北の恋情歌

部屋の灯りを 点けもせず
流行(はやり)の歌を 聴きもせず
沖の漁火 飽きもせず
窓にもたれて 見るばかり
淋しいね 淋しいね…
女がひとり 冬越すなんて
あなた忘れる つもりでも
思慕(おもい)は募る 北の恋情歌

置いた熱燗 飲みもせず
髪の乱れを 梳(す)きもせず
海猫(ごめ)も日暮れりゃ 鳴きもせず
たまに汽笛が 啼くばかり
切ないね 切ないね…
ひゅるひゅる風が 心に沁みる
港夜景に 東京が
まぶたに浮かぶ 北の恋情歌

淋しいね 淋しいね…
女がひとり 冬越すなんて
夢でいいから 抱きしめて
朝までずっと 北の恋情歌
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