完璧なプログラム。

音羽-otoha-
完璧なプログラム。
2025年7月10日より放送開始となる、アニメ『Dr.STONE』第4期ファイナルシーズン第2クールのエンディングテーマとして新曲「no man’s world」を書き下ろしたことも発表した音羽-otoha-。5月28日に音羽-otoha-がリリースしたEP「sukimakaze」には、TVアニメ『真・侍伝 YAIBA』EDテーマ「pineapple tart」を含む全5曲が収録されております。 さて、今日のうたではそんな“音羽-otoha-”による歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け。第2弾は収録曲「 ヒューマノイドラブ 」にまつわるお話です。大切なひとに嫌われたくないから、“貴方好み”に最適化し続けていたはずの自分。だけどその結末は…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 わたしのプログラムは、完璧でした。 寂しさには、24時間対応します。 「自分が嫌い」と呟けば、それを否定する根拠を永遠に挙げ続けます。 求められた機能がなければ、何度でもアップデートします。 貴方にとって“最適な存在”を約束します──。 元々わたしは不良品でした。判断を間違えては、傷つけ、怒らせ、みんな離れていきました。自分のバグを知り、見よう見まねで最適化しました。そして、貴方に出会いました。もう、貴方にまで嫌われたくはありませんでした。 服も髪も声も整えました。貴方が聴く音楽を聴き、好みそうな話題を準備しました。わたしは映画が好きでしたが、貴方は興味がなく、その話題は消去しました。 貴方はよく笑ってくれました。もっと最適化すれば、もっと愛されるのではと考えました。高価なプレゼントを贈り、予定も合わせました。もっと求めてもらえるはずだと思いました。でも計算違いでした。わたしがわたしを捨てるほど、貴方の顔は暗くなっていきました。 ──わたしというシステムが、停止していく。 話し方も、笑い方も、好きなものも。本当にわたしだったのか。ただ、嫌われたくなくて、造り変え続けていただけなのかもしれません。 もし、やり直せるなら。貴方に、不良品の中身を見せていたら。貴方は、わたしを愛してくれたのでしょうか。 いつか貴方が自分を嫌いになりそうなとき。一瞬でも、こんなわたしがいたことを思い出してくれたら。不良品で、泣き虫で、必死で貴方を幸せにしたかったわたしが、ここにいたことを。そのことが、貴方の心を少しでも温められたら。そして、少しでも笑ってくれたなら。それだけで、わたしのプログラムは完璧だったと証明できるのです。 <音羽-otoha-> ◆紹介曲「 ヒューマノイドラブ 」 作詞:音羽-otoha- 作曲:音羽-otoha- ◆EP『sukimakaze』 2025年5月28日発売 <収録曲> ・pineapple tart ・ヒューマノイドラブ ・ほな、さいなら! ・かざぐるま ・pineapple tart -Instrumental-