言葉の達人

SAKUSHIKA

 達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きしてご紹介していくこのコーナー。
今回は、メロディーを最大限に活かす言葉選びで、数多くのジャニーズ作品をはじめ、歌謡曲、Rock、R&B、演歌、アニメ、童謡、絵本制作など幅広いフィールドワークが光る「相田毅」さんをゲストにお迎え致しました。

相田 毅

代表作

俺たちに明日はある」/SMAP
サクラ咲ケ」/
大阪ロマネスク」/関ジャニ∞
Sweet Days」/Kinki Kids
RHODESIA」/KAT-TUN
若者たち」/Kis-My-Ft2
ユーガッタモール」/Hey! Say! 7
コノヨノシルシ」/BoA
街角-On The Corner-」/ゴスペラーズ
ジーンズ」/広末涼子
Kiss」/鈴木蘭々
笑うは薬」(2012年第45回日本作詩大賞入賞曲) /堀内孝雄
ケロ猫のタンゴ」/皆川おさむとひばり児童合唱団
(ケロロ軍曹エンディングテーマ)
きみのきもち」(NHKみんなのうた) /サトシン&りな
きみのこえ」(NHKおかあさんといっしょ)
今井ゆうぞう・はいだしょうこ
その他多数

作詞論

小説とか脚本とか…それこそポエムと比べて、作詞が決定的に違うのは、歌メロがあること。
同じ、言葉を表現の媒介としているのに、そこが違いますよね。メロディと幸せに結ばれないと、いい歌詞とは言えない。要するに言葉の発音ですよね。そこまで考慮するのが作詞家だと思う。だからね、ある意味、ミュージシャンだと思うんですよね、作詞家って。
WriterだけどSong Writerですよね。歌の書き人っていうかね。メロディから言葉を誘発させる、豊かな感受性を常に持ち合わせていることが大切だと思うんです。

相田さんに伺いました。
Q:
作詞家になったきっかけは?
A:
レコード会社でコピーライターをしている頃、知り合いのディレクターから曲は書けるんだけど、歌詞が不得手なアーティストを紹介されました。
意気投合して、歌詞を提供することに。結局彼はデビューできなかったんだけど、既にジャニーズの仕事をしてて。ある日、彼から連絡が来て「相田さん、今度ジャニーズから新しいグループがデビューするんだけど、一緒にやらない?」って誘われた…それがSMAPだったという(笑)。
Q:
プロ、初作品について
A:
SMAPのファーストアルバム「001」収録の「Subway Kids」。
初作がRapでした(笑)。結局、4曲収録されたから、恵まれたスタートでしたね。
Q:
作品を提供したいアーティスト
A:
30年くらい前、これと同じ質問を久米宏さんが桑田佳祐さんにしていて、桑田さんが「マッチ!(近藤真彦)」と即答していた(たのきん全盛時代)。どうせなら、売れてる人に提供したい!という気持ちは邪道じゃないと思う。
Q:
あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
A:
サザンの松田弘さんが歌った「それでも時は」。いい歌なんだけど、なんで売れなかったんだろう。
Q:
なぜ「詩を書くことを選んだか」
A:
音楽が好きだった…音楽のそばにいて、いい音楽が生まれる瞬間に携わっていたかった。レコード会社に入ったのもそのため。で、コピーライターをしていたんだけど…コピーより歌詞の方が、もっと音楽の根幹にいられると思ったのね。感動の爆心地にいたかったんだ。
Q:
プロの作詞家になりたい人へのアドバイスを
A:
もっと音楽を好きになりなさい。あなたが思うより、先輩たちはもっと音楽が好きです。若い人と話すと、みんな音楽が好きだって言うんだけど、僕からしたらそれは好きじゃねーよ、って思うのね。レベルが普通なんだもん。邦楽・洋楽問わずチャートもん以外も貪ってほしい、音楽の専門家なんだから。
あと、歌詞も、食い入るように読みなさい。僕は小さい頃から洋楽の歌詞をよく読んでて、エルトン・ジョンと組んでたバーニー・トゥピンとか、ポール・ウイリアムスとかポール・サイモンとかバカラックの相棒のハル・デヴィッドとか好きで、よく訳詞を読んでた。それが今の自分の礎になってると思うんだ。
歌詞を見る コノヨノシルシ BoA

担当ディレクターから歌詞として完璧!と激賞されました。
タイトルもね、BoA本人に訳したんだけど「Pleasure Of My Life」とか言っても真意は伝わらないのね、彼女は語学の天才なんだけど…「コノヨ」っていう語彙がどうしても理解出来ないの。「この世」と「コノヨ」じゃ受け取り方も違うしね、カタカナにしただけで。日本人独自の琴線なのかなぁって思った。まぁ、タイトルも、ぎりぎりのバランスだよね。
余談だけど、後日、mixiでこの歌のコミュがあるのにも驚きました。

■私の好きなあのフレーズ
「好きな映画のように人は 生きられないと知っているから
誰も恋に落ちるたびに
自分だけの物語 求めすぎてしまうでしょう」

PROFILE

相田毅Takeshi Aida

東京都中央区晴海生まれ。
広告代理店を経てSONYレコードに入社。
作詞家として独立、現在に至る。
「笑うは薬」で2012年第45回日本作詩大賞入賞。

[CDリリース情報]

堀内孝雄
「笑うは薬」

PKCP-2080 ¥1,200 (tax in)
2012.05.09 Release
M1:「笑うは薬」

関ジャニ∞
「8EST」

TECI-8022 ¥3,200 (tax in)
2012.10.17 Release
M7:「大阪ロマネスク」


「アラフェス」DVD

JABA-5107〜5108 ¥5,800 (tax in)
2012.12.26 Release
<DISC2>
M10:「サクラ咲ケ」

石川優美&PonoLani
「老眼になった君へ」

HONU-S001 ¥700 (tax in)
2010.8.15 Release
M1:「老眼になった君へ」

【これまで登場した作詞家さん】バックナンバー