木蓮の涙」みたいな曲を20曲も続けたら…、やっぱりね、「しゃがれ声じゃダメでしょ」って話になるよね。



Q)そういう、その時々に応じた対応ができているから、これまで2千回以上もライブを続けることが出来ているんですね…
そういう意味で、一番ヒドかったのは、91年の「Brightest !」ってアルバムのツアーの時かな。ヒドイ風邪をひいて、長野から新潟にまわった時は大変だったかな。その時、「追憶」って曲がシングルになってたから、それをメインにやんなきゃいけなかったんだけど、結局、長野の時がヒドかったから、次の新潟のではカットしたのかな…。でも、アンコールで、なんか他の曲を増やしたんだわ。「カゼ声だから出来る曲がある」って思って、「カゼひいてるからこの曲やりたい」って言って増やしたんだわ、たしか…。

Q)マイナス要素も、逆手にとってプラスに変えていく…?
そう…。だから、そうやって、「この曲はムリだけど、こっちなら歌えるよな」っていう風に、あきらめなければ、お客さんも「まあ、こういう時もあるのかな…」ってついてきてくれるのかなって気がする。それは、ちょっと甘えかもしれないけど、でも、僕らは、毎年、長野でも新潟でも、それが北海道でも沖縄でも、どこでも毎年行ってるわけですよ。そうすると、「たまには、こういう時もあるさ…」って感じたお客さんも、「あのバラードはダメだったけど、こっちは良かったよな!」って思ってもらえるようにね。まあ、それが3年続いたらダメだと思うんだけど、5年くらい見てくれている中で、「まあ、こういう時もあるさ」って思ってくれてるのかもしれないね。

Q)先ほど言われた、「その日の状態も含めてライブなんだ…」ってことを、毎年、来られるお客さんはわかっているんですね…
だから、こっちも、潔く今日のコンディションを伝えて、その時に出来る曲をボンボンやっていこうっていう…、ちょっとステージを方向転換させると言うかね。俺は、「自分の声がダメだから今日は帰る」って言えないし、バンドメンバーもいるわけだし、だったら、「そのコンディションで一番いい状態になる選曲をそこで試みる」というか…。


Q)それが、要さんのライブの作り方なんですね…
それはね、たとえば、声の状態だけじゃなくて、雨が降ってもそうなんだよね。僕らやっぱり、野外ライブもこんだけやってるからね。今年も、香川のテアトロンてとこでやった時には、前の日からず〜っとどしゃ降りで、雨があがる気配なんて、これっぽっちもなかったんだけど、ライブの3時間だけは晴れたんです。こんな状況だから、楽曲も雨仕様にしようって考えてたんだけどね。でも、結果、晴れてやれたんだけど、それでも、雨の曲3曲くらいやったのかな…、そういうことも出来るようになったし。

Q)お天気に合わせて、直前に曲目を変えたりするんですね!
そうだね…。それこそ、もう何年前だろう…大分の城島ってところでやった時には、開演直前になって、ものすごい雨が降ってきて、結局、後半までやまなかったのかな。開演前、メンバーとステージ脇のテントにいたんだけど、そんな雨だったから「全曲、曲を変えよう…」ってことになって、とりあえず、すぐに出来る3曲だけそこで決めてからステージに上がったんですよ…、「あとはステージで考えよう…」って…(笑)。それで、ステージ上で、みんなで「アレできるか〜? コレできるか〜?」って…(笑)。お客さんはズブ濡れで、もうみんな修行みたいな状況で聴いてくれているわけだから、「なんとか、お客さんが楽しくなるような曲をやろう!」ってね、「バラードなんかやってる場合じゃない!」ってね…(笑)。「雨がふってて良かった…」て思うような曲を、僕らが提供しないことには始まらないと思うんだよね。

Q)なるほど…
「ライブ」ってのは、そのまま「生」ってことでしょ。いっぱい、いろんなことありますよ…。たとえば、今日みたいなこんなピーカンでも、突然雨になることもあるし、風が吹くこともあるし…、でも、そういう中でも、僕らは続けてきたんですよ。「その場に応じて何をやったらこのライブが成立するのか?」って考えた時に、スターダスト☆レビューを見に来てくれてるんだから、その「スターダスト☆レビューたる部分」をお見せすれば、「雨が大変だったな…」って思う人もいると思うけど、でも少なくとも「中止でーす」って言われるよりはいいかなって思うんだよね。それをふまえた上で、ライブって企画されてるわけだし。



