作詞家をはじめ、音楽プロデューサー、ミュージシャン、詩人、などなど【作詞】を行う“言葉の達人”たちが独自の作詞論・作詞術を語るこのコーナー。歌詞愛好家のあなたも、プロの作詞家を目指すあなたも、是非ご堪能あれ! 今回は、3ピース・ヴォーカル・バンド“doa”のメンバーであり、数々のアーティストへ楽曲提供・編曲、ライブサポートに参加している「徳永暁人」さんをゲストにお迎え…!


徳永暁人(doa)
代表作
作詞論
自分のために書かないこと。
良質なフィクションを目指しています。フィクションと言うと、なんだか偽物みたいなイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんがそうではなくて、映画のように何か一つ伝えたいことを妄想の中でストーリー化して表現することで、まだ見ぬ誰か(リスナーさん)を救えたらと思ってます。

例えばリアルな自分の生活や性格などを歌詞にするのも良いとは思うのですが、それだと僕の場合はたぶん2曲も書いたら終わってしまうと思う(笑)。ハッピーな自分と悲しい自分の2パターンくらいなので。それよりももっと先の“創造物”を生み出すことがクリエーターの役割と思っています。だから曲によってはストーリーの主人公の性格や悩みも異なってくるし、当然、気分だってまちまち。でもそれで良いんだと思っています。その中で聴いてくれた方がふと何かを感じてくれたり、1mmでも元気になれたり、救われたりしたら。それをいつもイメージしています。

また、ある意味、いつも自分を捨ててるというか。こんなことを書いたらこんな人だと思われてしまうかな? ということは考えないようにしています。映画監督が、「こんなストーリーの映画を作ったら、僕は人に嫌われるかな」なんて思っていたら、面白い映画は作れないですよね? そんな感じです。あと、映画音楽を作曲する学科に通っていたのもあるかもしれませんが、映像が見えるような歌詞、曲、というのは、自然にイメージすることが多いです。一番大切にしていることは、自分のために書かないこと。まだ見ぬ誰かの何かになればと祈ること。
[ 徳永暁人さんに伺いました ]
歌 手
doa
タイトル
英雄
ウルトラマンネクサスの主題歌にもなりましたが、はっきり言ってこれもダメ人間の曲です。それでも、いくつになっても誰もがヒーロー(英雄)になれるという曲。かっこよく目立つ人間だけがヒーローじゃないと僕は思います。日々を精一杯力強く生きている全ての皆さんへ。

楽曲ごとにメインヴォーカルが変わるというスタイルを持ち、3声のコーラスワークを繰り広げている3ピース・ヴォーカル・バンド、doa。West Coast Rockに影響を受け、インディーズ時代にはCSN&Y等のカバーを収録したアルバム『deadstock』をリリースし、2004年7月14日に1st Single『火ノ鳥のように』でメジャーデビュー。


徳永暁人(Vo&Ba)は、東京音楽大学在学中より作編曲家、ベーシストとして活動をスタート。以来、B'z・ZARD・倉木麻衣・大黒摩季等、数々のアーティストへ楽曲提供・編曲、ライブサポートに参加。また、ドラゴンボール・スラムダンク等のサウンドトラックまで幅広い領域の音楽を制作・発表。

doaではVocal&Bassのみならず、プログラミング、ピアノ、オルガン、ギター、マンドリン、パーカッション等、数多くのセクションを担当している。