「好き」なんてまだ胸にしまいこんで まだ言えない言えない言えない花が咲くように胸がときめいて 満開の笑顔がまぶしすぎて
「好き」なんてまだ胸にしまいこんで まだ言えない言えない言えないBloom like a flower Bloom like a flower
Bloom like a flower Bloom…もっと歌詞を見る
―― 先日、『INSIDE THE FIRST TAKE』の「Sparkle」を拝見しまして。リスナーのみなさんもYouTubeのコメント欄に書かれていましたが、miwaさんの歌声により奥ゆきや力強さ、表現力が加わり、ものすごく大きな愛を感じました。
ありがとうございます! 12年間ライブをし続けてきたなかで、どんどん歌との向き合い方とか、気持ちが変わってきているんですよね。最近はより、「伝えたい」「届けたい」って強く思うんです。
―― 過去に書いた曲であっても、きっと今歌うことで感じる思いも違ったりしますよね。
そうなんです。とくに昨年、『THE FIRST TAKE』で歌わせていただいた「ヒカリヘ」は、多くの方が私の音楽を知ってくれたきっかけの歌でもあり。いろんな場所・場面で歌ってきた特別な曲なので、経験や思い出が積み重なっていて、曲自体が育っているのを感じています。私自身、多くの場所に連れて行ってもらった感謝もあるからこそ、曲の説得力だったり、歌声の深みだったりが増しているのかなと思いますね。
―― 12年以上の音楽活動のなかで、スランプ期などはありますか?
作詞のスランプがずーっとあります(笑)。だけど今回のEPでは、初めて自分の成長を感じた気もしていて。たとえば3曲目「シンクロ」は5年前に作った曲を、改めて完成させたんですけど。当時、仮で書いた歌詞を今の自分が読んだとき、「あ、これじゃないな。書き直そう」って気持ちになったんです。
5年間のなかでも、言葉の選び方・当てはめ方のバリエーションが増えて、曲がより濃くなるディレクションを自分でできるようになっていたことに気づいて。その成長を感じられたのが嬉しかったですね。
―― それは何かきっかけがあったというより、経験と共に徐々に成長していったのでしょうか。
あえて理由を考えるなら、この数年で歌詞も含めた共作が増えたことかもしれません。私は15歳から作詞作曲をすべて自己流でやってきてしまったので、他のひとがどうやって曲作りをしているのか知らなくて。
それが共作をしたことで、作詞家さんや、その道のプロの方の制作過程に触れることができたんです。そこで自分と違う言葉選びのセンスというか、「こうやって世界観を作っていくのかぁ!」ってかなり刺激を受けて。その影響が大きかったのかなと思いますね。
―― miwaさんがいちばん最初に書いた歌詞って覚えていますか?
15歳のとき、小学校で仲がよかった友だちに書いた曲ですね。その子とは別々の中学校に行ったので、会う機会が減ってしまって、あまり近況を知らなかったんです。でも、実はその子が学校でつらい状況であると聞いて。前はいろんな悩みを共有して、一緒にいられたのに、今はそばにもいられなくて、ひとりでつらい思いをしている。この気持ちを歌にして伝えてみようと思ったんです。そうやってまずは、身近なひとに向けて曲を書いていました。
―― 歌詞面で変わってきた部分はありますか?
より自分と乖離する部分が大きくなってきた気がします。ありがたいことに多くのタイアップを担当させていただくので、今の自分のモードと違う曲を書くことは前からあったんですけど、テーマに対する世界観をピンポイントで切り取れるようになったというか。細かくストーリーやシチュエーションを書くことに興味が移ってきました。
たとえば今回は、恋愛がテーマのEPですけど、以前だったらもっと漠然としたものを書いていたと思うんです。それが、恋の始まり、ラブラブ期、愛に変わってゆく時期と、詳細に想像できるようになっているかなと。そのときにしかない気持ちがおもしろいし、「好き」のグラデーションを表現したいと思えるようになりましたね。
―― もしタイアップが関係ないとしたら、どんなときに曲が生まれることが多いですか?