Q)さっきノドのことをお聞きしましたが、体調管理と言うか、体全体のことで何か気をつけていることはありますか?
基本的にね、過剰なケアは精神的に良くない…。それやると、ツアーに出る事がめんどくさくなってくる。中にはね、ツアー中は酒飲まないとかそういう人もいて、それは素晴らしいことだと思うし、そこまで自分を律することができる人はいいんだけど、オレは、やっぱり日常でいたいって思うんだよね。だから、みんなでワイワイ酒も飲むし、その日常の中で、歌える最低限のコンディションを作ってライブをやっていくことが、オレたちには合ってるかもしれない。

Q)ツアー中も、特別なことは何もせず、あくまでも普通にいるんですね…
ただ、やっぱり、飛行機の中とか新幹線の中とかは極端に乾燥するから、マスクはしてるし、ノド飴とかも、自分のコンディションに合わせて使うようにしてるよ。あと…、なんか、僕、ステージの最中には、水をほとんど飲まないんだけど、「水飲んだ方が声が良く出るよ…」って言われても、僕は飲まない…。だって、いつ飲んでいいかわかんないから(笑)。去年、僕は見に行ってないけど、ポール・マッカートニーが水飲まなかったっていうのを聞いて、やっぱり、なんか「水飲まない方がいい人」っているんですよ〜(笑)。

Q)歌う時には、何も飲まない方がいいっていう説もありますよね…
へえ〜、僕はタイミングさえ合えば飲むのはいいんだけど、なかなか、そのタイミングがわかんなくてね…(笑)。

Q)まあ、スタ☆レビのライブでは、ず〜っと喋っていらっしゃいますからね…
う〜ん…それもあるかもしれないけど、そういう自分なりの「ステージへのこだわり」って誰でもあると思うし、その中で作っていけば、「今日はダメだからやめよう…」ってことには、もしかしたらならないのかもしれないな。まあ、一概に、やり通す事だけがいいとは限らないし、完璧を目指す人もたくさんいらっしゃるだろうからね。だけど、僕らは、ライブバンドとして、いつでも、「今日、この街で、この場所で、できること」っていうのを心がけてライブをやってきた。それを好きで、お客さんも来てくれてるんじゃないかなって…。僕に、毎回、最高のコンディションと美声を求めてもね…、歌詞は間違うわ、声はきたないわで…(笑)。でも、それをライブと思って来てくれてるお客さんを、僕らは30年かけて、何かそういう雰囲気を作ってきたんだと思うんですよ。

Q)ありがたいことですね…
ホントにそうだね…。だから、お客さんには本当に感謝してるし、これから初めて見てくれるお客さんも、ポンと座った時に疎外感がないようなライブを作りたいっていうか…。やっぱり、行き慣れないライブって、ちょっと疎外感を感じたりすることあるじゃないですか、それを感じさせないようにするのは、ミュージシャンの方ですからね。う〜ん…、やっぱ、僕ら、バラードやれば、お客さんは自然と座るしね。そういうのって、もちろん、好きに楽しんでくれることが一番だけど、バラードとか立ちっぱなしで聴かされるんだったら、「座った方がいいのに…」って思うから、僕らから「どうぞお座りください…」って言う。そっちの方が、みんなから見えるしね。そういうヘンな「コンサートの様式美」みたいなところではやらないようにしてる。

Q)「生まれて初めてコンサートというものを見に行くときには、スターダスト☆レビューのライブを見に行け」と言われるほど、スタ☆レビのコンサートは、ショーアップされエンターテインメント性に富んだ楽しいライブです。きっと、そういう「本当にお客さんを楽しませたい」っていう気持ちが、そうさせているのですね…
たとえば、野外ライブで、雨が降ったりした時とかって、普通に、会場のアナウンスが入ったって、誰も聞いてないじゃないですか。だったら、僕らが出て行って…、この間も、土砂降りの時があって、僕が開演前に15分おきに出て行って、「僕らの普段の行いの悪いせいで、こんなことになってます…。この責任は僕らがとるから、雨で良かったって思えるようなステージをやるぞ〜!」って、15分に一度、アナウンスを入れてくわけですよ。

