LIVE REPORT

見田村千晴 ライブレポート

見田村千晴

『ワンマンライヴツアー2015 「正攻法一択」』

2015年08月14日@下北沢GARDEN

撮影:當摩果奈絵/取材:桂泉晴名

2015.09.03

激しい雨のように注がれる言葉たちが、体に染み込んでいく。日頃、思っていても、なかなか口にできない心の声。それを飾ることなく表現するシンガーソングライター、見田村千晴。1年3カ月振りとなるワンマンライヴは、彼女が抱えていた思いが一気に噴き出したようなエモーショナルなステージだった。

ギターを掻き鳴らして、金髪で白いTシャツ、ジーンズ姿の見田村が登場。“感じるな、考えろ”というフレーズが強烈に残る「はなむけ」、シングル曲「わたくしどもが夢の跡」などを披露。ストレートな歌詞を味わっていると、“よくぞ言ってくれた”という共感の思いと、チクッとした痛みが広がっていく。見田村の詞は正直で逃げ場がない分、全ての感覚を開いて聴かないと受け止め切れなくなる。その緊張感がなんとも心地良かった。

“私からの音楽へのラブソングです”と紹介された「MUSIC」は、《音楽なんか聴きたくはない そんな日もあるよ 本当のことだよ》と綴られていて、大切なものだから突き放してしまう、彼女の不器用な気持ちがもどかしい。一方で見田村が好きだと公言する、女性アイドルたちへの思いを込めた楽曲「ガール」はとても愛しそうに歌っていて、彼女の素直な心に触れた気持ちになる。

家族の間に流れる不安定な空気を描いたという「砂のお城」では、アコースティックギター、さらに自分の声をその場で重ねてループさせる。さらにクライマックスではギターを置いて、彼女が幼い頃から続けているバイオリンを弾く。たったひとりで、さまざまな音色が飛び交うステージを完成させてしまうところに、ソロアーティストとしてのすごみを感じた。

その直後に、バンドへの憧れを歌った「バンドマンずるい」をもってくるところが、ウィットに富んだ見田村らしい。この曲はソロシンガーならではのバンドに対する嫉妬心がユニークに描かれていて、切ない内容だけど思わず笑ってしまう。《ずるいるいるいるい バンドマンずるい》というサビをオーディエンスにも歌わせて、フロアーを盛り上げた。

アンコールでは“タイトルもまだつけてない、できたての曲を聴いてもらおうと思います”と語り、未発表曲を演奏。初めて聴く曲でも、オーディエンスは自然とクラップでリズムをとる。彼女は“新曲をライヴでやるのが久しぶりだったのですが、この感覚がいいと思います”と演奏後の感想を語る。相手の心に体当たりするような、見田村ならではのラブソングだと思った。

ライヴも佳境に入り、MCでこれからも音楽を真っ直ぐ続けていくことを宣言。その言葉にアルバム『正攻法』インタビューで彼女が語っていたことを思い出した。“実は去年、“自分はこの先、ずっと歌を歌っていけるのか?”と結構考えていたんですけど、最近になって“私は歌を歌うのが一番好きだ。だったらやろう!”と覚悟が決まって。今はどんなかたちであれ、ずっと歌っていきたいという気持ちでいます”。この答えを教えてくれた時と同様に、ライヴでの見田村は大きな悩みから脱出したような、すがすがしい顔を見せてくれていた。

“こんなやさしい人に、いつかなれたらいいな、と思って書いた曲です”と紹介されたのは「LIFE SONG」。ラスト曲を演奏している中で、思いが爆発したのだろうか。曲の途中で突然、天を見上げて涙を流す見田村。オーディエンスは思わず“頑張れっ!”と温かい声援を送る。生と生の感情が交差し、最後まで感情を揺さぶられた。

不器用に自分の思いを音楽に乗せて吐露する彼女が、とても愛おしく感じられるライヴだった。
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  1. 5

  2. 7

    だいたい思った通り

  3. 11

    youth

  4. 13

    night

  5. <ENCORE>

  6. 17

    新曲

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