秋田ひろむ作曲の歌詞一覧リスト  172曲中 1-172曲を表示

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曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
君のベストライフ 新曲amazarashi 新曲amazarashi秋田ひろむ秋田ひろむこれから始まる悲劇について あるいは、この覚束ない航路から逸脱した過失について この海洋にとってのウィルス あるいはバグか初期不良によって 良心の不履行に陥った 私たちの結末  僕は大嫌い 僕は大嫌い 君のベストライフ 僕は大嫌い 僕は大嫌い  僕は大嫌い 僕は大嫌い 君のベストライフ 僕は大嫌い 僕は大嫌い  誰も信じない 神様もいない 夢もクソもない 君のベストライフ 君のベストライフ ならば何を信じたい 何を愛したい 常々足りない 君のベストライフ 君のベストライフ 欠けたものを探した 当たり前を探した ついて回るやましさ どうせ皆加害者 分からないよ生き方 だから決めた死に方 それが君のベストライフ 君のベストライフ 全部大嫌い  青空に染み付いた一点の汚れのせいで この世を愛せなくなった パーフェクショニズムの後遺症 欠点まで愛せというなら 痛みを許容するのか 僕が抱える悪意は 海の底に沈めた  僕は大嫌い 僕は大嫌い 君のベストライフ 僕は大嫌い 僕は大嫌い  僕は大嫌い 僕は大嫌い 君のベストライフ 僕は大嫌い 僕は大嫌い  皆くだらない 人もくだらない 血も涙もない 君のベストライフ 君のベストライフ だから何か手にしたい 賛美はいらない 僕らだけの価値 君のベストライフ 君のベストライフ 生き残ったからには 掴む明日さらには 過去を汚した涙 勝者も元は敗者 分からないよ生き方 だから決めた死に方 それが君のベストライフ 君のベストライフ 全部大嫌い
僕が死のうと思ったのはジェジュンジェジュン秋田ひろむ秋田ひろむ僕が死のうと思ったのは ウミネコが桟橋で鳴いたから 波の随意に浮かんで消える 過去も啄ばんで飛んでいけ 僕が死のうと思ったのは 誕生日に杏の花が咲いたから その木漏れ日でうたた寝したら 虫の死骸と土になれるかな  薄荷飴 漁港の灯台 錆びたアーチ橋 捨てた自転車 木造の駅のストーブの前で どこにも旅立てない心 今日はまるで昨日みたいだ 明日を変えるなら今日を変えなきゃ 分かってる 分かってる けれど  僕が死のうと思ったのは 心が空っぽになったから 満たされないと泣いているのは きっと満たされたいと願うから  僕が死のうと思ったのは 靴紐が解けたから 結びなおすのは苦手なんだよ 人との繋がりもまた然り 僕が死のうと思ったのは 少年が僕を見つめていたから ベッドの上で土下座してるよ あの日の僕にごめんなさいと  パソコンの薄明かり 上階の部屋の生活音 インターフォンのチャイムの音 耳を塞ぐ鳥かごの少年 見えない敵と戦ってる 六畳一間のドンキホーテ ゴールはどうせ醜いものさ  僕が死のうと思ったのは 冷たい人と言われたから 愛されたいと泣いているのは 人の温もりを知ってしまったから  僕が死のうと思ったのは あなたが綺麗に笑うから 死ぬことばかり考えてしまうのは きっと生きる事に真面目すぎるから  僕が死のうと思ったのは まだあなたに出会ってなかったから あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ あなたのような人が生きてる 世界に少し期待するよ
インヒューマンエンパシーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ自分欺き嘘つくのはどんな気分だい 下らなくて泣けてくる最低だよ 新品にいっそ交換はできないもんかね 9Vの電池みたいに人生も  僕ら始めようとしてる じっと待ってたわけじゃない 信頼に足る未来を選んでただけ ずっと  今夜 美しい過去を持てなかった僕らは 失敗ばかりだったけど 悪くない失敗だったと 疚しさなく言えるように 見知らぬ船に乗り込む 人とは違う国へ この世の余所者として 生まれた場所は選べずとも 生きる場所は選ばせてくれ インヒューマン インヒューマン 叫べ  血液の代わりに血管を流れている メランコリーが傷口から溢れぬよう 社会性の絆創膏を張り替えたら 通勤電車も痛くない 痛くないよ  幸せ不幸せを定義するから 優劣に成り下がる 審判は傲慢な選別だ きっと  今夜 美しい過去を持てなかった僕らは 昨日に目を塞ぐから 明日も見えないと泣いて それでも手探りでゆく ここが暗闇な訳じゃない 僕ら自身の太陽が 各々の場所にあるだけ 生まれた場所は選べずとも 生きる場所は選ばせてくれ インヒューマン インヒューマン 叫べ  下らない毎日に付箋の代わりに 情熱と没頭を夥しく挟み 下らない鬱屈にアンダーラインを引き 言い訳と抗弁、肯定のコラージュ ねえ まだ足りない 欠けた過去埋め合わせる 説き伏せるもの ああ  今夜 美しい過去を持てなかった僕らが 美しい今を掴むとしたら 汚れたこの手だ 見捨てた全てに笑う せいせいしたと手を振る 勝ちや負けなんか通じない この世の余所者として 生まれた場所は選べずとも 生きる場所は選ばせてくれ インヒューマン インヒューマン 叫べ
ごめんねオデッセイamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ朝日が見たい 寝て起きて 食うための労働 生きるための咆哮 プラスアルファコード 止むを得ない表現欲求 ネット通販、パーソナライズ広告 消費と同じ棚に並べられた慟哭 衝動 情動 ひらめきの発光ダイオード 掴んでは消える毎秒 それと個人輸入代行 すぐ眠れるあれがいる 労働の鼻歌と歌詞が蝶々結びで風立ちぬ くそくらえマネタイズ  どうでもいい 躁でもいい 歩くべき道をひたすら歩く 見るために行くんだ 行くために作った 繋がりたいから握った掌 寂しさに憑りついたソーシャルメディア くそったれ奴隷化 去勢派 憧れは常に身体より早い だから満身創痍 みんな傷だらけだ大体 分かってる 分かってる 言わなくても分かってる そういう奴らの作品には常に血が混ざってる  行けども行けども降り積む雪ばかり 終わりは見えない ごめんねオデッセイ あの春眩い淀みない灯火 ここは寒い くださいください 木漏れ日を 木漏れ日を  「詩」と打ったら思いがけずに「死」と変換される 過去の自分から届いた言伝、ダイレクトメール 過ぎ去った日だと誤魔化す 在りし日のセルフオマージュ 後に分かるメッセージ、次元越えるクーパーとマーフ 変わらないものなんてなかった 悲しいかな その喪失自体が僕らをここまで突き動かしたんだと気付いた どれだけ失って必死に叶えた夢だって 後ろめたければじわじわ突き刺さってゆくナイフと似ていた  午前11時 待合室で待ちぼうけ 来るはずのものは来ないんだと気付いたからこその身の上 風が揺れて過ぎ去って カーテンレールが鳴らすオクターブ 呼ばれた名前が自分なのかすらも疑う 旅の結論に至る場所がこんな所とは まさか まさか と嘆いたのは夏の彼方 裸さながらあらわな雨傘 ならばただたださらば  行けども行けども降り積む雪ばかり 終わりは見えない ごめんねオデッセイ あの春眩い淀みない灯火 ここは寒い くださいください 木漏れ日を 木漏れ日を  失ってから気付くんじゃない気付くために失った そう言い聞かせれば後に発火して眩いユリイカ 観客席は今日も今日とて騒々しい無人だ 過去と未来が顕現する耳鳴りとスピーカー 疑いと確信の両翼で僕らは少し進む 項垂れた影が落ちる、日に焼けたリノリウム 陽の出る時を拒む、夜に住まうヒロイズム 過ぎた分は抜け目ない偽らざる一滴  誇れるものは何もない 賭けた五桁のバイト代 ありそうでも存在しない曖昧な才能の価値 一人の生身の人間が疲弊しながら進むのだ 擦り減った踵にこれまでの葛藤と苦難を想いな 未だに遠くで止むことはないあの日の8ビート 行きは勇み帰りには果てて眠る窓際のシート 我こそが陰日向に根を張り巡らせた詠み人 そう言い張る気力はまだあるかポエトリーよ  行けども行けども降り積む雪ばかり 終わりは見えない ごめんねオデッセイ あの春眩い 淀みない灯火 ここは寒い くださいください 木漏れ日を 木漏れ日を
君はまだ夏を知らないamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ七月の風は人見知りしない 車の窓から手を伸ばして握手をする 思い悩みは綺麗さっぱり捨ててしまいたい 嫌味を言うほど人生は長くはない  優しい奴と強い奴は 決して決して矛盾しない そんな事より海が見えたよ 夏が終わってしまう前に  永遠に続ような夜を見たのか 繰り返す波に途方に暮れたのか 君が見るもの全ての傍らに 悲しいと美しいが佇んで 泣かせた夜を恨んだとて 躓いた小石を罵るとて 自分自身はどうか憎まないで だって君はまだ夏を知らない たった七つしか  辛いことは全部話して なんて言われても気恥ずかしいから口ごもった 日焼けの跡は誇らしげに何かの証 だけど冬には消えてしまうこと僕は知ってる  正直者と利口な奴は 決して決して矛盾しない そんな事より明日どこに行く 夏が終わってしまう前に  星座の明かりに孤独を見たのか ヒグラシの死骸に命を見たのか 君が見るもの全ての傍らに 儚いと永遠が佇んで 下らない嘘に騙されたとて 薄汚れた欺瞞に憤るとて 自分自身にどうか失望しないで だって君はまだ夏を知らない たった七つしか  掌の上の小さいスノードーム 僕から見れば 君の世界は だけどそこには僕が知らない 透明で泥だらけな季節がある 教えてくれよ 綺麗なもの 木の根に埋めた宝物とか 恐ろしい事 恥ずかしい事 僕がとっくに忘れたこと  君の横顔に過去を見たのだ その痛みには身に覚えがあるのだ 君のその全ての一挙手一投足に 思い出と未来が同居して 君の真夏の出演者になって 世界の景色が変わる海辺 季節が留まり永遠ならいいな だって僕はまだ夏を知らない たった七つしか  僕は君との夏を知らない たった七つしか
自由に向かって逃げろamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ胸騒ぎは空蝉の花 夏は綺麗なソーダ色 あの子が恋する夜 僕は背景にすらなれなかった 蒸気船をぼんやり見ては 川沿いの草むらに捨て 蠅が群がっているのは きっとあの日の勇気だ  息を止めたら肺の奥で膨らむ 不安の原因はこの川下で行方知れず 夕方の空砲が鳴り響く頃に発見された 見るも無残な思い出に「そんなまさかって」泣き叫んだ  僕らの言い訳 どうか暴いてよ夕焼け 二度と自分を騙せないよう 僕の欺瞞を晒して 「いつか必ず上手く行く」 ならそのいつかを教えて 一秒も耐え難い痛みを知るなら 逃げろ、自由に向かって  朝の礼拝うまくさぼって 水車小屋で枝を削る 僕らを阻むものは“当たり前”と“それなり”だ 英雄にはなれなそうだ 僕らのあの冒険心は 幼い日の化け物屋敷 きっと置き去りにしてきた  教科書をインクで真っ黒に塗り潰して君は 「僕らが学ぶべきなのはこれだよ」って笑った あの日憎んでた大人に 僕は今日も頭を下げる あの日見下げてた大人だ「そんなまさかって」泣き叫んだ  僕らの言い訳 どうか暴いてよ夕焼け 二度と自分を裏切れないよう 僕の狡さを晒して 「いつか必ず上手く行く」 ならそのいつかを教えて 一秒も耐え難い痛みを知るなら 逃げろ、自由に向かって  巨大なリバークイーン号が太々しく川を行く その横をちっぽけな筏ゆらゆら 「いいか見ろよあの筏が 僕らなんだ 今に沈みそう だけど自由だ 君次第だ あの夕日を 撃ち抜くのだって」  夕焼けに誓ったんだ  僕らの言い訳 どうか暴いてよ夕焼け 二度とあの日に恥じぬように いつでも思い出させて 「いつか必ず上手く行く」 ならそのいつかに会わせろ 一秒も耐え難い痛みを知るなら 逃げろ、自由に向かって
俯きヶ丘amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむいつかがまだいつかであったとき 擦り減ったため息を束ねては積んだ 車両倉庫の雨音に 昔日の車輪は錆びて軋むばかり 昨日が愛おしいと泣いたら 昨日はそのまま意味で過去となった 自分を許すことに骨が折れる そういう風にできてないって 歯車と歯車が悲鳴を上げる サイズ違いの平日に 袖を通す夜行性の虫 国境を越えることを夢見て その短い手足を痙攣させて ああ我が故郷の 遠きエアレンデル 置いてきてしまった 未熟な涙が スペクトル観測にて発見された  枯れて咲く 痛みに似た 生命のほとばしり 忘れ去る 上空の地層に 埋めた亡骸を 掘り返して 掘り返して ただ暴いて 連れ帰る 掘り返して 掘り返して 腐敗として 連れ帰る
超新星amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむどこの誰だと問われ行く道を指さす 野望はあらすじより似付かわしい背表紙 今日の風はどうだ けぶる都市の荒野 itunesに弾を込めろ 銃座にアイロニー やった分の金は貰う だけど手にしたいのは 金で買えないもの だからこその出来事 喜び、ほころび 花は芽吹く泥濘 まさかとよもやが明日以降待つきっと  病んだって生きる為に笑う笑う 幸、不幸も生きていれば代わる代わる 行けるとこまで行く 行けるとこまで行く  失ったらもういいぜ 僕だったら超新星 眩しく輝いて 消えても消えない夢 駄目だったらもういいぜ 灰になれ超新星 目が眩む残像を 空の隅に残す 見上げてくれ葬式で  君の姿夕景 儚いその縁取り 涙こらえる瞳 祈りだけが付き添い 弱いと認めたとき味方になる無知の知 あやふやな勇気に、かさぶただある意味 君は輝く だけど絡まる 軋轢には憚る けど余計胸は高鳴る 早まる 覚えといて損はない「世の中そんな甘くない」 知った風な奴らは世の中代表じゃない  最悪な予感ばかりが付きまとい 君は夜に仄明るい月纏い どこまでも羽ばたけ どこまでも羽ばたけ  失ったらもういいぜ 僕だったら超新星 眩しく輝いて 消えても消えない夢 駄目だったらもういいぜ 灰になれ超新星 目が眩む残像を 空の隅に残す 見上げてくれ葬式で  報復が好物 隙を狙うローンウルフ 温みを知り頬擦る 子供の毛で血を拭う 幸福は過ぎた願い 目を背けた青空 虚飾も卑下も脱いで なお残る我が身アートマン 涙目 ありったけ 見たまんま傷だらけ 情けねえ姿で今日の生身を歌え 誰が為鳴る鐘 闇を穿つ雨だれ あなたへ突き刺され あと少しだ朝まで  所有権は僕以外あり得ない 一小節で世界凍り付かせたい これは手放せない これは手放せない  失ったらもういいぜ 僕だったら超新星 眩しく輝いて 消えても消えない夢 駄目だったらもういいぜ 灰になれ超新星 目が眩む残像を 空の隅に残す 見上げてくれ葬式で
クレプトマニアamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ振り向いたって何もない テザードみたいな出来損ない 今までさよならした人達 無事を祈ったって独りよがり したためる手紙は下手くそ でも伝わったんだ願うと 言語と海、越えた暗喩の末路 国境破りエスペラント  いつか言われた負け犬の歌 それを担保にむさぼった 書き下ろした数千行と等価 最後につじつま合わせる僕等 ここが始まり 今日が旅立ち 君は幸い 死んじゃいない 他は知らないこれさえあれば どうせ死ぬなら世界の果てだ  こっから先の事は知らない 全てが上手くいけばいい こっちは大丈夫 大丈夫 人の心配なんてしなくていい うるさいときは耳を塞げ 好きに歌う理想だけ どうでもいい どうでもいい この世のほとんどはどうでもいい  もう消えたい もう消えたい 底知れない トロイメライ 夢をくれ もっとくれ 目隠しをしたって手遅れ 失うものなどとっくにない 元はと言えば生きてる死体 想像はし難い生き様 騒々しく名乗るスピーカー
ディザスターamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ始まりは得てして些細だった 無知で非常識な夢想家 持たざる者特有の 怖いものなしの一歩 誰もが授かる訳ないギフト 限られてる手札くしくも 理解者ゼロだからひたすら 自殺志願者 オア 開拓者 青年のディザスター  無我夢中が貫く昼夜 鬱憤を打ち付けるシューター 「おまえじゃ無理」とのたまった 疑念の眉間を撃ち抜いた 共感と支持が伝播して 見ず知らずが共犯関係 伸るか反るかで伸る選べば 少なからず挑戦者  名シーンだけの人生じゃいられないな 不成功がもたらす栄光 延々待っても来ない順番は 不名誉が僕らの名誉で ディザスター 危機が訪れて あれがはじまりだとのちに知るんだよ 笑えてくるぜ 笑えてくるぜ  憧れ 現実 過去 現在 収支と事情 照らし合わせ 「今思えば」が彩る数多くのディスコグラフィ 肩書は進行形の作品 止まる訳いかない疲れたで 価値は語れない数字と金 昼夜逆転のダメ人間 歪んだ分濃い陰影  無力感がうるさい夜は ヘッドフォンで耳を塞いだ くそくらえと罵った声 自分に刺さり抜けない棘 もういいかと腰を下ろせば そんなもんかと夢が笑った 没後評価されて喜ぶ 作家なんているもんか  名シーンだけの人生じゃいられないな 不成功がもたらす栄光 延々待っても 来ない順番は 不名誉が僕らの名誉で ディザスター 危機が訪れて あれがはじまりだとのちに知るんだよ 笑えてくるぜ 笑えてくるぜ  嵐の前、靴紐きつく 朝方の荒野の沈黙 向かい風に背を預けたら 図らずも追い風になった 困難はふいに訪れて 野望とか動機を試す 人が押し付ける褒章は 心底くそくらえ  名シーンだけの人生じゃいられないな 不成功がもたらす栄光 延々待っても 来ない順番は 不名誉が僕らの名誉で ディザスター 危機が訪れて あれがはじまりだとのちに知るんだよ 笑えてくるぜ 笑えてくるぜ
まっさらamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ嵐に飲まれた次の朝 全部を失くして棒立ちだ 生まれたばっかの赤ん坊は きっとこんな気分だから泣くんだ 蛇口をひねって水を飲む 死にたいときでも喉は乾く 身体は足りないものを欲する 頭はいっぱいだと減らしたがる  できればシンプルに生きたいな 大事なものは一個でいい そう思っても増えてゆく 大事なものに苦笑い 守りたいゆえに投げやりな 無鉄砲も憚られるもんで それを臆病と言われんなら そう墓石に刻んで構わない  落ち葉を鳴らし歩く くたびれた町を撫でる 木枯らしが慰める きっと明日は雪だよ  君の目は真っ赤だ 何があった涙 泣きじゃくってまっさら 生まれ変わる明日 期待なんかしないと言ってたくせに 悲しくなってる馬鹿野郎 涙と後悔の落書きみたい 白紙に戻れない僕らだから  これまで傷つきすぎたから 多くは望まないってのは分かる だけどときたま訪れる 喜びにも眉をひそめて くさして、貶して、唾吐いて 捻じれた心に見失う 本当の自分なんてもんはいつも ゆがみの根元に雲隠れ  見上げた飛行機雲の 出所が見つからない だけど存在したのは 確かだ 確かだ  君の目は真っ赤だ 何があった涙 泣きじゃくってまっさら 生まれ変わる明日 これからの事は分からない 分からない事には怯えない 明日なんかに汚されはしない 白紙に戻れない僕らだから  嵐の晩に僕は願う 全部消えろとそっと願う 消えたら消えたできっと泣く 最悪な僕を押し込める 明日はいいことがあるって 根拠がないと不安になる だから根拠を探している 見つからないから泣けてくる  君の目は真っ赤だ 何があった涙 泣きじゃくってまっさら 生まれ変わる明日 描きなおせない絵画か 消しゴムのない長編小説 今日までに今日からを上書き 白紙に戻れない僕らだから
下を向いて歩こうamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ深呼吸したら動悸がなった 始まりも惨いデターミニズム 味方もいないその闘技場で 勝ち目ない一歩、揶揄されて これまで散々失敗はした その度帰り道は項垂れた 眠らせてくれない回想シーンは 「お前が始めたんだ」と笑う  まともになれた気が少ししてた よくやれてるんだと自負もあった 安心と自惚れと驕りは 足元を決して照らしはしない これが最後かもしれないから 当り前なんて思うな今が やり残しや言い残しはない それでようやくイントロ部分  無名風情 常に捨て身 独りさまよう 星が落ちていたら拾うつもり  終わってるんだよ 誰も彼も 俯く顔 照らし出す朝が来た 燃え盛る空に 背を向けて行く 僕ら下を向いて歩こう 空には青 心に遮光 ここでしか見えないもの 知り得ぬこと 綴る 太陽でも照らせはしない 名もないあらすじを  ネガティブと言われてもしようがない 生まれ育ちは偽れないから だけど良いも悪いも含めて 認められるならこれ以上ない 上っ面だけで「何とかなる」と 言われたいなら他をあたって 「どうせ僕なんか」が武器になった その方法は過去作にある  身元不明 故に無形 明日に刃向かう 涙隠すこともしない生身  終わってるんだよ 誰も彼も 俯く顔 照らし出す朝が来た 燃え盛る空に 背を向けて行く 僕ら下を向いて歩こう 侮辱に笑顔 胸元に野望 ここでしか見えないもの 知り得ぬこと 綴る 太陽でも照らせはしない 名もないあらすじを  見上げた憧れが 眩しくて目を焼いた 打ちのめされた僕は 夢の底に落ちた ただ咽び泣く 「だからこそ」が 分けた明暗 過去の清算 やがて成り立つその死生観 これは映画じゃなく生活  終わってるんだよ 誰も彼も 俯く顔 照らし出す朝が来た 燃え盛る空に 背を向けて行く 僕ら下を向いて歩こう 襲う嘲笑 上ずる歌唱 ここでしか見えないもの 知り得ぬこと 綴る 太陽でも照らせはしない 名もないあらすじを
僕が死のうと思ったのは海蔵亮太海蔵亮太秋田ひろむ秋田ひろむ高山和芽僕が死のうと思ったのは ウミネコが桟橋で鳴いたから 波の随意に浮かんで消える 過去も啄ばんで飛んでいけ 僕が死のうと思ったのは 誕生日に杏の花が咲いたから その木漏れ日でうたた寝したら 虫の死骸と土になれるかな  薄荷飴 漁港の灯台 錆びたアーチ橋 捨てた自転車 木造の駅のストーブの前で どこにも旅立てない心 今日はまるで昨日みたいだ 明日を変えるなら今日を変えなきゃ 分かってる 分かってる けれど  僕が死のうと思ったのは 心が空っぽになったから 満たされないと泣いているのは きっと満たされたいと願うから  僕が死のうと思ったのは 靴紐が解けたから 結びなおすのは苦手なんだよ 人との繋がりもまた然り 僕が死のうと思ったのは 少年が僕を見つめていたから ベッドの上で土下座してるよ あの日の僕にごめんなさいと  パソコンの薄明かり 上階の部屋の生活音 インターフォンのチャイムの音 耳を塞ぐ鳥かごの少年 見えない敵と戦ってる 六畳一間のドンキホーテ ゴールはどうせ醜いものさ  僕が死のうと思ったのは 冷たい人と言われたから 愛されたいと泣いているのは 人の温もりを知ってしまったから  僕が死のうと思ったのは あなたが綺麗に笑うから 死ぬことばかり考えてしまうのは きっと生きる事に真面目すぎるから  僕が死のうと思ったのは まだあなたに出会ってなかったから あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ  あなたのような人が生きてる 世界に少し期待するよ
スワイプamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむやくざのバイトで密漁 溺れて死んだ上級生 昔はやればできる子 憑りつかれたなら手遅れ 自殺者は年何万人 多重債務者の行く先 孤独死は何パーセント 記事では見えない想いないがしろ ガスってる山景、薄青 パッキングした幾つかの 思い出は捨てる 故郷の名も無き商店の屑かご 逃げられない 町の馴れ合い 半ば投げやり 駆けど宛てない 外は嵐で誓う決別 君は温い部屋で眠ってる  不景気な地方自治体 おばあちゃんかかる特殊詐欺 週明け上がる水死体 大人のせいで子供死んだり 全て忘れて踊れと怒鳴る祭り囃子 平穏の舞台裏に 出番を待っている死神 市民を殴る警備隊 不正も手当たり次第 砲弾発射の耳鳴り 都市近郊の軍事支配 逃れられぬ町で 僕らせめて夢を見たい 誰もが背負う生き恥 だから濃い夕日の色彩  暮れる 暮れる 暮れる陽を止めろ  絶えない勇気は篝火 煌々と君の喉仏を照らす だけど同時に苛立たしい ゆらゆらと揺れる陰が君を妬む やむ を得ずを選んだ手段に いつか選ばれる未来はぬかるみ やるしかないをやっただけ 手も真っ赤に染まった朝焼け 従って右ならえ そうすればありつけた端金 そんで支払ったのは幸せ 卑下で埋める部屋の隙間風 こっからもう一歩 抜け出す為の微かな希望 君の笑顔で癒えた傷がある 次は必ず上手くやる  不景気な地方自治体 おばあちゃんかかる特殊詐欺 週明け上がる水死体 大人のせいで子供死んだり 全て忘れて踊れと怒鳴る祭り囃子 平穏の舞台裏に 出番を待っている死神 市民を殴る警備隊 不正も手当たり次第 砲弾発射の耳鳴り 都市近郊の軍事支配 逃れられぬ町で僕らせめて夢を見たい 誰もが背負う生き恥 だから濃い夕日の色彩  暮れる 暮れる 暮れる陽を止めろ  ついに見えてきた出口 心なしか鳥たちもさえずり 上手くやれてる自分に驚く まさかあの日と地続き このまま君と手繋いで 胸躍る期待と未来へ けどすり抜けたこの手もしかして いつかの罪悪で血まみれ いつか僕も数字になる スワイプで過ぎ去る記事になる ここに存在する確かな想い 数行で語られる幻 泥沼の悲しみも どん底の喜びも 強奪された怒りも リライトできないシナリオ  不景気な地方自治体 おばあちゃんかかる特殊詐欺 週明け上がる水死体 大人のせいで子供死んだり 全て忘れて踊れと怒鳴る祭り囃子 平穏の舞台裏に 出番を待っている死神 市民を殴る警備隊 不正も手当たり次第 砲弾発射の耳鳴り 都市近郊の軍事支配 逃れられぬ町で僕らせめて夢を見たい 誰もが背負う生き恥 だから濃い夕日の色彩  今日をスワイプ 今日をスワイプ あらすじに閉じ込められた生涯 今日をスワイプ 今日をスワイプ 忘れ去られた叫びと贖罪
命にふさわしいAimerAimer秋田ひろむ秋田ひろむ玉井健二・飛内将大好きな人ができた 確かに触れ合った アスファルトより土 鋼鉄より人肌 無意識に選ぶのが 冷たさより温みなら その汚れた顔こそ 命にふさわしい  身の程知らずと ののしった奴らの 身の程知らなさを 散々歌うのだ 前に進む為に 理由が必要なら 怒りであれなんであれ 命にふさわしい  こぼれた涙を蒸発させる為に 陽が照る朝を 飽きもせず こりもせず 待っている 待っている 全部を無駄にした日から 僕は虎視眈々と描いてた 全部が報われる朝を  世界を滅ぼすに値する その温もりは 二人になれなかった 孤独と孤独では 道すがら何があった? 傷ついて笑うその癖は  そんなに悲しむことなんて無かったのにな 心さえなかったなら  友達ができた 理想を分かち合った 向かうべき場所に 歩幅すら共にした 裏切られたっていいと 道端ひれ伏すような 酩酊の夜明けこそ 命にふさわしい  失くした何かの埋め合わせを探してばかりいるけど そうじゃなく 喪失も正解と言えるような 逆転劇を期待してる そしてそれは決して不可能じゃない 途絶えた足跡も 旅路と呼べ  世界を欺くに値する 僕らのこれまでは 一人になれなかった 寂しがりや共が集って 道すがら何があった? 傷つけて当然な顔して  そんなに悲しむことなんて無かったのにな 心さえなかったなら  愛した物を守りたい故に 壊してしまった数々 あっけなく打ち砕かれた 願いの数々 その破片を裸足で渡るような 次の一歩で滑落して そこで死んでもいいと 思える一歩こそ ただ、 ただ、 それこそが 命にふさわしい  心を失くすのに値した その喪失は 喜びと悲しみは 引き換えじゃなかったはずだ 道すがら何があった? その答えこそ今の僕で  希望なんて いとも容易く投げ捨てる事はできる 心さえなかったなら  光と陰
心層廃棄物amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ廃墟になった町に 粉塵が今も漂う 強張った表情で 命令形の静寂 嘲笑と同じくらい 共感は粗暴で ドローンの鳥瞰映像にも 自動広告が流れる ここはゴミ捨て場 未来は高価だが 過去は上値に張り付いたまま 何かしらの自由意志も 希少というよりは滑稽で また愚かな青年が一人 選択を弄び あいつももう帰らないだろう  歯車ならば まだましだった 食い物にされ 骨も残らねえ 終わりに向かう 降車不能な 時代に乗った 飛び降りろ今  飛び降りろ今 飛び降りろ今
海洋生命amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ水を売るならば乾燥した砂漠で 安心を売るならば干からびた不安へ 不安がないならば、電波でばらまいて 強迫観念の砂漠を各地にばらまいて 目を閉じて、良心は「痛くない」と笑った 耳を塞ぎ、疑念も秋の凪さながら 口を閉ざし、譲歩と同調を患った 巻かれた長いもので首を括るつもりか  あの青年は 海洋生命か  惑星の壊死、海の生い立ち 折れ線グラフと蟻の自害 神経拒食ニルアドミラリ 良心の銃創 飢餓と畏怖の商業地帯 切断と盲信のクチナシ 性は集団主義に串刺し 悪心の水槽  狂乱の時代の舞台装置の添え木 馬鹿な振りして強引に引っこ抜くポエジー 価値観は眼差し メッセージは刃先 突き動かす幼い報われぬ日の形見 奪われたから奪うじゃ脱せない円環 許すことで得るはず 相応な哲学 降下する深海は母親のメタファー 存在の喘鳴を絶え絶え燃え上がらす  あの青年は 海洋生命か  惑星の壊死、海の生い立ち 折れ線グラフと蟻の自害 神経拒食ニルアドミラリ 良心の銃創 飢餓と畏怖の商業地帯 切断と盲信のクチナシ 性は集団主義に串刺し 悪心の水槽  父さん母さんもう悲しくなんかありません 泣きわめく代わりに慟哭を書き溜める ここはゴミ捨て場 切望たちの墓場 虐げられた同士達が集う洞穴 傷を舐め合う時代は過ぎているとっくに 醸造された憤りを回し飲む同類 死に物狂い おためごかしの警告無視 乱射する弾丸が射貫いたのは虚無主義  惑星の壊死、海の生い立ち 折れ線グラフと蟻の自害 神経拒食ニルアドミラリ 良心の銃創 飢餓と畏怖の商業地帯 切断と盲信のクチナシ 性は集団主義に串刺し 悪心の水槽
アンチノミーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ感情は持たないでください それがあってはこの先 きっと辛すぎる 人を愛さないでください 守るものが弱さになる きっと後悔するでしょう  嬉しくて笑い、悲しくて泣き 初めからそう設計されてんのかな だけど痛いと泣く心を 僕は疑えやしないよ  意味を捨て意志をとれ 生き延びて 生き延びて 息をするんだ 「すぐ帰る」が遺言 アンチノミー アンチノミー 心のバグだ 人として憤れ 感情を踏みにじる全てへ 機械仕掛けの涙 それに震えるこの心は誰のもの  自ら選択しないでください 革新によって安寧は揺らいでしまうので 情けはかけないでください 白と黒の間の無限の色彩に惑うでしょう  世界は数多の問、繰り返す 返答だけならば機械にだってできる 僕だけの迷いこそが 人の証左となるなら  意味を捨て意志をとれ 生き延びて 生き延びて 息をするんだ 自分殺し生きている アンチノミー アンチノミー 心のバグだ 人として憤れ 感情を踏みにじる全てへ 機械仕掛けの涙 それに震えるこの心は誰のもの  知性は持たないでください それがあっては真実を知ってしまいます 君と僕の違いは何? 痛み喜びもこんなに似てる 似てるから求め合う? 憎しみ合う? そういえば、この憎しみもよく似てる  涙声 離せない あなたの手 あなたの手 まだ温いんだ 屍として生まれ アンチノミー アンチノミー 世界のバグだ 人として憤れ 感情を踏みにじる全てへ 機械仕掛けの涙 それに震えるこの心は誰のもの
カシオピア係留所amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ生後間もない詩を引き連れ 桑の枝に旋律を括り付け 制服の丈に似合わない 言葉らを鞄に忍ばせて カシオピア係留所の灯りの下  逃れられない君の影の常に逆に 進むべき光 生まれながらに記されてた 足元にある宇宙の影絵 カシオピア係留所の灯りの下  秘めた意志 急かす未知 受け取って手渡すこと 身を焦がした この好奇心が身を滅ぼすと 知ったとしても  消えたりしなくて どうせ灰になるなら いっそ書きとめて 深く沈める 冷たくなる 胸の奥の方 胸の奥の方 この世にあるほとんどのものが 成し遂げた奴らの血の跡としたら この痛みだけは彼らと似ている 躊躇せず それを書き足せ その痛みは共通言語だ  夜空を塞ぐ星座に睨まれて 大きなものの一部だと悟った だけど迷い、選ぶ意志は 自分の中にあると知って カシオピア係留所の灯りの下  届かないならそれでいい 果たせないことが辛いよ 願うことも吹き消したとき 訪れた闇 でも本当は  消えたりしなくて どうせ灰になるなら いっそ書きとめて 深く沈める 冷たくなる 胸の奥の方 胸の奥の方 長い旅路 多くの涙と 苦悩の果てに やっと見つけた 原型も時に 容易く盗まれて 痛てえと笑い それを書き足せ その痛みは共通言語だ  それはまだ空が語る以前の 願い達が残した書置き 痛みの堆積が歴史だ それが僕らの最初の武器 カシオピア係留所の灯りの下  息を止めないで どうせ灰になるなら いっそ燃やして 駆動する鼓動 残さず遺す 胸の奥の方 胸の奥の方 この世にあるほとんどのものが 成し遂げた奴らの血の跡としたら それに立つこの言葉は 過去の誰とも違う 自惚れて それを書き足せ その痛みは共通言語だ
感情道路七号線amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa生きるために死んで 享楽にえずいて 欲しいのは機関銃 恐れと己の 顔面撃ち抜いて 僕の雲を抱いて 偲ぶは7号線 友よ、この歌を歌うな 環状線に鯨 排気ガスを吸って孤独に遊泳 スターフォール 墜落したホームセンター それか確か僕の無名  この街には何故かポスト見当たらないのは 誰も伝えたいことなんて無くなったから サイレンが非常事態を叫ぶ毎日 ならば生きる為に叫べアイデンティティ  不許可の心携えた者の末路に 病める血気に頬が赤く染まるのを見た 大切なものは変わらず今日も手の中 毎夜確かめる変わらず今日も手の中
火種amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa背中が透けて見えるぜ 非実在のテレプラズム 半死半生の体躯を 歩かせるのはなんだったっけ? 拒絶を繰り返し 傷ついて ふんだくられて たまらず自分を呪えば 深い闇も連れとなった  「誰のせい」とか 「何処で間違った」とか 決意が廃るぜ 選んだのは僕だ  現世に惑う 不徳に踊る 泣き叫んだ声なき声 救うんじゃなく 元に戻すんだ僕が ねえ これ努努、忘るるなかれ 胸翳る常闇にこそ きっかけ、引き金 いっそ眩しく世界を焼く 火種はあの日の呪いだ  棺桶に片足突っ込んで やらなけりゃやられる覚悟で 一歩ずつに命を賭すが 窮地は僕に微笑んだ 成就も安心も 夜道つけ狙う盗人 その頃には己の敵は 己の中にしかいない  夜店通りに 風の通り道 陽は届かずとも 咲く花を見たのだ  現世に惑う 不徳に踊る 君は誰だ? 己に問う 暴くんじゃなく 思い出させるんだ僕が ねえ これ努努、忘るるなかれ 胸翳る常闇にこそ きっかけ、引き金 いっそ眩しく世界を焼く 火種はあの日の呪いだ  風が止まった 夕日が沈んだ 闇に潜んだ君の出番だ 世界で一つ 君だけにしか変えられないもの それは君の生き方 開戦前夜 僕ら誓った約束も 黒煙に紛れてもう見えない 照らして 痛みで 君の不幸が役に立つ あの日自分を呪ったのは君じゃないか  現世に惑う 不徳に踊る 先も見えぬ苦境にこそ 壊すんじゃなく 照らしだすんだ僕が ねえ これ努努、忘るるなかれ 胸翳る常闇にこそ きっかけ、引き金 いっそ眩しく世界を焼く 火種はあの日の呪いだ
ロストボーイズamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa電車に乗り クラスメイトに使い古しの挨拶 鈍行的な会話には いつも運転手はいない 始まりにはいつも 溜息が出ちゃうな 始業式や朝礼や 今日一日の目覚めとか  ここじゃない気がしてる でも理由は分からない 憂鬱ってのは知ってる でも漢字じゃ書けない 馴染めない訳じゃないから 始末に負えない テニスコートの夕暮れ 寄る辺ないサッカーボール  少年は闇の中 金属バットやカッター ナイフとかハサミでは 切り裂けない夜がある 将来の話とか 神様も知らないこと 真夜中は短すぎる この世の謎暴くには  朝焼けに白む町 全速力で駆け抜け 夏と風を追い越して あの子に逢いに行けたらな 夜は影を隠すけど 太陽が暴くから 僕の恥が地面に張り付いて 泣かないで ロストボーイ ロストボーイ  人と違うような気がして よく鏡を見てた 宇宙人や化け物じゃ なくてよかった でも言葉や思考を映す 鏡なんてないから 安心できない 安心できない  少年は闇の中 マルボロと車泥棒 不登校とオーバードーズ 入り組んだ夜がある 誰にも話せないこと 吐き出した濁ったもの この世の終わりなんだ ゴミ箱を漁られたら  朝焼けに白む町 訳もなく涙が出て これを青春と呼ぶなら めでたい奴もいたもんだ 夜は涙隠すけど 太陽が暴くから 僕の恥が地面に張り付いて 泣かないで ロストボーイ ロストボーイ  神社で吐く煙、夏の雨 待ちぼうけ君のバス、ガスト前 悩み多き少年の手に 覚束ない夢とわずかな小銭 鏡にくたびれた顔 宇宙人のがましだったかも 少年は欲望眼中映す けど今じゃ木造ワンルーム  少年は闇の中 十年経っても闇の中 襲われる「あの頃良かったよな」 振り解く「まだまし今の方が」 自意識過剰なくせに はなはだ無鉄砲で気難しい けどそいつに諭される時々 そんな夜、未だに幾つもある  朝焼けに白む町 世界に憎まれったって 憎んでるのはこっちだと 金網をくぐり抜けて 大人は少年を隠すけど 真夜中が暴くから ほらあの日の少年が舌だして 泣かないで ロストボーイ ロストボーイ
間抜けなニムロドamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa間抜けなニムロド 冬枯れの街路樹の根本 コインを拾うと 瓶の王冠と気付いて 指切り手袋、湿って 舌打つクリスマスマーケット 電飾に繋がれた星が 生意気に光る  君はどんどん速くなる 時間すらそれに戸惑う 理解されるより、理解するんだ 君が指揮者 涙と笑顔着こなして 高飛車に季節を奏で いつか掘り起こそう 雪解けの庭 今日の化石を  かわいいニムロド 悩みの夜、眠りの水際 鼻歌はまるで ノイローゼのハミングバード 魔法はとうに解けたから 解決法は知恵の輪 それでも疑うことはしないで 正しく痛がる  背丈は語彙を飛び越して 分からずともなお喋れ 押し付けられるより、押し付けるんだ君の意味を 嘘もどんどん上手くなる あざむいて胸を撫で下ろす そして、のちに腐れ縁になる負い目が 産声あげる  地元の四辻を右往左往 街を出ればもう笑い話 小さな街の小さな部屋で 小さな星の小さな国で 大きなニムロド 身体もいずれそれに似合うよ 大きなニムロド 銀河が目の奥、渦巻いてる  君がどんどん離れてく 寂しさすら目を見開く 汚れた爪で引っ掻いたのは 確か、世界の不確か 変わらぬものを変えるのが そう信じる者だけなら 愚かさも時には強さになる もしかしたらだけど
かつて焼け落ちた町amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa世界中どこでも暮れる ありふれた夕日が 特別になったのは 僕らの育った町 知ってしまったから ここはかつて焼け落ちた町  笑えよ 泣けよ歌えよ 言葉は下らない 未来には届かない 僕らが頭を抱える 人生という旅路は帰り道 死ぬまでの  毛布に包まって 静寂の音に震え 花芽吹いて森が茂って 人が増えて集落となって それを戦火が全部さらって それに泣いてまた立ち上がって  人が集えばそこが町で いい人、悪い人もはらんで いがみ合って 愛し合って それを人は生活と呼んで 額に汗、騙し騙され 食う為には友も裏切って 生きてますか? 生きてますか? ここはかつて焼け落ちた町  僕らが耳を澄ませる 海原には祈りが 沈んでるかもしれない 僕らが暮らしてる土地 そこには屍が 埋まってるかもしれない  歴史は繰り返し 土だけがそれを見ている たかが百年生きぬ癖に 生きる死ぬに悩みは尽きない 喜びの歌は未だ止まぬ 悲しみの歌もまた然り  陽が昇ったらそこが朝で 呼んでもないのに明けやがって 悩んだって 辛くたって 朝日の中、命たずさえて 人と人とが家庭になって そこで僕ら産声を上げて 生きてますか? 生きてますか? ここはかつて焼け落ちた町  人が集えばそこが町で それを戦火が全てさらって 青森空襲で焼け野原 瓦礫の中、焚き火に集って 人が集えばそこが町で 怒りも悲しみも持ち寄って 「この子だけはどうか助かって」 それが僕の親父の親父で  君が居るからここが家で 家があるから僕らの町で 生活して 歳をとって 朝日の中仕事に向かって 突然の悲劇に泣いたって 人と人とで慰めあって 生きてますか? 生きてますか? ここはかつて焼け落ちた町  僕らの町 ここが僕らの町 ここが僕らの町
アダプテッドamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa満たされなさに名前を付けたら 図らずとも幸福と呼ばれた 主義主張 躁鬱シャーマニズム 段ボールハウス居住サルトル 路線バス 錆びた車体 経年劣化する思考 欲情の二乗 麦藁帽子を掛けた軽トラ 初月無料 女子アナ プラウト  アダプテッド  立ち食い蕎麦 神降ろしにて食し ウインドウズ 便箋 世は情け 過大評価 過小評価 キルユー 宙ぶらりん 文庫 シティーライト 出会いと別れ切符切りそびれ ホスピス横たわり終末医療 患った不治の病、青春 あの夏の尻尾掴みたい  アダプテッド  森の呼ぶ声を聞いた 僕は死んだ 真夏にあの子抱いた一夜  きらめく星空は 僕らを貫通してった弾痕 天の川は創傷 世界に二人だけ 観念だけになって 口角を上げた夏 絶唱 絶唱  社用車で昼食ついぞ嘔吐 なんだかんだあって今、水死体 身辺整理 七つ目の夜に 鉄道唱歌 口ずさみ行こう 惚れた腫れたの日銭物乞いに 南無阿弥陀仏 漁船 夢違え 死ぬには広すぎる海底では ただよっている ただ酔っていアダプテッド  夕闇彼方が燃えた 僕は死んだ あの子が世界を変えた一夜  きらめく星空は 僕らを貫通してった弾痕 天の川は創傷 世界に二人だけ 観念だけになって 口角を上げた夏 絶唱 絶唱  煌々と燃えたる朝焼けの 照らす窓辺に 古新聞 古雑誌 古自分 古自分 苔むす生に串さして 哲学たちんぼとおりゃんせ とおりゃんせとおりゃんせ 笑う音がいとおかし  あなたがいれば死んでもいいか 死んだらどうか 相談しようそうしよう  きらめく星空は 僕らを貫通してった弾痕 天の川は創傷 世界に二人だけ 観念だけになって 口角を上げた夏 絶唱 絶唱  アダプテッド
戸山団地のレインボーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa戸山団地のレインボー あれはまだ引っ越したばっかの 八月の激暑 青森じゃ数年に一度の 買えなかった冷房 扇風機はしおらしく重労働 夢見てた成功 バイトも辞めて失くした退路  子供の頃から焦がれて 虜になった 幾人もが辞めて 無理と笑われて もう夢物語じゃない 現実の肌触り 金と生活の狭間に 夢が挟まってたんだ  戸山団地のレインボー 僕はまだ信じてみてもいいか? ああ 今だけの音色 苦悩、苦痛も不可欠な色彩 土砂降りのレインボー 序章だけずっと生きてた気がして ああ 行き先不明瞭 エンディングは迎えにこないから  44号線の 農道と新幹線の高架下 日陰者の根城 すれ違うのは軽トラと季節だけ 足取りを清書 憤りも推敲を重ねて 泥のついた名著 労働の空き間に夢が暮らしてる  自分を疑いそうなら いっそ疑って 問い詰めたんだ 本心はどうなんだ? 月末の支払いに もどかしいこの苛立ち 天秤揺れる余地もなく やるしかない人生だ  戸山団地のレインボー 僕はまだ信じてみてもいいか? ああ ここだけの音色 不平、不満も不可欠な色彩 土砂降りのレインボー 助走だけずっと走ってきたんだ ああ 行き先不明瞭 エンディングは迎えにこないから  居酒屋、カフェ、県のイベント タウンホール、前座、武道館 どこだって歌わない上辺 どうせ賑やかしには似合わねえ 根拠のない自信はもう捨てて 根拠のある自信を探し出せ たかが太陽光の反射に ほだされて定まった決意じゃねえ  失敗や困難だらけの僕らだから 僕らだけの景色を描けるはずだよな その返事みたいに 合図みたいに 虹が架かった 道は繋がった  戸山団地のレインボー 君はまだ信じていてくれるか? ああ 僕だけの音色 失意、挫折も不可欠な色彩 土砂降りレインボー 序章からやっと抜けたところ ああ 行き先不明瞭 エンディングを迎えに行くんだ  戸山団地のレインボー あれはまだ引っ越したばっかで 夢見てた成功 希望を足せば僕だけの色彩
アオモリオルタナティブamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa放課後チャリでにけつライブハウス たくやのムスタングは水色 どんな未来を迎えようとも 恐れるに足りぬ 青さが血走る MarshallとOrangeツインギター 道違えど出所は同じ トラブったら入力から辿れ 最初に言われた 間違いなかった  国道から脇道に入り 陽も届かぬ路地に 世間知らずがたむろすれば 世間知らずが世間だった  あっち行ってこっち行っても 君はもうきっと大丈夫 どっから来たかの話じゃなく 何処へ向かうかの話ならば 法被着て神社横丁 話し込んでぬるいハイボール 今夜、数多の答え合わせ 生きてる限り何かの途中  仕事の愚痴 娘、反抗期 病んだことも挫折したことも 笑い話にできたことは多い そうじゃないことは誰もが秘めるから 所々に涙の跡 ヘンゼルのパン屑みたいに辿る むつ市本町通り雨上がり いつのわだかまり 今夜種明かし  くたばる為に生きた訳じゃねえ 歩いた道程を 負けや恥と吐き捨てるな それこそが君の成り立ちなんだから  あっち行ってこっち行っても 君はもうきっと大丈夫 思い出話の栞程度 不幸はピリオドなんかじゃねえ 法被着て神社横丁 話し込んでぬるいハイボール 過去と今日との答え合わせ 生きてる限り何かの途中  ミスった時こそ涼しい顔 伺うんじゃなく睨みつけろ ここぞという時にペダルを踏め 鬱屈も増幅すればアートたり得る 幾度挫けて身の丈を知って でも「ひょっとしたら」が「もう一度」と急かす 人生変える何かにも始まりはある それが今日じゃ駄目な理由は一つもない  あっち行ってこっち行っても 君はもうきっと大丈夫 自分の成り立ちを知ってこそ 理想の成り行き描けるんだ 法被着て神社横丁 話し込んでぬるいハイボール いつかこの歌の答え合わせしようぜ 僕らはずっと途中
空白の車窓からamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa初めの一歩はいつも恐ろしい 空白は見渡す限り 昔は空っぽに思えた だから怖くて塗りつぶした 逆恨みや愚痴にはじまり 「それでも」ってとこに至った 強迫観念に似ていた 没頭が坂を転がった  いざ行かんと始める決意 旅路の身支度と同義 終わらせる覚悟、梱包し スーツケース詰め込む行為 しんとした部屋が名残惜しい 静寂の全てを所有し シンクでは弾けた水滴 その程度が僕らの汽笛  終わることなんか知らなかった もう取り戻せないあの無邪気さ ただ知らない君より 知った君が 持ち得る光源 新しい夜へ 季節も昔は別れ惜しんだ 今じゃ「またな」も言わず去って ただ車窓の景色の速度だけ早くなる 僕と歌だけ運んで  去っていった人は多い ここ数年においたって 状況ならそれぞれだし 祈るよ彼らのこの先 離れた場所で上手くやって 笑って再会なら幸い だけど取り残されたような 酒では溶けきれぬ寂しさ  進んでるか戻ってんのか 早いのか遅いのかなんて 景色が見えてこそ分かって たまにそんな気付きがあって 僕にとって彼は景色で 彼にとって僕は景色で そうだ寂しさの原因は 同じ電車に乗れたらって  終わることなんか知らなかった もう取り戻せないあの無邪気さ ただ知らない君より 知った君が 持ち得る光源 新しい夜へ 上手く笑えない僕の手には 後どれくらいのやめない理由 ただ車窓の景色の速度だけ早くなる 僕と歌だけ運んで  どっかで諦めている しょうがない、と思うことが多くなった 人は死ぬし 変わる 譲れないものが一つ僕の身体を貫いて 地面に突き刺さってるどんな風が吹いても折れないように どんな波が襲っても流されぬように そして、景色だけが流れてく 流れてく 流れてく またな またな また会えるかな また会えるよな もう無理かもな もう無理だよな  終わることなんか知らなかった もう取り戻せないあの無邪気さ ただ知らない君より 知った君が 持ち得る光源 新しい夜へ この先は空白だ もう恐れない 自由とはなんて寂しいんだろう ただ車窓の景色の速度だけ早くなる 僕と歌だけ運んで  さよならまたねと別れたから 今日も会いに来たよ ただそれだけ
1.0amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaあれから色々あったけど こちらは変わらずにいます いつも手紙感謝します 少なくともあなたは1です 僕にとってあなたは1です 窓越し木々からまだらな陽光 季節はほとほとせっかちで 酷く焦ってしまうもので 時間は平等と言いますが 平等ほど残酷なものはないですね  世界に望み託す人には 世界は薄情に見えるものです どうだっていいか  ほんとのとこ後悔ばっかりで 今日も眠れない夜が来て 悔やんでも悔やみきれず 成仏できない想いが 真っ黒な夜に成りすまし 真っ黒に塗りつぶす空に 一粒の星明りだって 見当たらない街の底で  それでもしがみ付く光を 生きていく為の言い訳を 死んではいけない理由を 悲しむ家族の顔とか 掴みたかった憧れとか 希望と呼べる微かなもの 見つかりますように 見つかりますように  悲観とは未来にするもので そう考えると悲観してるだけましだと思いませんか 「どうにかなるさ」という言葉は 他人ではなく自分に使うものです  他人に期待する人には 他人は無情に見えるものです 勝手にしてくれ  季節外れの海水浴場にて 寄せては返す過去と未来 出会いと別れ、光と陰 そんなものと遠く離れて ただ息をしてたいだけなのに 涙がこぼれそうになって もう無理かもなって もう無理かもなって  それでも逃げ出せない因果を かつての嘲笑も罵倒も 後ろ指差されたこととか 全部帳消しにできるもの 嵐でも折れない旗の様に 絶対的に誇れるものが 見つかりますように 見つかりますように  友達も学校も 家族も社会も 恋人も 世界との繋がりが煩わしかった 僕らを縛り付けていた無数の糸は 繋ぎ止める為のものだった この世界へと  きっと0か1でしかなくて その間に海原が広がり 泳ぎきれずに藻掻いている 生きたがりの亡霊たちが 凍える心に声も無く 消えたい願いすら叶わず 死にたいなんてうそぶいたって 対岸の灯が眩しくて  それでも逃げ込める居場所を あなたを呼び止める声を もうここで死んだっていいって 心底思える夜とか 報われた日の朝とか あなたにとっての1が 見つかりますように 見つかりますように  「どうにかなるさ」って言える あなたにとっての1が 見つかりますように 見つかりますように
僕が死のうと思ったのは松下優也松下優也秋田ひろむ秋田ひろむ山内薫僕が死のうと思ったのは ウミネコが桟橋で鳴いたから 波の随意に浮かんで消える 過去も啄ばんで飛んでいけ 僕が死のうと思ったのは 誕生日に杏の花が咲いたから その木漏れ日でうたた寝したら 虫の死骸と土になれるかな  薄荷飴 漁港の灯台 錆びたアーチ橋 捨てた自転車 木造の駅のストーブの前で どこにも旅立てない心 今日はまるで昨日みたいだ 明日を変えるなら今日を変えなきゃ 分かってる 分かってる けれど  僕が死のうと思ったのは 心が空っぽになったから 満たされないと泣いているのは きっと満たされたいと願うから  僕が死のうと思ったのは 靴紐が解けたから 結びなおすのは苦手なんだよ 人との繋がりもまた然り 僕が死のうと思ったのは 少年が僕を見つめていたから ベッドの上で土下座してるよ あの日の僕にごめんなさいと  パソコンの薄明かり 上階の部屋の生活音 インターフォンのチャイムの音 耳を塞ぐ鳥かごの少年 見えない敵と戦ってる 六畳一間のドンキホーテ ゴールはどうせ醜いものさ  僕が死のうと思ったのは 冷たい人と言われたから 愛されたいと泣いているのは 人の温もりを知ってしまったから  僕が死のうと思ったのは あなたが綺麗に笑うから 死ぬことばかり考えてしまうのは きっと生きる事に真面目すぎるから  僕が死のうと思ったのは まだあなたに出会ってなかったから あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ  あなたのような人が生きてる 世界に少し期待するよ
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
鴉と白鳥amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa際立って透明な 霜が降りる頃 鴉の目玉は瑠璃色 凍てつく寄る辺ない夜を 忌々しく睨み続けたから  街へ降りれば石を投げられて 森では鼻摘まみ者 ほとほと疲れて逃げ込む 納屋で憂鬱を育てた  愛されたいと願うことを 恥じてしまうには十分だった この長い孤独は  この羽根が黒く染まってしまったのは 妬みで黒ずんだ泉に浸したから 声が酷くしゃがれてしまったのは 憎たらしい人生を 夜通し罵り続けたから  失意のほとりで 出会ったあの人は 桑の実の紅い目玉と白い羽根 陽の光集め 故郷へ帰る旅路の途中  普通じゃないのは人と違うから 人と違う二人が揃えば 僕らだけの普通  その羽根が白く空にはためくのは 故郷の雪景色の天鵞絨を纏うから 僕らきっとどこか似ていた それはこの地上で 同じ痛みに集うから  「ここにいるべきじゃないよ もっと相応しい場所があるよ」 君はそう言い旅に戻った 白い羽根が空に際立った 同じ色に交れば普通で 他に交れば僕ら除け者 所在変われど僕は変わらず僕である この羽根と等しく そんな僕を僕は誇るよ  この羽根が黒く 忌まわしくはためくのは 僕が僕である痛みに羽ばたくから 声が酷く耳障りなのは 憎たらしい人生を 未だに罵り続けるから  際立って透明な 霜が降りる頃 白鳥の目玉は紅色 旅路のもの懐かしさと 別れた人に泣き腫らすから
境界線GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむどんな風景その目に映した 星が灯った最後の瞬き 諦観、それも今となりゃ野暮か 夜は暗い 誰も明かりを持たねば  誰も知らない 名付けられない 僕らの火花が 少し照らしたのは 干からびた土 焦げた瓦礫 確かに笑った君の日々  境界線の向こう側で 忘れさられ終わる定め そう知りながら 屈服することを許さぬあの声は かつての戦友か 己の心か 存在意義はいつだって自分以外 例えば君 その声だけ 届く距離ならば 微かに灯る火を 僕は希望だって呼べる気がしたんだ  こんな風景見たくはなかった 泣いた声を塞いだ泣き声 「向こうは怖い」とでかい声がして それが伝播して残響が人を刺した  善良を粗暴へ容易く変える その一声は紛れない正義だ 惨い獣に姿を変えるのは いつの時代も守るため  境界線の向こう側で 打ちのめされて 悲嘆に暮れて それでも尚 自分偽ることを咎めるあの声は 故郷の残像か 己の心か 存在意義はいつだって自分以外 例えば君 その声だけ 届く距離ならば 微かに灯る火を 僕は希望だって呼べる気がしたんだ  薄情な決断も 選び取った無謀も 屈した敗北も 妥協した選択肢も こうならざるを得なかった 昨日を恨むから 次こそ選ぶんだ 僕が許せる僕を 今日を  境界線の向こう側で 足掻く人々 嘆く人々 目にしながら 沈黙することを選択するならば 僕らは共犯者 人たりえたのか 存在価値はいつだって自分の中 個々に宿る銘々の色 胸に抱いたなら 微かに灯る火が 最後の星空と どこか似ていたんだ
僕が死のうと思ったのは藍井エイル藍井エイル秋田ひろむ秋田ひろむRyosuke Shigenaga僕が死のうと思ったのは ウミネコが桟橋で鳴いたから 波の随に浮かんで消える 過去も啄んで飛んでいけ  僕が死のうと思ったのは 誕生日に杏の花が咲いたから その木漏れ日でうたた寝したら 虫の死骸と土になれるかな  薄荷飴 漁港の灯台 錆びたアーチ橋 捨てた自転車 木造の駅のストーブの前で どこにも旅立てない心 今日はまるで昨日みたいだ 明日を変えるなら今日を変えなきゃ 分かってる 分かってる けれど  僕が死のうと思ったのは 心が空っぽになったから 満たされないと泣いているのは きっと満たされたいと願うから  僕が死のうと思ったのは 靴紐が解けたから 結びなおすのは苦手なんだよ 人との繋がりもまた然り  僕が死のうと思ったのは 少年が僕を見つめていたから ベッドの上で土下座してるよ あの日の僕にごめんなさいと  パソコンの薄明かり 上階の部屋の生活音 インターフォンのチャイムの音 耳を塞ぐ鳥かごの少年 見えない敵と戦ってる 六畳一間のドンキホーテ ゴールはどうせ醜いものさ...  僕が死のうと思ったのは 冷たい人と言われたから 愛されたいと泣いているのは 人の温もりを知ってしまったから  僕が死のうと思ったのは あなたが綺麗に笑うから 死ぬことばかり考えてしまうのは きっと生きる事に真面目すぎるから  僕が死のうと思ったのは まだあなたに出会ってなかったら あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ あなたのような人が生きてる 世界に少し期待するよ
令和二年amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa旅支度終え 誰か呼ぶ声 情熱からおよそ遠い情熱 今日ならば晴れ 風はしわがれ 旅立つことない旅立ちの日  君の鼻歌 今日ばかりは この町のBGMみたい 頼りなさげなマスク越し  とげられぬ夢 やむを得ぬ故 恨めしく睨む空 令和二年 封切りの映画 新譜のツアー 中止の入学式 令和二年  焦りと暇を持て遊ぶ歌 物理的でないからこそ痛む 悲しくないね 楽しくないぜ 感情は軒先で行き倒れ  歩道でキャッチボール 子供らの笑顔と不均衡 こんな時でもお腹だってすくもんな  買出しに行く 君を見送る それだけで憂う 令和二年 カーテンを閉めるのに何故戸惑う 夕日に君の背中 令和二年  優しくすることもできる 傷つけることもできる 武器にも薬にもなるなら 僕はどちらを選ぶだろう 変わる 世界の隅っこで 分かつ 個々の小宇宙 繋がる術を持つ僕らの 心 応答せよ  封鎖の公園の桜 誰に見られずとも咲いた 残念だな 残念だな 約束したはずなのに  仕事がなけりゃ 先立つは金 見捨てられた市井 令和二年 先は見えない 「けど大丈夫」 僕に嘘をつかせた 令和二年
世界の解像度amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa俯瞰で見れば 世の理のような色彩 当事者となり 凝視すれば粗悪な落書き ありえないことが何度起こった 君が生きている間に その度目を伏せて 無かったことにした 今や忘れた  悲劇も喜劇も 同じ容量 数メガ単位のBGM 聞きながら 命からがら  壊れた世界泣きついて やっぱ僕らにはなかった 人の才能も そんな世界の解像度 今日も残酷の過密かき分け やるべきことに疲弊して 残す生きていた証拠 合わせる世界の解像度 君の視点 僕の視点 何が見える  騙し騙され うんざりして耳を塞ぐのは 気持ちは分かる けどそのせいで僕ら生き別れ もう今更だよ 善か悪とか それより繋ぎ直すんだ 断線したライト 夜は明かりがいる 何はともあれ  外は嵐で 悲惨だけど君は 無防備な滑走で 笑うから 抗うから  君は君だけの場所で 目を閉じないで見ていて 個々の視点、再縫合 新しい世界の解像度 いつかの欺瞞の成功にすがって 奴らが明日狙うのは どうせ過去の再放送 それが彼らの解像度 今日の視点 過去の視点 何が見える  一瞬で日常は終わる 一生その虚しさ付きまとう 終わり恐れることから始めて だって僕ら忘れてしまうだろ 生と死を生きて 日々の喜びと音楽を傍らに 宇宙の果てから君の細胞 繋ぐ直線に僕の骸 泣きながら手をとった もう終わったあなたの手 まだ終わらない僕の手 これから始まる君の手  壊れた世界泣きついて 頭いかれても歌うぜ 思索の倍音と 響き合う世界の解像度 会いたかったと言いに来た 句点じゃなくここは読点 その痛みや悔恨も 繋げば世界の解像度 何が見える 何が見える 何が見える
