2026年1月14日に“Novel Core”がメジャー4thアルバム『PERFECTLY DEFECTiVE』をリリースしました。本作のテーマは“不揃いで歪な要素が混ざり合うからこそ生まれる<完全な自分>です”。カテゴライズ不能な音楽性と、自らの存在そのものを重ね合わせながら彼が辿り着いた“これがNovel Coreだ”という確信。メジャー4作目にして“新たな始まり”を高らかに告げる名刺代わりの1枚となっております。
さて、今日のうたではそんな“Novel Core”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾です。今、この時代にCDアルバムという形で14曲をパッケージした意味、意図、思いは…。また、収録曲「FRiENDS」や「2025.11.07 (demo)」にまつわるお話も綴っていただきました。今作とあわせて、エッセイを受け取ってください。
「サブスク全盛の時代に“アルバムを作る”ということがどれくらいリスキーか」という話は、業界内では随分前から盛り上がっていた議論だと思うが、TikTokの登場と、そこを起因にバイラルヒットを生み出すミュージシャン達の台頭によって、昨今急速に身近になったテーマでもある。
「そもそも家に再生機器がない」という人も決して少なくないだろう。2026年現在、CDは“グッズ(Merchandise)”の一つだ。
現に、CDを制作する以上、楽曲がフィジカルとして手元に残ること以外に、封入特典や映像商品(DVD / Blu-ray)の付属と、何かしらの付加価値を作る努力が欠かせなくなった。
さらに、音楽を嗜む人々のほとんどがApple MusicやSpotifyといった月額制のサブスクリプションユーザーとなると、当然音楽ビジネスの重心は「シャッフルプレイで“単曲”が耳をくすぐるか否か」に傾く。
“アルバム”という10曲単位のパッケージは、フィジカル制作のカロリーの高さだけではなく、純粋なプロモーションの分散も相まって、1曲1曲が聴かれる機会を損失するリスクすら伴うのだ。
それでも、俺が現代にアルバム『PERFECTLY DEFECTiVE』を産み落としたのは何故か。
理由は一つ。これは“記録”だからだ。
Novel Coreが、佐竹 太朗が、生きた記録なのだ。
今作に収録されている楽曲達がそれを証明してくれる。
俺の親友であり、今作でも大半の楽曲のコンポーズを共に手がけたJUGEMが、プライベートで抱えていた苦悩にやられ、満身創痍だったあの日。
彼を励ますために書いた「FRiENDS」も、俺達が生きた大切な証だ。
余談だが、あの「FRiENDS」の2番に登場する
“訳もなく家を飛び出して
あてもなく歩く道の上
転がる空き缶 蹴飛ばして
躓いたけど全然笑えねぇ
気付けば横断歩道のど真ん中で突っ立っていた
迷惑そうなクラクションで目が覚めて涙が溢れた”
というリリックは、JUGEMのことではなく、俺自身のことだったりもする。
アルバムの制作期間中は、俺自身も本当に色々なことがあった。仲間を励ましている場合か!と自分でも思ってしまうくらい、精神的な浮き沈みも激しく、リリックにした通り、理由もなく深夜に15kmほど歩いて、馴染みのない路上で泣きじゃくった夜もあった。
自分自身がそんな状態でも、仲間の曇った表情を目の当たりにした時、助けたいと思ってしまった。
その瞬間に、このアルバムのコンセプトでもある“欠けているからこそ、寄り添い合える”というテーマが意味を持った気がした。
アルバムの終盤に収録されている「2025.11.07 (demo)」もそうだ。
この楽曲は、アルバム制作期間の比較的早い段階で生まれた曲で、キーボードのうっちーには“心電図”を意識しながらピアノを弾いてもらった記憶がある。
歌のメロディー(トップライン)を入れた時、数年に一度しか感じない“これは凄く特別な作品になるかもしれない”という感触があって、あえてリリックを入れず、制作期間のラストまで、デモ状態のままで保留していた曲だ。
タイトルにもなっている2025年11月7日は、このアルバムの最終レコーディング日であり、俺がメンバーやスタッフ陣に「この曲をデモ状態のままパッケージしたい」と話した日だ。
俺はこの楽曲のテーマを「終わりのあとで君に伝えたいこと」とiPhoneにメモしていた。
「もしも、明日で自分の命が終わるとしたら、誰に、どうやって、何を伝えようとするんだろう」という、遺書のような歌詞を書こうとしていた。
しかし、長い時間をかけても書き上げられなかった。
それはきっと、本当の意味で“その目線に立てなかったから”だと思う。
今、書き上げるべき曲ではない。これが俺の判断だった。
未完成のまま収録することが、今の俺達にとって“完璧”だった。
結果として、これがPERFECTLY DEFECTiVE(完璧な不良品)という本作のタイトルを回収するやり取りになったのだ。
こうして、作品は息をしている。
今作における「FRiENDS」、それに「Wake Up! TOKYO」もそうか…収録される予定がなかった、制作される予定がなかった楽曲が結果的に作品の核になったり、逆に「2025.11.07 (demo)」のように、完成するはずだった楽曲が未完成の状態で収録されたり。
制作者ですら想像が出来ない、こういった偶然の積み重ねが生む“作品としての必然性”は、どれだけAIが作家の心情を学習しようと、どれだけ世のプラットフォームが画一的なものを高く評価しようと、絶対に奪えないものなのだと、改めて思う。
こうして生まれたアルバム作品は、1曲目がそれだったからこそ、2曲目の聴こえ方が変わる。最後の曲がこれだからこそ、その手前の曲の存在が意味を持つ。
この一連の必然的な流れが、起承転結では収まらない人生の記録が、起伏が、俺が思う“アルバム”の意義である。
アルバム制作の最後には、CDで再生した時に生まれる曲と曲の間の“無音の長さ”を1曲ずつ決めていく作業がある。ボーナストラックを含む全14曲を頭から最後まで全員で聴きながら、0.1秒単位で調整する尊い時間だ。
1を伝えるために100と向き合わないと、俺の中での“クリエイティブ”は成立しないし、100と向き合っても伝わるのは1以下なことがほとんどなのが人生だと思う。
でも、その“1以下の伝播”がどれだけ奇跡的で、尊いことなのかを再認識させてくれたのがこのアルバム制作でもあった。
2026年現在に、アルバムとして14曲をパッケージしたこの意味が、意図が、数十年先の未来でも残り続けていることを願う。
<Novel Core>
◆紹介曲「FRiENDS」
作詞:Novel Core
作曲:Novel Core・JUGEM・Yuya Kumagai
「Wake Up! TOKYO」
作詞:Novel Core
作曲:Novel Core・JUGEM・Yuya Kumagai・Yuki Uchimura・Hibiki Sato
◆メジャー4thアルバム『PERFECTLY DEFECTiVE』
2026年1月14日発売
<収録曲>
01. Overture for PERFECTLY DEFECTiVE
02. DiRTY NASTY
03. ビリビリ feat. JESSE (RIZE / The BONEZ)
04. あやとりコンテニュー
05. お金が足りない
06. Wake Up! TOKYO
07. FRiENDS
08. Skit
09. 2025.11.07 (demo)
10. HAPPY 365
11. HANERO!!!
12. C.O.R.E
13. EVER EVER GREEN
14. プライド



