「普通」ってなんだろう。

 2025年2月26日に“Karin.”が自身初となる弾き語りEP『嘘が甘いから-ep』をリリースしました。初めてステージに立ったときから大切にしている、弾き語りでの演奏と改めて向き合い、制作を行なった今作。リード曲「嘘が甘いから」は、当時、神戸の高校に通う生徒の進路について相談を受けたことをきっかけに、将来の夢を追うひとへのエールソングとして制作された1曲です。
 
 さて、今日のうたではそんな“Karin.”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、リード曲「嘘が甘いから」にまつわるお話です。何かを成し遂げたい、何者かになりたい、だけどそれがなかなかかなわない。今日も生きる理由を探し続けているあなたへ…。ぜひ今作と併せて、エッセイを受け取ってください。
 

「普通」ってなんだろう。 
一体どこまでが普通で、どこからが可笑しいのか僕には分からなかった。
 
多様性を認め合うことが求められる現在、僕達は“他人との違い”を素直に受け入れられるのだろうか。 
人と違うことをアピールする場が手軽かつ増えすぎてしまった結果、今この世の中はアイデンティティが飽和しているのではないかと僕は思っている。 
 
僕達は物心ついた頃から競争世界の中で生きてきて、その箱が急に取り去られたなら、残った者は生きがいを失うのかもしれない。 
 
自分が他者と違うこと、それだけでも生きる意味には繋がらないのか。
 
“生きるのに理由はいらない”と誰かは言うけれど、その言葉だけで生きていけるほど人間は強くない。 
“生きがいが欲しい” “何かを成し遂げたい” “何者かになりたい” 
結局、人は社会の中で生きるための大義や名分がないと生きていけないのだ。
 
僕はいつも他人からの評価がないと、生きている心地なんかしなかった。
 
周りから求められた自分がどんどん本来の自分の姿と離れてしまった末路、自分がずっと拠り所にしていたものが呆気なく他者に否定され、誰かが創り上げた僕ではない僕が、それでも今日も一人で生きる意味を探し続けている。
 
<karin.>



◆弾き語りEP『嘘が甘いから-ep』
2025年2月26日発売

<収録曲>
01.嘘が甘いから
02.低体温症
03.生まれた時のこと