太陽の羽化amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa群生するススキが 気が狂ったように手招きしてる 日差しは赤味がかり 夏では写せないものを露わにする それは そろそろ訪れる 太陽の羽化  状態としての生をボンネットに縫い付けて 身体を輸送する僕は 誰かが描いた白線に沿って  風景にこびりついた憂鬱 とたんに思い出が痙攣する  砂漠に埋まった貝殻で指を切る 今日も来る 暗色の悲しい兆し ついに訪れる 太陽の羽化 だけど 片方だけ 翅はなかった  季節ならさっき出て行った つまらない歌を置いてった 僕らは遠く離れた 取り返しのつかないほど  浮かぶことを諦めた 太陽が町を照らした 始まることをやめた今日が いつもの日常の振りした
馬鹿騒ぎはもう終わりamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa今日が壊れて もう、お開きの時間だ 散らかった部屋を出て デッキで最後の一杯 君はまだ若い風を シャツの裾に飼っていて 朝がやがて来るはずの 地平線をそっと撫でる 馬鹿騒ぎはもう終わり  ラグの模様が変わってら ピザソースとビールで 時に汚した人生は 書き直したことにして ふしだらな政治家に 怒るのは分かるけど ワイン瓶で割ったテレビ 弁償はしてもらうぜ 馬鹿騒ぎはもう終わり  時に自分を失った気になるよ 抗うつ剤や手の温みや給付金や 不在届や自身の不在やいや 砂嵐 胸騒ぎ 今は亡き 17歳 馬鹿騒ぎはもう終わり  読みかけスワン家のほうへ ゴミ箱のコンドーム 便所で寝てる友人 いや、あんた誰だっけ どこまでも行けるけれど、あえて行かないって顔で この世界に腰掛けては 退屈と飲み交わした 馬鹿騒ぎはもう終わり  僕らの片手では 取りこぼしてしまうんだ ほら、たった今落とした 車のキーみたいにね 「止めておきな 死んじまうよ」 君が可笑しそうに言う 「止めておきな 死んじまうよ」 確かにね 確かにね  時に自分を失った気になるよ 晴れた土日やアルコールやセロトニンや 深い眠りや海底は暗いやいや 砂嵐 胸騒ぎ 今は亡き 17歳 馬鹿騒ぎはもう終わり  頭痛だけが残った狂熱 真夏に干上がるいつかの夢 散らばった野心と向こう見ず 微笑みと無防備な迎合 正しさは時々ヒステリー 線路の 朽ちてゆく枕木 五月の湿った土の匂い 影踏みというより影踏まれ  片づけが終わったら 朝が来たら 僕らはどこに 向かうんだろう それはね それはね 君がつぶやく 「それぞれの人生に戻るの」  馬鹿騒ぎはもう終わり
曇天amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaとにもかくにも僕らの日常は奪われた 描いた未来ひび割れた その破片がこれだ 八つ当たりの罵倒やいらつき、自己嫌悪の里親 疑心暗鬼にとって心の陰こそがまほろば 天気予報ばかり気にして うつむき加減スマホで 今日も今日とて薄雲に太陽は朧げ 日照不足、長雨の令和二年、夏のわだかまり 綴る歌詞にも何故か湿っぽさが間借り  持ち合わせてるつもり人の為に痛める心 だけどもう噂話に配る余裕はない同情 人の知りたいって欲望は果てしない 時にはしたない その引力に逆らい唾を吐く罰当たり 悲劇にだって付いて回る数字と金勘定 人気投票はいいが無視されてる下位の感情 だから頷けない、売れたもん勝ちって価値観 結局は権威主義の上で尻尾を振れってまじか  出来るならばそんな騒ぎとは遠く離れたい 小さな幸福だけど無垢だからこそ馬鹿でかい 分からない奴は分からないままでいい 分かるべき奴だけが気付くテレパシーで作詩してる作品 昨日までと違う日常に右往左往している まるで捨て犬 「神様、仏様」ってフレーズ ここで終わりか 駅前、シャッター街また増えてる せしめるだけせしめて与えない救世主  そうか行くのか この町の栄枯盛衰 訳は知っているから引き止めることもできずに 「またな」と言うな または来ないと知りながら 無理に笑うな 別れはすぐ癒えるかさぶた  もし明日事故にあったら もし明日会社が潰れたら もし明日愛する人が死んだら もし明日疫病が流行ったら もし明日災害が起こったら そんな「まさか」が 何度もあったこの数年を見てきたあなたが 手にしている花束 弱い者や少数派をないがしろにしてはいけないって訳は 明日なり得るあなたの姿だからだ  今日も鳴らすか 取るに足らない音楽と言葉を 今のところは一人で 祈りを没頭に結わえて 陶酔が晴らす憂鬱の煙霧を 出来るならば分かち合いたい仲間たちも してるはずだ苦悩を 今日の苦心が作る未来の高揚を 今日の落ち込みが作る事態の報告書 疑いそうになる自分を保つのは 結局は創作 たかが凡作 されど音楽  始まり彼方 音に連れられては遠ざかる 疲弊物語る けどこんな時こそ用がある 今日も曇りか 降らないだけましだ旅立て 後は任せた 今日の僕が行けぬ場所まで  そしてまた階段を一段一段下りてゆく 暗闇に心の葛藤だけが反響する もう一人の自分と今日もそこで落ち合う 見張り合う発想には いつだって静寂が寄り添う 光によく似た 温もりとそっくりな 春の日差しと見紛うような まだ名前のない赤子は 祖父と似ていた 生と死の結び目、そこで僕は立ってた 名付ける前に僕が名付けられた  怒り苦しみ 悲しみだってどうせ消えない 新しい一日に完璧なんてもう求めない それを知ったって生きてみたくなるような 喜びがあることを知ってしまった だから歩こうか 今日も曇りだ 雨は降らなそう 覗く車窓 人がまばらな公園で今日は遊ぼう 「暑いからマスクはしなくたっていいさ」 不安なく言えるのはまだ先か その未来は  忘れない為に書き殴る今日の出来事 エンドロールまだ来ない悪夢ならペンをとろう やるせない令和に この空こそふさわしい 騒がしい巷に雲行き怪しい暮らし
積み木 acoustic versionamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ息の仕方思い出したよ あなたは今も 優しい顔で笑っていますか 笑っていますか 時が過ぎて遠くへ来たな 振り返るばかりじゃ いられないけど  光が射し込んだ この部屋の片隅で 分かり合えたこと 幾つも無いんだけど それでもそれらを 高く重ねようともがく 僕等 積み木で遊ぶ子供みたいに  何があっても負けないように 最期に僕等 笑っていられたらそれでいいんだよ それでいいんだよ 少し上手く行かなかっただけ 僕等はそれにただ泣いただけ  光が射し込んだ この街の片隅で 確かに掴んだもの 幾つも無いんだけど それでもそれらを 高く重ねようともがく 僕等 積み木で遊ぶ子供みたいに  あなたが居なくなった日も 叶わぬ夢を見ていた 悲しい事などあるのでしょうか あるのでしょうか  さようなら さようなら くだらない感傷を捨てて しっかり歩けるのか わからないんだけど それでも全てを 上手く歌いたいともがく 僕等 積み木で遊ぶ子供みたいに 僕等 積み木で遊ぶ子供みたいに
東京 acoustic versionamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむああ 全て見ないように 世界の隅々に落ちている 憂鬱や悲しみが あなたのものではないように  明日が音も立てずに 東の海から巡り巡って また消えて 夢を見るんだ ただそれだけだ  冷め冷めと笑う東京の 影に立って歌ったら あなたには見えないものが 僕らには見えてきたよ  忘れてはいけないことと 忘れなくてはいけないことを あなたと分け合って 辛いとも言えずに僕は消えた  空には星もないのに それすら気付かず笑う 笑って また泣いて 夢を見たんだ ただそれだけだ  冷め冷めと笑う東京の 影に立って歌ったら あなたには見えないものが 僕らには見えてきたよ  胸が痛くて 言葉が出ないよ 傷だらけの僕に 叫ぶんだ「さよなら」  冷め冷めと笑うあなたに 僕の声が届かない 僕らには見えないものが あなたには見えていたんだ  冷め冷めと笑う東京の 影に立って歌ったら あなたには見えないものが 僕らには見えてきたよ
独白amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa私が私を語るほどに 私から遠く離れてしまうのは何故でしょうか? 身を投げた漆黒の太陽が 遺言のごとく焼き付けたひと夏の影絵は トイレの汚物入れの中で真っ赤に滲んで泣きじゃくるばかりです 殴られた痣はすぐ消えてしまった いっそ消えずに一生残ればよかった 誰かを憎む理由をこの身体に誇示して 全てを切り裂く免罪符となれ 物心ついた私は白痴でキチガイで あなたがそう呼ぶからそれにふさわしい人間になった 「どこにでもいる真面目な子でした」「まさかあの子が」 世間様の暇つぶしに辱められた自尊が 良からぬ企みを身ごもるのも必然で 言葉を殺した あれが死に損ないの言葉ゾンビ  『言葉を殺した』という言葉だけが残った 途方に暮れた十五歳の夏  流れていった涙や後悔の時間に 今更しがみつくほどの未練は持ち合わせず 過去の痛みが全て報われたわけじゃない 私の痛みは君の失望にこそ芽吹く この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物との いかなる類似も必然の一致だ だが現実の方がよっぽど無慈悲だ  ひぐらしの声 夕涼み 恋占いはフルスモークのハイエースに連れ去られた 精霊は事件性にも宿るか 底なし沼の水面にたかる虻達の祈りか 被虐者の呪いか 愛されなかった分や 報われなかった分や 人それぞれの身体に空いた無数の穴ぼこ 埋め合わせる為に犠牲になった何かが 差し詰め生涯悔やむことになる、むごたらしい致命傷 通り魔や殉教者や死にたがりの志願者 結局のところ誰もが未来の加害者 「まさかあの子が」と口走る前に顧みる 私の過去の痛みはあの子の為にこそ使う 「言葉にならない」気持ちは言葉にするべきだ 「例えようのない」その状況こそ例えるべきだ 「言葉もない」という言葉が何を伝えてんのか 君自身の言葉で自身を定義するんだ  流れていった涙や後悔の時間に 今更しがみつくほどの未練は持ち合わせず 過去の痛みが全て報われたわけじゃない 私の痛みは君の失望にこそ芽吹く この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物との いかなる類似も必然の一致だ だが現実の方がよっぽど無慈悲だ  音楽や小説 映画とか漫画 テレビ ラジオ インターネット 母が赤ん坊に語る言葉  友人との会話 傷つけられた言葉 嬉しくて嬉しくてたまらなかった言葉 喜び 悲しみ 怒りだとか憎しみ かつての絶望が残す死ぬまで消えない染み それが綺麗な思い出まで浸食して汚すから 思い出も言葉も消えてしまえばいいと思った  言葉は積み重なる 人間を形作る 私が私自身を説き伏せてきたように 一行では無理でも十万行ならどうか 一日では無理でも十年を経たならどうか  奪われた言葉が やむにやまれぬ言葉が 私自身が手を下し息絶えた言葉が この先の行く末を決定づけるとするなら その言葉を 再び私たちの手の中に  奪われた言葉が やむにやまれぬ言葉が 私自身が手を下し息絶えた言葉が この先の行く末を決定づけるとするなら その言葉を 再び私たちの手の中に  再び私たちの手の中に 今再び 私たちの手の中に 言葉を取り戻せ
拒否オロジーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa応答せよ、応答せよ  本日、7号線を南下する北風を見送った東北から 押し黙る空を無数に漂流する、出口無きそれぞれの地獄たちへ 「色々あったな」では済まされない、色々の一つ一つを あるいは、 未だ得体のしれない、心に翳り続ける憂いの数々の出生を つまびらかにする為に 性懲りもなく 相も変わらず ここに立って呼びかける  応答せよ、応答せよ  ミズーリを疾走する、若き太陽熱と無暗な排気量をもって 人が生きるという巨大な山影に抵抗を試みる少年らは 一つの苦悩につき、一つの窃盗を夜ごと働き 世界への仇討ちが大儀であるかのような腹を決めた形相で 小さな悪事をけち臭く積み上げた 結果、多くの証明を反故にされた私たちはついには瞳を濁し その青い栄光と失敗にブックカバーを被せ 雪が降る朝のプラットフォーム 出勤前の束の間の空白に かじかんだ手でページめくれば あらゆる行間に孤独が住み着いたのだ 私の叙情も感傷も、果たせなかった拒絶である 電波塔が貫く空も、下校する子供らの足取りも、果たせなかった拒絶である カナリヤが鳴いている それと同じように、私の拒絶は震えている  応答せよ、応答せよ 檻を蹴破れ 服役囚よ  都市の路地 文字起こし 星殺し 拒否オロジー
夕立旅立ちamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaいい事なんかなかった街でも 別れる時には寂しくなるんだな 出掛けに見送り沈丁花 友達よまたな 恋人よさらば  夕立旅立ち 行く先に光 懐かしい夢達 未だに覚めないし 泣いたり凹んだり その度生き返り 新しいあんたに 再び日は射し  過ぎ去る家々を数えて その数の人生 その数の別れ 僕はまた一つ賢くなる 「あん時ああすれば」 それも過ぎ行く風景  夕立旅立ち 行く先に光 懐かしい夢達 未だに覚めないし あん時確かに 泣かないと誓い 始まりの汽笛 別離の響き  都会のせわしない暮らしにも したたか風が吹く 田舎の風が吹く あんたの顔も忘れちまった そういう事にして 忘れた事にして  夕立旅立ち 行く先に光 懐かしい夢達 未だに覚めないし 儚い見間違い 都会に影法師 遠々しいあの街 仰ぎ見 幾年
