Q)歌詞に関しても、全体としてのコンセプトや全体としてのメッセージみたいなものは、考えていなかったのですか?
谷)はい、ないです。

Q)昔聴いていたアリスと比べて、たしかに歳はとっているんですけど、本質的に言っていることは変わっていないと感じました…。アリスの詞は、昔から一貫して、「勇気を与えられる」「やさしさと明日への希望がある」「信じることの大切さを考えさせられる」…というようなことを強く感じます…
谷)やっぱり、全て『ラブソング』なんです。聴いて本当に落ち込んでしまうようなものを歌う必要はないし、時々、厳しい言葉も出てくるんですけど、でも、その言葉で自分たちも気が付いたことがあるからだったりするんです。誰かが、「ああ、オレもそうだったかもしれないな…」とか、「俺もそうしてみよう!」とか思ってくれればいいと思うんです。前向きになってくれたら嬉しいですよね。

Q)それはとても感じます…。たとえネガティブな言葉だとしても、結果的には、背中を押されるような気持になる詞が多いです…
谷)はい。ポジティブになるためのネガティブは使いますけど、たぶん、本当にネガティブだけのものはないと思います。

Q)たとえば、アルバム1曲目の「It's a Time 〜時は今〜」にある、「俺達の失敗は 競い続けて生きたこと…その場しのぎで生きたこと…」という歌詞も、その言葉自体は「振り返ってみると失敗だった」ということなんですが、不思議と、聴いたあと、元気になれるんです…
谷)あの〜、僕らの世代って人数が多かったじゃない。だから、人と違うことをやるのが、ひとつの生き方でもあったんですよね。気が付くと、「あの人に負けたくない」とか、そういう比べる癖が付いてしまっているというかね。でも、本当は、価値感て比べられないものだってことに、早く気付いた方が、素敵な時間を送れるよねってことなんですよね。

Q)そこから、次の曲、2曲目の「Western Dream」につながるんですね…。この曲は、団塊の世代には、本当に心に響く応援歌です…
谷)はい、そうです。でも、この曲は、これまで、あまり歌詞に書いてなかった言葉が、結構入ってるんですね。たとえば、「憧れていた生活」とか「憧れていた生き方」とか「誰かのせいの生き方を」とか、今まで、あんまりそんな使い方してなかった言葉を、今回、わざと使っているんです。たぶん、メロディとのマッチングで、自然とそうなっていったんですけどね。ありふれた言葉より、普段使っていない言葉をぶつけた方がいいって言うか…。

Q)それは、やはり矢沢さんのメロディがあってということでうね?
谷)うん、そう。触発されてね…。触発ということで言えば、たとえば、今回、べーやんに書いた「Boys be」って曲があるんですけど、頭に詞が「be be be」としか書いてないんですよ(笑)。それで、べーやんは、「どう作ってくるのかなぁ〜」っていうのが楽しみだったんですね(笑)。
堀)「be be be」って…「どうすんだコレ?」って思いましたね〜(笑)

Q)ちょっと楽しんでいますね…
谷)でも、そういう試練を与えても、絶対、べーやんは応えてくれるんです。自分の中でも、あんまりやっていないことを、やってきたりするんですよね。それがすごく新鮮だったり、アリスにとっても、すごくいい刺激にもなると思うんです。あんまり刺激のなさそうな詞を渡すと、作りやすそうなもので固まってしまう恐れがあるので、ちょっと作りづらそうな詞がいいんですよ(笑)、むずかしい言葉数とか…。実は、そういうのが随所に入っていて、べーやんも「ココ、どうすんの?」って多分、思ったりしたんだと思うんですけど、でも、音になって返ってくると「お〜っ!こうきたんだ!」「やっぱ、堀内孝雄すごいな!」って思いますよね。楽しかったですよ。

 