Q)お客さんを第一に考えるスタ☆レビらしいです…
屋内のライブ会場でも、台風の時だとしたら、「電車が遅れてるから、開演を15分遅らせます…」って時も、ただアナウンス入れたってお客さんは聞かないから、それだったら、僕らが出てって、ちゃんと事情を説明していけば、お客さんも、リラックスして待っていられる…。なんでかって言うと、僕らを見に来たわけだから、僕らからコンディションとかそういうことの説明ってあるべきだと思うんですよね。「ミュージシャンは、このステージだけでやるもんだから…」って言って、変にスタッフがでしゃばると、伝わるものも伝わらなくなるよね。

Q)そんな人、あんまりいないです…
まあ、もちろん、それはミュージシャンにもよると思いますけどね。お客さんも、そんなことを言ってほしくない人もいるだろうし。でも、僕らは、別にそんなところで威厳を持っていてもしょうがないと思ってるからね。とにかく、僕らは、「日常」「今」「生」を、いつもさらけだしてきた人間だから、それに関しては、お客さんには変な敷居がなく受け入れてもらってるのかな〜って思うよね。

Q)既成概念や、それまでの常識にとらわれない、お客さん主体の発想ですね…
たとえばね、最近のコンサートって、携帯で写真撮らせるのって多いじゃないですか。僕も、別に撮るのはいいって、ずっと思ってたんだよね。ただ、前の席の人ばっかりが得することになるから、ただでさえ、前で見てるのに、それで携帯でもずっと撮ってたら、ちょっとね…。だから、今回の写真撮影のコーナーでは、「SHOUT」のでっかい看板を持って、みんなで客席を練り歩くんですけど、ここは、もう、「写真撮っていいよ〜」ってところだから、そうすると、ちょうど真ん中、中通路くらいまで歩けるから、前の人も、後ろの人も、同じような距離で見られて喜んでもらえる。一番前にいるお客さんも、一番後ろにいるお客さんも、同じように楽しんでもらえるように、僕ら考えてる…、むずかしいことなんだけどね。歌だけ聴きにきてるわけじゃないっていうのがライブだと僕は思いますからね。



Q)歌詞についてもお聞きしたいのですが…、今まで聴いてきた音楽の中で、とくに歌詞が印象に残っている曲ってありますか? 今すぐ思いつくものがあれば、教えてください…
う〜ん…、あの〜、ミスチルの桜井くんの歌詞っていうのは、なんか、ミョ〜に納得させられてしまうっていうか、僕は、そんな風に思う人間じゃないのかもしれないけど、彼の詞を読んでると、意外と「う〜ん」と思って納得してしまうような詞が多いですね。あと、やっぱりKANちゃんかな…。KANちゃんがうまいのは、「箸が転がっても笑う」ってよく言うけど、「箸が転がる事をドラマに出来る歌詞」だと思うんだよね。そういうことが言える人は、すごい上手だな〜って思うな。

Q)物心ついた頃、子供のころ聴いていて、今でも思い出すような曲、自分に影響を与えたような音楽で、今、思いつくものを教えてください…
僕は、本当に子供のころから、いわゆる「洋楽オタク」ってやつで、小学校の3年生か4年生のころに、ビートルズを聴いてたんですよ。彼らの何枚目かのシングルで「恋する二人」「I Should Have Known Better」って曲があって、それを、僕は英語の歌詞で覚えたんだよ、カタカナでね…。でも、「恋する」って言葉が、小学生で恥ずかしいから口にできなくてね…(笑)。だから、僕は、その曲を人に伝えるときも英語で言ってた…(笑)。でも、小学生だから、「なに、それ?」って言われるわけよ、「いや、ビートルズのいい曲なんだよ〜」ってシングル盤を見せると、「『恋する二人』って曲じゃん!」って言われて、「いやいや、アイ シュッド ハヴ ノウン ベターなんだ…」ってね。「恋する」が言えない自分がいましたね〜(笑)。

Q)要さんのメロディは、デビュー曲の「シュガーはお年頃」を聴いたときから、洋楽のスタンダードなポップスを、うまく日本のポップスに昇華させているメロディだと感じて新鮮でした。たとえば、黛ジュンさんの「天使の誘惑」なんかもカバーされていますし、服部良一さんの「東京ブギウギ」とかは、ずいぶん前からステージでもやられていますが、たとえば、服部良一さんで言えば「胸の振子」とか「蘇州夜曲」とか、そういう昭和歌謡のエッセンスみたいなものもうま〜く入っている感じがします…。そこで、邦楽で印象に残っている曲や、影響を受けたアーティストを教えていただけますか…
う〜ん…、なんかね、僕は、作曲家っていう人たちに憧れていたんだと思う。いい歌が、なんとなく、共通してたんですよ。「あっ、この曲も同じ人が作ってる…」ってね。だから、そういう意味で言うと、もちろん服部良一さんも、筒美京平さんもそうだったけど、村井邦彦さんのメロディは、「なんだろう?コレ?」っていうくらい、すごい好きでしたね。

