矢車草

まわれよまわれ矢車草
まつげのような花のせて……
近づく夏に子つばめも
くろいせなかをみせてとぶ

まわれよまわれ矢車草
まぶしくひかる風のせて……
とおのく馬車をおうように
海のひびきもかけぬける

まわれよまわれ矢車草
むかしのままのかずのせて……
あの子のすきなむらさきを
ぼくはかぞえて指に折る

まわれよまわれ矢車草
背のびに空のいろのせて……
林のかげをなつかしい
汽車の汽笛がわたってく
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