2025年3月19日に“さかいゆう”が8thオリジナルアルバム『PASADENA』をリリースしました。今作は、メジャーデビュー前にLAと渋谷で切磋琢磨した2000年代の音楽的ルーツに立ち返り、そのLAと東京で4曲ずつ制作されたHip Hop/R&Bフレイヴァー溢れる新曲8曲に、昨年配信のみでリリースされたNY録音の3曲をボーナストラック収録した全11曲入り。
さて、今日のうたではそんな“さかいゆう”による歌詞エッセイを3日連続でお届け!今回は第1弾です。綴っていただいたのは、収録曲「PASADENA」にまつわるお話。L.A.での楽曲制作期間に生まれたというこの歌。現在に通じる、20年以上前の懐かしい記憶とは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。
◆紹介曲「PASADENA」
作詞:さかいゆう・Nash Overstreet・Rhett Fisher
作曲:さかいゆう・Nash Overstreet・Rhett Fisher
Pasadena。その昔、1年間住んでいたロサンゼルスの街。
想像していたよりも静かで、それまで2年間住んでいた東京よりもずっと時間がゆっくり流れていた。
昨年夏、L.A.で1週間ほどの楽曲制作の期間をもらい、
この「Pasadena」はその時のCo-Writeセッションで生まれた楽曲。
ノープランでL.A.での制作に臨み、
現地の陽の光と潮風を受けながら懐かしさと新しさが感じられる曲を書けたらと考えていた。
住んでいた当時の記憶が20年以上の時を経て、
まさに、懐かしいような、でも何か新しい物語がまた始まるような感覚を覚えた。
当時は「金ない」「友いない」「英語喋れない」。
これに加えて決定的だったのが、「楽器も弾けない」だった。
ボーカリストとして楽器が弾けない上に友達もいなければなんの音楽活動もできない。
唯一、僕にあったもの、それは、「時間」。
既に22歳になっていた僕は、キーボードを購入し、なんの前触れもなく独学我流で練習し始めた。
そのキーボードだけが会話のできる親友だった。
譜面も読めない、音楽理論など何も分からない僕は、
とにかく聴こえてくる好きな音たちを片っ端から耳コピする事に夢中になった。
そののめり込み様は、
まるで小学生の頃に夢中になった天文学さながら。
好きで日々聴いている名曲たちの秘密が少しずつ明かされていく快感に日々酔いしれた。
気づけばDOWNTOWNのストリートで、曲を覚えてはそれを一人弾き語りで披露していて、
そのスタイルは、今の自分にも通じる原型となった。
Pasadena、僕をミュージシャンにしてくれた街。
僕が感じたカリフォルニアの空気や景色をこの曲から感じていただけたら幸いです。
年始のL.A.火事、Pasadenaあたりの映像もニュースに出て来てとても心配した。
心よりお見舞い申し上げます。
また訪れたい美しい街、僕の第二の故郷Pasadena。
<さかいゆう>
◆紹介曲「PASADENA」
作詞:さかいゆう・Nash Overstreet・Rhett Fisher
作曲:さかいゆう・Nash Overstreet・Rhett Fisher
◆8thオリジナルアルバム『PASADENA』
2025年3月19日発売
<収録曲>
1. PASADENA
2. Definitely
3. Gotta Get Up feat. magora
4. 甘くない危険な香り
5. アイのマネ
6. What About You feat. Kダブシャイン
7. 諸行無JOY
8. Understanding feat. PUSHIM
9. 縄文のヒト
10. 虫
11. 蘇州夜曲