山の吊橋西方裕之 | 西方裕之 | 横井弘 | 吉田矢健治 | 伊戸のりお | 山の吊橋(つりはし)ァ どなたが通る せがれなくした 鉄砲うちが 話相手の 犬つれて 熊のおやじを みやげにすると 鉄砲ひとなで して通る ホレ ユーラユラ 山の吊橋ァ どなたが通る 遠い都へ 離れた人を そっとしのびに 村娘 谷の瀬音が 心にしむか 涙ひとふき して通る ホレ ユーラユラ 山の吊橋ァ どなたが通る 酒がきれたか 背中をまるめ のんべェ炭焼き 急ぎ足 月をたよりに 枯れ葉のように くしゃみ続けて して通る ホレ ユーラユラ |
あん時ゃどしゃ降り西方裕之 | 西方裕之 | 矢野亮 | 佐伯としを | 高田弘 | あん時ゃどしゃ降り 雨ン中 胸をはずませ 濡れて待ってた 街の角(かど) アーアー 初恋っていう奴(やつ)ァ すばらしいもんさ 遠い日のこと みんな夢 ひとりしみじみ 思い出してる 雨ン中 あん時ゃどしゃ降り 雨ン中 離れられずに 濡れて歩いた どこまでも アーアー 別れるっていう奴ァ たまんないもんさ つらい運命(さだめ)を 恨んだよ ひとりしみじみ 思い出してる 雨ン中 あん時ゃどしゃ降り 雨ン中 やけのやん八 濡れて泣いたぜ 思いきり アーアー 思い出っていう奴ァ ほろ苦(にが)いもんさ 今じゃあの娘(こ)も どうしてか ひとりしみじみ 思い出してる 雨ン中 |
ごめんよかんべんナ西方裕之 | 西方裕之 | 伊吹とおる | 吉田矢健治 | 小町昭 | 待っていたのか きょうまでひとり そんなか細い からだで胸で そうかい そうだろう せつなかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 勝手気ままな おいらの意地が 好きとひと言 いわせなかった そうかい そうだろう 泣きたかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 待っておいでよ 死ぬんじゃないぜ きっとおいらが なおしてみせる そうかい そうだろう 淋しかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ |
赤いランプの終列車西方裕之 | 西方裕之 | 大倉芳郎 | 江口夜詩 | 伊戸のりお | 白い夜霧の あかりに濡れて 別れせつない プラットホーム ベルが鳴る ベルが鳴る さらばと告げて 手を振る君は 赤いランプの 終列車 涙かくして ほほえみ合うて 窓に残した 心の温(ぬく)み あの人は あの人は いつまた逢える 旅路の人か 赤いランプの 終列車 遠い汽笛に うすれる影に ひとりたたずむ プラットホーム さようなら さようなら 瞼(まぶた)の奥に 哀しく消える 赤いランプの 終列車 |
長崎の女西方裕之 | 西方裕之 | たなかゆきを | 林伊佐緒 | 高田弘 | 恋の涙か 蘇鉄(そてつ)の花が 風にこぼれる 石畳 うわさにすがり ただひとり 尋ねあぐんだ 港町 ああ 長崎の 長崎の女(ひと) 海を見おろす 外人墓地で 君と別れた 霧の夜 サファイア色の まなざしが 燃える心に まだ残る ああ 長崎の 長崎の女 夢をまさぐる オランダ坂に しのび泣くよな 夜が来る 忘れることが しあわせと 遠くささやく 鐘の音 ああ 長崎の 長崎の女 |
別れの一本杉西方裕之 | 西方裕之 | 高野公男 | 船村徹 | | 泣けた 泣けた こらえ切れずに 泣けたっけ あの娘と別れた 哀しさに 山のかけすも 鳴いていた 一本杉の 石の地蔵さんのよ 村はずれ 遠い 遠い 思い出しても 遠い空 必ず東京へ 着いたなら 便りおくれと いった娘(ひと) りんごのような 赤い頬っぺたのよ あの涙 呼んで 呼んで そっと月夜にゃ 呼んでみた 嫁にもゆかずに この俺の 帰りひたすら 待っている あの娘(こ)はいくつ とうに二十(はたち)はよ 過ぎたろに |
