孤独の先には

 2025年6月18日に“Karin.”がSingle「言わなきゃ良かった」をリリースしました。今作は、独立後2作目となるバンドサウンド。6月8日で音楽を始めてから7年、1stアルバム『アイデンティティクライシス』でデビューをしてから6年。そして6月27日に開催される独立後初となるワンマンライブ『my identity』を記念した作品となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“Karin.”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「言わなきゃ良かった」にまつわるお話です。今までひとりで戦ってきた孤独。しかし音楽活動のなかで、他者の存在や優しさに触れ、気づいたことは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。
 

 
誰も信じなければ誰からも裏切られないのに。
そんなことを言ったって、誰も信じずに生きるのは難しい。極めて不可能だ。
家族だから信じる、大切な人だから信じる、好きだから信じる。
理由や形は様々ななかで
私は誰に聴いてほしくて
誰に何を言えば、何を歌えば
この孤独から抜け出せるんだろう。
 
音楽を始めて7年が経った。
数字だけ見ると、「自分は7年も一つのことと向き合い続けてこられたのか」と感慨深くなる。
 
7年前というと当時、高校2年生。
とにかく自分のことが心底嫌いで受け入れられず、
学校の教室に閉じ込められている毎日を苦痛に感じていた。
 
教室にいると、「ここが世界(すべて)なんだ」と思ってしまい、
毎日嫌われないように
普通の枠からはみ出さないように生活を送っていた。
 
そんな時に始めた音楽活動は私にとって光のようなもので
スポットライトが自分を照らす度に
何も持っていない私を優しく包み込んでくれるように思えた。
 
あれから7年。
私は今でも毎日音楽と向き合い続けている。
 
音楽によって手に入れたものもあれば、奪われたものもあった。
自分の居場所を確立するために必死に曲作りをしていた高校時代とは違い、
今は孤独の先にある他者の存在や優しさ、生活の中で生まれる音楽も作れるようになった。
 
音楽を始めなければこんなに傷つくこともなかったと思う反面、
音楽をやっていなかったらきっと今頃
自分はこの世界に存在していなかっただろうとも思う。

自分の言葉で、足で立って、始めた音楽は
様々な形に変化し、メジャーデビューをしたり、そこから独立したり
Karin.というプロジェクトはたくさんの人に携わってもらった。
 
昔は人間不信で
自分が相手を睨みつけようが泣き喚こうが
周りから見たら、ただの景色として映ってるんだと思い、
勝手に期待して、勝手に傷ついていた。
誰かに自分を肯定してもらう度に
「私の何を知った気でいるつもり?」
と心の牙を向けることだって多々あった。
 
でも今は違う。
私が今にも孤独に押し潰されそうになって作った曲を
音源にすることができて
世に送り出すことができて
聴いてくれる人がいる。
 
きっとこれは誰かを信じなければ何一つ叶わないことだし
「孤独の先には人がいるということを私は信じて待っている」
そういうふうに思えた。
 
本当の私は孤独ではなかったのかもしれない。
 
たくさんの人に支えられ
いろんな景色を見ることができた。
今回リリースした楽曲「言わなきゃ良かった」は
出会いや別れ、ときめきや悲しみ、
社会に広がる小さな世界を描きました。
 
人を好きになるって楽しいことばかりじゃない。
大切な人の代わりなんていないと思うように
自分の代わりもいないということ。
夜空に瞬く数多くの星のように人々の悩みは尽きないけれど
「出会えて良かった」
そんなふうに思える人が今後の人生にもたくさん現れますように。
 
<Karin.>



◆紹介曲「言わなきゃ良かった
作詞:Karin.
作曲:Karin.