LIVE REPORT

宮野真守 ライヴレポート

宮野真守 ライヴレポート

【宮野真守 ライヴレポート】 『MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022 〜ENTERTAINING!〜 supported by JOYSOUND』 2022年12月3日 at さいたまスーパーアリーナ

2022年12月03日@

撮影:山内洋枝(PROGRESS-M)、青木早霞(PROGRESS-M)/取材:清水素子

2022.12.26

実に3年振りとなるライヴツアーで宮野真守が示したのは、全力で歌い、踊ることによって体現する、宮野真守にしかできない“エンターテイメント”そのものだった。11月にリリースされた最新アルバム『THE ENTERTAINMENT』を引っ提げて東名阪を回ったアリーナツアー『ENTERTAINING!』。世界中が苦難の中にあっても臆することなく前に進み、今、できる最大限のエンターテイメントを届けたいという想いのもと、自らの身ひとつ、声ひとつで繰り広げられたステージは、奇しくも宮野真守の類まれなるアーティスト力とエンターテイナーとしての底力を浮き彫りにしてみせた。テレビドラマへの出演や国民的人気ゲームの映画で主演の吹替えを務めるなど、話題に事欠かない彼だが、本来の居場所はやはり板の上。ファンと同じ空間にいてこそ放たれる輝きは、やはり途方もなく眩しかった。

11月22日&23日に神戸・ワールド記念ホールでスタートしてから、3公演目となったこの日。豪客船に黒のタキシードで決めたエンターテイナー・宮野真守が現れ、花火があがるというゴージャスなオープニング映像から、待望のステージを幕開けたのはアルバムリード曲「THE ENTERTAINMENT」だ。ファンとともに時を分かち合える久しぶりの空間に、伸びやかに響き渡るソウルフルな歌声に向け、客席で揺れるのは赤、青、白の光。まさしく“君を照らす”というサビ詞を宮野は歌で、オーディエンスはペンライトで具現化していく。さらに「みんなも一緒に!」という呼びかけに応え、曲中のコーラスに心を合わせていくオーディエンスは、クライマックスで思いのままフェイクする宮野に向け誰からともなくクラップ。声は出せずとも彼らは宮野真守という存在と確実につながっている。

アリーナに突き出たセンターステージから歌われた「光射す方へ」に続くと、舞台端ギリギリまで身を乗り出しての熱唱と上空を貫くレーザー光線が、ひたすらに光を目指すリリックとぴたりシンクロ。さらに「Butterfly」では小粋な恋のエスコートがライヴのリードに重なって、“やっと叶ったんだよ この一秒一瞬を感じて”という歌声を恐ろしくリアルに胸に響かせてくる。メインステージに戻っても「ZERO to INFINITY」で花道を端から端まで移動し、生バンドのロックサウンドとともに無限大を求める意志をエモーショナルに叩きつけるが、ウィスパーヴォーカルが艶めかしい「LAST DANCE」では一転、妖しく身体を揺らし、ダンサーチームを従えてのセクシーなパフォーマンスで、客席を一面赤い光で燃え立たせてみせた。常にライヴを見据えてアルバムを作っている宮野だが、ライヴの前半戦を占める『THE ENTERTAINMENT』収録曲を目の当たりにすると、バラエティー豊かなラインナップの奥で、どれだけ彼がファンとの再会を待ち望んでいたか痛いほどに伝わってくる。

バンドメンバー&ダンサー紹介では、それぞれのパフォーマンスを宮野自身がスマホで撮影して、その映像が会場スクリーンにリアルタイムで映され、終演後TikTokにアップするという新たな試みが。間近でプレイを目撃でき、興奮気味な宮野自身の声も聞ける臨場感たっぷりの映像で、まるでステージ上にいるかのような疑似体験をさせてくれるのもファンに向けての贈り物に違いない。さらに“僕はここにいるから”と包容力たっぷりに歌い上げた「EVERLASTING」で拍手を巻き起こし、“さいたまスーパーアリーナ! すごい! でかい!”と率直すぎる想いを明かしたあとはバラードコーナーへ。ペンライトの光で真っ白に染まった客席に届けられる「透明」の高音ヴォーカルは文字どおり清らかに透明で、光の帯が照らす場内で魂ごと浄化される心地にすらなる。一瞬の永遠とは、まさしく、こんな時のことを言うのだろう。