Q)赤い鳥の「翼をください」、スタ☆レビでもカバーされているズー・ニー・ヴーの「白い珊瑚礁」、辺見マリさんの「経験」、トワ・エ・モワの「或る日突然」とか作曲されている方ですね…
そうそう。村井邦彦さんの曲は、「なんだろう?この僕らにはわからないコード感は…?」って思ったね。メジャーセブンの和音にくっついてくる気持ち良さってものを教えてくれた人だと思う。それはね、小田(和正)さんもそうだったと思う。メジャーセブンの和音は、ちょっと衝撃的でしたね。「こんな曲が出来るんだ!」っていう感じで。メジャーセブンがうまく使えると、アコギでかっこいい曲が出来たんですよ。だから、そういう意味では、村井邦彦さんの影響は大きかったですね。



Q)毎年必ず全国を回るツアーのこと、ギネスにも載ったライブのこと、バンドメンバーのこと、コーラスワークのこと、よく歌詞を間違えるエピソード、職業作家の方が歌詞を書かれている楽曲について、小田和正さんとのユニット「オダ☆レビ」について、デビュー当時の「トワイライト・アヴェニュー」「ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス」などの名曲や、初めてのヒット曲「夢伝説」、多くの人もカバーする「木蘭の涙」、人気曲の「今夜だけきっと」「めぐり逢えてよかった」「と・つ・ぜ・んFall In Love」などについて、などなど…、まだまだお聞きしたいことはたくさんあるのですが、残念ながら、取材の時間が残り少なくなってしまいましたので、最後にひとつ、今の音楽シーンについて感じていること、思うことを教えてください…。たとえば、以前とは、音楽を聴くメディアも機器も、ずいぶん変わってきています…
う〜ん、僕は、あの〜音楽に限らずだけど、いいものっていうのは、作品として所有していたいと思うんだよね。だから、その〜、僕は音楽好きだから、今でもCD買うんだけど、やっぱり、ダウンロードだと我慢が出来ないんですよね(笑)。

Q)よくわかります…。そう思っている音楽ファンも少なくないと思います…
ミュージシャンが作る作品として、CDという形で残したいなと思ってるけど、それを決めるのは世の中だからね。CDを買う僕も音楽ファンだけど、でも、音楽ファンの大半の人たちがダウンロードを求めるのであれば、僕は、そこにも乗らなきゃいけないと思ってる。だけど僕は! やっぱりアルバムという単位で、アーティストを知っていきたいな…と思う。やっぱり、きっかけはシングルから作られるから、シングルって大事だと思うけど、でも、あえて、今回のアルバムではシングル作ってないんですけどね。

Q)シングルは、戦略的に作られることも少なくないですから、アルバムをちゃんと聴いて初めて、そのアーティストの世界がわかることもありますね…
僕はラジオのパーソナリティをやらせてもらってて、自分がいろんな音楽を紹介する時に、「コイツはね…」って言える人って、最低でも、オリジナルアルバムを3枚は持っていたいと思うんだよね。ベストアルバムを1枚しか持っていないとなると、どうしても楽曲を語ることになるんですよね。僕は、その両方を使い分けてるけど、基本的には、自分の好きなアーティストがいたら、だまされたと思って、あとアルバム2枚くらい買ってみるといいんじゃないかなって…。そうするとね、シングルだけではわからなかった次の扉が開いてくんだよね。

Q)そうですね…、先ほど言われてたKANさんのお話と同じですね…
それで、一番言いたい結論はこっちなんだけど、大事なのは、「自分の好きなアーティストが何を聴いてきたのか」っていうこと、自分の好きなミュージシャンのバックボーンを知ると、音楽をもっと欲しくなっていくというかね…。僕だって、きっと、世の中に出回っている音楽の1割も知らないと思うんですよ。で、そういうのって、出会いで始まってくるわけなんだけども、自分が好きな曲をたくさん聴くのもいいけど、「この音楽はどう出来てきたのか?」を、そのミュージシャンの発言とともに知っていくと、その裏側に隠れている名曲とか、あと、その楽曲に対する理解度が深まったりするというかね。なんか、こう、そのアーティストの本質というのを見られる音楽ファンでいてほしいなって思う。

