ランキング表を見ると、なんとTOP15のうち11曲がいわゆるアイドル勢が占めた。しかも、K-POPのKARA、少女時代、ジャニーズ系からは嵐、女性アイドルからはAKB48、と一部に集中している。つまり、人気アイドルの中でも“楽曲も支持されているアイドル”と、そうでないアイドルがいることがこのランキングからもはっきりと分かれていて、前者はよりメガヒットに繋がっているようだ。しかも、アイドルでもノンタイアップの人気曲は、アイドルを侮りがちな自作自演系のアーティストの楽曲よりも人気が有り、実は“楽曲”だけでも人々の心をつかんでいるのだ。
しかし、このようなトップ・アイドル勢よりも今回上位なのが、80年代におニャン子クラブに在籍していた元・アイドルの城之内早苗「泣き砂 海風」。これは、Yahoo!ニュースに“城之内早苗 EXILE抑え有線1位”と掲載されたことが主たる要因だが、同時に人々が「1位ならば、いったいどんな歌詞なのだろうか」と、歌詞に期待していることを如実に表わしている。その意味では、ノンタイアップでもチカラのある作品は、今後“音楽ランキング→歌詞検索サイトで上昇→CD店や配信サイトで注目度アップ”という流れでのヒット・パターンが、今後増えていくかもしれない。重要なのは、有線など局所的な1位で制作サイドが自己満足することではなく(それで終わってしまった“有線ヒット”は星の数ほど存在する)、その人気を多くの人に知らせて本当のヒットに繋げること、そしてその橋渡しとして歌詞検索サイトでも注目されることだろう。
ノンタイアップTOP15中、最多の6曲ランクインさせているのが嵐。うち5曲が、オリジナルアルバム『僕の見ている風景』の収録曲で、いかに今の嵐が幅広く、そして深くファンが浸透しているかが分かる。その5曲中、KinKi Kids「硝子の少年」風の「リフレイン」、二宮和也の作詞能力が開花した「1992*4##111」(←意味はau携帯を触って確かめましょう)を除くと残り3曲はいずれも櫻井翔のいわゆる“サクラップ”が登場する楽曲というのも興味深い。また、アルバムのdisc1,disc2から万遍なく人気なのも凄い。つまり、ちゃんと聞き込まれているのだ。(90年代のアルバムならば、前半の3〜4曲に人気が集中して、それゆえベスト盤が出れば、すぐに中古に売り飛ばされていたのとは雲泥の差!)
他には、YUKIの最新曲とRADWIMPSの2曲がランクイン。彼らの安定したセールスが多い理由には、歌詞が非常に重要な位置を占めているということだろう。逆に言えば、今後の新人でも、彼らのように歌詞が信頼されるアーティストとして育っていけば、アイドル的な芸能活動が少ないとしても、長期的な人気が期待できるということだ。
以上のように、ノンタイアップ曲の大半はアイドルやロック勢の、既にカリスマ性の高いアーティストが占めていることが分かったが、その一方で今回の1位の城之内早苗のように、キッカケ次第で注目されるノンタイアップ曲もあるということだ。総合TOP20のうち、ノンタイアップ曲はわずか3曲(しかも2曲はアイドル勢)という事実からも、いかに貴重なパターンだということが分かるだろう。