「こんな歌、歌いたかった!」って言ってもらえると、とても嬉しくなります。ミュージシャンがどんな心境で歌っているか、音楽にどれほど気持ちを注いでいるか、特にライブではファンの方は敏感に感じ取れるからです。私自身、ボーカルとして歌っているからこそ、大事にしたいと思っていることです。
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Q1. 歌詞を書くことになった、最初のきっかけを教えてください。
10代の頃、「ロックをやるからには自分の言葉で歌いたい」と言う個人的な想いがあったので、当時組んでいたバンドのオリジナル曲に歌詞を書いたのが始まりです。Heavenstampのボーカリストとしてメジャーデビューした後、交流のあったSuperflyの越智志帆さんが私の歌詞を覚えていてくれて、Superflyの曲「Triccawicca」を私個人として初めて提供という形で作詞しました。
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Q2. 歌詞を書く時には、どんなところからインスピレーションを得ることが多いですか?
人と出会うこと。友達はもちろん、今まで会ったことのないタイプの人の価値観や意見を知ること。大切なインスピレーションのもとになります。ロンドンにバンドで行った時に出会った、イギリス在住のカフェ店員の女性の、誰にでも親切な姿勢と笑顔に感銘を受けて「カフェモカ(Latifa)」という曲の歌詞を書いたことがあります。
映画を観ること。映画はたくさんの人物の人生、価値観を知り、疑似体験することができます。映画を見るときは、その作品に散りばめられた「本質・テーマ・メッセージ」を読み取り、「自分だったらこのテーマをどんな風に表現するか」を考えます。アクション映画やコメディタッチの映画でも、実は大きなテーマや人が生きていく上で大切なメッセージが込められていることがあるので、それをキャッチできるよう心がけています。
最近観た映画では、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『キングスマン』『ミラクル・ニール!』を観て共通のメッセージを感じました。喪失、悲しみと向き合うこと。辛いことや自分自身と向き合うことは、クリエイティブの原動力となります。 -
Q3. 普段、どのように歌詞を構成していきますか?
今まで携わった作品はすべて曲が先にあるものでしたので、まずよく音楽を聴くことにしています。そうすると自然とメロディに言葉が浮かび上がってくるので、そこから曲のイメージに合った言葉やテーマを選び、書き進めていきます。Aメロから書き始めることが多いですが、サビからの場合もあります。
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Q4. お気に入りの仕事道具や、作詞の際に必要な環境、場所などがあれば教えてください。
よほど大きなBGMが流れている場所でなければ、ある程度騒がしくても静かでもどこでも書けます。手書きではなく、ほとんどスマホで書きます。場所を選ばないし、無機質な文字ほど集中できるので。
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Q5. ご自身が手掛けた歌詞に関して、今だから言える裏話、エピソードはありますか?
初めて手掛けたSuperfly「Triccawicca」。ミュージカルのようにめまぐるしくメロディが展開する曲だったので、どんな風に言葉をのせようか…と、とにかく曲に合いそうな思いつく単語を何十個も書き記しました。仕上がった歌詞は短編映画のようでとても気に入っていますが、難しい曲をのびのびと歌い上げてしまう志帆さんの歌はさすがでした!
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Q6. 自分が思う「良い歌詞」とは?
無駄がなく、足りないものがない歌詞。いしわたり淳治さん作詞の「神様のいうとおり」の<あの娘 はすっぱ 恋泥棒 わたしけなげ いいひと>という、少ない言葉でどんなことが起こったか、どんな人物像か想像が膨らむ歌詞に感銘を受けました。
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Q7. 「やられた!」と思わされた1曲を教えてください。
井上陽水さんの「最後のニュース」。最初に知ったのは奥田民生さんがカバー曲として演奏していたライブ映像でした。人間が向き合い続けなければならない問題に正面から、壮大かつ身近な表現で歌詞にされていることに衝撃を受けました。決して遠い場所での問題ではないのだよと、訴えかけられている気持ちになったことを覚えています。
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Q8. 歌詞を書く際、よく使う言葉、
または、使わないように意識している言葉はありますか?使わないようにしている言葉は特にありません。ただ、意図があって繰り返す以外は、同じ曲の中で同じ単語を安易に使わないように、別のふさわしい言葉や言い回しを考えることを心がけています。作詞が「文字を埋める」作業にならないようにするためです。
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Q9. 言葉を届けるために、アーティスト、クリエイターに求められる資質とは?
自分が発信した言葉が世の中にどのように作用するか、想像できる力があること。自分が書いた歌詞が本当に良いものかどうか、自分と向き合い追求できる向上心を持つこと。
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Q10. 歌詞を書きたいと思っている人へのアドバイスをお願いします。
私は歌詞を共作するとき、必ず歌う方に「誰に向けての歌にしますか?その人に何を一番伝えたいですか?」と尋ねます。家族、友人、好きな人、未来の自分。誰かの顔を思い浮かべると、芯の強い歌詞になります。歌詞を書くにあたり、毎日全ての経験が糧だと思っています。知らない街に行くことも、知らない人と出会うことも最初は少しの勇気がいりますが、やってみるとぐんと世界が広がります。また、生きていると素晴らしい出会いもありますが、時には傷ついたり傷つけたり恥をかいたり、 嫌われたり自分を情けなく思ったり。いろんなことがありますよね。逆に何日も家に閉じこもって一人で悩むことも、ある種の経験だと思います。全てのことに意味を見出せるか、投げ出さずに向き合えるか。私自身、日々勉強です。
ギターロック、ポストパンク、シューゲイザー、クラブミュージック、クラシックなどの影響を受けた様々なジャンルを掛け合わせた音楽性で、英国ロックバンドBloc Partyのギタリスト、ラッセル・リサックとの共同プロデュースやUSインディの至宝Animal Collectiveによるリミックス、ロンドンのトップクリエイター集団 tomatoとのMVでのタッグなど、これまで国内に留まらない活動を展開してきた。
2017年5月10日には約5年ぶりとなる2ndフルアルバム『天国印鑑を聴きなさい』、2018年5月16日には配信シングル「L・O・V・Eじゃない?」をリリース。2018年からはロンドンでも精力的にライブ活動を行なっている。2013年以降、Sally#Cinnamonが作詞、Tomoya.S(Gt)が作詞・作曲でSuperflyなど他アーティストへの楽曲提供や共同制作をはじめる。
配信シングル「おたからさがし」
2019年1月1日リリース
東名阪ワンマンライブツアー
『Heavenstamp ONEMAN LIVE TOUR 2019 おたからさがしの旅』開催! ※詳細はこちら
ライブ映像作品
『大原櫻子 5th TOUR 2018 ~Enjoy?~』
2018年11月21日リリース
歌詞提供曲「Joy & Joy」
「Close to you」「energy」収録