達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きしてご紹介して行くこのコーナー。
今回は、コピーライターとして活躍しながら、斉藤和義の名曲「おつかれさまの国」や「ウエディング・ソング」などをはじめ、数々のアーティストの歌詞を手がけている「一倉宏」さんをゲストにお迎え致しました。
「声のおまもりください」(共作)/BEGIN
「Eternal Memories」(共作)/Crystal Kay
「美しい大地よ」/山本譲二
「うちゅうひこうしのうた」/坂本真綾
「ウエディング・ソング」/斉藤和義
「おつかれさまの国」/斉藤和義
「あなたのうた」(共作)/ソナーポケット
「夢にできること」
/村上ゆき
本業はコピーライターなので、CM曲から生まれた作品が多いです。シンプルにして印象深く。それはCMの要請でもありますが、歌の本質でもあると思います。その主語は歌い手であるけど、聴くひとでもあること。そして、すべての歌はラブソングだと思っています。
井上大輔さんに依頼したCMソングを、シングルにしましょうということになって。そのとき初めてフルサイズの詞を書きました。「言葉がヘタだから」というコピーがサビで、タイトルも同じく。
CMと関係なくという意味では、菅野よう子作曲でゲームソフト「ナップルテール」の「しっぽのうた」(坂本真綾)になるかな。本格的には、斉藤和義「君は僕の何を好きになったのだろう」かも。
加藤登紀子さん、とか。おとなのラブバラードを。
CMでは短期間しか流れなかったのですが。村上ゆき/「夢にできること」
学生時代から詩が好きでしたし、コピーライターになってからはCM曲の「ことば」にも責任を持ちたいと考えたからです。
日本のポップスは、新しい「話法」を求めていると思います。
「ウエディング・ソング」もこの曲も、デモがすぐに上がって、しかも完璧なのでびっくりしました。本人は「詞が先にあるとラク」とか言ってましたが。もちろん、斉藤和義自身が素晴らしい詩の書き手であるし、ライブでも歌がちゃんと「ことば」として聞こえて届く「歌うたい」であることに感服します。
そのひとの疲れに「お」をつけて
「さま」までつけて
「おつかれさまです」と声かける
ぼくらの日々
サントリー宣伝部にコピーライターとして勤務の後、独立。
コピーの代表作に「きれいなおねえさんは好きですか」(パナソニック)、
「愛に雪、恋を白」(JR東日本)、「あなたと、コンビに」(ファミリーマート)
「まだ、ここにない、出会い」(リクルート)、「家に帰れば、積水ハウス」
などがある。CM曲以外にも、ポップスから合唱曲まで作詞作品は多い。
著書に『人生を3つの単語で表すとしたら』(講談社)、『ことばになりたい』
(毎日新聞社)など。
【これまで登場した作詞家さん】