必ず頭の中に浮かぶ場所。

 2023年1月25日にlynch.のフロントマン“葉月”が、ニューシングル『蓮華鏡(れんげきょう)』をリリースしました。葉月名義のソロプロジェクト作品としては、2020年発売のアルバム『葬艶-FUNERAL-』以来。今作はオリジナル曲「睡蓮」、lynch.の楽曲「CRYSTALIZE」「ALLIVE」と全3曲が収録。それぞれどのようなアレンジになっているのかにも着目しつつ、そのクラシカルな空気に酔いしれてください…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“葉月”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作の収録曲「睡蓮」、そしてシングルタイトル『蓮華鏡』にまつわるお話です。歌詞を書くとき、大切な場所が頭のなかにあるという葉月。そこには一体、どんな景色が広がっているのでしょうか…。ぜひ、歌詞と併せてエッセイをお楽しみください。



僕の中には昔から、孤独感や喪失感、人間という存在のちっぽけさや命の短さ、儚さを想像した時に、必ず頭の中に浮かぶ場所があります。
 
そこは夕暮れ時の、風に草が揺れる高原のような場所。
赤黒く染まった山々が一望できる、空の高いとても美しい場所。
 
僕が歌詞を書く時は、何を歌うにしてもだいたい“命の儚さ”というテーマが付いてまわるので、よくその場所に行くことになります。
 
今回の“睡蓮”という曲も、その場所に訪れるところから始まりました。
けれど今回はいつもと違ってそこに風はなく、これまで見たことのなかった湖がありました。
凪いだ水面が鏡のようになっていて、睡蓮の花を写し出していました。
 
CDタイトルの“蓮華鏡”とは、その様子を言葉にした造語です。
 
僕の歌詞は、言葉でその内容や意味を説明し切ることが出来ないものが多いです。
 
けれど心の中には常にそういった世界があって、その世界が楽曲とリンクした時に、歌詞として現世に呼び起こすので、文章としての意味や内容はなくとも、僕と歌詞はとても深い絆で繋がっているのです。
 
“睡蓮”はこれまでバンドの一員として活動してきた自分が、初めてソロアーティストとして一から曲を作って、アルバムを作って、ツアーを周る中で感じた、様々な喪失感や孤独を歌っています。
 
僕にとって孤独とは、必ずしもネガティブなものではなく、むしろ前を向いて進んでいく為の覚悟であったり、限りある命のなかで、心から納得した音楽だけを表現していきたい、という強い想いから来るものだったりします。
 
死ぬ時に少しでも後悔を少なく、ワシはよくやったのぉ。。。と思いながら死んでいきたいので、心身ともに健康なうちに、トライ出来ることには全て挑んでいきたいという気持ちです。
 
ソロプロジェクトが本格始動した2022年は、スケジュールも創作内容も、かつてないほどに充実していました。
ただしやり過ぎると疲れてしまうし、ある程度の隙間を設けないと、咄嗟にやりたいことが出来た時に行動に移せないというデメリットも感じました。
 
2023年はストイックにトライしながらも、ゆとりを作ることを忘れずに、遊びたい時はしっかり遊ぶ年にしていきたいです。健全!
 
そんなこんなで最新作“蓮華鏡”、楽しみにしていて下さいね。

<葉月>



◆シングル「蓮華鏡」(読み:れんげきょう)
2023年1月25日発売
【初回限定盤】 KICM-92122 ¥9,900(税込価格¥9,000)
【通常盤】 KICM-2122 ¥1,540(税込価格¥1,400)
 
<収録曲>
01.睡蓮
02.CRYSTALIZE
03.ALLIVE