その結果、なんと総合TOP50内に苗字抜きアーティストの楽曲は10曲も見られた。ちなみに、“漢字+カナ”は、4曲、漢字フルネームは3曲で、実はソロの中では、苗字抜きアーティストが現在でも一番多いのだ。昨今は、女性アイドルグループ全盛で、そこに所属する女性たちの名前ばかりを漢字フルネームで見かけることから、筆者自身が錯覚してしまったのかもしれない。
具体的に見ると、1位はフジテレビ月9ドラマ主題歌にもなっているmiwaの9作目シングル「ヒカリへ」。初のエレクトロポップ調が斬新だったこともあり、CD、ダウンロード共に過去最高の出足で、旧作「片想い」「441」も上昇していることから、本作から過去に遡って聞き始めたファンも多いのだろう。
5位にはJUJUの21作目シングル「ただいま」。彼女は1976年生まれで、他の苗字抜きで人気の女性歌手に比べ、(女性に失礼な話だが)一回りほど上の世代だ。前述のように、苗字抜きアーティストは、UAやCharaなどその上の世代にも活躍中の人たちはいるが、ここにランクインしているのはJUJUだけなので、歌詞検索に強い若手女性アー
ティスト並みに若いファンの共感を得ているということだろう。ジャズアルバムの発表で、上の年代にもファンを広げている彼女。11月発売のベストアルバムがどこまで伸びるか注目したい。
今回は、男女ともに苗字抜きアーティストの楽曲を探してみたが、TOP10内の男性はKG一人のみとなった。総合ランクでその下を見ても、ハジ→がいるくらいで、極端に少ない。男性アーティストはバンドやダンスグループが大半で、桑田佳祐や山下達郎などのベテランを除くと男性ソロ自体が少ないが、だからこそ楽曲も名前も存在感を示せる男性アーティストの余地がありそうだ。既にナオト・インティライミ(今回はフルネームとしてランキング対象外)がブレイクしてはいるが、彼は名前も、そのキャラクターも強烈なので、もう少し正統派(?)も1〜2枠あるのではないだろうか。
以上のように、苗字抜きアーティストは、実は今でも多く、しかも本名非公開のケースもかなり多いことが分かった。ファン・イベントやブログ更新など、何かとプライバシーを切り売りしなければならない時代の中で、苗字抜きアーティストだと、より音楽に焦点を当てた活動を選択出来るというメリットもありそうだ。(無論、きゃりーぱみゅぱみゅのように、それを強みとして、更に謎の行動パターンを公開していくのも有りだろう。)