赤い夕陽の故郷西方裕之 | 西方裕之 | 横井弘 | 中野忠晴 | 小町昭 | (おーい) 呼んでいる 呼んでいる 赤い夕陽の 故郷が うらぶれの 旅をゆく 渡り鳥を 呼んでいる 馬鹿な俺だが あの山川の 呼ぶ声だけは おーい 聞こえるぜ 呼んでいる 呼んでいる 赤い夕陽の 故郷が 懐かしい 面影の ひとつ星も またたくよ 小麦畠は 二人の夢を ひそめているか おーい 今もなお 呼んでいる 呼んでいる 赤い夕陽の 故郷が 涙ぐみ 背伸びする 渡り鳥を 呼んでいる 雲よ行くなら おふくろさんに 思いをせめて おーい 乗せて行け (おーい) |
ご機嫌さんよ達者かね西方裕之 | 西方裕之 | 高野公男 | 船村徹 | | ご機嫌さんよ 達者(たっしゃ)かね おらも父(とと)さも 変わりなく 朝もはよから 畑仕事 月のデッキで 故郷(ふるさと)しのび 読み返す 母の 母のたよりの あゝ なつかしさ ご機嫌さんよ 達者かね ことしゃ実りも 豊作で 村は祭りの 笛太鼓 書いた手紙に あの娘(こ)の写真も 添えてある 母の 母のやさしい あゝ 故郷(くに)だより ご機嫌さんよ 達者かね ぼくも返事に 書いている 幼なじみの 故郷(くに)なまり 波を枕に 潮鳴り聞いて マドロスは ほろり ほろり見るのさ あゝ 母の夢 |
夕焼とんび西方裕之 | 西方裕之 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | 小町昭 | 夕焼け空が マッカッカ とんびがくるりと 輪を描(か)いた ホーイのホイ そこから東京が 見えるかい 見えたらここまで 降りて来な 火傷(やけど)をせぬうち 早くこヨ ホーイホイ 上りの汽車が ピーポッポ とんびもつられて 笛吹いた ホーイのホイ 兄(あん)ちゃはどうして いるんだい ちょっぴり教えて くんないか 油揚げ一丁 進上(しんじょう)ヨ ホーイホイ 一番星が チーカチカ とんびは意地悪 知らぬ顔 ホーイのホイ 祭りにゃ必ず 帰るって 俺らをだまして 置いてった 兄ちゃもおまえも ばかっちょヨ ホーイホイ |
おんな船頭唄西方裕之 | 西方裕之 | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | 白石十四男 | 嬉しがらせて 泣かせて消えた 憎いあの夜の 旅の風 思い出すさえ ざんざら真菰(まこも) 鳴るなうつろな この胸に 所詮(しょせん)かなわぬ 縁(えにし)の恋が なぜにこうまで 身を責める 呼んでみたとて はるかな灯り 濡れた水棹(みざお)が 手に重い 利根で生まれて 十三七つ 月よわたしも 同じ年 かわいそうなは みなしごどうし 今日もお前と つなぐ船 |
おさげと花と地蔵さんと西方裕之 | 西方裕之 | 東條寿三郎 | 細川潤一 | 小町昭 | 指をまるめて のぞいたら 黙ってみんな 泣いていた 日昏(ひぐ)れの空の その向こう さようなら 呼べば遠くで さようなら おさげと 花と 地蔵さんと あれから三年 もう三月 変らず今も あのままで 空見て立って いるのやら さようなら 耳をすませば さようなら おさげと 花と 地蔵さんと なんにもいわずに 手を上げて 爪(つま)立ちながら 見てたっけ 思いはめぐる 茜(あかね)空 さようなら 呼べばどこかで さようなら おさげと 花と 地蔵さんと |
リンゴ村から西方裕之 | 西方裕之 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | 白石十四男 | おぼえているかい 故郷の村を 便りも途絶えて 幾年(いくとせ)過ぎた 都へ積出す 真赤なリンゴ 見る度辛いよ 俺らのナ 俺らの胸が おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 切なく揺(ゆす)るよ 俺らのナ 俺らの胸を おぼえているかい 子供の頃に 二人で遊んだ あの山小川 昔とちっとも 変っちゃいない 帰っておくれよ 俺らのナ 俺らの胸に |