僕らは諦めが悪いし、すぐに切り替えて次に行ける程、器用じゃない。

 2022年6月22日に“Amber's”がニューアルバム『SPACEK(スペイセック)』をリリースしました。宇宙船の名前から名付けた1st ALBUM『VOSTOK』が大気圏外(SPACE)に飛び立った後、曲を作り続けた自分たちのスタジオ空間(通称K)で生まれた楽曲たちが、対となって今ここに完結。ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』OP主題歌「Desire -欲情本能-」を含め、全9曲が収録されます。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな“Amber's”の福島拓人による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、前作『VOSTOK』を世界に放ち、そして今作『SPACEK(スペイセック)』にたどり着くまでの想いです。音楽の力を信じて、発信し続けた月日のお話を明かしてくださいました。今作の歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。



アルバムを出すのは2年ぶり。2020年に出した1st Album『VOSTOK』のアルバム名の由来は、世界で初めて宇宙へ飛び立った有人ロケット“VOSTOK”の名前からとったものだ。僕らの音楽という名のロケットを盛大に打ち上げよう。そんな未来への希望を詰め込んだ作品だ。
 
発売したのが2年前と聞いてピンときた人もいると思う。
そう。『VOSTOK』はコロナ禍に突入すると同時にリリースされた作品。
 
当時予定していた祭典のようなカウントダウンは無くなり、発射後の軌道も盛大に逸れた。軌道修正すら許されなかったあの頃。外に出て確認することすら出来なかった。今もまだ『VOSTOK』は大気圏を彷徨っている。
 
今作品『SPACEK(スペイセック)』は、そんな前作品『VOSTOK』と対になる作品。
 
僕らは諦めが悪いし、すぐに切り替えて次に行ける程、器用じゃない。
 
『VOSTOK』を切り捨てて新たなロケットは飛ばせない。
『SPACEK(スペイセック)』という名の基地を作って、発信しつづけ、遠隔操作することに決めた。
 
ライブは禁止され、直接音楽を届けられない状況で僕らが選んだ発信方法はSNS。
右も左もわからない状況で始めたSNSは、カバー動画にオリジナル曲、色々なチャレンジをしてみた。はじめてのことは怖いし、本当にこれで良いのかな?って不安にもなった。最初からうまくいくはずもなく、時代のせいにして逃げ出したくなる日もあった。
 
けど、苦しいから逃げるのではなく、逃げるから苦しくなる。このことに気付けたとき、SNSにアップしたオリジナル曲が行く先を照らしてくれた。
 
アルバム『SPACEK(スペイセック)』に収録される曲のほとんどはSNSで反響の大きかった曲たち。
 
いつかの再会を約束する、あの頃が刻まれた「春は必ず来る」。
TikTokで100万回以上再生されて、ドラマの主題歌に抜擢して頂いた「Question」。
最後の曲は僕らが結成当初から大切にしている曲「君だけのロックンロール」。
 
これまでのことを忘れないために。もがき続ける今を刻むためにも。
画面越しでもあなたと繋がれる音楽の力を信じて、発信し続けた2年間。
 
『SPACEK(スペイセック)』には一言では納めきれない、たくさんの想いが詰まっている。
ただ好きな曲を集めたアルバムじゃない。
僕らのこれまでの歴史、そして同じ時代を生きるあなたのへのメッセージが込められている。
 
人生は後ろを振り返らなければ自分を理解できないけれど、
前向きにしか生きられない。
 
僕たちは一度後ろを振り返って、今作品『SPACEK(スペイセック)』をリリースして
前を向いて突き進みます。
 
是非、『SPACEK(スペイセック)』を手にとってみて下さい。
東名阪のリリースイベントでお会いしましょう。
そして、いつかライブハウスでお会いしましょう。

<Amber's・福島拓人>



◆ニューアルバム『SPACEK(スペイセック)』
2022年6月22日発売
 
<収録曲>
1. 春は必ず来る
2. Question
3. Desire -欲情本能- 
4. 生馴れNight
5. DRIVE
6. ブラザーブラザー Amber's feat. IKE
7. アブノーマル
8. かいじゅうたちのいたところ
9. 君だけのロックンロール