あなたの未来はわたしの未来でもある。

 2023年3月1日に“Lilubay”が2nd EP『Home away from home』をリリースしました。本作品は旧バンド名addからLilubayに改名してバンドとして新たな一歩を踏み出し、その方向性を示した全5曲が収録。作詞はVoタグチハナ、作曲は西村コン、タグチハナが担当し、全曲セルフプロデュースでの制作となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Lilubay”のタグチハナによる歌詞エッセイをお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「Knock」にまつわるお話。大切なひとが泣いているとき、孤独でいるとき、みなさんならどんな景色を見せたいですか…? 今回も音声版がございます。本人による朗読でもエッセイをお楽しみください。
 

タグチハナの朗読を聞く

きっと誰もが持っている、孤独でどうしようもない夜。
大切な人が自分を見失ってしまいそうなそのときに、もしそばにいられるのなら見せたいのはどんな景色だろう?
 
深夜の高速道路をかっ飛ばし、大好きなあの歌を歌いながら、月明かりの遊園地、星屑たちのサーカスを横目に夜空へと続く汽車に飛び乗って……
そんな誰も知らない空想のような、束の間の逃避行のような特別な時間と光景を、私は想った。
 
 
 
ここ数年なかなか思うように離れた人たちと会うことができなかった期間でも、この小さな携帯電話を通して世界は存在していた。
 
思い思いの言葉を綴り、発信し、それは生存確認のように思えた。
みんなが試行錯誤してアイデアを生み、見えない明日を模索する中で、私は無力さを感じずにはいられなかった。
 
大切な人を抱きしめることもできないのに、一体何ができるというのだろう? それは私にとって何よりも重要なことなのに…
 
 
そんな気持ちの中で、ゆっくりと書き進めた詩が「Knock」
 
 
時間をかけて言葉にしていくうち、頭で考える理屈より先に まず空想の中でも行動してみようと思った。恐れも迷いも望みも、一旦素直に感じてみる。
そこからいつも歌は生まれているんだと気づいた。
 
 
メールやテレビ電話では伝えられないものがある。
ただ音楽なら、とても個人的な感情をも景色にできるのではないか?
そしてその景色は、多くの言葉を要さずとも伝わるあの手の温もりのような存在になり得るんじゃないか。
 
私はこれまで会ったことのない人の音楽で何度もその温もりを感じ包まれてきたし、歌を紡ぐ友人たちの音楽はまるで手紙のように近く近く感じられるのだ。
 
“ユア・フューチャー・イズ・マイ・フューチャー”
______あなたの未来はわたしの未来でもある______
 
 
現実と夢想の入り混じる音楽の世界を通して、私はただ心を抱きしめ合いたい。
 
Lilubay・タグチハナ>



◆紹介曲「Knock
作詞:タグチハナ
作曲:タグチハナ

◆2nd EP『Home away from home』
2023年3月1日発売
 
<収録曲>
1. mani・cure
2. Home away from home
3. わがままな私と、子どもみたいな君
4. Knock
5. rainy day