Q)ローズ系のピアノの音が印象的なやさしいサウンドで、メロディもボーカルもやさしい「ユズリハ」は、実は、「生と死」という、ものすごく大きなことを歌っている歌詞です。「覚悟を持つ者だけ やさしさを知っている…」というフレーズにはドキッとさせられます…
谷)この曲のテーマって、多分、みんな書きたくないテーマなんですよね。「残りの時間の数」を数えて、「あと何年こうやって生きられるだろう?」って、本当はみんな考えてるんだけど、いざ言葉にされると、結構生々しくなるんですよね。でも、ベーヤンのメロディもやさしいんで、さらっと出てくると、なんとなく受け入れられるかなって思ってます。
堀)やっぱりね、この曲は、とくにひとりで歌っている時との違いを感じますね。やはり、3人のアリスの曲なんですよ。3人のメッセージがうまく交互に入っていますね…。

Q)団塊の世代には、とくに響く歌ですね…
谷)そうだね、60歳を超えていないと、なかなかね…。
堀)みんな必死ですよ…。だから、サプリメントも飲むんですね〜(笑)

Q)この「ユズリハ」は、堀内さんの作曲です…
堀)素晴らしい詞と出会ったなと思います。本当に、今の自分の等身大ですよね。今、ちょうど、うまくバトンタッチできるかっていう瀬戸際の時なんで、自分が頑張らないと、次にまた頑張ってねって言えなくなりますからね。

Q)タイトルが印象的な「悲しいほどに晴れた日に」では、「いつも辛い道を選んできた 何かに背中を押されるように…」という歌詞がありますが、これも団塊の世代にはとくに響きますね…
谷)この曲は、べーやんに絶叫してほしかったんで、詞を渡す段階で、「これは絶叫して」って指定したんです(笑)。「こういうイメージの曲が来てほしいなぁ〜」って思っていた通りの曲が出来上がってきたんで嬉しかったですね。たまたま、この曲の歌入れの時は行けなかったんだけど、あとで録ったやつを聴いたら、キーを上げて、べーやんが「かーっ!」って歌ってくれてるんで、「そうそう!こう来てくれないと!」って、すごく嬉しかったですね。

Q)「悲しいほどに晴れた日に」は、イントロのコード進行もエレキギターのフレーズも、「遠くで汽笛を聞きながら」のような感じで、それだけで期待感が高まります…
谷)はい…。
矢)そうそう、わざとね…(笑)。
谷)でも、「遠くで汽笛を聞きながら」の時よりも、確実に歳を重ねていて、いろんなことを感じている内容になっていると思います。

Q)アルバム最後の曲、「Wonderful Day」は、コンサートの最後を飾るような感動的な曲です。「だから悔やまない あなたを信じてる…」の歌詞が印象的な、勇気をもらえるとともに、じわじわと沁みてくるような静かな感動を覚える歌です…
谷)この曲は、あんまり、今までのアリスっぽくないかもしれないね…
矢)これ一番ソロっぽいんじゃない?
谷)そうだね〜。でも、アリスでやると、不思議と『アリスのスタンダード』みたいに聴こえるんですよね…、「さらば青春の時」みたいに。この曲は、谷村新司のソロじゃなくて、やっぱりアリスでやりたかったんです。キンちゃんのドラムの仕掛けとかね。こういう曲は、アリスのひとつの大事な色でもあるんでね。


Q)矢沢さんがソロで歌われている曲「風に星に君に」は、詞も、メロディもボーカルも、全てにおいてやさしさを感じる歌です…
矢)そういうものしか出来ないんですよね〜(笑)。でも、これだけが、どうやってもアリスにならない…、異質な感じだよね。
谷)いやいや、この異質感が入っているのがアリスなんですよ。

Q)2コーラス目の「やさしい木漏れ陽のように 君を見守りつづけよう〜」のところは、まるで『祈りの歌』のような感じです…
矢)そうですね…。僕、対象がないと詞を書けないんです。だから、実際、その女性に対してそう思わないと、詞も出来ないんです。だから、別れの歌だと、必ず別れないとできない…(笑)

Q)堀内さんのやさしいボーカルが印象的な「バージンロード II」は、「上書きしないで生きてゆく 私の心はそう決めた」という歌詞が耳に残ります…。カスケーズの「悲しき雨音」っぽい音がイントロに入っていて、いい雰囲気を盛り上げています…
矢)そうそう、それそれ…。
谷)あのグロッケンは、意識して、わざと鳴らしてみたんです(笑)

