2025年6月25日に“BURNOUT SYNDROMES”がニューシングル「月光蝶」をリリースしました。今年バンド結成20周年を迎える彼ら。同曲は、バンド結成20周年を迎え“新たな物語の幕開け”を象徴する、幻想的なイメージと力強いメッセージが融合した、バンドの新たな一面を映し出す楽曲となっております。
さて、今日のうたではそんな“BURNOUT SYNDROMES”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。最終回はメンバーの熊谷和海が執筆。自身が改めて「長く続ける秘訣」について考えてみたとき、見えてきた答えは…。新曲「月光蝶」のメッセージにも通ずるエッセイを、歌詞と合わせて受け取ってください。
「13歳でバンドを結成し、同じメンバーで20年やっている」
その話をすると驚かれる。年齢と活動歴が吊り合ってないのだ。そしてそのあとに、「長く続ける秘訣とかってあるんですか?」と尋ねられることが多い。
今年で結成20周年を迎えるBURNOUT SYNDROMESのGt&Voである私、熊谷和海が、「長く続ける秘訣って何だ?」と、改めて考えてみようと思う。
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振り返ってみると、“BURNOUT SYNDROMES”という屋号は確かに20年存続しているが、それ以外は何も続いていない気がする。
例えば音楽性。随分変わった。
BUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATIONが大好きだった中高生時代。
「アイドルマスター」のエレクトリックサウンドに魅せられた20代前半。
洋楽の低音に魅せられた20代後半。
「一周回って邦楽のカラフルなコード感もイイネ!」と近代的なJPOPを聴き始めた30代…。
大きく分けただけで、コンポーザーである自分自身の好みが大きく変遷していることがわかる。そもそもが飽きっぽいのだ。そんな人間が20年間同じ方向性の音楽を作ることは不可能だし、そんなつもりは最初からない。なので音楽性に関しては「続いてない」のだ。
では人間性はどうだろう。もちろん変わっている。
社会のことなど何もわかってない10代の熊谷和海と、音楽ビジネスの構造を理解してプロデューサーまでやり始めた30代の熊谷和海は、論理的には同じ人間とは言えない。
「自分が30年生きてきた」というのも“熊谷和海”という名前…つまり屋号が起こす錯覚に過ぎない。実は寝て起きるたびに中身は別人になっているのだ。
「物事は変化するのが基本」だと思っているので、私は何にも固執していない。音楽性にも、人気にも、活動形態にも、機材にも。
そういった、水のような柔軟さこそが「長く続ける秘訣」なのかもしれない。水は壊すことも、折ることもできない。形を変えて水であり続ける。
バンド20周年を祝して書いた「月光蝶」は、夢に向かって踏み出せない人の背中を押す曲になっている。最初の一歩には相当な勇気が必要だが、一度夢に向かって走り出してしまえば、20年なんてあっという間だ。
皆さんもこの曲を聴いて、変化して行く自分を楽しんでもらえると嬉しい。
<BURNOUT SYNDROMES Gt&Vo 熊谷和海>