Q)全く同感です…。最近の若者を見てると、全体的には「音楽リテラシー」みたいなものが、以前と比べて劣ってきているように感じます…
昔ね、ビル・エバンスってジャズピアニストのインタビューの中にあったんだけど、「ジャズっていう難しい音楽を知るにはどうしたらいいんだ?」って質問に対して、彼は「それはジャズを学ぶ事だ」って言ったらしいんですよ。普通は、「感じるままに聴けばいいだろ…」って言う人もが多いんじゃないかと思うんだけど…。やっぱり、「学ぶ」ってことは、「なんでだろう…?」って疑問から始まるわけだから、ちょっと学ぶ気持ちになると、ポップスにしたって「この音楽はどうやって出てきたんだろう…?」ってバックボーンを知ったりだとか、アンサンブルを知ったりとか、そういうとこまで知ってほしい…っいうのが僕らの気持ち…。

Q)たしかに、そのアーティストのバックボーンを知ると、曲の聴こえ方も変わってきます。それに、より楽しくなりますし、好きなものが増えてより豊かになりますよね…
歌って、もちろん歌が中心なんだけど、実は、その歌をよりよくするための演奏があるってことを、やっぱり僕は言いたいかな…。その歌だけ聴いて終わるんじゃなくて、実は、イントロがあって、間奏があって、アウトロがあって、初めてその歌が成立してるんだけど、たとえば、カラオケに行くと、その歌だけになっちゃう人もいるけど…。まあ、カラオケだとなかなかわかんないだけど、イントロ、間奏、アウトロの良さだったり、リズムやアレンジ、時にベースのラインだったりギターのフレーズだったりを気にして聴いてみると、歌がより面白く聴けるんじゃないかなと思うんだよね…。間奏は、ただの歌の休憩じゃないんだっていうことは、僕は知ってほしいなと思いますね…(笑)。

Q)と言っているうちに…残念ながら時間がきてしまいました…、ありがとうございました!
ありがとうございました。すみません…なんか長く喋りすぎちゃって…(笑)。今度、ぜひ、またライブにも来てくださいよ!

(2014年9月、取材・文:西山 寧)


  【コンサートツアー】

STARDUST REVUE LIVE TOUR「SHOUT」
2014年10月 〜 2015年6月まで、全国60公演以上!

ツアーの詳細はコチラ!

  【レギュラー番組】

◎根本 要

JFN系列 全国24局ネット「要のある音楽

FM NACK5「NACK de ROCK」 毎週月曜日24:00〜25:00

FM COCOLO「KANと要のWabi-Sabiナイト
毎週土曜日18:00〜19:00 再放送:金曜日22:00〜23:00


◎柿沼清史、寺田正美、林"VOH"紀勝

調布エフエムをキーステーションに全国コミュニティFM45局ネット
スターダスト☆レビューの星になるまで


根本要・KAN プロデュース!
約2年ぶり通算36枚目のアルバム!
アルバムCD 「 SHOUT 」
 

2014年 8月 6日発売
IMPERIAL RECORDS / TEICHIKU ENTERTAINMENT
通常盤 TECI-1413 \2,870(税別)


アルバムの歌詞を見る
レコード会社 (IMPERIAL RECORDS)

 
 <CD収録曲>

  01 Love & Devotion (作詞・作曲:根本 要 / 編曲:添田 啓二)※1
  02 昔話をひもとくように (作詞:根本 要 作曲:根本 要・KAN 編曲:KAN)
  03 港町は恋の色 (作詞:根本 要・KAN 作曲:根本 要 編曲:KAN・添田 啓二)
  04 恋は医者でも治せない (作詞:根本 要・林 紀勝 作曲:根本 要 編曲:添田 啓二)
  05 おぼろづき (作詞・作曲:根本 要 編曲:添田 啓二)
  06 熊谷の風 (作詞・作曲:柿沼 清史 編曲:KAN・添田 啓二)
  07 この恋なくしての恋なんて恋じゃない (作詞・作曲:根本 要  編曲:添田啓二)※2
  08 拝啓 子供たちへ (作詞:根本要・寺田 正美 作曲:根本 要 編曲:添田 啓二)
  09 セガホ  (作詞:KAN 作曲:根本 要 編曲:KAN)
  10 道 〜The Song For Us〜 (作詞・作曲:根本 要 編曲:添田 啓二)※3

  ※1 tvk テレビ神奈川「ありがとッ!」(月−金12:00〜14:00)オープニングテーマ
  ※2 TBS系TV「ひるおび!」(月−金11:00〜13:53) 8月度エンディングテーマ
  ※3 BS-TBS「ひと・まち紀行〜日本の元気を、明日へ。世界へ。〜」
     (毎週土曜日22:00〜22:54)エンディングテーマ

LIVE Blu-ray & DVD発売!  

