あした君の許へいつでも君のところへ行けるはずだったのに、 ぼくにはまだ勇気がない でも、あしたには 多分…… あしたには 眼をとじる 君がみえる 君の吐息 感じる 眼をあける ひとりだけの 部屋も心もからっぽ ああ…… なけなしのあしたを語りあって 今は時代がわるいのさと なぐさめあってようやく眠れ それだけの愛だったけれど 眼をとじる 君がみえる 君がわらう 君が眠る 君が沈む 君がくるしむ そして……君が死んだ またあした 君に逢おう 君の優しさ 思い出 それだけが 今のぼくの とりとめもない生きざま ああ…… 生きてゆく証しは何もなくて 今は涙なくしたまま ひとりで今日も酒場におぼれ 心にもない歌をうたい 眼をとじる 君がみえる 君がわらう 君が眠る 君が沈む 君がくるしむ そして……君が死んだ 眼をとじる 君がみえる 君がわらう 君が眠る 君が沈む 君がくるしむ そして……君が死んだ | 細川俊之 | 杉紀彦 | 浜圭介 | | いつでも君のところへ行けるはずだったのに、 ぼくにはまだ勇気がない でも、あしたには 多分…… あしたには 眼をとじる 君がみえる 君の吐息 感じる 眼をあける ひとりだけの 部屋も心もからっぽ ああ…… なけなしのあしたを語りあって 今は時代がわるいのさと なぐさめあってようやく眠れ それだけの愛だったけれど 眼をとじる 君がみえる 君がわらう 君が眠る 君が沈む 君がくるしむ そして……君が死んだ またあした 君に逢おう 君の優しさ 思い出 それだけが 今のぼくの とりとめもない生きざま ああ…… 生きてゆく証しは何もなくて 今は涙なくしたまま ひとりで今日も酒場におぼれ 心にもない歌をうたい 眼をとじる 君がみえる 君がわらう 君が眠る 君が沈む 君がくるしむ そして……君が死んだ 眼をとじる 君がみえる 君がわらう 君が眠る 君が沈む 君がくるしむ そして……君が死んだ |
海辺の画廊北の海辺の小さな町は あなたが最後に生きた場所 愛の座折に耐えられるほど 強くはなかったあなたの海辺 懐かしさとは哀しいものさ 水にとかれて髪は藻になり 白いからだにまつわりついた 日暮れの海は絵にかける…… 流木をひろいあつめて 朽ち果てた船のキャビンに あなたのための画廊を作る 風と浪のうたをきき乍ら あなたをえがいた絵と一緒に ある日砂のまぼろしになりたい。 砂のまぼろしに…… 北の海辺をさすらい乍ら あなたをしのんで立ち止まる 寒いしぶきと灰色かもめ もう年おいた夕映えの雲 懐かしさとは哀しいものさ どんな嘆きも言葉にならず 長いまつ毛をとざしたままで 死んだあなたを絵にかこう…… あなたの終りえがいた絵だけ 拾いあつめた海辺の画廊 ほろびる愛は砂のまぼろし 風の向うに消えて行く…… | 細川俊之 | 杉紀彦 | 浜圭介 | | 北の海辺の小さな町は あなたが最後に生きた場所 愛の座折に耐えられるほど 強くはなかったあなたの海辺 懐かしさとは哀しいものさ 水にとかれて髪は藻になり 白いからだにまつわりついた 日暮れの海は絵にかける…… 流木をひろいあつめて 朽ち果てた船のキャビンに あなたのための画廊を作る 風と浪のうたをきき乍ら あなたをえがいた絵と一緒に ある日砂のまぼろしになりたい。 砂のまぼろしに…… 北の海辺をさすらい乍ら あなたをしのんで立ち止まる 寒いしぶきと灰色かもめ もう年おいた夕映えの雲 懐かしさとは哀しいものさ どんな嘆きも言葉にならず 長いまつ毛をとざしたままで 死んだあなたを絵にかこう…… あなたの終りえがいた絵だけ 拾いあつめた海辺の画廊 ほろびる愛は砂のまぼろし 風の向うに消えて行く…… |
