―― 歌詞を書いていて似ているなと思うところもありますか?
ユウスケ 結構ある気がします。まずお互い、韻を踏みがちだよね。
ナオト うん。あと、「このワードはダサいな」みたいなのも共通の認識としてあるね。これを言ったらバカにされるなって思うものは使わないようにしています。たとえば、それこそストレートなもの。<希望>とかも使わないです。最近は<僕>と<君>、<あなた>とかも極力使わないように意識しているかも。
―― なぜ使わないようになってきたのでしょうか。
ナオト 日常生活で<僕>とか<君>とか<あなた>とか言わないじゃないですか。それが嫌になってしまって。まぁ1曲目の「7997」から<君>って書いちゃっているんですけど…、これは<まだ見えない先>にいる<君>なのでギリギリセーフですかね(笑)。
―― 1曲目「7997」はMBS/TBSドラマイズム枠『#居酒屋新幹線』エンディング曲ですね。
ナオト ドラマ側の方からいただいたテーマが、「出会い」だったので、そこを軸にまず1番を書き下ろしました。それとドラマの舞台が新幹線ということで、電車の揺らぎをイメージして。最初に出てきたフレーズが、サビの<知らないけど会いたいよ>だったかな。
ユウスケ やっぱりわかりやすさもありながら、すぐには出てこないフレーズですよね。ストレートじゃない。<知らないけど会いたいよ>って、一見何を言っているかわからないんですけど、でもちゃんと“出会い”のイメージが伝わる不思議さがある。あからさまに“出会い”を表現しない感じが好きですね。
―― <離した手と反対の手順で 触れて慎重になった 言葉で委ねる>というフレーズも表現の仕方が絶妙です。
ナオト あ!俺も気に入っているんです。
ユウスケ 気に入ってたんだ(笑)。ここはメロディーにぴったりハマったから、それもいいなと思った。
―― ちなみに学生時代、両想い切符のジンクスってありましたけど、曲タイトルはそれが由来なのでしょうか。
ナオト そうなんですよ。これ実は、スタッフさんに、「こういうジンクスがあるらしいよ」って聞いて。それ、もらうわ!って(笑)。2番の歌詞はタイトルが決まってから作ったので、<握り潰した切符の7が滲んだって 意地で言葉を委ねる>というフレーズが生まれたりして、曲名の伏線回収もできました。なんか「7997」というお題を与えられた感覚だったので、新鮮な作り方で楽しかったですね。
―― たしか両想い切符って、切符に記されている4ケタの数字の両端が同じ数字だと両想いで、真ん中の2つの数字が両想い度を示しているんですよね。
ナオト そうそう!やっぱり知っているんですねー。僕らは今回、初めて知ったんですよ。
ユウスケ だから「7997」って、両想い度が99%で最強の切符なんですよね。
―― 2曲目の「急ショック死寸前」は、1曲目とのふり幅がめちゃくちゃ大きいですね。
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ナオト このEPは新曲以降、古い順に収録してあって。「急ショック死寸前」がいちばん古い曲なんですよ。18歳ぐらいのときに作った曲かなぁ。かなり前の曲だからこそ、自分でもふり幅を感じたというか。今では書けない歌詞だなと思います。Theドーテーズの頃のもので、唯一生き残ったのがこの曲ですね。
ユウスケ 歌っていても全然あの頃とは感覚が違いました。でも懐かしかったですね。オレンジスパイニクラブになってからこういう曲を歌っていなかったので、新鮮で楽しかったです。
―― アルバムの最後を飾る「リルメラン」はユウスケさんの作詞作曲です。リクルートプロジェクトの「Follow Your Heart & Music Presented by RECRUIT」タイアップとして書き下ろされた曲ですが、どんなことを大切にして作られましたか?
ユウスケ 若者を音楽の力で応援するという企画で。その大きさに最初、ものすごく引っ張られてしまったんですよね。応援しすぎず、うまく伝えるって結構難しくて。どうしようと思ったとき、やっぱりあんまりストレートに書かないほうがいいかなと。で、俺なりに応援したいという気持ちでは書いたんです。
―― アドバイスを与えたり、わかりやすく励ましたりというフレーズはありませんよね。
ユウスケ それぞれ人生がありますから、それはできなくて。ちょっとバンドに重ねて書いたところもあります。だから伝えたいこととしては…なるようになるかなというか(笑)。
ナオト <調子はどうだい 選んだ道を歩いても気負えないのは 抱きしめた夢に胸貸せてないから>って…。
ユウスケ 読み上げないでいいから(笑)!
ナオト ここ、とくに元気をもらえますね。
ユウスケ それはよかった。僕ら応援歌自体あまり書いてないんですよね。だからこの曲はより難しかったです。どの角度から励ましていいか、応援していいかわからなくて。僕は日常でもひとを励ますのがあんまり得意じゃないんですよ。
―― なぜ苦手なのでしょうか。
ユウスケ 基本的に自信がないんですよ。「大丈夫、大丈夫!」とか言って、無責任になっても嫌だなって気持ちもあるし。いつも励まされてばっかりな気がします。だからこれからもっと誰かの力になるような曲も、書いていけたらいいなと思いますね。