光は影の奥で静かに待つ

安田レイ
光は影の奥で静かに待つ
2025年8月27日に“安田レイ”が両A面シングル「光のすみか / BROKEN GLASS」をリリース!今作には、TVアニメ『瑠璃の宝石』オープニングテーマである「光のすみか」と新曲「BROKEN GLASS」をタイトルトラックに、カップリングには安田レイ自身が作詞・作曲を手掛け、初の全英詞の楽曲となる「NOW」や、Charaの名曲「やさしい気持ち」のカバーも収録が収録されております。 さて、今日のうたでは“安田レイ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。第1弾は、収録曲「光のすみか」にまつわるお話です。幸せになりたいのに、大人になればなるほど、怖いものが増えていく。だから一歩が踏み出せない。そんなあなたへ…。ぜひ今作とあわせて、エッセイを受け取ってください。 人間だから、やはり楽をしたい。 簡単にほしいものを手に入れたいし、 行きたい場所に早く辿り着きたい。 煩わしい出来事には触れたくないし、 傷つきたくなんてない。 小学生が「100万円降ってこーい!」 と空に向かって叫ぶように、 私も大人になってから時に考えてしまう。 「幸せ」ってもっと簡単だったらいいのに、と。 勝手に降ってくるものではないのだ。 ぼんやりしていたら、些細な光はきっと私の目には届かない。 「いいことが起きたらいいな」 と、流れ星を見つけて願いをかけるように、 つい口にしてしまうけれど… そんなの当然、自分から動き出さなければ、 手を伸ばしてみなければ、 何も変わらないし、何も見えてこない。 わかってはいる。 だけど、大人になればなるほど痛みを知り、 怖いものが増えていくのも事実。 大人は自分を守るのに必死なんだ… ベッドの中で小さく身を丸め、 心のすべての扉をそっと閉ざし、 深い闇の中へと、 静かに、静かに沈んでいく。 そんな夜だってある。 けれど、そんな時に人の背中を押すのが、 「好奇心」 なのかもしれない。 時間がかかってもいい、 傷ついてもいい、 そんな風に思えるのは、 好奇心が不安を飛び越えていくからなのだ。 今回改めて、この大切なことを思い出させてくれたのが、 オープニングテーマを書き下ろさせていただいたアニメ『瑠璃の宝石』の主人公、瑠璃ちゃん。 鉱石が長い年月をかけて、 山の上から川を下り、私たちのもとへ辿り着くように。 その長い年月の中で、雨や風、太陽の光、 たくさんの瞬間を重ねて磨かれていく石たち。 そして、強い好奇心を抱いた瑠璃ちゃんが 物語を鮮やかに彩っていく。 人間には、好奇心が必要だ。 そう、私がこの世界に入りたいと思ったのも、 きっかけは好奇心だった。 そして、この好奇心があれば、 影の裏で静かに待つ光を見つけることができるのだ。 瑠璃ちゃん、忘れていたよ。 怖がっていては前に進めないね。 好奇心に背中を押してもらいながら、 私も少しずつ、歩みを進めていくね。 <安田レイ> ◆両A面シングル「光のすみか / BROKEN GLASS」 2025年8月27日