うしろ姿「三月…… 春とは云っても、まだ肌寒い日だった」 雨の中で さよならだけの別れだったが 何故か気になる 何故か気になる うしろ姿 傘もさゝず 背中をつたうしずくのせいか 肩がふるえる 肩がふるえる うしろ姿 「駄目だよ、うしろを向いちゃ…… これでいゝんだ 迷わずに、 歩いて行っておくれ……」 涙なんか 見せるあいつじゃなかったけれど やけに淋しい やけに淋しい うしろ姿 雨の日には いつになっても思い出すだろ 細いうなじの 細いうなじの うしろ姿 | 天知茂 | 天知茂 | 遠藤実 | | 「三月…… 春とは云っても、まだ肌寒い日だった」 雨の中で さよならだけの別れだったが 何故か気になる 何故か気になる うしろ姿 傘もさゝず 背中をつたうしずくのせいか 肩がふるえる 肩がふるえる うしろ姿 「駄目だよ、うしろを向いちゃ…… これでいゝんだ 迷わずに、 歩いて行っておくれ……」 涙なんか 見せるあいつじゃなかったけれど やけに淋しい やけに淋しい うしろ姿 雨の日には いつになっても思い出すだろ 細いうなじの 細いうなじの うしろ姿 |
男のポケット男の男のポケットは 悲しい涙の捨て場所だ 古びたベンチの 木もれ陽だけが 今の俺の友達だ 捨てて行くなら 手紙を書くな ほほえみなんか 残すなよ 汚れた靴など そろえるな 別れにこだわり 残すなよ 男の男のポケットは 女に言えないかくれ場所 おまえになんにも してやれなくて 今は後悔しているよ 汽車で行くなら 駅まで送るよ くちづけなんか求めるな 口紅ぐらいはつけて行け 静かに背を向け 行くんだよ 男の男のポケットは 自分一人の逃げ場所だ 二人で歩いたこの街並を いつか俺も捨てるだろう なくした愛ほど いとしくなるけど やさしい言葉かけるなよ 俺のことなど気にするな いい人みつけて 生きてくれ | 天知茂 | 高田ひろお | 檀一郎 | | 男の男のポケットは 悲しい涙の捨て場所だ 古びたベンチの 木もれ陽だけが 今の俺の友達だ 捨てて行くなら 手紙を書くな ほほえみなんか 残すなよ 汚れた靴など そろえるな 別れにこだわり 残すなよ 男の男のポケットは 女に言えないかくれ場所 おまえになんにも してやれなくて 今は後悔しているよ 汽車で行くなら 駅まで送るよ くちづけなんか求めるな 口紅ぐらいはつけて行け 静かに背を向け 行くんだよ 男の男のポケットは 自分一人の逃げ場所だ 二人で歩いたこの街並を いつか俺も捨てるだろう なくした愛ほど いとしくなるけど やさしい言葉かけるなよ 俺のことなど気にするな いい人みつけて 生きてくれ |
おまえのひざ誰の世話にもならずにきたが 少し近ごろ疲れたよ 長雨つづくこんな夜は 酔って甘えるひざがいゝ あゝ しろいおまえのひざがいゝ ひとり暮しになれたとわらう 声の調子が淋しそう おまえもきっとそれなりに 生きるきびしさ抱きしめて あゝ 苦労したのかこの都会(まち)で たずねあぐねた枕が一つ 酔えば男のふるさとは こんなに近くにあるんだね 抱いてねむれるひざがいゝ あゝ しろいおまえのひざがいゝ | 天知茂 | 山口洋子 | 遠藤実 | | 誰の世話にもならずにきたが 少し近ごろ疲れたよ 長雨つづくこんな夜は 酔って甘えるひざがいゝ あゝ しろいおまえのひざがいゝ ひとり暮しになれたとわらう 声の調子が淋しそう おまえもきっとそれなりに 生きるきびしさ抱きしめて あゝ 苦労したのかこの都会(まち)で たずねあぐねた枕が一つ 酔えば男のふるさとは こんなに近くにあるんだね 抱いてねむれるひざがいゝ あゝ しろいおまえのひざがいゝ |