Q)歌詞という部分で言えば、「リューズ」は、本当に緻密に構成された詞です…
谷)たぶん、「リューズ」ってカタカナで書いてあると、一瞬なんだかわからないかもしれないですね。何人の人が時計の竜頭だって気付くかが楽しみですね。

Q)でも、頭で「腕時計の針は〜」って言ってますから、それでわかるのではないでしょうか…
矢)ああ、そうか…。でも、今、クオーツとかだったり、若者とか、G-SHOCKだったりしたら、わからないかもね…(笑)
谷)でも、「リューズ」ってカタカナで入ってくると、腕時計に関係していることじゃないと思う可能性もあるよね。で、聴いているうちに、「リューズを引くだけ」って言った瞬間に「えっ?リューズってなに?」って、そっから調べる人も出てくるかもしれないしね。

Q)「冷たいレシピ」はタイトルからしていいですし、「READY LADY」はファンキーなリズムが心地よいですし、ケルティックな匂いのする「スピリット」もいいです…、と言ってたら、13曲、全曲にマルを付けていました…
谷)昔、洋楽のアルバムとか聴いてて、最初から好きな曲にマル付けていったら、結局、全部に付いちゃったみたいな…(笑)。「だったら、付けなければ良かった…」みたいなね(笑)



Q)5ヶ月間で52本というコンサートツアーは久しぶりですし、かなりハードだと思いますが…
堀)リハーサルとかはまだなんですけど、いや〜もう「夢中」ですね。いつか、夢中なうちに終わればいいなと。
矢)だいたい3日くらいやると、そのパターンに体が慣れてくるんだよね。人ってあっという間に慣れますからね。
谷)3日目になると、それが普通だと思っちゃうよね。

Q)失礼な話ですが、このお歳で、この期間でこの本数…、正直、心配にもなります…。20日間くらい家に帰れないこともあると聞きますが…
堀)がんばってますよね〜(笑)
谷)でも、だてにみんな歳を重ねてないんで、息の抜き方も上手くなってると思うし、楽しみ方も上手になってるから、きっと今までで一番楽しい旅になるんじゃないかなと思いますよ
堀)もうライブよりもね、マッサージが楽しみになっちゃうかもしれないですね(笑)

Q)本当に、マッサージの方とか、体のメンテナンスをする方がいるといいですね…
谷)そう、トレーナーとかが付いてたりするといいですね。
矢)でも、マッサージも3人必要でしょ。だって3人目の人はすごい遅くなっちゃう(笑)

Q)ファンの方は、アルバムとともにコンサートも楽しみにしていると思います…
矢)これを聴かせられると思うとワクワクしますね。
谷)ぜひ!楽しみにしていただければ!

Q)今後、ツアーのあとも、このままアリスとしての活動をコンスタントに続けていかれるのでしょうか?
堀)わかんないですね…。
矢)そこまで考えてないですね…。
谷)これからやることで、大変なことが待っているんでね…。人って、そんなに先のことって考えてないと思うんですよ。だから、ツアーが終わった時に、3人がどう感じるかってことがすごく大事だと思うんです。あらかじめ、「こうこう…」って口に出して言ってしまうと、そうしなきゃならなくなってしまうっていうこともありますよね。それが、それぞれにとって負担になるんです。自然にできなくなってしまって、不自然なことになってしまうでしょ。だから、みんな自然でいた方がいいんです。今回みたいにアルバム作りたいねって思ったから作れたし、全国回りたいねって言って、全国回れるようになったし、こういう状況に感謝しながら、このツアーを走り終えたいですよね。

Q)そうすると、もしかすると、「ALICE XII」が、来年か再来年に出るかもしれないですね…
矢)それは誰にもわからないことですね…(笑)

Q)ところで、最近、面白いなと思ったアーティストがいれば、教えていただけますか?
堀)僕は、マイケル・ジョンソンを、おっかけじゃないけど、もう40年近くずーっと聴いてるんですよね。他に新しいものを探さなくても、ずーっと追いかけてると、様変わりして、どんどん変わってくれるんですよね。だから、いっぱい聴かなくてもいいんですよ。友達も同じで、親友が何人かいればいいんですよ。ずーっと付き合ってると、いろんなこと教えてくれますよ。いっぱいだと、もう自分の中に充満しちゃって、どれが正解なんだかわからなくなる。だから、聴く音楽も友達も、少なくても僕はいいと思います。親友は、この二人さえいれば、一生、生きていけますよ…(笑)

