表を見ると、総合TOP100に入った映画タイアップ曲は13曲。09年調査時の10曲よりは多少増えているものの、さほど顕著ではない。一方、ドラマタイアップの方は、総合TOP100内に15曲と映画に比べやや多い程度。しかし、ドラマ主題歌は1クール3ヶ月ごとに15〜20曲量産されるのに対し、映画の方は大規模な興行は年に十数本程度だと考えると、映画主題歌のヒット確度はかなり高いと言えるだろう。
テーマ別順位を見ると、1位と6位に『アナ雪』の主題歌と劇中歌がそれぞれランクイン。この2曲、最初と最後の歌詞と、ラストの終わり方が異なるので、カラオケで選択する際には注意が必要(微笑)。2位は、映画『クレヨンしんちゃん』の主題歌で、このタイアップがキッカケとなり、今では幼稚園児までも歌えるほどの真のスタンダードヒットとなっている。確かに、お友達同士で手をつないで歌いながら歩く様子が目に浮かぶほど、この歌はタイアップ側のニーズにバッチリ答えている。だからこそ長くヒットしているのだろう。
3位は、flumpoolの同名映画主題歌、5位は、ドラマと映画が連動した作品『赤い糸』の主題歌がそれぞれランクインしており、なんと6位までの大半がロングヒットということが分かる。また、この中では通常のヒット程度に見える4位のMUSH&Co.『明日も』も、非アイドルという逆境真っ只中にいる大原櫻子のブレイクに貢献しているので、その功績は大きい。そう考えると、映画タイアップの影響力は以前より大きくなっていると言えそうだ。
また、TOP10中5作が恋愛映画となっているのも興味深い。しかも、アニメの『アナ雪』やヒーローものの『海猿』のようなメガヒット作ではない。やはりラブストーリーを盛り上げるような楽曲であれば、映画の興行成績にさほど関係なくヒットに結びつきやすいということだろうか。(10位と12位も恋愛映画には分類されないものの、楽曲自体はラブ・バラード。) しかも、重厚なスローバラードから軽快なアッパーチューンまで様々な曲想が揃っているのも特長的。
但し、MUSH&Co.以外は、既に実績のあるアーティストとなっている点は、ドラマ以上に新人がブレイクしづらい状況となっているようだ。今後も、好況が続きそうな映画界なだけに、タイアップの方も保守的なアーティストに頼ることなく、新人や隠れた名曲を果敢に取り上げて、ヒット楽曲の量産に貢献していただければと、映画関係者や広告代理店等ブッキング担当の方々には是非ともお願いしたいものだ。