言葉の達人

SAKUSHIKA

 達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。
その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」、「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、
勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。
そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きして、毎月、紹介していくこのコーナー。
今回は、「淋しい熱帯魚」「愛が止まらない」等、Winkの作詞でお馴染みの「及川眠子」さんをゲストにお迎え致しました。

及川眠子

代表作

淋しい熱帯魚」「愛が止まらない」(Wink)
東京」(やしきたかじん)
残酷な天使のテーゼ」(高橋洋子)
魂のルフラン」(新世紀エヴァンゲリオン主題歌)(高橋洋子)
はんぶん不思議」(CoCo)
原始、女は太陽だった」(中森明菜)
I'll be there」(Tina)
文句があるなら来なさい!」(Rie ScrAmble)
ハリケンジャー参上!」(忍風戦隊ハリケンジャー主題歌)(高取ヒデアキ)

作詞論

私はあくまで職業作詞家だと思っているので、自分らしさや哲学みたいなものは特に考えたことがありません。相手の要求に応えられてこその職業作家であり、むしろ決められた範囲内でどれだけこだわれるか、また割り切れるかが、常に書くことにおいての私自身の課題です。さらに、今までの自分をどう裏切れるかが、新しいものを手掛けるときの楽しみです。

及川さんに伺いました。
Q:
作詞家になったきっかけは?
A:
単純に、音楽が好きだったから。だから、音楽に関わる仕事に就きたかった。
作品を持ってレコード会社や音楽出版社を回るうちに、知り合いも多くでき、少しずつ作品も採用され・・・で、早や20年。
Q:
プロ、初作品について
A:
デビューは、三菱ミニカ・マスコットソング・コンテストの最優秀賞を取った、和田加奈子『パッシング・スルー』ですが、実質的なデビューは1986年ポピンズのアルバム、『秘密100パーセント』『リップ・スキャンダル』という作品。
Q:
作品を提供したいアーティスト
A:
私の詞を求めてくれるアーティストであれば、それが誰であろうと、100パーセントの力で作品を手掛けていきます。誰に書きたいというこだわりはありません。むしろアーティストを使って、自分が「何を書きたい」かだけです。
Q:
あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
A:
池田聡『僕は君じゃない』
大地真央『ララバイ』
Q:
なぜ「詩を書くことを選んだか」
A:
これも単純に、詞を書くことしかできなかったから。
Q:
プロの作詞家になりたい人へのアドバイスを
A:
本当にプロになりたいのなら、その方法はただひとつ。「あきらめないこと」です。
歌詞を見る 星の行方 ミネハハ

私の場合、作品は自分の手を離れた瞬間に人のものになるという考えなので、一つ一つの作品に対してあまり思い入れを抱いたりしないのです。また、詞だけがよくても「歌」としてよくなければダメだという考えでもあります。
この作品は、私の趣味(戦争と軍事)が生かされたという意味で思い出深いです。「命」を扱った作品はほかにもあるのですが、この楽曲が最も言葉とメロディーのバランスがいい。

■私の好きなあのフレーズ
人だけが生きていることになぜ意味を求める

PROFILE

1960年2月10日生まれ 水瓶座 血液型B型 和歌山県出身 株式会社及川眠子事務所代表高校生の頃、加川良や大塚まさじなどの関西フォークに影響を受けシンガー・ソング・ライターを目指してみるが、ギターのFのコードでつまずいてしまったため、作曲は無理だと判断。さらには、音痴だということも発覚し、歌うことも断念。あっさりと作詞家に進路を変更する。
その後、上京。原宿を歩いていたところ「作詞家になりませんか?」とスカウトされたのがきっかけで……というのは嘘で、1985年、三菱ミニカ・マスコットコンテスト最優秀賞受賞。和田加奈子『パッシング・スルー』でデビュー。悔しいかな人目を引くほどの美人でもなく、また田舎者にはコネもなかったので、地味ぃ〜な汗を流しながら売り込みを続け、そこそこヒットも出たお陰で今に至る。
今まで職を転々と変え、転職歴は12回。とりあえず今のところは作詞家に収まってはいるが、この先不明。「自分で自分を決めない」というのがモットー。

■及川眠子さんのオフィシャルサイト

[CDリリース情報]

ミネハハ

「ソフィアン・スマイル」
9/4 ON SALE

秋川雅史

「 Dream of Love〜愛の夢〜」
TECI -1060/¥2,800(税込)
NOW ON SALE

■書籍情報
・「夢の印税生活者」講談社 発売中
・「あした理想の自分になるルール」
  イースト・プレス 発売中

【これまで登場した作詞家さん】バックナンバー