ゴンドラの唄命短かし 恋せよ乙女 紅き唇 あせぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日は ないものを 命短かし 恋せよ乙女 いざ手をとりて かの舟に いざ燃ゆる頬を 君が頬に こゝには誰も 来ぬものを 命短かし 恋せよ乙女 黒髪の色 あせぬ間に 心のほのほ 消えぬ間に 今日はふたたび 来ぬものを | 天知茂 | 吉井勇 | 中山晋平 | | 命短かし 恋せよ乙女 紅き唇 あせぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日は ないものを 命短かし 恋せよ乙女 いざ手をとりて かの舟に いざ燃ゆる頬を 君が頬に こゝには誰も 来ぬものを 命短かし 恋せよ乙女 黒髪の色 あせぬ間に 心のほのほ 消えぬ間に 今日はふたたび 来ぬものを |
酒俺の目を見て 離さない 酒場の女の つぐ酒は 酒は涙で できていた 嘘もおせじも 言えないが その娘がそばに 居るだけで 酒は情の 味がした 飲んでばかりじゃ いけないわ 少しは食べなきゃ もたないわ そっと差し出す 細い指 こんなところに いるなんて おまえに何だか 似合わない 聞いてやろうか 身の上を 俺もいろいろ あったけど そろそろ欲しい ものがある それをおまえに 見つけたよ いいえ私に かまわずに 貴方に似合った いゝ人を 好きになってと 泣く女 過去はどうでも いいんだと コートに女を つつむよに 俺は二人で 街を出た | 天知茂 | 山田孝雄 | 中山大三郎 | | 俺の目を見て 離さない 酒場の女の つぐ酒は 酒は涙で できていた 嘘もおせじも 言えないが その娘がそばに 居るだけで 酒は情の 味がした 飲んでばかりじゃ いけないわ 少しは食べなきゃ もたないわ そっと差し出す 細い指 こんなところに いるなんて おまえに何だか 似合わない 聞いてやろうか 身の上を 俺もいろいろ あったけど そろそろ欲しい ものがある それをおまえに 見つけたよ いいえ私に かまわずに 貴方に似合った いゝ人を 好きになってと 泣く女 過去はどうでも いいんだと コートに女を つつむよに 俺は二人で 街を出た |
昭和ブルースうまれた時が 悪いのか それとも俺が 悪いのか 何もしないで 生きてゆくなら それはたやすいことだけど この世に生んだ お母さん あなたの愛に つつまれて 何も知らずに 生きてゆくなら それはやさしいことだけど なんにもせずに 死んでゆく おれにはそれが つらいのさ とめてくれるな 可愛い人よ 涙ながれてくるけれど 見えない鎖が 重いけど 行かなきゃならぬ おれなのさ だれも探しに 行かないものを おれは求めてひとりゆく おれは求めてひとりゆく | 天知茂 | 山上路夫 | 佐藤勝 | | うまれた時が 悪いのか それとも俺が 悪いのか 何もしないで 生きてゆくなら それはたやすいことだけど この世に生んだ お母さん あなたの愛に つつまれて 何も知らずに 生きてゆくなら それはやさしいことだけど なんにもせずに 死んでゆく おれにはそれが つらいのさ とめてくれるな 可愛い人よ 涙ながれてくるけれど 見えない鎖が 重いけど 行かなきゃならぬ おれなのさ だれも探しに 行かないものを おれは求めてひとりゆく おれは求めてひとりゆく |
ちえこちえこが俺にくれたもの 白い小さな貝がらひとつ グラスの底に沈めて飲めば 暗い酒場も波音ばかり 夜の新宿降る雨が 遠いあの海思い出させる ちえこが消えたあの海を ちえこが俺にくれたもの 泪色した真珠の指輪 手のひらにのせて見つめていたら 小さな虹がうかんで消えた 夜の新宿降る雨が 遠いあの頃思い出させる ちえこがわらったあの頃を ちえこが俺にくれたもの さびしい胸にともしびひとつ ちえこに俺が与えたものは さよならもない別れがひとつ 夜の新宿降る雨が バカなこの俺またも責めてる ちえこの泪が肩を打つ | 天知茂 | 武田鉄矢 | 中山大三郎 | | ちえこが俺にくれたもの 白い小さな貝がらひとつ グラスの底に沈めて飲めば 暗い酒場も波音ばかり 夜の新宿降る雨が 遠いあの海思い出させる ちえこが消えたあの海を ちえこが俺にくれたもの 泪色した真珠の指輪 手のひらにのせて見つめていたら 小さな虹がうかんで消えた 夜の新宿降る雨が 遠いあの頃思い出させる ちえこがわらったあの頃を ちえこが俺にくれたもの さびしい胸にともしびひとつ ちえこに俺が与えたものは さよならもない別れがひとつ 夜の新宿降る雨が バカなこの俺またも責めてる ちえこの泪が肩を打つ |
