言葉の達人

SAKUSHIKA

 達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きしてご紹介していくこのコーナー。
今回は、あらゆる言語を駆使して、J-POPからアイドル、アニメ・ゲーム関連の主題歌やキャラソンまで幅広く手がけている「井筒日美」さんをゲストにお迎え致しました。

Himi Izutsu
代表作

SAMURAI」/タッキー&翼
(共作・「PRIDE&SPIRIT 日本プロ野球2007」イメージソング)
願い星」/リュ・シウォン
あどけない温もり」/柴咲コウ
アオゾラSTAGE」/by断ち切り隊
(OVA「テニスの王子様〜アノトキノボクラ」OPテーマ)
風標」(「アルトネリコ3」・古語詞) /井上あずみ
蒼空の誓い」(「裏切りは僕の名前を知っている」) /碓氷愁生(宮野真守)
ヤッタネ!約束だよ」/水樹奈々・大原さやか・清水香里
(OVA「戦闘妖精少女 たすけて!メイヴちゃん」OPテーマ)
アコガレ∞ループ」/フェリチータ(能登麻美子)
(「アルカナ・ファミリア」キャラクターソング)
コーヒー1杯のイマージュ」(「アイドルマスター」)
菊地真(平田宏美)・双海亜美/真美(下田麻美)・我那覇響(沼倉愛美)
その他多数

作詞論

ノリと響きを大切に、メロディーが語りかける言葉を掬いとる。自分なりの人生論や哲学を掘り下げて、歌い手(キャラ)と聴き手の想いが重なり合う場所を探し当てる。まず自分が感動しなければ想いは伝わらないと想うので、リアルな感情、五感で感じられる心象風景やメッセージを意識しています。魂を込めつつ最後は俯瞰で。

井筒さんに伺いました。
Q:
作詞家になったきっかけは?
A:
大阪在住なので、メールで音源のやりとりが出来なかった時代はチャンスがなかったのですが、ネットの普及後、松井五郎氏とめぐり逢い、「十分可能性はあると想う」と仰って頂けたことが勇気となり、地道に創作を続けていました。ご紹介くださった作家事務所で参加したコンペに受かったのが初のメジャー作品になりました。
Q:
プロ、初作品について
A:
インディーズやライブ曲を経て、メジャーレーベルとしての初作品は、柴咲コウさんに書かせて頂いた「あどけない温もり」(シングル「Sweet Mom」c/w)です。
Q:
作品を提供したいアーティスト
A:
私の詞を歌って頂けるすべての方に。出逢いとご縁を大切に繋いでゆきたいです。更に一緒に企画を練ったり、様々な形でサポートさせて頂けたらと。今までのセオリーにとらわれず、最新の流行語から大好きな古語、世界各国の言葉、古代語まであらゆる言語を駆使して、歌い手と共に独自の新しい試みにも挑戦してゆきたいです。
Q:
あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
A:
様々な想いを抱いて生まれた詞なので、どれも可愛い子どものようで、すべてが自分の分身のようでとても順位がつけられません。採用に至らなかった作品ほど愛おしくもあり、いつかまた巣立ってくれる日を願っています。
Q:
なぜ「詩を書くことを選んだか」
A:
歌は皆さんの日常や想い出とともに生き続けます。私がそうだったように、誰かに勇気や笑顔を届けられたらと大好きな言葉を紡ぎ始めました。歌の世界で俳優さんのように数多の人生を体感できることや、言葉がメロディーと出逢い、魂を吹き込まれて、歌が生まれる…その共同で創り上げる化学反応にも魅せられています。
Q:
プロの作詞家になりたい人へのアドバイスを
A:
アドバイスなんてまだおこがましいのですが、作詞の速度は最大の武器になると想います。ひたすら書き続けていれば後から実力も追いついてゆくと自分を信じて、不採用でもめげない…そんな強靱な精神力と体力が必要だと感じます。そして人生経験。擬似体験でもいいので、自分を磨くことが作品を磨くことに繋がる、そう言い聞かせています。
歌詞を見る 願い星 リュ・シウォン

四月朔日さんとは色々コラボさせて頂いてていつも聴いた瞬間にイメージが浮かぶんです。この曲も、雨上がりの風の匂いと壮大な星空を感じました。震災直後で、一人一人が星座のように優しさと勇気の輪を繋げたらと願いを込めました。ディレクターさんがその想いをシウォンさんに伝えてくださり、ご本人も大好きになってくださったと伺いました。いつかシウォンさんにこんなバラードをと願っていたので、温かい歌声に感謝でした。

■私の好きなあのフレーズ
「この世界 生まれ落ちた最初の日
きっと閉じた目で 暖かな笑顔 感じてた
誰も独りじゃないさ」

PROFILE

井筒日美Himi Izutsu

大阪府生まれ。音楽&ピアノの教師だった伯母に5才からピアノを学ぶ。高校では合唱部に所属。
柴咲コウ「あどけない温もり」(「Sweet Mom」c/w)でメジャーデビュー。タッキー&翼「SAMURAI」(羽場仁志氏と共作)がオリコン週間チャート第1位に。その後もリュ・シウォン「願い星」、TVアニメ「テニスの王子様」OVA主題歌やキャラソン、「裏切りは僕の名前を知っている」「アイドルマスター」「アルトネリコ3」、得意とする古語詞など、J-POPからアニメやゲームまで多岐のジャンルで活動中。
他にも2つのペンネームを同時進行、多数の主題歌を担当している。

公式サイト:井筒日美のプリズム・テアトル

[CDリリース情報]

リベルタ&ノヴァ
「Pieces of Treasure」

WFCT-0013 ¥1,260 (tax in)
2012.9.5 Release
M2:「アコガレ∞ループ」

幸村精市
「miracle prologue tour 2011 LIVE at Zepp Tokyo 6.16」

NEZA-90003〜5 ¥4,980 (tax in)
2012.11.14 Release
<Disc3>M-24:「自分革命−Revolution−」

コンピレーションアルバム
「次世代アイドル革命!! Pink Lips」

TECI-1342 ¥2,000 (tax in)
2012.9.26 Release
M-5:「潮風☆スタートライン」
M-19:「ぽんでぃしぇりぷらんたん防衛隊の唄」

THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER
「生っすかSPECIAL カーテンコール」

COCX-37819〜20 ¥3,150 (tax in)
2013.1.30 Release
<Disc2>M-1: 「コーヒー1杯のイマージュ」

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