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Q1. 歌詞を書くことになった、最初のきっかけを教えてください。
最初に曲を作ったのは中学生の頃で、とにかく習いたての英語が使いたかったので英語を交えた歌詞で自己満足していました笑。
ちゃんと作ってみようと思ったのは、歌を歌う人になりたいと真剣に考え始めた頃からで、歌詞の書き方も何もノウハウがなかったのですが、ひたすら自由に書いていた気がします。
なぜ曲や歌詞を作りたくなったかというと、元々歌う事が好きでいろんなアーティストさんの曲を歌ったり、ピアノで弾いたりしていたのですが、ある程度ピアノが弾けるようになった時に、何気なく思いついた自作曲をポロロンとピアノで弾いてみたところ、楽しさに気づいて作るようになっていったのだと思います。
曲が先で、歌詞は適当な宇宙語のような歌詞で作っていましたが、きちんと意味を持たせた方が曲っぽい!と思い作文のような歌詞からスタートした気がします。笑 -
Q2. 歌詞を書く時には、どんなところからインスピレーションを得ることが多いですか?
何かの作品に対して制作させていただく曲であれば、その世界観の中で書いていきます。
それ以外であれば、曲先が多いので、曲の雰囲気で自由に自分の中の妄想を膨らませ書いていきます。逆に詞先の場合は、スマホのメモに、「こんな状況の歌詞を書きたい」というようなものを、シチュエーションごとにまとめて書いてあります。
それは、自分の経験だったり、その近辺で誰かから聞いたり見たりしたことから感じた感情からだったり、その時に夢中になっていた続編のある映画だったりです。
以前にもお話したかもしれませんが、リーゼントボクサーの和氣慎吾さんのドキュメンタリーを見た時に、とても感動してそのままの感情ですぐにピアノに向かい「頑な」という曲を作った事がありますが、感動して心を動かされ、一気に曲と歌詞を書き上げることも時々あります。 -
Q3. 普段、どのように歌詞を構成していきますか?
その時によって違いますが、曲先の場合は、その曲が一番伝えたいことをサビに持ってくる事が多いので、サビから書き始める事が多いです。
メロディーが符点だったりすると、小さい「っ」を入れたくなったりして、そのメロディーに合う言葉を探す、且つ、意味が前後で脈絡のあるもので探したりするので、時々クロスワードをやっているみたいだなと思う時もあります。笑
歌詞が先の場合は、ある程度は書きたい事がまとまっている状態が多いので、それを全部書き出してみて、ここはサビっぽいなと感覚でサビを決めて、あとは譜割りに合わせて整えていると思います。 -
Q4. お気に入りの仕事道具や、作詞の際に必要な環境、場所などがあれば教えてください。
飲み物が必要です!
でも、水面が見えてしまうと少しずつ飲むことができず全部飲み干してしまいがちなので、なるべく蓋のあるもので飲んでいます。笑
行き詰まった時は環境を変えてカフェなどに行き、喧騒の中で書いたりもします。でもこれも、書いて食べて書いて食べて、が苦手なので、食べ物を頼んだ時は全部食べ終わってからじゃないと書けません。変な癖です。笑
歌詞の材料集めは、思いついた時にするスマホのメモですが、それをまとめるのはデスクが一番多いですかね。スマホのメモを見て考えることもありますが、ボールペンで殴り書きをしてまとめていくことの方が多く、その際は絶対ジェットストリームです。 -
Q5. ご自身が手掛けた歌詞に関して、今だから言える裏話、エピソードはありますか?
『薬屋のひとりごと』のOP曲「アンビバレント」を歌わせてもらった時なのですが、サビの歌詞に<碧い、碧い>とありますよね。あれは、この曲の主人公、もちろん猫猫をイメージしたのですが、猫猫ってすごく透き通っている澄んだ瞳をしていそうだなあとイメージして書きました。そうしたら、実際によく見てみたら本当に碧い瞳をしていて!
それを知らずに書いたのですが、そこが繋がっていたことには本当にびっくりしたのと、インタビューの際に、「猫猫の声優さんが悠木碧さんだからですか?」と聞かれた事があって、偶然に必然を感じた瞬間でした。 -
Q6. 自分が思う「良い歌詞」とは?
心の細かい機微とか複雑な心境が、直接的じゃなくともしっかりと伝わってきて、そしてそこに「わかる、、、」と共感できた時、ああ、この曲本当にいい歌詞だなあと思ってしまいます。共感できなくとも、へえ、そんな考えがあるのかあと感心できた時なども。
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Q7. 「やられた!」と思わされた1曲を教えてください。
たくさんありますが、back numberさんの「青い春」の冒頭、<教えられたものだけじゃ いまいち完成しないんだ 計算は合ってるはずなのに>が、初めて聴いた時とても自然にグッと胸に入り込んできたのをよく覚えています。
あとは、スキマスイッチさんの「キミドリ色の世界」の<黄緑のカーテン、コーヒーカップ、カサにサンダル 選んだのはきっと君じゃない そうだろ?>も、初めて聴いた時、嫉妬している感情と心配と不安が入り混じっているのに直接聞けない歯痒さみたいなものを感じてキュンとしたのをよく覚えています。
あとは、宇多田ヒカルさんの「First Love」の<明日の今頃には>は、明日とても大事な用事がある時に必ず思い浮かぶ歌詞ですし、「プレイ・ボール」の<九回の裏で魅せるピッチャーのように>は、勇気をもらえてすごく好きな歌詞です。 -
Q8. 歌詞を書く際、よく使う言葉、
または、使わないように意識している言葉はありますか?たぶん「世界」とか「傷」とかですかね、、、
理由は自分でも分かりませんが、バラードが多いのでつい使ってしまうのかもしれません。「世界」は、たぶん私の性格が、自分と世界との境界線だったり、周りとの境目を意識することが多いからなのかなと思ったりしています。
使わないように意識している言葉はあまり思いつかないですが、差別的に受け取られる可能性もあるような棘のある言葉ですかね。 -
Q9. 言葉を届けるために、アーティスト、クリエイターに求められる資質とは?
自分の感覚を他と比べる事なく自由に表現できることですかね、、、あまり偉そうに語れないのですが、例えば、周りから「変わっている」と言われ続けてきたとしても、自信をなくす事なく、それを「特別」だと思って武器にできるように。
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Q10. 歌詞を書きたいと思っている人へのアドバイスをお願いします。
まずは、書きたい歌詞を自由に書いてみるのがいいと思います!
私も、過去に書いた歌詞で、今思うとこれは、、、という歌詞もありますが、それはその時の自分が書いたその時にしか書けなかったベストな歌詞なので、大事にしてくださいね。
たくさん書いているうちに、もっとこうしたいとかこれはどうかとか、色々浮かんできたりもするので、とにかく自由になんでも書いてみてください!





デビュー以降は、代表曲「フリージア」「プロローグ」「あなたがいることで」「それを愛と呼ぶなら」等、幅広い世代に愛される楽曲を発表。ドラマ・映画・
アニメ・CM等で多くの主題歌やテーマソングを書き下ろし、シンガーソングライターとして高い評価を集める。
2021年にはデビュー前より目標にしていた東京国際フォーラム ホールA での単独公演を、2022、23年と全国ホールツアーを開催。
デビュー以来、リリースとライブを重ねるほどにその名前を浸透させている。