言葉・リズム・踊り、人類が古来から愛してきた表現を凝縮。

 2025年8月20日に、ビートボックスクルー“SARUKANI”がNew Single「ZUN CHA」をリリースしました。サウンドには、今注目を集めるバイレファンキのリズムを、基本の4つ打ちビートの中に融合。意味なんてなくてもバカみたいにノれる、この夏にぴったりのアッパーチューンとなっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“SARUKANI”のKAJIによる歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「ZUN-CHA」にまつわるお話です。ヒューマンビートボックスを愛しているからこそ、作詞の際に意識していること。そして、新曲に凝縮されている思いは…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイをお楽しみください。



日本、そして世界において、ヒューマンビートボックス(以下、ビートボックス)という音楽は、まだまだその魅力が十分に評価されていないと感じています。
 
僕自身もビートボックスを愛し、その可能性を信じる一人として、音楽マーケットの現状にはもどかしさを感じることがあります。ビートボックスは歴史が浅く、多くの人に知られているとはいえないのが現状です。そんな中で、僕はなぜこれほどまでにビートボックスに惹かれるのかを考えました。そして、それは「自己実現の欲求」を強く満たしてくれる音楽だからだと気づいたのです。僕にとっての自己実現とは、心から好きで、楽しいと思えるものを誰かに伝える喜びです。そして、この「ZUN-CHA」という楽曲には、その思いが凝縮されています。
 
僕の作詞のモットーは、「ビートボックスをしているような歌詞」を書くことです。「Like a ○、△、□」や「そこのけそこのけお馬がDance」のように、言葉のリズムを意識していて、少し無理をすればビートボックスに聞こえるような、口当たりの良いワードを積極的に選ぶようにしています。
 
これは、僕たちビートボクサーのことを知らない人たちに、一番のアイデンティティであるビートボックスを「得体の知れないもの」として敬遠されることがあった経験が元になっています。このジレンマを抱えていた時、あるラッパーの方に「KAJIのラップはビートボックスみたいだ」と言っていただいたことが、僕のスタイルを確立するきっかけとなりました。
 
ですから、僕の歌詞には、言葉、リズム、そして踊りといった、ビートボックスが持つプリミティブな古来から人間が好んできた表現が詰まっていると思います。ビートボックスによって生まれる、人から人へと伝わっていく熱狂が僕は大好きです。その熱狂が大きなムーブメントとなり、ビートボックスへの「理解の壁」を打ち破ってくれると信じています。
 
僕は何度でも言います。ビートボックスという音楽は、人や世界を少しだけハッピーにできる可能性を秘めていると。このどこか不安を煽られる令和という時代を生き抜くための「Magic Sound」になることを祈ってやみません。
 
あなたにとって、僕らSARUKANIの曲「ZUN CHA」が、そしてこの言葉が、あなたの少し先の未来を明るく照らすものになりますように。
 
<SARUKANI・KAJI>



◆紹介曲「ZUN-CHA
作詞:KAJI・RUSY
作曲:Kohey