そんな天へと昇っていきそうな神聖なオーラを、豪快な笑い声がいっぱいのMCで明るく一掃し、しっかりと楽しさを共有するのもプロフェッショナル。ここで、さいたま会場の限定曲である切なさ満点のラブソング「Never Friends」をアンニュイに贈り、さらにジャジーな日替わり曲「innocence」でピアノ&アコースティックギターとともに“ひとつになろう”と熱を込めてからは、お待ちかねの映像タイムでさらに場内を沸騰させる。これまでライヴのたび“歌、ダンス+面白いこと”をテーマに、ゲストを招いたり1人5役を演じたり等、さまざまな映像を公開してきたが、タイトルに『ENTERTAINING!』と掲げた今回は“腹括りました。ある意味集大成!”と、なんと17年来SMILY☆SPIKYでコンビを組んでいる髙木俊と漫才を披露! “エンター宮野”としてさまざまなシチュエーションを演じながらサンタクロースを演じ、“テイナー髙木”から突っ込まれまくるテンポの良い掛け合いには客席中が抱腹絶倒で、身ひとつ&マイク一本で“究極のエンターテイメント”を成立させてしまうのは流石と言うほかない。言い換えれば、シンプルな業にこそ“究極”は現れるのだ。

ワイルドなブルゾン衣装に着替えてからは、ラテンノリの歌謡ナンバー「行こう!」で“自分にありったけのエールを”とカメラに向かって腕を伸ばし、情熱の航海へと舵を切る。まずは軽やかな「Dream on」を皮切りに、エレクトロなダンスチューン「Beautiful Night」、タンクトップをたくし上げて観る者を魅了する「Question」、会えない時間に未来への希望を灯した元気チューン「HELLO!」と、昨年のライヴ『RELIVING!』でも披露した楽曲をメドレー形式で届ける。めくるめくバリエーションの広さでエンターテイナーぶりを発揮し、さらにファンクな「ジャーニー」でグルーブ感満点にフェイクを放つと、そのまま雪崩れ込んだのは人気チューン「オルフェ」だ。ハードなロックサウンドに乗ってステージを駆け回り、バンドメンバーとも熱いコンタクトを交わして、歌詞にもある“夜明けを待つ世界へ”と漕ぎ出してゆく。世界が“夜明け”を待ちわびる今、こんなに心励まされる流れはないだろう。

ダンサーたちと共に花道に進み出た「EXCITING!」では“みなさん、元気ですか? 楽しんでますか? こんな世の中だけど、コール&レスポンスやります!”と、右に左にペンライトをかざすリズミカルな振りつけで、オーディエンスと声はなくともハートでかけ合っていく。揺れる光で客席が真っ赤に染まるさまに“最高だったよ!”素晴らしい!”と惜しみない賞賛を贈ると、“ピンチにこそエンターテイメントは進化してきた。その時のやり方で、その時のハッピーを楽しめば、その時にしかできないエンターテイメントができる”と宣言。そして、本編最後となるナンバーを、こうタイトルコールした。

“声を出せなくて、今までと違いすぎる景色のなか、どうにかみんなの気持ちをすくい上げられないかと合唱曲を作りました。みんなの声はここにある、届いていると伝えたくて、僕らチームマモ全員で声を入れました。みんなのチームです! みんなのチームマモです! みんなの想いと僕らの夢を乗せて、みんなの声はここにあります。チームマモで“TEAM”!”

そうしてともに支え合う“TEAM”への感謝を花道先のセンターステージで切々と歌い紡ぎ、“みんなが声を出せないぶん、チームマモが想いを込めて歌います。いいですか?”と、バンド&ダンサーのみならずスタッフ陣も巻き込んでマイクレスで大合唱。そこにオーディエンスの想いがシンクロし、大きなうねりを生み出して割れんばかりの拍手へと収束していく様は実に感動的で、目に見えない力の存在を感じずにはいられなかった。

本誌のアルバムインタビューでも話していた通り“大団円”のエンディングを迎え、アンコールではトロッコに乗り、お馴染みの「Kiss×Kiss」でアリーナ外周を一周。客電のあがった明るい場内に投げキスを大盤振る舞いすると、“久しぶりに近くで会えたね! 言葉にできない気持ちがたくさんあるので、一言だけ言わせてください。ブラボー! みんなブラボー! 俺もブラボー!”と、サムライヴルー発の旬のワードで場内のテンションを爆上げする。さらに“常に前を見て、上を見て、次を見てやっていきたい”“僕はみんなの道しるべになれるようなエンターテイメントを目指していきたい”と決意を述べて、ライヴを締め括ったのは「MILESTONE」。空白の時を経たからこその発見や喜びを綴ったナンバーを、胸迫るような爽快感と壮大感に乗せて力強く歌い上げれば、満場のクラップが湧き起こる。最後までオーディエンスとエアハイタッチを交わして見せたこぼれんばかりの笑顔にはエンターテイナーとしての矜持と、そして未来に向けての飽くなき闘志が光っていた。

撮影:山内洋枝(PROGRESS-M)、青木早霞(PROGRESS-M)/取材:清水素子

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 10

    10. 行こう!

  2. 11

    11. メドレー

  3. 13

    〜Beautiful Night

  4. 14

    〜Question

  5. 15

    〜HELLO!

  6. 16

    12.ジャニー

  7. 20

    <ENCORE>