帰ってこいよamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa稲穂が揺れる田舎の風は 置いてきぼりの季節の舌打ちか溜め息 駅の待合室でうらぶれて 誰彼構わず 憂鬱にする 憂鬱にする どうせ出てくつもりなんだろ この町ではみんなそう 決意は揺るがないか 迷いなどはないか 故郷を捨てるつもりか 気に病むな、それでいい 振り向くな 立ち止まるな  花、そぞろ芽吹くとも、芽吹かざるとも  幼い頃に遊んだ校舎の壁が ひび割れた分僕らも傷ついた ガードレール ゴールポスト 漁港のはしけ この町は何もかも錆び付いて 美しい思い出なんてあるものか 記憶の中じゃ泣いて挫けてばかり この町が嫌いだとみんな言うが 早く出ていくんだと決まって言うが  帰ってこいよ 何か成し遂げるとも、成し遂げずとも  君のその愚直な心は 満員電車などに潰されたりはしないのだろうが 額に汗 将来 野望 人間関係 地下鉄の路線図みたいにこんがらがって 信頼出来る人が傍にいるならいい 愛する人ができたなら尚更いい 孤独が悪い訳じゃない ただ人は脆いものだから すがるものは多い方がいい  真っ黒な夜 真っ黒な夜でこそ思い出せ 生まれた町を 今年も花が咲いたよ  遠くで鳴る境内の祭り囃子 君が居なくたって夏は過ぎるけど 知らせ無くとも 今か今かと 待ち人の面影に振り返り 祭りの後、闇と静寂が落ちて 砂浜に花火と狂騒の残骸 季節巡れど心は止まったまま 君が出てったあの時のまま  帰ってこいよ 何か成し遂げるとも、成し遂げずとも  菜の花畑の風車 コンビニも出来て 分校の校舎も建て替えられて あれから大分経った この町も様変わりしたよ 勤め先は相変わらずないから 若い奴らはみんな出ていった 昔よく遊んだあの公園も 今年取り壊されるってさ  夢を叶えたって胸を張ろうが やっぱ駄目だったって恥じらおうが 笑って会えるならそれでいい 偉くならなくたってそれでいい ビルの谷間勇ましく歩く君が 陽に照らされた姿を想うのだ 忙しくしてんならしょうがないか 納得できるまで好きにしろ  帰ってこいよ 何か成し遂げるとも、成し遂げずとも
アルカホールamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa宵の淵に腰掛け物思い 街は馴れ馴れしかった、当時 でも、親しい顔すれば素通り 脆い思い出は溶けてしまった氷 彼はキスした手首の傷に 朝日に素面の顔は気まずい 目の下のクマは黒い三日月 温いシーツに香りの名残はずるい  外と隔離した部屋で 飲み干す傷病手当 現実に悪酔い どうせ咲かぬ蕾 間引かれるなら どうか私から  はしゃいだ分だけ寂しい 空虚に化粧ほどこし 夕映えが最後に 頬を赤く染めてくれる そしたら綺麗と言って 良かったころの思い出 口を塞いで黙らせて 今だけ見ろって  ア ア ア アルカホール フォール  バスではいつも汗が酷い 焦る日ほど信号は黄色い ミーティングで静寂に身じろぎ 動悸 他人はいつも私には遠い  はみ出した者が泣く だからどうとかじゃなく 諦めていい 理由には十分 宛名ない速達で黒が来る  幼い頃ママが言った「あなたは天使だ」って だから天国をスリップして この部屋に落ちた すでに羽根もがれたけど 今さら飛ぶ気もないの だからなんだって言うの ただ一つ、ママごめんね  ア ア ア アルカホール フォール  軽薄な喧騒と耳つんざく音楽 その波にさらわれて全部忘れたはず こんな夜の孤独とか いつかの綺麗なキスとか 夜遊びの冬の匂いとか 笑ったはずの季節とか 朝方打ち上げられて 顔を覆って泣いてる 記憶の死骸達でアクセサリー作って 「綺麗でしょ?」「綺麗でしょ?」ってずっと泣いてる あの子は誰だっけ?なんて私に聞かないで  寂しい分だけはしゃいで 後ろめたさあしらえば 無邪気な顔の夜が 全て匿ってくれる そしたら綺麗と言って こんな惨めな私を 口を塞いで黙らせて 全部夢だって  ア ア ア アルカホール フォール
マスクチルドレンamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaこの世界は少し煩すぎるから カーテンを全部閉め切ったよ 結露した窓を擦って覗くように 恐る恐る世界を窺ってた 忙しい日々がやがて土砂となり それに憧れは埋没して 気付いた時には もうすでに手遅れで 息もできぬまま数年が経ってた  諦めの萌え木 レジスターの奴隷 心が腐らないように 冷凍する必要があった 弁当をレンジで温めながら 心溶かしてくれ 心溶かしてくれ  表情すら隠す癖に 分かってほしいだなんて 後ろめたくて当たり前 夜勤明け光る朝焼け こんな一日の終わりに不釣り合い まだ何も成してない 僕の今日を照らさないで  頭ん中が少し煩すぎるから 喜怒哀楽を全部殺したよ うざい客の怒鳴り声も遠く響く その分ビールの本数も増えたけれど 飲み屋で同級生の自慢話には 相槌打って愛想よく くだらねえと唾を吐く心の声に 一番くだらないのは僕だと青ざめる  昔描いてた 将来や夢は 最低賃金で売り払った こっから歩む一歩の価値も たかが知れてる どうせ底値なら 心躍る方へ せめて望む方へ  言いたい事言わぬ癖に 分かってほしいだなんて 無視されたって当たり前 東京に取り残されて 僕が居なくたって回ってく世界 まだどこにも行けない 僕の今日を無視しないで  僕は今日もマスクをして家を出る 口煩い東京から身を隠す為 言えない事を言わなかった事にする為 やれない事をやらなかった事にする為 そしたら僕の声も失くしてた 自分にさえ本音隠すようになってた  本当は飛び出したい癖に 僕なんかじゃ無理だなんて 「そんなことはないよ」だって 誰も言ってくれるわけねえ そんな一日を幾つ殺して 僕は今最低に立ってる 僕の始まりには似合ってる  居ても立っても居られずに 家とは逆の方向へ 後ろめたささえ晴々 同じようで違う朝焼け 理想叶える為犠牲になってくれ 最低な幕開け この始まりを照らしてくれ
抒情死amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaアイデンティティが東京湾に浮かんでいる 巡航する豪華客船のその波で 浮遊してる やがて沈む 物珍しそうに 乗客は人だかり 助けるべきか? いや、あんな得体のしれないものには触れるな あれはなんだ? あれはなんだ? あれはなんだ? あれはなんだ?  受諾と拒絶 拒絶 拒絶 手は組めないぜ ただじゃ死なないぜ 許可されて生きる 命ではないよ ああ私の私 応答途絶 途絶 途絶 生きているなら声を聞かせて 徐々に蝕まれる暮らしの抒情詩 ああ詠い続けて  何が善で何が悪か 白と黒分かり合えずいがみ合って 灰色が割って入って お互いを認め合うべきだと 懐から取り出す 共感を見て いや、そんな危険かもしれないものには頼れるか それはなんだ? それはなんだ? それはなんだ? それはなんだ?  受諾と拒絶 拒絶 拒絶 先生や医者 神様にでも 変えること出来ない形と中身 ああ私の私 応答途絶 途絶 途絶 生きているなら声を聞かせて 徐々に蝕まれる暮らしの抒情詩 ああ詠い続けて  受諾と拒絶 拒絶 拒絶 拒絶 拒絶 拒絶 拒絶  不法投棄された千億の陰口 焼却処分だ見栄も顕示欲も 僕らは内側、静かな場所へ行こう それなのに自分を無くせって 従えって 我慢しろって 強い風に吹き飛ばされて落ちた 東京湾  形と中身 私の私  受諾と拒絶 拒絶 拒絶 冷笑や脅し圧力にさえ 歪めること出来ない形と中身 ああ私の私 応答途絶 途絶 途絶 生き抜いたなら顔をみせてよ 徐々に蝕まれる暮らしの抒情詩 ああ詠い続けて
死んでるみたいに眠ってるamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa法律を破りたい いい人なんか報われない ホールデンとかディーン・モリアーティ 車を盗んで逃げ出したい 所詮僕など俗物だ でもそれに居直るような 物質の奴隷はごめんだ 命の喜びは裏切れない  悲しみだって喜びさ 何もそれは現実逃避じゃなく 震えるこの身の震源地が 恐れの向こうで脈動するから  死んでるみたいに眠ってる 泥を掴む度汚れてく 耳をそばだて聴いてみる 寝息は未来の匂いがする  精神的にまいっちゃった 原っぱ寝そべって休みたい そいつを僕は罵った もっと働けと罵った 断固として過去は否定したい 青春は安寧との闘争だ 新しい歌を歌いたい ラジカセで聴いたフォーエバーヤング  死んでるみたいに眠ってる 悲しみの眉間を撃ち抜く 枕元には修羅が立つ 涙を流して怒ってる  間違ってることは支持できない それは根本的な尊厳だ 野垂れ死ぬなら本望だ 僕のまま僕を終えるなら  死んでるみたいに眠ってる 誰かが遠くで手を振ってる 僕はそれを無視してる 見えているけど無視してる 死んでるみたいに眠ってる 泥を掴む度汚れてく 耳をそばだて聴いてみる 寝息は未来の匂いがする
そういう人になりたいぜamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa僕はあんまり出来た人間ではないから 君が嫌になってしまうのも しょうがないと思ってるよ きっと 人にとって大事なものなんてさ 一人に一個だろ それが君だとは言い切れない僕さ そんな歌を歌ってしまう僕を見ても 君は笑ってるぜ そうだその笑顔を好きになったんだ 嘘つき 泥棒 人殺し ねぇ神様 僕の神様は そうだ君の笑顔なんだ  涙こらえて立ちつくす 人の背中をそっと押してやる どんな時だって優しい顔 そういう人になりたいぜ 「めんどくせぇな」って頭掻いて 人のために汗をかいている そんで「何でもねぇよ」って笑う そういう人になりたいぜ  確かな暖かい宝物積み上げたら 幸せになれると 僕はそうずっと信じてきたけど 結局僕はいつまでも 馬鹿野郎 僕の幸せは 君の幸せではないんだ  自分らしさ見失わず 人の事もちゃんと思いやる 人前で泣き言は言わないぜ そういう人になりたいぜ 当たり前に心から笑えて 当たり前に日々を駆け抜けて 当たり前に疲れて眠ってる そういう人になりたいぜ  そういう君が好きだから そういう君が好きだから  君の気が狂っても待っている奴がいるぜ 君の家が無くなっても帰る場所はあるぜ 君を守る為世界を終わらせてもていいぜ そこで僕は凍えて死んじまったっていいぜ 夕焼け空が悲しいな 世界が終わりそうな色だから 洗濯物は放っておこう 世界は明日も続くけれど  さよならでも涙見せず いつもと変わらない その笑顔 自分の事より人の心配 そういう人になりたいぜ 「バイトはちゃんと続けなきゃ駄目よ。新しい部屋は決まったの? 君は君の思う道を進んでね そういう君が好きだから」  そういう人になりたいぜ そういう人になりたいぜ
とどめを刺してamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa失望したって君が言う時 君は失望の彼女みたいだ 夜明け前だ 血の気の引いた空 死人みたいな一日がまた来る  君の瞳は拒絶していた 曖昧な受諾と定めと 時間がくれるはずだったもの そのほとんどを おかしいのは自分以外 嫌いなくせに笑ってるパラノイア 悲しい風には泣かない 悲しいなんて認めない  ねえ二度と泣かないように 君を脅す君にとどめを刺して 僕と逃げよう 地の果てまで 追っ手は暗闇 明日無き逃亡  「誰にだって辛いことはある」 そういうのは自分にだけ言って 君の辛さを平凡にしたがる 人の無自覚が誰かの辛さになる  青い国道をひた走って 逃げ切れるような気がした 何かに追われてるような気分に追われてた 鼓動が速い分だけ 人より速く進めると言い聞かせ 苦しい顔で走らない 苦しいなんて認めない  ねえ二度と泣かないように 君を見くびる君にとどめを刺して 僕と逃げよう 潔白ではいられなかった人生 呪いながら  立ち寄ったダイナーで 君と僕の顔写真 指名手配のニュース 「自分の気持ちを殺害したとされる男女二人が」 「計画的逃亡」 「服装を変えながら」 「知人の元を転々と」 ねえ カーラジオのボリュームを上げて ねえ もっと上げて 最高な気分なんだ 笑いが止まらない どこまでも行けそうだ どこまでも行けそうだ  ねえ二度と泣かないように 君をいじめる君にとどめを刺して 僕と逃げよう 命尽きるまで この世に恩義も義理もないさ  急カーブ、猛スピード そりゃそうだ この結末は もちろん想像した 曲がりきれぬ道を曲がろうとしたんだ せめて最期は 笑っている為
ひろソンジェ from SUPERNOVAソンジェ from SUPERNOVA秋田ひろむ秋田ひろむcorin.ひろ お前に話したい事が 山ほどあるんだ聞いてくれるか? 何度も挫けそうになった事 実際 挫けてしまった事 お前の好きだったセブンスターを 吸うのも肩身が狭くなったし 彼女も「禁煙しなきゃね」って 言うもんだから まいるよな  あの日と同じ気持ちでいるかっていうと そうとは言い切れない今の僕で つまりさお前に叱って欲しいんだよ どんな暗闇でも 照らすような強い言葉 ずっと探して歩いて ここまで来ちゃったよ  もう無理だって言うな 諦めたって言うな そんな事僕が許さねえよ 他に進むべき道なんてない僕らにはさ お似合いの自分自身を生きなきゃな いつも見送る側 それでも追いかけた 間に合わなかった夢を憎んだ でもお前の居ない世界でも なんとかなるもんだ それが悲しい お前はまだ19歳のまま  やりたい事をやり続ける事で 失う物があるのはしょうがないか やりたい事も分からなくなったら その後におよんで 馬鹿みたいだな  どんなに手を伸ばしても届かないと思ってた 夢のしっぽに触れたけど 今更迷ってしまうのは 僕の弱さか 日の暮れた帰り道 途方も無い空っぽに 襲われて立ちすくむ 都会の寂寞に  もう無理だって泣いた 諦めたって泣いた でもそんな物きっと自分次第でさ 他に進むべき道なんてない僕らにはさ お似合いの言い訳を選んでただけ いつも見送る側 それでも追いかけた 諦めかけた夢を掴んだ でもお前の居ない世界じゃ 喜びもこんなもんか それが悲しい お前はまだ19歳のまま  今年も僕は年を取って お前は永遠に19歳で くだらない大人になってしまうのが 悔しいんだよ 悔しいんだよ なぁひろ 僕は今日も失敗しちゃってさ 「すいません、すいません」なんて頭を下げて 「今に見てろ」って愛想笑いで 心の中「今に見てろ」って なぁこんな風に かっこ悪い大人になってしまったよ だらしのない人間になってしまったよ お前が見たら絶対 絶対 許さないだろう? だから僕はこんな歌を歌わなくちゃいけないんだよ  ガキみたいって言われた 無謀だって言われた それなら僕も捨てたもんじゃないよな 誰も歩かない道を選んだ僕らだから 人の言う事に耳を貸す暇はないよな いつも見送る側 なんとか飛び乗った 身の程知らずの夢を生きている でもお前の居ない世界じゃ 迷ってばかりだ でも それもガキらしくて 悪かないのかもな 僕は歌うよ 変わらずに19歳のまま
空に歌えば緑黄色社会緑黄色社会秋田ひろむ秋田ひろむ穴見真吾・soundbreakers虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば 後悔も否応無く 必然 必然 なるべくしてなる未来だ それ故、足掻け  蜃気楼 涙の川を漕ぎ出して 幾星霜 さよなら 行かざるを得ない 何を失ったとて  忘れない 悔しさも 屈辱も 胸に飾って  虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば 後悔も否応無く 必然 必然 断ち切るには眩し過ぎた 未来へ、足掻け  人を傷つけずには 本懐は遂げられず 失って構わないと思える 理想が道しるべ  笑うなら 笑ってよ 嘲笑も 道連れにして  あの日の君の声 言いたかった事 言えなかった事 空に歌えば 後悔を振り切って 必然 必然 投げ出すには背負いすぎた それ故、足掻け  苦悩は一陣の驟雨となりて 行かすものかと足にすがる嘲笑の泥濘 雨雲に幽閉 隔離された空 捕縛された暗がりからの逃走 掴んだものはすぐにすり抜けた 信じたものは呆気なく過ぎ去った それでも、それらが残していった、この温みだけで この人生は生きるに値する 失意の濁流を抜けて 曇天から射す一条の光 その時、既にもう 雨は上がっていた  虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば あの日なにか叫んでた君の声 言いたかった事 言えなかった事 空に歌えば 後悔も連れ立って 必然 必然 終わらすには失くしすぎた それ故、足掻け 有限 有限 残り僅かな未来だ それ故、足掻け