止り木ボトルの底にほんのわずか 酒をのこしてあのひと消えた さよならだけが人生と どこかできいたような台詞がくせで 酔えばもたれてくる肩が 恋しい止り木 影ひとつ 考えてみりゃ去年からの けっこう長いつきあいだった 一度も好きと云えぬまゝ お互い遠いとこで惚れあっていた 酔えばやっぱり演歌だと 歌った止り木 影ひとつ いまごろ北國(きた)は冬のさなか 吹雪まじりの景色が浮かぶ ひとあし早くこの街に 春だけやってきてもわたしは寒い 酔えば瞼で旅をする 女の止り木 影ひとつ | 天知茂 | 山口洋子 | 遠藤実 | | ボトルの底にほんのわずか 酒をのこしてあのひと消えた さよならだけが人生と どこかできいたような台詞がくせで 酔えばもたれてくる肩が 恋しい止り木 影ひとつ 考えてみりゃ去年からの けっこう長いつきあいだった 一度も好きと云えぬまゝ お互い遠いとこで惚れあっていた 酔えばやっぱり演歌だと 歌った止り木 影ひとつ いまごろ北國(きた)は冬のさなか 吹雪まじりの景色が浮かぶ ひとあし早くこの街に 春だけやってきてもわたしは寒い 酔えば瞼で旅をする 女の止り木 影ひとつ |
流れの雲に流れの雲にきいてみた おいら明日は 何処へ行く そよ吹く風に きいてみた おいら明日は 何処へ行く 風がこたえた 雲にきけ 雲がこたえた 風にきけ どうせこの世の寂しさを 知っていながら何故にきく 何処で死のうと 生きようと 泣いてくれてがあるじゃなし 天上天下 ただひとり 頼れる奴は 俺ひとり 頼れる奴は 俺ひとり | 天知茂 | 川内康範 | 渡久地政信 | | 流れの雲にきいてみた おいら明日は 何処へ行く そよ吹く風に きいてみた おいら明日は 何処へ行く 風がこたえた 雲にきけ 雲がこたえた 風にきけ どうせこの世の寂しさを 知っていながら何故にきく 何処で死のうと 生きようと 泣いてくれてがあるじゃなし 天上天下 ただひとり 頼れる奴は 俺ひとり 頼れる奴は 俺ひとり |
非情の街バラは嘆きの花か 俺によく似た花か 傷を抱きながら 強く生きてくために トゲもいるさ 咲いて散るのが花か 散ってばかりが俺か 星に身をまかせ 一人枯れ野を歩く バカな奴さ 俺が歩く道は いつも暗くて遠い 俺の涙が枯れた 誰のせいでもないさ 人を愛しても 何故か心の中が 冷えるだけさ 別れたいなら 行けよ 止めはしないさ 俺は 恋は裏切りか 愛は涙の種か そんなものさ 俺は一人 どうせ一人 非常の街よ | 天知茂 | 岡たくみ・山田孝雄 | 渡辺岳夫 | | バラは嘆きの花か 俺によく似た花か 傷を抱きながら 強く生きてくために トゲもいるさ 咲いて散るのが花か 散ってばかりが俺か 星に身をまかせ 一人枯れ野を歩く バカな奴さ 俺が歩く道は いつも暗くて遠い 俺の涙が枯れた 誰のせいでもないさ 人を愛しても 何故か心の中が 冷えるだけさ 別れたいなら 行けよ 止めはしないさ 俺は 恋は裏切りか 愛は涙の種か そんなものさ 俺は一人 どうせ一人 非常の街よ |
北帰行窓は夜露に濡れて 都すでに遠のく 北へ帰る旅人ひとり 涙流れてやまず 富も名誉も恋も 遠きあこがれの日の 淡きのぞみはかなき心 恩愛我をさりぬ わが身いるるにせまき 国を去らんとすれば せめて名残りの花の小枝 つきぬ未練の色か 今は黙してゆかん 何を又語るべき さらば祖国我がふるさとよ 明日は異郷の旅路 明日は異郷の旅路 | 天知茂 | 宇田博 | 宇田博 | | 窓は夜露に濡れて 都すでに遠のく 北へ帰る旅人ひとり 涙流れてやまず 富も名誉も恋も 遠きあこがれの日の 淡きのぞみはかなき心 恩愛我をさりぬ わが身いるるにせまき 国を去らんとすれば せめて名残りの花の小枝 つきぬ未練の色か 今は黙してゆかん 何を又語るべき さらば祖国我がふるさとよ 明日は異郷の旅路 明日は異郷の旅路 |