Q)谷村さんは、普段はほとんど音楽を聴かないと、以前、おっしゃっていましたが…、最近、耳にして、気になったアーティストとかはいますか?
谷)そう、僕は普段は音楽を聴かないです。聴かないようにしているわけじゃないんですけど、家の中に、音がないんですよね。だから、本当に聴きたいと思う時しか聴かないです。そういう状況にいた方が、曲を作る時に新鮮だし、レコーディングの時も耳が新鮮なんでね。それが自分にとって一番いい状態なんです。
堀)そういった意味では、一緒かもしれないですね。僕も、マイケル・ジョンソンとか、ある一定の人は聴きますけど、それ以外はもう全然聴かないですね。メロディを作る側なんで、聴いちゃうと、「また、どっかの曲に似てるんじゃないか…?」って自分を責めるんですよ。もちろん、どっかで無意識に聴いちゃってるんでしょうけど、極力、聴かないようにしていますね。「また、やっちゃってるのかなぁ〜?」って思うのが嫌なんですよね。

Q)矢沢さんは?
矢)最近のマイブームは、少し前までは、テイラー・スイフトとか、ボーイズ・ライク・ガールスとか、リーランドとか、U2とかそういうのは聴いてます。

Q)矢沢さんも、曲作りへの影響はありますか?
矢)僕は、コピーとかはしないので、メロディを作る時、自然と出ちゃう時はあるのかもしれないけど、矢沢透メロディになるように、自分では心がけていますね。でも、自分の中に入っちゃってるメロディを除外するのが大変ですよね。こう行っちゃうと「ああ…あれになっちゃう…」ってね…。だから、自分の中で区切りをつけて、コピーはしないけど、曲を作ってて自然に出ちゃったら、しょうがないと思う。いままでは、もう、そこでやめちゃってたんで、それだと1年に1曲とかしかできなかったんだけど、「それは、もう自分の中に入っちゃってるんものだから、しょうがない!」って割り切って突っ切ることにしたら、曲が何曲も出来るようになりましたね。

Q)谷村さんは、ご自宅で音楽は聴かれないとのことですが、テレビとかはご覧になられるのですか?
谷)はい、見ます。DVDで映画を見たりすることが多いですね。あと、ニュースはよく見てたんだけど、でも、最近はインターネットの方が早いんで、気になったニュースは、ネットで調べたりしていますね。

Q)インターネットをよく使われるのですね…
谷)はい、よく使います。知りたいことを調べていく時に便利ですからね。あっと言う間に2時間、3時間たってしまいますね。もともと、好奇心が強いですから。メロディ書く人も別の好奇心があると思うんだけど、たぶん、詞を書く人との好奇心は、方向がちょっと違うんじゃないかって思ういますね。



Q)今の音楽の状況、音楽をとりまく環境などに関しては、どう感じていらっしゃいますか?
堀)どうなんですかねぇ〜、昔とは方法論がずいぶん変わりましたよね…。でも、「あの頃は良かった」って言っても、もう戻れないことなんで、今ある状況を、どういう風にしたら、より良く受け入れられるかなってことをいつも考えたりします。僕の場合、ものすごいスピードで過ぎていった時代があるんで、ちょっと、今、後悔してますけどね。もうちょっと、ゆるやかでも良かったかなと思いますね。

Q)まさに、堀内さんの「愛しき日々」にある「もう少し時が ゆるやかであったなら…」ですね…
堀)そうですね…。便利になって、いろんな恩恵をいただいちゃうんですけど、だけど、やっぱり模索する楽しさというか、そういうのが大事ですよね。なんでも簡単に出てきちゃうんで、その時はものすごい喜びなんですよ、「見つけた!」って思うんだけど、でも、ただそれだけで、それ以上も、それ以下もないんですよ。やっぱり、「自分で旅先で見つけた何か」とか、「人に言われた一言がすごく嬉しかった」とかそういうのがいいですよね。やっぱり、時代が変わっても、人間てアナログなんだなと思いますね。