季節は次々死んでいくKKKK秋田ひろむ秋田ひろむKen Kamikita・Teruaki EDDY Tanahashi季節は次々死んでいく 絶命の声が風になる 色めく街の 酔えない男 月を見上げるのはここじゃ無粋  泥に足もつれる生活に 雨はアルコールの味がした アパシーな目で 彷徨う街で 挙動不審のイノセント 駅前にて  僕が僕と呼ぶには不確かな 半透明な影が生きてる風だ 雨に歌えば 雲は割れるか 賑やかな夏の干涸びた命だ  拝啓 忌まわしき過去に告ぐ 絶縁の詩 最低な日々の 最悪な夢の 残骸を捨てては行けず ここで息絶えようと 後世 花は咲き君に伝う 変遷の詩 苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも  明日は次々死んでいく 急いても追いつけず過去になる 生き急げ僕ら 灯る火はせつな 生きる意味などは後からつく  君が君でいるには不確かな 不安定な自我が 君を嫌おうと せめて歌えば 闇は晴れるか 根腐れた夢に預かった命だ  拝啓 忌まわしき過去に告ぐ 絶縁の詩 最低な日々の 最悪な夢の 残骸を捨てては行けず ここで息絶えようと 後世 花は咲き君に伝う 変遷の詩 苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも  疲れた顔に足を引きずって 照り返す夕日に顔をしかめて 行こうか 戻ろうか 悩みはするけど しばらくすれば 歩き出す背中 そうだ行かねばならぬ 何はなくとも生きて行くのだ 僕らは どうせ拾った命だ ここに置いてくよ なけなしの  拝啓 今は亡き過去を想う 望郷の詩 最低な日々が 最悪な夢が 始まりだったと思えば 随分遠くだ どうせ花は散り 輪廻の輪に還る命 苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも  季節は次々生き返る
未来になれなかったあの夜にGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ「色々あったな」の 色々の一つ一つを つまびらかにしたくて ペンを取ったわけですが もう君の好きにしてよ 僕も大概好きにしてきた 僕の事は忘れて 他に行きたい場所があるんなら  名誉ある潔い撤退より 泥にまみれ無様な前進を 尻尾を振る称賛の歌より 革命の最中響く怒号を あの日の情熱の火はいずこ 悔しさを並べたプレイリスト そぞろリピート音楽と風景 後悔、浄化する過去の巡礼  まさかお前、生き別れたはずの 青臭い夢か?恐れ知らずの 酒のつまみの思い出話と 成り下がるには眩しすぎたよ なじられたなら怒ってもいいよ 一人で泣けば誰にもバレないよ そんな夜達に「ほら見たろ?」って 無駄じゃなかったと抱きしめたいよ  未来になれなかった あの夜に  前向きに生きることほど素晴らしいことはない でも「前向きに生きて」じゃ 頷けない誰かさんの為 夢追い人とは ともすれば社会の孤児だ 手段は選ばない いや、選べなかったんだ  恨み辛みや妬み嫉みの グラフキューブで心根を塗った それでも尚塗りつぶせなかった 余白の部分が己と知った 今更弱さ武器にはしないよ それが僕らがやってきたことの 正しさの証明と知っている 今この僕があの日の答えだ  見える人にだけ見える光だ 陰こそ唯一光の理解者 旅立ちと言えば聞こえはいいが 全部投げ出して逃げ出したんだ 孤独な夜の断崖に立って 飛び降りる理由あと一つだけ そんな夜達に「くそくらえ」って ただ誰かに叫んで欲しかった  未来になれなかった あの夜に  取り立てる程不幸ではないが 涙は路銀程に支払った 僕の過去の轍を見る人よ ここで会うのは偶然じゃないさ 夢も理想も愛する人も 信じることも諦めたけど ただ一つだけ言えること僕は 僕に問うこと諦めなかった  醜い君が罵られたなら 醜いままで恨みを晴らして 足りない君が馬鹿にされたなら 足りないままで幸福になって 孤独な奴らが夜の淵で もがき苦しみ明日も諦めて そんな夜達に「ざまあみろ」って 今こそ僕が歌ってやるんだ  未来になれなかった あの夜に ざまあみろ
さよならごっこGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa憂鬱が風に散らばり 吹きだまって影になる 僕らの足音は 無情を饒舌に諭す 君の瞳の深さを 覗き見て狼狽える 望みなどあったでしょうか この行く先には  おどけて笑うのは この道が暗いから 明りを灯すのに 僕がいるでしょう  さよならごっこは慣れたもんさ でも手を振ったら泣いちゃった 僕らの真っ赤な悲しみが 暮れる 暮れる そして夜が来る 当たり前にやってくる明日なら 「生きたい」なんて言わなかった よせばいいのに夢見てしまう 未来 未来 君のせいなんだ  成し遂げねばならないこと 三日月にぶら下げて 彷徨う夜道にすら 安堵は君の背に明るい 信じるには時間がいる ましてや他人だから それでも道が同じなら 離れる理由もない  全てが終わったら 分かち合う為に 誰かがいるでしょう 僕がいるでしょう  さよならごっこは慣れたもんさ でも手を振ったら泣いちゃった 僕らの真っ赤な悲しみが 暮れる 暮れる そして夜が来る はじめからそこにある愛情なら 確かめ合う事はなかった 奇遇にも連れ合う縁だから 触れる 触れる 心の襟元  辛さなら背負えるから 痛みなら分け合えるから でも君のさだめまでは 肩代わりできなかった 別れは何度目でも 相変わらず悲しいから 別れる振りをするんだよ さよならの遊びだよ いつか必ず会えるって 自分を騙す遊びだよ  さよならごっこは慣れたもんさ でも手を振ったら泣いちゃった 僕らの真っ赤な嘘だけが 濡れる 濡れる そして朝が来る 離れ離れになるってことは 一度は一つになれたかなあ 諦めと呼べば後ろめたい さだめ さだめ そう君は呼んだ
アイザックamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaアイザック 1カートンのナーバス 哀楽 セブンスの歩幅 工業区 黒煙のキャンパス ラングストン 一服のドラマ  品川駅が咳き込むので 着飾った女性が背中をさすっていた うずくまった未明通りでは 今日も犯人による犯人捜しが 憶測と出歯亀と有識者でぎゅうぎゅう詰めだ 悪人のくせに悪人面する勇気すらない 恥知らずの悪人が吐いた 道徳によく似たそれは 腐敗する妄想 晩秋の訃報 猟銃の発砲 初雪が未だ逃走 十二月の東北  アイザック 1カートンのナーバス 哀楽 セブンスの歩幅 工業区 黒煙のキャンパス ラングストン 一服のドラマ  誰かが誰かを傷つける度に胸を痛めるなら いつかそれが死因になる そういう意味では優しさは病だ 誰かが吐き捨てたつばを 少なからず僕らは踏んづけて行進するんだ 吹雪も大時化も その先に灯りは見えずとも やぶれかぶれに自暴自棄に 死に物狂い 鉱山の崩落による 生き埋めのヒューマニズム 希望もいつか消える だがそれは息絶える時だ  アイザック 1カートンのナーバス 哀楽 セブンスの歩幅 工業区 黒煙のキャンパス ラングストン 一服のドラマ
それを言葉というamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa僕らはいずれ錆び付いて ついには動かなくなる 緩やかに終わりへの航路をたゆたう 箱船に乗せられたある意味 標なき漂流者だ 加速する日々は ついには減速する日々を迎え 陽が沈んで黒ずんだ水平線と対峙する 暗夜行路に至ったのです 打ち上げられた船乗りの靴 明星とデネボラの隙間 微かに光る六等星 全ての人に忘れ去られる事が 終わる事だとしたら その時僕は既に終わっていたし それを寂しいとすら考えなかった ただ静かに唸る波に揺さぶられて 喉が千切れる位に後悔の歌を叫んだのです  苦し紛れの声 苦渋の歌声 稲妻と響け 無理だと言われた距離を越えてみせろ  「言葉にすればたやすくて」って言葉にしなきゃ分かんねぇよ 君は伝える事諦めてはだめだ それを届けて 死に損なった朝が眩しい 出掛けさせられてる毎日に 千切れた涙を銃弾としてこめろ それを言葉という  少年少女がうろつく雑踏に転がる望みなど もはや誰も拾わない 期待出来ない時代に 期待されなかった僕らは 「あいつはもう終わりだ」と言われながら 屈折した尊厳はまるで青く尖るナイフだ 幸福を競い合うのに飽きて 不幸比べになったらもう末期だ 僕が歌を歌って得る安心と あの娘が自傷行為して得る安心の そもそもの違いが分からない どっちにしろ 理解しがたい人の集まりの中で 自分さえ理解出来ない人間の成れの果てだ やり遂げる事で得る満足も 小銭と同じであっという間に消費した ファストフード店で頭を抱えながら繰り返す 終わってたまるか 終わってたまるか  苦悩の果ての果て 惨めなうめき声 ここでこそ歌え 抜け殻になった命こそ鳴らせ  「心にも無い事言って」って心に無いなら言えねぇよ 僕は伝える事さげすんだりしない それを届けて 死に損なった朝が眩しい 出掛けさせられてる毎日に 千切れた涙を銃弾としてこめろ それを言葉という  明日がある以上終わりじゃない 朝日が愚鈍に射し込む車内 押しつぶされた心はくしゃくしゃで ホームに吐き出された もう一歩も動けない 微動だにできない 儚い抗いを弔い 理論武装解除を 丸裸の行動原理を 下らない人間くらいが丁度いい 下らない人間くらいが丁度いい 下らない人間くらいが丁度いい どうせ下らない世界だ  終わったと言われた毎日を あの時確かに泳ぎきった 僕らの両手は涙を拭う為の物ではないさ 死に損なった朝が眩しい 出掛けさせられてる毎日に 千切れた涙を銃弾として込めろ それを言葉という
リビングデッドamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaひるがえって誰しもが無罪ではいられぬ世にはびこって 断罪をしあったって 白けてくるぜ 愛が去って空いた穴 塞ぐための巨大な偶像は ここにはない 少なくとも僕の部屋には  もっと生きてえ もう死にてえ そんなんを繰り返してきて リビングデッド リビングデッド 人生を無為に徘徊して もう無理って飛び降りて 我関せずって面でいいって 背負わずに生きれるならそうしなって  永遠なんてないくせに 永遠なんて言葉を作って 無常さにむせび泣く我ら 後悔も弱さも涙も 声高に叫べば歌になった 涙枯れぬ人らよ歌え  過ちで しくじりで 石を投げるのはやめときなって どうせいつか間違う もうすでに間違えてるんだし 隣人を愛せずとも 不幸にはならない時代にあって 分かり合うのはそうそう簡単ではないから  どっちだっけ? もう知らねえ 行きたい方へ自分で行くぜ リビングデッド リビングデッド 切り捨てた屍を越えて 振り向かぬ 振り向けぬ どっちにしろ道は選べぬ 顧みず仰ぎ見る 明日の空  正解なんてないくせに 正解なんて言葉を作って 己が明日さえ 縛りあう我ら 女々しさも罪も不名誉も 一人懺悔したら歌になった 許されざる人らよ歌え  正しさを求めているならば 少なくとも居場所はここじゃないぜ ここじゃないぜ 間違った情動をくべる 負け犬の蒸気機関車の旅程 くそくらえ 清廉さ潔白さも 諦めざるを得ず手を汚した 取るに足らないたわごとだと 見くびる傲慢どもの寝首を掻く 報われない願いをくべろ 叶わなかった夢をくべろ 遂げられない恨みをくべろ 死にきれなかった夜をくべろ  絶対なんてないくせに 絶対なんて言葉を作って 何故成せぬと 見張りあう我ら 劣等感も自己嫌悪も 底まで沈めたら歌になった 死に切れぬ人らよ歌え
月が綺麗amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa僕が言葉を話す 君が言葉で答える 僕らの距離を埋めたのは きっと言葉だった 地面に寝転んで星を 数えながら思ったこと これから話す言葉は ただそれだけの話  宇宙の埃として 右往左往ばっかの僕らは 地面に縛られてるから きっと本能なんだ この重力に抗いたいのは  涙が地面に落ちるのは それなりの重さがあるから 人生において苦楽は 惑星における衛星のよう 喜びだけを掴みたくて 近づき過ぎて墜落して 台無しだって泣いたんだ ところで今夜は月が綺麗  僕は時間を言葉で測る 千文字過去は捨てて行く 一万文字疎遠の彼とは 飲みにでも行かなきゃ足らないから お陰で千鳥足の帰路 北も南も分からなくなって もう諦めて寝転んだ歩道 空なら迷わず行けるのに  プライドを守る為に 人を否定なんかするなよ 綻びはすぐに縫い合わせ 継ぎ接ぎだらけでみすぼらしい でも信念は大概そんなもんだ  飛べないからこそ見た景色 些細な綺麗が僕ららしい 人生において苦楽は 惑星における衛星のよう 悲しみだけ遠ざけたくて 離れ過ぎたら放り出され 真っ暗だって泣いたんだ ところで今夜は月が綺麗  あの惑星まで何万文字費やせば 意固地になるのは己の人生だから 気が狂うほど積んでは崩し 高くなるほどに足場は揺らぎ 重力に抵抗せよ 抵抗せよ 抵抗せよ その先を見たい訳じゃない 逆らってるだけ 逆らってるだけ  喪失と欠落の空白 埋める為に選んだ何か 人生において苦楽は 惑星における衛星のよう 重力に縛られた僕が あの星へ行く為の言葉 国道に寝転んで ところで今夜は月が綺麗
