きれいだ

できるだけはみ出さないように
ひた向きに誰もが頷くように
筆を走らせることだけが
美しいことだと思ってた

けれど誰かのいうそんな定義よりも
嘘も滲みながら震えたその手で
何度だって描いてみせたその色が
美しいと思ったんだ

足りない言葉でやりきれない心で
覚束ない筆でいいよ
はみ出してブレてそれでも今日まで
描き続けた今のあなたが一番きれいだ

誰かと比べては妬んで
自分なんかはと塗り潰してしまうのは
また新しい色を重ねるため
それを弱さとは呼ばない

いつか誰かのいう定義よりも
自分自身を認められるような
そんな自分を描いていけるのは
今のあなただから

埋まらない余白に筆を下すなら今
怖いと思うその時だ
情けない自分もそれも自分だと
嘘も本当もごちゃまぜでいいよ

足りない言葉でやりきれない心で
覚束ない筆でいいよ
はみ出してブレてそれでも今日まで
描き続けた今のあなたが
重ねたあなただけのその色が一番きれいだ
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