―― 新曲「Swamp」はドラマ『スカイキャッスル』主題歌として書き下ろされた楽曲です。リスナーのみなさんからは、どんな声が印象的ですか?
「なんか新しいiriでいいじゃん!」みたいなリアクションが多いですね。でもよく聴くと、ヒップホップの要素とか、歌詞に込めているものとか、いつもの私らしさもあって。そこを感じ取ってくれて、「新しさも、いつものiriらしさもあって好きです」と言ってくれる声も嬉しいですね。
―― ドラマ『スカイキャッスル』は、家族、お受験、ママ友付き合い、セレブたちのマウントバトル、いろいろな要素があって切り口が難しそうな気がするのですが、なぜ“Swamp=沼”にたどり着いたのでしょう。
すごくドロドロしている内容ではあるんですけど、とくに“家族・親子間の歪な愛”にスポットを当てたいなと思ったんですよね。それぞれがみんな、ひとりの人間であって、いろんなことを考えているからこそ複雑で。
親は子どもに対して「あなたのために」って思うけれど、それは子どもが求めていることではなかったり。だけど子どもは、親が自分を愛してくれている気持ちもわかるから、「受け入れなきゃいけない」って思ったり。そういう経験を自分もしたことがあるので、“Swamp=沼”というタイトルにしました。
―― ドラマサイドの方から、何か楽曲に対してオーダーはありましたか?
まず、「とにかく次に何が起こるのかわからないハラハラ感が欲しい」というオーダーがありました。あとはやっぱり「家族愛にも少し触れてもらえたら」というところ。
―― ドラマが放送されてみないと、どれぐらいエンディングで主題歌がハマるかわからないところがあるので難しいですよね。
本当にそうなんですよ。未知の世界でした。
―― でも、私もドラマ『スカイキャッスル』を観ていますが、イントロが流れるたびハラハラワクワクして、まさにピッタリだなと。ご自身でも「ほら!」ってなりませんでしたか?
なりました(笑)。「これ、耳に残るでしょう!?」と。絶対に間違いじゃなかったなと思えて安心しましたね。
―― 歌詞で最初に生まれたフレーズというと?
何から書き始めたらいいのか悩んだのですが、いちばん最初にポロっと出てきたのが冒頭の<目覚めたばかりの 無意識と なぞらせる 投げやりな儀式よ 守れば 壊れてしまうもの 誰にも言えぬ夢を 望むでしょう>というフレーズで。そこからバーッと順番に書いていきました。
―― 子どもたちに向けられたメッセージとして聴くと、かなり希望的で、歌がひらけていきますね。
そうなんです。自分の子どもの頃のことも、思い出しながら書きましたね。私の場合、あまり勉強も好きじゃなかったし、わりと自由に好きなことをやらせてもらっていたんです。
―― 歌う際、意識された部分はありますか?
感情的になりすぎないこと。全力で歌うとかなり強くなってしまうフレーズも多かったので、リスナーの方が入ってくれる隙間を作りたくて、バランスを意識しました。だからわりと淡々と、曲にノリながら歌いましたね。
―― iriさんがとくにお気に入りのフレーズを教えてください。
全体的に気に入っているんですけど、1番の歌詞はわりと時間に余裕があるなかで、ゆったりと作ったんですね。だけど2番はもう1~2日ぐらいでバーッと、トラックを聴きながら音と同時に書いていった感じなので、逆にちょっと自由度があって好きですね。