糸となり

 2024年8月14日に“汐れいら”が1st EP『No one』をリリースしました。今作には、メジャーデビュー曲となった“不器用さを隠して相手を想う誰かの曲”「Darling you」、“幸せを欲張って求めてしまう僕らの曲”「味噌汁とバター」、新たに制作された新曲4曲、さらにCD限定の2つの弾き語り音源が収録。初回生産限定盤には昨年末に行われた1st One Man Live「だぶだぶでうぶうぶ」が全編収録されたBlu-rayが付属!
 
 今日のうたではそんな“汐れいら”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作の収録曲「糸しいひと」にまつわるお話です。わたしたちが生まれながらに持っている”いと”とは…。



「いと」
わたしたちが生まれながらに持っているもの。愛。糸。
 
「愛」(イト)
それが、母や父や周りの人の目から発されたときに、なにも知らないはずの子が微笑むだろう。それは既に、「愛しい」を生まれたときには持っていて、周りからの「愛しい」を真っ直ぐから受け取れたからだと思う。
 
赤ん坊は手持ち無沙汰に見えるかもしれないけれど、むしろあのときにたくさん持っていた気がする。
大きくなると、持っていたものが前よりも眼に見えるようになって、言葉にできるようになって、大切さより「持ちきれない」や「重い」という不安から手放してしまうことだってある。
でも元々あったものを失くした途端、寂しくなってしまう。
愛情不足なんて症状もそのせいだ。
 
「糸」(イト)
運命の赤い糸、とも。
私たちはそれでなにかを作っていて、そうしてできたものを贈りたいな、なんて思うときに「愛しい」を思い出す。
 
【お題は、愛しいひとへの贈り物です】
 
文字がかかれたホワイトボードに
言われなくてもやりますとも、と思う。
使っている糸はおんなじでも、度々ちがう作りかたを学ぶし、なにより相手に喜んでもらえそうなのがいい。
この人にはなにをあげられるか、考えている。
 
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わたしたちが持っている赤い糸はどこかに繋がってるのではなく、自分でだれかに手渡しするような、運命を装った意図的なものかもしれない。そしてそのだれかの「人となり」は、そのひとが持ってる糸の使い方でわかるような気がする。
 
そう思うと、「相手がどういう人か」よりもっと奥にある、「相手がもっている愛」に興味があるのかもしれない。
 
今までも、これからも、わたしは自分の中の「イト」について手繰っていくんだろうと思う。
手芸の授業は大の苦手で、できるの遅かったな。

〈汐れいら〉



◆紹介曲「糸しいひと
作詞:汐れいら
作曲:汐れいら

◆1st EP『No one』
2024年8月14日発売

<収録曲>
M1 糸しいひと
M2 味噌汁とバター
M3 うぶ
M4 踊り場のサーカスナイト
M5 グレーハートハッカー
M6 Darling you
M7 備忘ロック
M8 笑ってベイビー
 
ーBONUS TRACK CD onlyー
Darling you(弾き語り)
味噌汁とバター(弾き語り)