Q)それにしても、音楽業界も、音楽ビジネスの形も、ここ最近はすいぶん変わりました…
堀)だから、ビジネスでも、お金は一番あとについてくるって思っています。お金のことを考えないわけじゃないけど、その前に、「みんな、こうやったら喜ぶかな〜」とか、そしたら、それが、僕の知らない所でみんなが喜んでくれて、そのお駄賃としてペイしてもらえたりってことなんじゃないかと思いますけど。

Q)そうですね、便利が全てにおいていいわけではないでね。便利と引き換えに失ってしまった大事なものも沢山あると思います…
谷)片側だけに寄った生き方は、絶対にしない方がいいと思う。「これを使う時もあるけど、使わない時もある」っていうのがいいと思うんです。その幅というかバランスが取れれば、それが一番楽しいかもしれない…。便利になると、体がダメになるでしょ。みんな車に乗り始めると歩かなくなるし、だから、便利になって嬉しいこともあるけど、長い目で見ると、マイナスになっていることもあるし、だから、やっぱり、「ほどほど」がいいんです。

Q)音楽もそうかもしれませんね…
谷)音楽の好きな人って、どの時代でも、ちゃんといると思うので、今の音楽の状況に興味持つけど、それにどっぷりつからずに、また、別の状況も楽しんでるみたいな…、なんか、今はそれでいいのかなと思いますね。一度体験したものから、戻れないんですよ、人って。ずっとそれが習慣になっていくというか。だから、自分でその習慣を一回やめてみるとかね…、なんか、そういうことも楽しいかもわかんない。

Q)矢沢さんは、どうですか?
矢)いつの時代もね、「いまどきの若者は…」って言われるんだけど、今の若い人が作ってるものも、大人が言うと、何かそういう対象になっちゃうけどね。だけど、ちゃんといいものもあるし…、だから、嘆いてはいないんだけど、諸手を挙げて今の状況に賛成ってわけでもないんですよ。僕は、あまり人のこと干渉しないし、自分が干渉されるのがいやなんで、どうぞおやりなさいって感じですね。

Q)今の音楽の状況は、「いまどきの若者は…」ということだけではないようにも思います…
矢)そうだね〜。僕が思うのは、いろんなものがあっていいと思うけど偏りすぎちゃダメだってことと、それと、もっと音楽って、「イカしてる!」とか「シブイ!」とかって、そういう言葉が似合ってもいいんじゃないかなって思うんですよ。今は、そういうものが少ないので、自分たちで作りだしていかないとと思いますね。僕たちも、自分たちがやりたいことをやっているんで、どうぞ、みんなもやってくださいって感じかな。でも、逆に、素人の方に「今の音楽をどう思いますか?」って年中聞かれるんで、僕、それ、最近すごい困ってるんだけど…。もしかしたら、よっぽど、僕たちよりも切実なのかもしれないですね。カラオケで歌う歌がないとか、一生懸命歌いたい歌を探すと、結局、今の歌じゃなくなっちゃったりね。

Q)谷村さんは、どうお感じですか?
谷)あの〜、さっき、キンちゃんも言ったんだけど、メロディって無限に近い可能性はあるんですけど、人が心地いいって思うメロディって、そんなに数はないと思うんですね。だから、それをよけて作り続けていると、とても心地よくないものが増えてくるし、自分が自然にこう作っちゃったって言うものの方が、素直でいいメロディで、そういうメロディが今減っているような気がするんですよ。もっと堂々と、自分のオリジナルだと言って、作ってやればいいと、僕は、いつも思うんですよ。

Q)無理して「新しいメロディ」「新しいサウンド」を作ろうとしている人も多いですね…
谷)みんなおんなじような楽器を使ってやっていれば、心地いいとこって、そんなに違ってこないはずなんですよね。どんな歌を作っても、何かに似てるって言えば、何かに似てないわけはないと思うんですよ…、こんだけ曲があれば…。だから、それをある程度、懐深く許すって言うかな、「ああ、これいいよね」って言える音楽業界であってほしいなと思いますね。