コーヒーハウスの日々少し前のつかれた日々 ぼくはよくあの店で クリスティを読んだりしてた 何時間も…… だれとも話さないぼくだったが ほんとうはだれとでも話してた 今よりかはズッと……… あのむすめはどうしたろう 結ばれて子供抱いて コーヒーものまなくなって いるのかな…… 何か言いたそうにぼくをみてた あれは風の強い日それっきり 季節だけが過ぎた…… もしかしたら青春なんて あの程度かも知れない それでもいい帰れるならば 帰りたい…… もう少し陽気に話しをして もう少し鮮かな恋をして 涙ぐんでみたい…… | 細川俊之 | 杉紀彦 | 国吉良一 | | 少し前のつかれた日々 ぼくはよくあの店で クリスティを読んだりしてた 何時間も…… だれとも話さないぼくだったが ほんとうはだれとでも話してた 今よりかはズッと……… あのむすめはどうしたろう 結ばれて子供抱いて コーヒーものまなくなって いるのかな…… 何か言いたそうにぼくをみてた あれは風の強い日それっきり 季節だけが過ぎた…… もしかしたら青春なんて あの程度かも知れない それでもいい帰れるならば 帰りたい…… もう少し陽気に話しをして もう少し鮮かな恋をして 涙ぐんでみたい…… |
少女への手紙もう逢うことも ないだろうけれど おまえの微笑み なくさないで欲しい あしたおれが いなくなっても おまえの哀しみは すぐに消える 枯葉の音をきき 友達に電話をして わるい夢をみたと 話すがいい…… 少女よ ありがとう こんな男を 愛してくれて 優しい心さえ あずけてくれた 少女よ ありがとう おまえのそばで 昔に帰り 時には涙さえ 流すことも出来た もう逢うことも ないだろうけれど おまえの思い出 なくさないでいるよ いつか寒い時がすぎたら おまえもほんとうの 恋をするさ そのときおれのこと 思い出す事もなく 遠い夢のかけら 捨てるがいい…… | 細川俊之 | 杉紀彦 | 神山純 | | もう逢うことも ないだろうけれど おまえの微笑み なくさないで欲しい あしたおれが いなくなっても おまえの哀しみは すぐに消える 枯葉の音をきき 友達に電話をして わるい夢をみたと 話すがいい…… 少女よ ありがとう こんな男を 愛してくれて 優しい心さえ あずけてくれた 少女よ ありがとう おまえのそばで 昔に帰り 時には涙さえ 流すことも出来た もう逢うことも ないだろうけれど おまえの思い出 なくさないでいるよ いつか寒い時がすぎたら おまえもほんとうの 恋をするさ そのときおれのこと 思い出す事もなく 遠い夢のかけら 捨てるがいい…… |
少年のころああ……雨がふっているなァ。 おまえは安らかに眠っている。 優しくあたたかいおまえの匂い 大丈夫さ…… おまえの眠りを妨げはしない。 夜明けが近いのに 雨ふりの窓は暗い はるかな昔から 雨ふりを生きて来た おふくろ……おれを抱いて ごめんねと泣き乍ら言って 死んで行った夜明けも 雨ふりの……少年のころ いつだって雨の中さ いつだって陽かげばかり しずくをたらし乍ら ものほしげに…… おそらくこのおれは 雨ふりの夜の生れ つめたい水滴を あびながら生きて来た おやじが……酔って帰り ドレス着た女とどこかへ 消えて行った九月も 雨ふりの……少年のころ あのころ……死んでいたら こんなにも不幸せばかり かさねずともよかった 雨ふりの……少年のころ 雨ふりの……少年のころ | 細川俊之 | 杉紀彦 | 国吉良一 | | ああ……雨がふっているなァ。 おまえは安らかに眠っている。 優しくあたたかいおまえの匂い 大丈夫さ…… おまえの眠りを妨げはしない。 夜明けが近いのに 雨ふりの窓は暗い はるかな昔から 雨ふりを生きて来た おふくろ……おれを抱いて ごめんねと泣き乍ら言って 死んで行った夜明けも 雨ふりの……少年のころ いつだって雨の中さ いつだって陽かげばかり しずくをたらし乍ら ものほしげに…… おそらくこのおれは 雨ふりの夜の生れ つめたい水滴を あびながら生きて来た おやじが……酔って帰り ドレス着た女とどこかへ 消えて行った九月も 雨ふりの……少年のころ あのころ……死んでいたら こんなにも不幸せばかり かさねずともよかった 雨ふりの……少年のころ 雨ふりの……少年のころ |
