テーマ1位は、映画版『クレヨンしんちゃん』主題歌となっているSEKAI NO OWARIの最新シングル。彼らはバンドというスタイルでありつつ2種類の異なる内容を収録したDVD付きシングルをリリースしたり、巨大ショッピングモールのフリーLIVEに登場したり、そして今回のようにアニメソングを担当したりと、とにかく新規ファンの獲得に貪欲(微笑)で、アーティスト自らヒット戦略家として闘っている様子がありあり。当然、ポップスファンにもロックファンにも馴染める音楽性があるのが大前提だが、「バンドは売れなくて結構」といったひと頃のイメージをポジティブに覆しているのが見事。メジャー2ndアルバムは、20万枚突破も大いに期待できる。
全体を見ると、上位10曲のうち、声優中心で構成されるのは4位、5位、7位の3曲と、2位の水樹奈々のT.M.Revolutionとのコラボ作。アニメファンの方は、これを少ないと見るかもしれないが、声優系アーティストの一般認知度の低さからすれば、かなり善戦していると言えるだろう。実際、5位の「後ろから這いより隊G」の毎回アグレッシブな作風は、より多くのガールポップファンにも聞いて欲しいところ。作詞を担当する畑亜貴の中毒性を重視したかのような言葉の使い方には毎回舌を巻く。
一般アーティストでは、男性アーティスト4組(+次点のゆず)に対し、女性アーティスト2組で、アニメ人気曲では男性優勢となっている。特に、UVERworldはいずれも2年以上前の楽曲で、彼らのアニメタイアップとの相性の良さが分かる。ソニーはアニメ枠を多数持ってはいるものの、毎回ヒットが確約されているのは、T.M.R、ポルノグラフィティ、UVERworldなど意外と少ない。やはり、ファンも買うに値するものかどうか見極めているのだろうし、そのタイアップのあり方も、再検討すべき時期なのかもしれない。他の注目作では、9位の男女ユニットSalleyのデビュー曲だろうか。アニメソングというよりも、いかにもFMディレクター達がこぞって放送でかけたくなるようなクールで伸びやかな女性ボーカルなので、今後アルバム発売まで大きく飛躍しそう。いずれ「歌ネット・ルーキー」の方で登場することは間違いないだろう。
以上のように、アニメソングと言えど、結局はアニメファンにも一般の音楽ファンにも関心を持たれるような、ポピュラリティーやデリカシーがなければヒット「曲」には結びつかないということが読み取れた。ドラマタイアップでも大半が配信ヒットで留まってしまいがちな現在、CDも配信もそして歌詞検索でもヒットする可能性のあるアニメタイアップだからこそ、より大きなヒットが出ることを今後も期待していたい。