言葉の達人

SAKUSHIKA

　達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」、「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きして、毎月、紹介していくこのコーナー。
今回は、1980年に「LORELEI」というバンドでデビュー。その後バンド活動と並行して作詞家としてもデビューされ、1988年には、年間作詞家売上1位となり、FNS歌謡祭最優秀作詞家賞、銀座音楽祭最優秀作詞家賞など、その後も数々の賞を受賞され、現在はプロデューサーとしてもご活躍の「田口俊」さんをゲストにお招き致しました。

田口俊

代表作

「50/50」中山美穂
「吐息でネット」南野陽子
「夏のタイムマシーン」小泉今日子
「エデンの都市」観月ありさ
「風のLonely way」杉山清貴
「Diamondハリケーン」光GENJI
「君のキャトル・ヴァン・ディス」スターダスト・レビュー
「水色のワゴン」Hi-Fi SET
「コズミック・ランナウェイ」アクセス
「Because of love」崎谷健次郎など多数。

作詞論

確固たる持論があります。
それは25年間お仕事をご一緒させていただいてる2人のプロデューサー松任谷正隆氏、須藤晃氏(浜田省吾、尾崎豊etc)から学んだことでもあるのですが作詞とは「リスナーの代弁」である、という事です。ややもすると作家は、作品とは「自己表現である」と思い上がってしまうきらいがありますがこと「作詞」に関しては、それはあてはまりません。その曲を聴いたリスナーが「あ、この歌、私(僕)の事を歌ってる」と思ってもらえる詞、それが作詞だと思っています。ユーミンや尾崎の歌を聴けば、それは明らかです。

田口さんに伺いました。
Q：
作詞家になったきっかけは？
A：
まだバンドで活動中に、2人のプロデューサー松任谷正隆氏、須藤晃氏に作詞の依頼を受けたのがすべての・・・ほんとにすべての始まりです。
Q：
プロ、初作品について
A：
松任谷プロデュースの須藤薫「プラネタリウム」でいきなりアルバム全詞をまかされました。10曲に対して80曲、詞を書きました。いや！書かされました。スタジオや松任谷宅に軟禁され、それはそれは苦しい1ケ月でした。
Q：
作品を提供したいアーティスト
A：
女性なら女性のファン、男性なら男性のファン、というふうに同性のリスナーの方が多いアーティスト。
Q：
あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
A：
そこそこ売れたのですが、「鉄腕アトム」で育ったぼくは手塚治虫のアニメ遺作「青いブリンク」(NHK)の主題歌を書かせていただいたことが夢のようでした。南野陽子の「瞳のなかの未来」です。
Q：
なぜ「詩を書くことを選んだか」
A：
現実的な回答で申し訳ありません。作曲もアレンジも楽器もプロデュースもやりますがただ、圧倒的に作詞の需要が多かったからです。
Q：
プロの作詞家になりたい人へのアドバイスを
A：
言いたい事は書ききれないくらいいっぱいあります(笑)
が、ただひとつ、「作詞」と「詩」は、似てまったく非なるものです。ほとんどの方がそこを混同してしまっています。詩は文学ですが、作詞は音楽です。どんなに日記に素敵な詩を書いていてもとにかく音楽のセンスがないと話にならないです。死ぬほど洋楽をいっぱい聴いて音楽のセンスをひたすら磨いて下さい。
歌詞を見る ねぇ 国安修二

この曲は発売当時まったく売れませんでした。
アーティストの方も歌をやめられ、それから7年後、まったく何のプロモーションもタイアップもないのに突然有線で火がつき、アーティストの方はあわてて減量して(笑)カムバックし、有線の特別賞までいただいた作品です。組織票ではない、本当のリクエストのパワーでヒットした、作家にとってはこのうえない光栄な思いを味わいました。

■私の好きなあのフレーズ
自分のフレーズを賛美するのは恥ずかしいのでさしさわりのない個所を。
当時発売されたばかりのサイモン&ガーファンクルのライブを詞に使いました。心からポール・サイモンへのリスペクトです。
「ラジオから流れてたセントラルパークのスカボロフェア」

PROFILE

1955/5/12　岐阜生まれ大阪育ち。関西大学中退。
1980年　CBSソニー(現SME)よりBAND「ローレライ」でデビュー。
1981年　バンド活動と並行して作詞を始める。
1988年　FNS歌謡祭最優秀作詞家賞、銀座音楽祭最優秀作詞家賞受賞。
1989年　ゴールドディスク大賞ベストシングル賞受賞。

これまで約900曲の作詞家活動。
現在はプロデュース業に重点をおいて活動中。
四谷にてライブハウス「LIVE GATE TOKYO」とレコーディングスタジオ「SOUNDGATE STUDIO」を運営。
松任谷正隆の音楽学校MICA MUSIC LABORATORYで作詞講師を務める。

[CDリリース情報]

「アムリタ」
牧野由依

VICL-35846　¥1,260 (tax in)
2005.8.18 Release
ビクターエンタテインメント
M3:ジャスミン

「ON」
松田悟志

MLA-003　¥2,000 (tax in)
2005.7.22 Release
SOUND MISSION
M2:off
M3:case-by-case

「You are you」
廣重 綾

TOCT-4850　¥1,050 (tax in)
2005.4.13 Release
東芝EMI
M1:You are you
(不二家TVCMソング)
M2:まだ見ぬ人
(PSP用ゲーム「新天魔界」テーマソング)

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