憶(おもう)

儚く舞い散る念(おも)い
哀しみに心を窶(やつ)して
彷徨ったこの軌跡は
泥濘(ぬかるみ)に囚われた過去の
傷痕を克明に描く

雫滴る闇の裡(なか)
月へと還る今日の記憶さえ
風も届かぬ程薄れ逝け

華やいだ者に憧れて
夢と云う呪縛に繋がれ
只管(ひらすら) 駆けて来たけれど
疲れ果て眠りに臥したい
混沌とした暗闇に抱かれ

月へと還る今日の記憶さえ
風も届かぬ程薄れ逝け
儚く舞い散る念い

痛みも苦しみも忘れて
色も時間さえも無くして
月へと還る今日の記憶さえ
風も届かぬ程薄れ逝け
刹なさは
谺(こだま)する
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