第69回:普遍的タイトル人気曲TOP20(2015年4月:2015年3月データより分析)
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1位はback numberの「花束」。彼らは、他にも3位に「ヒロイン」、16位に
「恋」と3曲ランクインしている。確かに、筆者と同世代の中高年にも彼らのファンは少なくなく、この馴染みやすいタイトルも寄与しているだろう。タイトルから入って、実際に聴いてみると、メロディーラインや歌詞に大いに共感するという構図だ。その一方で、「高嶺の花子さん」のように臆病系を象徴するユニークなタイトルも多いのが、彼らの大きな魅力は「言葉」や「歌詞」と言われる理由なのだろう。
他にも、このランキングで多数挙がっているのが、三代目J Soul Brothers、GReeeeN、そしてTOP20中は1曲だが、別アーティスト例の同名異曲として多数挙がっているコブクロと、いずれもバンド以外の男性ユニットばかりというのが興味深い。特に、三代目JSBの場合は「○.○.○.○.○.」というタイトルで、春夏秋冬を象徴するタイトルのシングルをリリースするという明確な戦略もあり、11位までに最多の4作がランクインしている。
いずれのアーティストも、たとえタイトルが同じだとしても、パフォーマンス力や楽曲の世界観が抜きんでていることで、そのスター性をアピールできるというのが共通しているようだ。つまり、たとえタイトルがありふれていたとしても、実際に楽曲を聴いてみたら、その個性がしっかりあるという、アーティストやスタッフサイドの自信の表れではないだろうか。
女性アーティストは、ユニークなタイトルでも少なめだったが、この普遍的なタイトルでも少なめ。このこと自体が「浮いてしまわないようにしつつ、それでいてオシャレな自分も見せたい」という女性のファッションセンスと共通しているようで面白い。その中で、西野カナが別アーティストの同名異曲の多さも含め突出している。やはり彼女の場合も、ファッション・リーダーというキャラクター、年々滑らかになっている歌唱、歌詞における徹底した場面設定などで唯一無二の世界観を醸し出していることが大きな強みだろう。特に、昨夏発表の「Darling」が約半年間にわたってダウンロードTOP10するほどのロングセラーになってからは、彼女への批判が激減したように思える。その明解さ自体が、実は簡単にたどり着けない個性ということに多くの人が気付いたのかもしれない。
以上のように、普遍的なタイトルでも男性バンドやユニットが多勢になることが分かった。こうして表をざっと見てみると、若いアーティストも少なくないのに幅広い世代が聴いているのが想像できる楽曲の多さにも驚く。そう考えると、やっぱり楽曲のタイトルって多くの人の心を開く為にもとっても大切なんだな、とあらためて教えられた。
2015年、2月18日から3週にわたって「OHA☆YOU」「ビリーヴ」「タンポポ」と立て続けに楽曲を配信したGReeeeNの新曲第2弾(4月現在、CDはいずれも未発売)。その中で本作は、日本赤十字社“平成27年はたちの献血キャンペーンソング”となっており、CM中でフィギュア・スケートの金メダリストの羽生結弦選手や、献血を必要としている患者さん達がGReeeeNの声に合わせエア・ボーカルを披露することでも話題だ。
しかし、3作のうちで突出して本作がヒットしているのは、単なる話題性だけではないだろう。前半、静かに語りかけるパートはこれまでの作品と比べかなり低音でその分じわじわと胸に沁みるし、サビで「自分で決めた道」を信じていこうと誓う部分の高音がより高らかに響く。こうしたドラマティックな曲想ゆえ、歌詞の内容が印象的に聴こえているリスナーも多いのではないだろうか。
なお、GReeeeNも審査をつとめたオーディションから選ばれた4人のティーンによるwhiteeeenが、デビュー曲「愛唄〜since 2007〜」として彼らの名曲をカバーして、現在ヒット中だ。彼女たちもまた覆面アーティストとしてメディアには一切登場しないが、この2組のコラボも今後有りそうで楽しみ。
ここではデビュー2年内のアーティストを対象に、毎月注目のアーティストを"歌ネット・ルーキー"として紹介していく。ただし、「ルーキー」として選定するのは1アーティストにつき1度限りとする。
今月は、4位の [Alexandros]に注目。彼らは、大半の楽曲を手がけるボーカルの川上洋平を中心に結成され、2010年より現メンバーで[Champagne]というバンド名で活動を始めた。同年にアルバム『Where's My Potato?』にてインディーズ・デビュー。ハードなロックサウンドと、英語が大半を占める歌詞、衝動的で独特な高音ボーカルが徐々に話題を呼び、ロック系に強いCDショップや媒体で絶大な支持を受けてきた。
その一方で、朝の情報番組『めざましテレビ』や『ZIP!』にも積極的に出演していたのが、他のインディーズ系バンドには珍しい強み。現在全員が30代ということからも、中高年の番組スタッフにも訴えかける骨太なサウンドだったのも大きいだろうが、TVという場に出てもエピソードや楽曲のアピールポイントを気さくに話せるキャラクターもカッコ良いと話題だった。
その矢先、2014年3月、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会からの要請もあって、初の武道館公演を機に、バンド名を[Champagne]から[Alexandros]に改名。このことがより多くの人に伝えようというバンド活動の良い反動になったのか、以降の作品はさらにメロディアスな部分や日本語の多い楽曲も発表され、今回のメジャーデビュー作「ワタリドリ」/「Dracula La」の自己最高のヒットにも繋がったと思われる。
音楽では唯一無二のカリスマ性を持ちつつも、トークでは気さくな所も見せるというエエトコドリの二面性で、今後更にブレイクすることは間違いない!
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