LIVE Blu-ray & DVD発売!
2014年8月9日、東京・日比谷野外大音楽堂でのライブ
(全24曲・約3時間)を完全収録予定!

Blu-ray & DVD
「 楽園音楽祭2014 STARDUST REVUE in 日比谷野外大音楽堂 」
2014年 12月 17日発売
IMPERIAL RECORDS / TEICHIKU ENTERTAINMENT
Blu-ray TEXI-75009 \7,000(税別)
DVD TEBI-64320〜1 \6,000(税別)


レコード会社 (IMPERIAL RECORDS)

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スターダスト☆レビューの歌詞一覧


根本 要(ねもと かなめ) Vocal, Guitar   1957年5月23日生  A型 埼玉県行田市出身
柿沼 清史(かきぬま きよし) Bass, Chorus  1957年11月11日生  B型 埼玉県羽生市出身
寺田 正美(てらだ まさみ) Drums, Chorus  1959年7月26日生  O型 埼玉県熊谷市出身
林"VOH"紀勝(はやし ボー・としかつ) Percussion, Chorus   1960年1月28日生 AB型 埼玉県熊谷市出身

1979年、第18回ヤマハ・ポピュラーソングコンテスト出場をきっかけに、1981年、シングル「シュガーはお年頃」、アルバム「STARDUST REVUE」でメジャーデビュー。これまでにシングル54枚(コラボCD 2枚含む)、アルバム36枚をリリース。「高い音楽性と低い腰」をモットーに、全国各地で毎年60〜70本のライブを開催。耳に残る良質なメロディ、根本要のハイトーンボイスと定評あるコーラスに加え、「生まれて初めてコンサートというものを見に行くときには、スターダスト☆レビューのライブを見に行け」と言われるほど、ショーアップされエンターテインメント性に富んだ楽しいライブパフォーマンスで、世代を問わず観客を魅了し続ける日本屈指のライブバンド。

1996年、小田和正との共演をきっかけに、ジョイントコンサートなどの活動を経て、2007年、作詞:小田和正、作曲:根本要による「オダ☆レビ」名義の曲「思い出はうたになった」を発表。毎年、12月に放送される小田和正の「クリスマスの約束」にも、2003年以降、ほぼ毎年のように出演している。2001年8月、デビュー20周年を記念したスペシャルライブ「つま恋100曲ライブ〜日本全国味めぐり〜お食事券付」において、朝10時から 夜8時までの10時間に101曲を演奏した事が、「24時間で最も多く演奏したグループ」としてギネス世界記録に認定されている。 1993年のアルバムに収録された「木蘭の涙」は、2000年以降、多くのアーティストにカバーされ、2005年に発売したアコースティクヴァージョンは「ニッカウヰスキー」のCMソングとなる。

2007年5月、デビュー25周年を記念したスペシャルライブ『スターダスト・レビュー25年に一度の大感謝祭〜6時間ライブ・おやつ付〜』 を地元さいたまスーパーアリーナで開催。このライブでは、録音・撮影OK、会場内での飲食自由、チケット料金は20歳未満半額、さらに、ロビーにおいて「さいたま物産展」、「スタレビ展」を同時開催するなど、ライブはもちろん、ライブ以外にも見に来た人を楽しませる、前代未聞の エンターテイメントライブ!として話題を呼んだ。

1984年発売、カルピスのCMソングとしてヒットしスタレビを一躍全国区にした5枚目のシングル「夢伝説」が、2008年に再レコーディングバージョンが発売され、キリンチューハイ「氷結ZERO」のCMソングに再度起用された。2013年、ライブ総数2千回を記録。同年10月からは、スタレビが観光大使を務める埼玉県行田市(根本の出身地)の行田駅で「夢伝説」が発車メロディとして流れている。

2014年8月、36枚目となるアルバム「SHOUT」を発売。その後2014年10月〜2015年6月(予定)にかけて全国60ヶ所以上のツアーを予定。

スターダスト☆レビュー オフィシャルサイト

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