柳ヶ瀬ブルース雨の降る夜は 心もぬれる ましてひとりじゃ なお淋し 憎い仕打ちと うらんでみても 戻っちゃこない あの人は ああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている 二度と逢えない 人なのに なぜか心が またいたむ 忘れたいのに あの夢を 想い出させる この酒が ああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている 青い灯影に つぐ酒は ほろり落とした エメラルド もだえ身を焼く 火の鳥が 雨に打たれて 夜に泣く ああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている | 天知茂 | 宇佐英雄 | 宇佐英雄 | | 雨の降る夜は 心もぬれる ましてひとりじゃ なお淋し 憎い仕打ちと うらんでみても 戻っちゃこない あの人は ああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている 二度と逢えない 人なのに なぜか心が またいたむ 忘れたいのに あの夢を 想い出させる この酒が ああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている 青い灯影に つぐ酒は ほろり落とした エメラルド もだえ身を焼く 火の鳥が 雨に打たれて 夜に泣く ああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている |
夜霧のブルース青い夜霧に 灯影が紅い どうせ俺らは ひとりもの 夢の四馬路か ホンキュの街か ああ 波の音にも 血が騒ぐ 可愛いあの娘が 夜霧の中へ 投げた涙の リラの花 何も言わぬが 笑って見せる ああ これが男というものさ 花のホールで 踊っちゃいても 春を持たない エトランゼ 男同志の 相合傘で ああ あらし呼ぶよな 夜が更ける | 天知茂 | 島田磬也 | 大久保徳二郎 | | 青い夜霧に 灯影が紅い どうせ俺らは ひとりもの 夢の四馬路か ホンキュの街か ああ 波の音にも 血が騒ぐ 可愛いあの娘が 夜霧の中へ 投げた涙の リラの花 何も言わぬが 笑って見せる ああ これが男というものさ 花のホールで 踊っちゃいても 春を持たない エトランゼ 男同志の 相合傘で ああ あらし呼ぶよな 夜が更ける |
一匹狼(ローン・ウルフ)黒い霧 黒い雨 ながいものには 巻かれろなんて とめても俺は 行かなきゃならぬ ただひとり 地獄の底 俺か? 俺は何もかも失くしちまった男だ 失うものは もう命しか持ってない しかし 夜と影の街で 人々はこの俺に救いを求めてやってくる その人々には生みの過去など問題ではないのだ 俺の名は ローン・ウルフ 一匹狼さ! 甘い酒 甘い夜 俺もたまには おぼれてみたい 一匹だけじゃ 淋しいくせに 淋しいと 云えない俺 | 天知茂 | 星野哲郎 | 山下毅雄 | | 黒い霧 黒い雨 ながいものには 巻かれろなんて とめても俺は 行かなきゃならぬ ただひとり 地獄の底 俺か? 俺は何もかも失くしちまった男だ 失うものは もう命しか持ってない しかし 夜と影の街で 人々はこの俺に救いを求めてやってくる その人々には生みの過去など問題ではないのだ 俺の名は ローン・ウルフ 一匹狼さ! 甘い酒 甘い夜 俺もたまには おぼれてみたい 一匹だけじゃ 淋しいくせに 淋しいと 云えない俺 |