ともだち寒すぎる季節におわれた あてのない旅先で 突然にあいつに逢いたくなった 日暮れのともしびのように はかなくてあたたかい あいつに逢いたくなった 逢えるはずもない……あいつに いくつかの季節をくぐって 人はみなかわるのか 今いづこあいつに逢うこともない 迷った野良犬のように おれさえもさけ乍ら あいつは遠くへ行った わるいうわさだけ……残して | 細川俊之 | 杉紀彦 | 中川博之 | | 寒すぎる季節におわれた あてのない旅先で 突然にあいつに逢いたくなった 日暮れのともしびのように はかなくてあたたかい あいつに逢いたくなった 逢えるはずもない……あいつに いくつかの季節をくぐって 人はみなかわるのか 今いづこあいつに逢うこともない 迷った野良犬のように おれさえもさけ乍ら あいつは遠くへ行った わるいうわさだけ……残して |
ほろびの詩ほろびのうたは たとえば こわれた自動ピアノ ひとりでに ころがって 遠い時代に 帰って行く だれを訪ねることもなく だれと別れることもなく とるにたらない人生の とるにたらない思い出を ほろびのうたは“さよなら” それしか言葉もなく ほろびのうたは“さよなら” それしか言葉もなく | 細川俊之 | 杉紀彦 | 神山純 | | ほろびのうたは たとえば こわれた自動ピアノ ひとりでに ころがって 遠い時代に 帰って行く だれを訪ねることもなく だれと別れることもなく とるにたらない人生の とるにたらない思い出を ほろびのうたは“さよなら” それしか言葉もなく ほろびのうたは“さよなら” それしか言葉もなく |
めざめたら優しい歌をめざめたら 優しいうたを うたっておくれ…… 柔らかな おまえの胸に耳をあてて だまってきいていたいから このおれが ろくでなしでも うたっておくれ…… いい匂いの おまえの胸に口をあてて 子供のように 泣いてもいい 幸せは 短いなりに すてきなものさ…… 束の間の ぬくもる肌の優しさには すべてを忘れられるから めざめたら 優しいうたを うたっておくれ…… 何もきかず いつものように甘い声で あしたは居ない おれのために そうさ…… おれとおまえは行きずりにめぐり逢ったまでさ 虚しい草原の旅人とバラの様に | 細川俊之 | 杉紀彦 | 神山純 | | めざめたら 優しいうたを うたっておくれ…… 柔らかな おまえの胸に耳をあてて だまってきいていたいから このおれが ろくでなしでも うたっておくれ…… いい匂いの おまえの胸に口をあてて 子供のように 泣いてもいい 幸せは 短いなりに すてきなものさ…… 束の間の ぬくもる肌の優しさには すべてを忘れられるから めざめたら 優しいうたを うたっておくれ…… 何もきかず いつものように甘い声で あしたは居ない おれのために そうさ…… おれとおまえは行きずりにめぐり逢ったまでさ 虚しい草原の旅人とバラの様に |
