2025年10月15日に“Quw”が2nd Album『shiki』をリリースしました。2024年9月以降にリリースした「banka」「itadaki」「maigo」「kasumi」「yurei」のシングル5曲に加えて、新曲が4曲収録されたアルバムはアルバムタイトルの「shiki」(=四季)にかけて四季折々の季節の楽曲で構成された1枚となっております。
さて、今日のうたではそんな“Quw”のmdrmによる歌詞エッセイをお届け。音楽に紐づいているさまざまな香り、そして記憶と感情…。アルバム『shiki』のコンセプトに込めた思いを綴っていただきました。ぜひ、歌詞とあわせてエッセイをお楽しみください。
音楽には香りが残るような気がします。
中学1年生の秋に聴いていたあの曲からは、公民館の前で友達と話していた時に感じた金木犀の香りがします。
高校3年生の冬に聴いていたあの曲は、塾の帰り道、住宅街に漂う夕飯の匂い、
大学3年生の春に聴いていたあの曲は、片道徒歩20分以上掛かるスーパーまで歩いていく時の、
舗装されていない道の草の匂いを思い出します。
音楽に紐づいた香り、それに付随した記憶や感情をたくさん保持していることをとても嬉しく思います。
全てが美しい記憶というわけではありませんが、だからこそ一番正直で、鮮明な感覚として残り続けています。
我々Quwは、今回『shiki』というアルバムを作りました。
タイトルの通り“四季”をコンセプトに、春夏秋冬の移り変わりとともに歳を取っていく私や誰かを書きました。
アルバム名、曲名が全て日本語をアルファベット表記にした形になっていますが、
決して半角/全角キーが壊れたわけではございませんのでご安心ください。
私はドが付くほどの田舎で生まれました。
電車は通ってないし、景観を遮るような高層ビルもなく、数人で横並びになって歩くことに全く抵抗がない町でした。
そんな私も今では都心の街を歩いています。もちろん険しい顔つきで。
電車は数分に1本来て便利ですが、背の高い建物に囲われ、たくさんの人が交差する中で邪魔にならないよう歩くのは、未だに閉塞感を抱きます。
上京してきて間もない頃に聴いていた曲は、
通勤時の駅や満員電車特有の匂いを想起させます。
真逆の環境で育った私にとって、東京は試練の街でした。
都会でも地方でも季節は同じように巡ります。
夏は暑く、冬は寒いし、花は咲いて散るし、歳を取ります。物価も高騰します。
この『shiki』というアルバムには、季節が変わっていくように身体も、考え方も、自分を取り巻く環境も変わっていくけれど、
「変わるということは変わらず続く」という思いを込められたら良いなと思い制作しました。
このアルバムを聴いたみなさんが、それぞれの匂いや記憶をしまい込み、
いつかまた聴き返して思い出すような日が来ることを願っています。
<Quw・mdrm>
◆2nd Album『shiki』
2025年10月15日発売
<収録曲>
M1.biku
M2.ginnnan
M3.itadaki
M4.maigo
M5.nigatsu
M6.kasumi
M7.koen
M8.yurei
M9.banka