うーん、私の場合、制作期間に入って、「よし、作ろう!」と思って一気に作るんですよね。
―― 逆に曲作りモードじゃないときは、フレーズを思いついてメモなどもしません?
完全にスイッチがオフになっています。オンになっても、エンジンがかかるまでに我ながら驚愕することが多いです(笑)。何にも出てこないし、降ってこないし、曲ってどうやって作っていたんだっけ? ってポカーンとしちゃう。
でも、エンジンがかかると集中してバッーとできるんです。日常のなかでも、「あ、このテーマおもしろいかも」とか「この言葉どうだろう」とか閃いて、常にセンサーが働いている状態。そして、そのオンモードのときに世に出なかった曲は、ストックになっていくんですよね。だから未完成のまま置いておかれている曲たちがまだたくさんあります(笑)。
―― EP『君に恋したときから』というタイトルは、どのようにたどり着いた言葉ですか?
今回は恋愛ソングに特化していて、しかも物語性があるところから考えていきました。まず1曲目に恋のはじまりの歌「Bloom」があって。そこで<まだ言えない>状態だった<私>が2曲目「君が好きです」では、真っ直ぐに思いを伝えて、いちばんのラブラブ期のなかにいて。さらにそのふたりがずっと一緒にいると、だんだん行動とか考えがシンクロしていくようになる。もっと先にいくと日常のなかにある愛に変わっていく。
そういう誰もが経験したことあるような、恋の始まりから愛に変わってゆくストーリーが伝わるようなタイトルにしたいなと思ったんです。なので、すべてのスタートを指すような『君に恋したときから』という言葉になりましたね。
―― 前作アルバム『Sparkle』は、恋愛要素が強い楽曲は少ない印象でしたが、今年は短期間でギュッとラブソングのタイアップが集中しましたね。
そうなんですよ! 前作は“自分らしさ”をテーマにしたんですけど、そのときもやっぱり自分のモードだけじゃなく、そういう楽曲のタイアップが続いたんですよね。それが今回は“恋愛”で。だから最初からこのEPを出すことが決まっていたわけではなく。最初に『サクラ、サク。』4巻コラボソングの「Bloom」を書き下ろし。そのあとABEMA『私たち結婚しました 3』主題歌「君が好きです」を書き下ろし。そして、ドラマ『ちょこっと京都に住んでみた。』主題歌「あたりまえに」を書き下ろし。時系列も収録通りで。
で、間に「シンクロ」が入っているんですけど、これはもともと5年前に作った曲で、ストックされたままになっていて。やっと今回、「サウンド的にも今っぽいし、ここで出そう!」と思って完成させたんです。それで並べてみたら、2曲目「君が好きです」のふたりが「シンクロ」している感じに見えるなと思って。ちょうどパズルのピースがハマりました。ボーナストラック「Dive Into Summer」も夏の恋愛ソングなので、そういうモードに引き寄せられたような感覚がありますね。
―― ちなみに個人的な感覚で恐縮なのですが、自分が30代に突入してから、ラブソングに対する現役感みたいなものがどんどん薄れている気がして…。
わかりますー(笑)! タイアップではなくて自分から書くのは抵抗がありますもん! だから逆に今回お話をいただいて、ラブソングを書けるってなったとき、なんだかわからないワクワク感が溢れてきて、「よし!書くぞー!」って肩を回しました(笑)。その勢いで1つのタイアップに向けて3曲も書けたりして。その2曲はまたストックに回して。それぐらいエネルギーが有り余っていましたね。
―― 「胸キュンって何だっけ?」とはなりませんでしたか?
なります(笑)。とくに高校生の恋愛なんてもう…学生服を着ていたあの頃から、何年経っているんだろう…みたいな。まったく現役感がなかったです。でもそこを想像したり、思い出したりして書ける楽しさがものすごくありましたね。真正面から行けるザ・ラブソングは本当に久しぶりで。恋愛ジャンルのパワーがしばらく眠っていたので尚更。今回のEPは全曲、作るのが楽しかったなと今改めて思います。