優雅な関係いい奴に会わせると あなたが連れて来た あの人とあなたはよく似てる 淋しげな横顔で 何にも言わないで 優しい眼うるませるところなど あなたが旅立ったら あの人が来る私の部屋 それでいいのね 不確かな愛だけど それがのぞみならば この鍵をあの人にわたしてね あの人と私とは おそらく上手に行く この部屋は行きずりの愛の部屋 淋しさを知っている 旅の男ならば 私にはよく似合うはずだから あなたが旅立ったら あの人が来る私の部屋 それでいいのね もしかして気がかわり 旅はもうやめたと 言うのなら今のうち朝までに | 細川俊之 | 杉紀彦 | 小笠原寛 | | いい奴に会わせると あなたが連れて来た あの人とあなたはよく似てる 淋しげな横顔で 何にも言わないで 優しい眼うるませるところなど あなたが旅立ったら あの人が来る私の部屋 それでいいのね 不確かな愛だけど それがのぞみならば この鍵をあの人にわたしてね あの人と私とは おそらく上手に行く この部屋は行きずりの愛の部屋 淋しさを知っている 旅の男ならば 私にはよく似合うはずだから あなたが旅立ったら あの人が来る私の部屋 それでいいのね もしかして気がかわり 旅はもうやめたと 言うのなら今のうち朝までに |
行きずりの街さすらい通り淋しい旅のワードローブは ほつれたシャツの糸くず ポケットに両手を入れて にぎわいの日暮れの街へ 人が皆ゆたかに見える 人が皆まぶしく見える それなのに街は底冷えの海だ ポケットに両手を入れて おれはだれの肩も叩かない 今さら誰に追われていても かくれる気などもうない ポケットに両手を入れて 酔いどれの日暮れの街へ 過ぎた日を水割りにして 虚しさをカクテルにして 飲んだって街はさすらいの海だ ポケットに両手を入れて おれは何も抱きしめはしない 占いのばあさんとでも 酔いすぎた老人とでも 行きずりの街はおぼれたい海だ ポケットに両手を入れて おれは海に沈んで行こうか | 細川俊之 | 杉紀彦 | 小笠原寛 | | 淋しい旅のワードローブは ほつれたシャツの糸くず ポケットに両手を入れて にぎわいの日暮れの街へ 人が皆ゆたかに見える 人が皆まぶしく見える それなのに街は底冷えの海だ ポケットに両手を入れて おれはだれの肩も叩かない 今さら誰に追われていても かくれる気などもうない ポケットに両手を入れて 酔いどれの日暮れの街へ 過ぎた日を水割りにして 虚しさをカクテルにして 飲んだって街はさすらいの海だ ポケットに両手を入れて おれは何も抱きしめはしない 占いのばあさんとでも 酔いすぎた老人とでも 行きずりの街はおぼれたい海だ ポケットに両手を入れて おれは海に沈んで行こうか |
れんが色の酒場この世にバラいろの朝が来るとは とっても思えはしないのに どうして二人は生きているのだろう あきらめた人生には 優しい心だけが似合うだろう 何も言わずにぼくをみつめて ぼくもあなたをみつめているから 今夜も二人だけ朝が来るまで ルルルル れんが色の酒場 昔はぼくもおしゃべりだった 多分あなたも そうだったろう…… 人生をやりすごすたびに 人は静かになって行く だれにも若い日があると言うけど とっくにいのちは燃えつきて どうして二人は生きているのだろう そんなことはなし乍ら 今夜も酒をのんでしまう二人 何も言わずにぼくをみつめて ぼくもあなたをみつめているから 小雨の音がする夜のまぼろし ルルルル れんが色の酒場 | 細川俊之 | 杉紀彦 | 中川博之 | | この世にバラいろの朝が来るとは とっても思えはしないのに どうして二人は生きているのだろう あきらめた人生には 優しい心だけが似合うだろう 何も言わずにぼくをみつめて ぼくもあなたをみつめているから 今夜も二人だけ朝が来るまで ルルルル れんが色の酒場 昔はぼくもおしゃべりだった 多分あなたも そうだったろう…… 人生をやりすごすたびに 人は静かになって行く だれにも若い日があると言うけど とっくにいのちは燃えつきて どうして二人は生きているのだろう そんなことはなし乍ら 今夜も酒をのんでしまう二人 何も言わずにぼくをみつめて ぼくもあなたをみつめているから 小雨の音がする夜のまぼろし ルルルル れんが色の酒場 |