「廣瀬くん、音楽は粘着力だよ。」

 2025年6月25日に“BURNOUT SYNDROMES”がニューシングル「月光蝶」をリリースしました。今年バンド結成20周年を迎える彼ら。同曲は、バンド結成20周年を迎え“新たな物語の幕開け”を象徴する、幻想的なイメージと力強いメッセージが融合した、バンドの新たな一面を映し出す楽曲となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“BURNOUT SYNDROMES”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。第2弾はメンバーの廣瀬拓哉が執筆。バンドの始まりから今に至るまでの軌跡。そして結成から20年目の現在のマインドを綴っていただきました。ぜひ新曲「月光蝶」とあわせて、エッセイをうけとってください。



ここ数ヶ月、インタビューやラジオなどで今までの活動を振り返る機会がたくさんあった。
バンドを結成してから20年。
 
始まりは中学生になったばかりのことだった。
当時の自分は特にやることもなく、ベースの石川に誘われるままバンドに加入した。
石川とは小学校の同級生だが、ギターボーカルの熊谷とは面識がない。
メールアドレスを聞いて、まずは挨拶をすることにした。
 
「バンドに誘われてドラムを担当する事になった廣瀬です。これからよろしく。」
 
すぐに熊谷から返信がきた。
 
「これがいわゆるメル友ってやつですか?」
 
一通目のやりとりから絶妙に話が噛み合わない。
事前に「変なやつだよ」と聞いていたので、そういう人なのかと解釈した。
 
加入してすぐにオリジナル曲の初制作が始まり、ライブにレコーディングと中学生ながら精力的に活動をした。
 
成り行きで加入したはずが、いつのまにか熊谷の作る曲にどっぷり浸かってしまっていた。
次はどんな曲を一緒に作れるのか楽しみで仕方がなかった。
 
そんな始まりから20年。
振り返ってみると、バンド活動は常に変化と決断の連続だったように感じる。
 
ただの友人からメンバーへと変化し、求められる役割も変わっていった。
時代やスキル、テクノロジーの進化とともに、作る曲も変化していく。
たくさんの人と出会い、その数と同じくらい別れも経験してきた。
 
メンバーの二人と比べると、自分はどちらかというと保守的な人間である。
変化するということは負荷のかかることが多い。
それでも手を替え品を替え音楽を続けてきた。
 
尊敬しているドラマーに言われた言葉がある。
「廣瀬くん、音楽は粘着力だよ。」
 
執念と似たような使い方で言われたことだけれど、「粘着力」という響きは妙にしっくりきた。
音楽が好きとか嫌いとか楽しいとか辛いとかそんな感情ではない。
離れたくても自分の中に音楽に対する粘着力がある限り、続けていくものなのだと。
 
来年、BURNOUTSYNDROMESはメジャーデビューから10周年を迎える。
些細な光を見つけてはその方向に走り続けたことで、20年経ってもまだ道を照らし続けてくれている。
月光蝶」の歌詞に出てくるような鬼才や天才に少しでも近づけるように羽ばたき続けようと思う。
 
<BURNOUT SYNDROMES・廣瀬拓哉>



◆紹介曲「月光蝶
作詞:熊谷和海
作曲:熊谷和海