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 さて、今日のうたではそんな“あたらよ”のひとみによる歌詞エッセイを3回に渡りお届け。第2弾は、収録曲「夜空を蝕んで」にまつわるお話です。音楽制作中の自身を俯瞰して書いたこの歌。あたらよの楽曲はどのように生まれているのか…。ぜひ、歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。
 
 
 
 
 
 
 
 
私はよく深夜に曲を書いています。曲を書くという行為は私にとってのデトックスであり、心の整理整頓の時間なのです。この「夜空を蝕んで」という曲は、まさにそんな制作中の自分を俯瞰して書いた曲になっています。
あたらよを組む少し前、恋愛の曲をひたすらに書いていた時期がありました。何か深い理由があってそうしていたというよりは、心の内からとめどなく溢れてくる不安や悲しみ、行き場のない怒りを曲にして消化することで、自分の心を守っていたように思います。衝動で曲を書くようになったのはその頃からでした。
あの頃は、たった1人「その人」にさえ届けばそれでいいと思って曲を書いていました。
もともと“素直になる”ってやつがあまり得意ではない私は、モヤッとした感情を上手く吐き出せずにいました。その結果、溜まりに溜まったフラストレーションにより、「この曲を聴いた貴方が、いっそ罪悪感で泣いてしまえばいい」ぐらいのとても強い、意地悪な気持ちで言葉を紡いでいました。でも、結局泣いていたのは私の方だったのです。
溢れてくる感情を、文字通り吐き出すようにして言葉にしていく過程の中で、自分も意図していなかった本音が口から飛び出た瞬間、涙が止まらなくなるのです。
歌えば歌うほど、「私本当はこう思ってたんだ」とか「これが言いたかったんだ」とか、感情の答え合わせがされていくんです。本音を誰かに話そうとすると、涙が止まらなくなるあの感覚と同じです。
あたらよの楽曲はどれも、こうした感情の爆発から生まれています。悲しみを食べて育つバンドは、悲しみだけじゃなく幾つもの夜空を蝕んで歩いてきました。
そうして超えた夜の先に散る茜を、私は美しいと思うのです。
<あたらよ・ひとみ>
◆New Mini Album『泡沫の夢は幻に』
2025年10月8日発売
<収録曲>
01 朝凪
02 ツキノフネ
03 夜空を蝕んで
04 忘愛
05 溺れている
06 雫
07 しないで
08 夢現、夏風薫る
									

 
						 
						





















 上野大樹
 上野大樹



