美化し合うぼくら

 2025年12月17日に“Kucci”がニューシングル「ライアー」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『千歳くんはラムネ瓶のなか』オープニングテーマ。ひととの関わりで、傷つくことを恐れるすべての人間の迷いや不安を“打ち破る”勢いで背中を押す、破天荒なエンパワーメントソングとなっております。Kucciの際立つ繊細かつ思い切りの良いボーカルにも注目です。
 
 さて、今日のうたではそんな“Kucci”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。第2弾は今作の収録曲「美しい獣」にまつわるお話です。友だちがLINEで打ち明けてくれた思いから、気づいたことは…。自分ひとりで弱みや傷を抱えているあなたへ。ぜひ、歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。


「なんか自分が情けない。自分が恥ずかしくなってくる。」
 
いつもの何気ないLINEのやり取りから、急に打ち明けてくれた友達。
びっくりした。だって私からみたその子は明るくて、人を楽しませるのが得意でよく笑う、
十分に素敵な子だったから、
あなたもそんな風に自分を後ろめたく思うことあるんだ、って。
 
その頃の私は、タイで語学留学をさせてもらっていた。
この期間を無駄にしてはいけないと焦りもあったし、ワクワクと緊張とで気が張り続けてた。
慣れない環境で肩の力が抜けなかったな。
 
頑張れていた私のことを彼女はすごいって褒めてくれた。
まるで抜けてるところ、ダメなところがどこにもないように。
 
でも待ってよ。すごい人みたいに言ってくれるけど全然完璧じゃない。
強くない。むしろ弱々だし、自分を嫌いになるし、よくわからないままの日もあるよ。
彼女が思い描く私は少し美化されているように感じた。
 
でも、美化しているのは私も同じだった。
彼女のことを、明るくてよく笑う子だから、後ろめたく感じることなんてないだろうと思っていた。
 
きっと私たちは美化してしまう生き物なんだ。
美化し合って、本当のことを話し合えなくなってるんだ。
摩擦がなくて楽だけど、少し寂しい気もする。
 
 
彼女が自分の弱みだと思ってること、
できれば隠しもっていたい弱みを打ち明けてくれたことで、
張り続けていた私の心は少し緩んだ。
救われたのは私の方だった。
 
傷を恥じる必要なんてないよ。
私ももってるから。
 
<Kucci>


◆紹介曲「美しい獣
作詞:Kucci
作曲:Kucci

◆ニューシングル「ライアー」
2025年12月17日発売