Q)だから、長く残る曲が減っているのですね…
谷)そうですね。作り手が、みんな、委縮して作っているような状況がずいぶん長く続いているように思いますね。あと、そんなにメロディがなくてもいいと思って作っている人もいるしね。でも、人の心に残るのって、言葉とメロディとリズム、これって、何年たっても昔から変わらないんでね。だから、今回、僕らは、素直に自分たちが一番気持いいってものを作ったんです。

Q)だから、「ALICE XI」には説得力があって、伝わってくるんですね…
谷)はい、すごくいいと思います…(笑)


(2013年03月、取材・文:西山 寧)


  アリス コンサートツアー 2013 〜 It's a Time〜

5月5日〜10月3日 全国47都道府県 全56公演

  公演スケジュールはコチラ!

アルバムCD 「 ALICE XI 」  

2013年 4月 10 日発売
アリスレーベル

【通常盤】
13曲入CD ALCD-1003 ¥3.200(税込)
【ローソン・HMV 限定盤】
13曲入CD+DVD ALCD-1001〜2 ¥4.200(税込)

<CD収録曲>

01. It's a Time ~時は今~
02. Western Dream
03. READY LADY
04. Boys be
05. バージンロード II
06. リューズ


07. 冷たいレシピ
08. 風に星に君に
09. Voyager
10. スピリット
11. ユズリハ
12. 悲しいほどに晴れた日に
13. Wonderful Day
 


Vo/Gt   谷村 新司(たにむら しんじ) 1948年生まれ、大阪府出身、愛称:チンペイ
Vo/Gt   堀内 孝雄(ほりうち たかお) 1949年生まれ、大阪府出身、愛称:べーやん
Dr/Per/Vo 矢沢 透 (やざわ とおる)  1949年生まれ、神奈川県出身、愛称:キンちゃん

谷村新司、堀内孝雄、矢沢透の3人による、ツインボーカル+ドラムという編成の日本を代表するグループ。1971年、谷村新司と堀内孝雄でアリスを結成。1972年3月、シングル「走っておいで恋人よ」でデビュー。同年5月には、矢沢透が参加し3人のアリスとなる。1975年、「今はもうだれも」のカバーが大ヒットし、以後、「冬の稲妻」「涙の誓い」「遠くで汽笛を聞きながら」「さらば青春の時」「帰らざる日々」「ジョニーの子守唄」「チャンピオン」「秋止符」「狂った果実」など数多くのヒット曲を出し国民的アーティストとなる。1978年には、日本人アーティストとしては初めてとなる日本武道館3日間公演を成功させるが、その後、アリスの活動と並行して行っていた、谷村と堀内のそれぞれのソロ活動が活発化し、1981年5月、アリスの活動の停止を発表。国内ツアー、北京、香港、バンコクの海外ツアー終了後、同年11月に後楽園球場で行われた「アリス・ファイナル」で、一旦、活動を停止する。

1987年、再始動し、アルバム「ALICE X」とシングル「BURAI」を発表。2000年には、神戸で阪神淡路大震災追悼コンサートを行い、第51回NHK紅白歌合戦にも出場。翌2001年には全国ツアーも行う。2005年にも、第56回NHK紅白歌合戦に出場。2008年、谷村のベスト盤「音帰し」にアリスの「明日への讃歌」が収録され、堀内と矢沢もレコーディングに参加したことがきっかけとなり、翌2009年から全国ツアーを36会場で行い、ライブ盤「ALICE GOING HOME 〜TOUR FINAL at BUDOKAN〜」も発売される。2010年には、東京ドームで5時間にもおよぶコンサートを行う。

2013年4月、26年ぶり、11枚目のオリジナルアルバムとなる「ALICE XI(イレブン)」をリリース。同年5月から約5カ月間にわたり、全国47都道府県 、全56公演のコンサートツアー「アリス コンサートツアー 2013 〜 It's a Time〜」を行う。

これまでに、アリスとして、シングル22枚、アルバム26枚(うちオリジナルアルバム11枚)を発表。谷村と堀内は、それぞれソロとしても活躍しており、矢沢は飲食店やギターショップ「RimShot」を経営するなど実業家としても成功している。

谷村新司 オフィシャルサイト
堀内孝雄 オフィシャルサイト
HUKUROH(矢沢透)サイト

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