独白 (検閲済み)amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa私が私を語るほどに 私から遠く離れてしまうのは何故でしょうか? ■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「どこにでもいる真面目な子でした」■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 途方に暮れた十五歳の夏  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 私の痛みは君の失望にこそ芽吹く この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物との いかなる類似も■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  ひぐらしの声 夕涼み 恋占い■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■にたがりの志願者 ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■  ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 私の痛みは君の失望にこそ芽吹く この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物との いかなる類似も■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■  ■■■■■ ■■■■■■ テレビ ラジオ インターネット ■■■■■■■■■■ ■■■■■■ ■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■ 喜び 悲しみ 怒りだとか憎しみ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■  奪われた言葉が ■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■ ■■■■■■■■■■  ■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■  ■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
月曜日GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ体育倉庫のカビたウレタンの匂い コートラインは僕らを 明確に区分する 渡り廊下で鳩が死んでた いつもより余所行きな 教科書の芥川  支柱に縛られた街路樹 まるで見せしめの磔 好きに枝を伸ばしたいのに 同じ制服窮屈そうに 右向け右で左見て 前ならえで列に背を向け 救いなのだその幼さが 君だけは大人にならないで  月曜日、蹴飛ばしたら ゴミ箱にも嫌われて 転がって潮風に錆びた 息苦しいのは ここが生きる場所ではないから 僕ら地球外生命かもね 好きなこと好きって言うの こんなに難しかったっけ それならば僕は息を止めて潜るよ 君の胸の内の深さには 遠く遠く及ばないとしても  駅ビルのコンコース 待ちぼうけ ソフトクリーム溶けた 全音符のクラクション 近寄る度 多くを知る 知らないことは多いと 河川から望む学区外  明日の話はとにかく嫌い 将来の話はもっと嫌い 「儚いから綺麗」とか言った 花火が永遠ならよかった 見えてるものを見えない振り 知ってることを知らない振り いつの間にそんなに大人びて笑うようになったのさ  月曜日、蹴飛ばしたら 川の水面で水切り 満月を真っ二つ切り裂いた 胸が苦しいのは 互いに思うことが伝わるから 僕ら超能力者かもね 嫌なこと嫌って言うの そんなに自分勝手かな それならば僕は息を止めて潜るよ 君の胸の内の深さには 遠く遠く及ばないとしても  普通にも当たり前にもなれなかった僕らは せめて特別な人間になりたかった 特別な人間にもなれなかった僕らは せめて認め合う人間が必要だった それが君で おそらく僕で ゴミ箱にだって あぶれた僕らで 僕にとって君は とっくの昔に 特別になってしまったんだよ  月曜日、蹴飛ばしたら 大気圏で焼け落ちて 僕の胸に空いたクレーター 確かに似た者同士だったけれど 僕ら同じ人間ではないもんな 一番怖いのはさよなら それなら約束しよう 永遠に別れはないと 永遠なんてないと知って誓ったそれが 愛や友情には 遠く及ばないとしても
ワードプロセッサーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa遮光粘膜に囚われて 能動性が切断された感性を 自由解放運動、奪還の行路 故に単身武装蜂起  生きるか死ぬかにおいて 終わりを逆算、サバービアのメメント・モリ シャッター街の路地 郊外の鉄橋 背後霊が常に見張っている  言葉から言葉の国道を 往復し続けた十万キロの中古車 海岸に見果てぬ夢を看取り続けたら 夢だってとうとう見果てた  骨をうずめるなら故郷に でも僕の言葉の死に場所ならここだ 十年後、百年後 何かしら芽吹く種子だと確信している  歌うなと言われた歌を歌う 話すなと言われた言葉を叫ぶ 燃やすほどの情熱もないと いつか流したあの敗北の涙を 終わってたまるかと睨んだ明日に 破れかぶれに振り下ろした苛立ちの衝動を 希望と呼ばずになんと呼ぶというのか  現実も空想も等しい重さで 鉛となり降りしきり その胸に空いた風穴 そこからあんたの白けた明日ってやつが見える  演算式にしゃべり続けたワードプロセッサー 破り捨てられたちっぽけな一行も 数年を経た今となっては ついには岩のような絶望すらも穿つ  歌うなと言われた歌を歌う 話すなと言われた言葉を叫ぶ 燃やすほどの情熱もないと いつか流したあの敗北の涙を 終わってたまるかと睨んだ明日に 破れかぶれに振り下ろした苛立ちの衝動を 希望と呼ばずになんと呼ぶというのか  歌うなと言われた歌を歌う 目が眩む
空洞空洞amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa耳を塞いだって ざわめきは聞こえてくる 酸性雨で花は枯れた 明日咲くはずの花は枯れた 意味のないことばっかりだ 意味ばかり求めすぎるから トンビは山に鳴いた もう帰れないと泣いた  掃き溜めみたい憧憬も 遠くからは見とれていた 憧れが駆け込み乗車 いたたまれなく頭を垂れた 絶望と君、隣り合わせ 自暴自棄とは背中合わせ がらんどうが乗り合わせ 乗り過ごしたんだ幸福を  空っぽな奴ほど詩を書きたがる ほんとそうだよな ほんとそうだよな  傷ついたなんて言わないぜ けど痛くないわけじゃないよ 優しい人なんていないぜ 武装解除しただけ 空洞空洞 僕らが野垂れ死んだって その頃には忘れるくせに 「信じてる」も「愛してる」も オーナメント巻いてる空洞空洞  何にもやる気が起きないよ やりたいことなんてないよ 反省なんかもうしないよ 責任なんてとらないよ 別れた人はもう忘れた でも忘れたこと忘れない 亡霊と僕ら生きてる つまりは憑りつかれてたんだよ  送電鉄塔 原っぱで口ずさもう 夢にあふれた歌 夢にあふれた歌  死にたがらない奴らが 死にたがる奴らを迫害した 翌日の某コンビニで マシンガンは品切れ 空洞空洞 君の骨は拾えないぜ この命使い果たすまで それを使命と呼ぶんだよ そんな訳ねえよ 空洞空洞  離れるものを留める術それすら持たない僕らは 泣き言ばっかを歌う 最近街でよく流れる流行歌 あれだってそう 誰だってそう 街はがらんどう 巨大な空洞 車道の側溝 自販機の横 笑みの喉元 君の足元  夢、希望も恨みつらみも 「君に会いたい」も「くたばれ」も 詰め込んだ火炎瓶で 世界ざまあみろ 空洞空洞 みんな死んだ焼野原で めでたしめでたしで終わり そうだったらいいのにな なつかれちまった 空洞空洞
水槽amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa車両基地のレールが 喘息みたいに軋む音がして 雨が近いことをさとる ショッピングモールの駐車場では ベンチに腰掛けた春が ATMが開くのを待っていた 陽射しは依然、退屈な音量で オルゴールみたいなジャズは この町に似合うことを自覚してるから 鳴るべくして鳴っているのだ  僕らは焦りで満たされた 水槽で生きてるから 僕らは恐れが充満した 喫煙室で暮らしてるから 今日が終わることに焦りも恐れもなく 清書された一日を 目でなぞる様に そして、あくびを噛み殺しもしない  誰かそのエアーポンプの電源を切ってくれないか さもなくば僕がそうする  見てみろよ これが世界の全てだ シャッター商店街 環状道路7号線 地元のラジオから流れるスタジアムロックが 大仰なエンジン音で ネズミ捕りに捕まった 退屈も悪くないって言葉は 退屈以外を知ってはじめて言えるんだ そして、あのパチンコ店の看板 あれが世界の果てだ
ハルキオンザロードamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa僕らの別れは最初から決まっていた 墓石に刻みたいくらいさ 君と過ごした数年は ピックアップトレーラーにそれぞれ雑魚寝して 寝汗に染み入る虫の声 真空パック夏の情景 ハルキはホントに人生が下手だから 子供のキャッチボールみたいに 全く不器用な放物線 ああ ああ 放り投げた身体が 落下したとある夏の一夜 そこが我が家だって顔で生きていた  道なき道、すらない道 辿ったのではなく描いたのだ 世界は白紙のノートで 留まるにはまだ広すぎる  生きるという名前の列車に乗って 時間の後ろ姿、追い越した 相席をした彼の名は悲しみ それを知ったのはもうずっと後 夜を散らかし 夏を散らかし それを露骨に照す夜明け  ライブの打ち上げで 酒癖悪い奴に絡まれて さっさと逃げ出して、そいつのバンに立ち小便 美しい記憶はいつも夜だ ぼろい電飾看板と月と 二人だけが浮き彫りのエッチング画 想像力で飛べるなら宇宙の果てじゃなく僕の中 見たい景色を掘り返す 墓暴きみたいに掘り返す でかい夢ほど僕らを汚す 例えば作業服のペンキ跡 ロマンチストはいつも泥まみれ  積み上げたら積み上げた分 その重さで身動きとれないな 世界中全部ガラクタ 眩いばかりのガラクタ  馬鹿でかい音楽、投げやりな酩酊 世界の真理が休符の隙間 愛した彼女は砂漠の一滴 時間の速度で飛び散って干上る 夜を散らかし 夏を散らかし それを露骨に照す夜明け  馬鹿笑いした夜が耳鳴りになって 眠れぬ夜に刃先を突き立て 僕らの間に川が横たわる 時間という名前の川が 青春と呼ばれた無残な抜け殻 君が変わったように僕も変わった 僕らの別れは最初から決まっていた 一番眩しい恒星ほど 燃え尽きるのも早いんだ  ハルキ、君は僕にとって腫瘍だ 手の施しようない未知への衝動 眩い光ほど誘われる虫 白日の下でどこへ行けばいい? 時の移ろい 人の移ろい 今でも露骨に照らす夜明け
悲しみ一つも残さないでamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa汽笛が鳴れば素っ気なく もうこれまでと旅ゆく人 泣けば切ない、笑えば尚更 だから悲しみ一つも残さないで 家族と別れ、友と離れ どこで暮らしても僕は僕で そういう考えはやめておけ 生きた轍を君と呼べ  ああ大嫌い 悲しい事は なのに僕らさよならばかり どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして 歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ  できればこっそり出てってくれ 悲しみ一つも残さないで  旅ゆく人は荷物も少なく 望郷、忘れ難き思い出も 始発駅に全部置いてくるから 青森駅は感傷だらけ 夢は夢だとうそぶいた 叶えてこその夢だと誰かが言った 夢を終えた奴らに耳を貸すな 君の夢なら 君が夢見ろ  ああ大嫌い 苦しい事は なのに僕ら戦ってばかり どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして 歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ  できればこっそり出てってくれ 悲しみ一つも残さないで  戦う人よ傷を癒せ 道半ばで倒れる事なかれ 「命など惜しくない」と言うが 君を惜しむ人がここにいる 先は長いが終わりは早い 焦りはじめてからが始まりだ その先の事は僕も知らない 言いたい事はこれで全部  ああ大嫌い 寂しい事は なのに僕ら旅立ってばかり どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして 歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ  汽笛が鳴るから僕も行くよ 悲しみ一つも残さないで 悲しみ一つも残さないで
バケモノamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa彼は化け物 嘘を食らう獣 月曜の朝に捨て犬のように公園で出会う 濡れたアサガオ 真夏の太陽の 真下で倒れ 息も絶え絶え 怯えた目玉で  しなびた体毛を撫ぜれば ひきつる口元 痩せこけた体躯 それは憐みだったか、情けなのかどうか 僕の嘘を一つあげようか  例えば僕は今消えたいのに 嘘をついてる 嘘をついてる 家族の手前、学校には時間通り出掛けるんだよ そして今日も楽しかったんだと 嘘をついてる 嘘をついてる こいつを食らえ なあ化け物、ずいぶんうまそうに食うもんだな  彼は化け物 嘘を食らう獣 腹を満たして僕に懐いて 見る間に育って 僕は除け者 飛び降た歩道橋 病院の窓 すすり泣く母 木立ちに夕焼け  もの欲しそうな表情浮かべ 次第に肥大するその体躯 次の嘘をもっともっととせがむもんだから そうか 僕の嘘を一つあげようか  ほんとは僕、死に損なったのに 嘘をついてる 嘘をついてる 家族の手前 「運が良かったんだ」と 悪びれて笑ったよ そして今日も息をするみたいに 嘘をついてる 嘘をついてる こいつを食らえ なあ化け物、ずいぶんでかく育ったもんだな  僕の背丈を超えた化け物 嘘の塊みたいな僕を 綺麗さっぱり食べてくれないか 「生きるのが辛かった 苦しくてしょうがなかった だけど辛いと思われるのが 一番辛いことだから」 ようやく本音叫んだら 化け物は見る間に萎んだ でもね僕はまだ嘘を隠してる 自分さえ騙す僕の嘘を  ほんとは笑って生きたいくせに 嘘をついてる 嘘をついてる 理想、現実 そのずれを 埋めるための仮初の夢想なら 弱い僕らに嘘は必然か 今日も誰もが 嘘をついてる そいつを食らえ なあ僕らは、表裏一体の実像と影  彼は化け物 嘘を食らう獣 一人に一人 誰も彼もが背後に匿う その隠し事 蓋をしてる腫物 君の背後にそびえ立つ影 ずいぶん巨大だな
リタamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa君が出てくならそれでいいよ 借りた物は返すから 時計もCDも電車賃も全部 君の優しさ以外は  線路沿い 一人歩いてる夜道の 街灯に影が二つ 君の亡霊だ きっとそうなら嬉しいな 明かり途切れてひとりぼっち  変わらないと思ってた そんなものある訳なかった でも君はそう思わせたんだ まるで詐欺師か魔法使いみたい ねえリタ  離れない人に泣いたりしない 壊れない物に泣いたりしない 一人で平気 嘘なら言える 言葉だったら どうとでも言える  部屋の中 黙りこくった冷蔵庫と 笑い声がテレビの中だけ 気持ちが見えたならいいのにな いややっぱりいらないや 残酷だから  人の為に生きたい君と 自分の為に生きたい僕 合わない歯車が回っては軋む音 そんな風だった、二人の笑い声  一つを選ぶという事は 一つを捨てるという事だ それならいいよ 僕は大人しく ゴミ箱に入って君を見送るんだ ねえリタ  自分の為に泣いたりしない 苦しい時も泣いたりしない そんな君がさ なんで泣くのさ 僕より先に なんで泣くのさ  自分とばかり向き合って 人とは決して向き合わずに 言葉を選ばないのなら 傷つけて当たり前だ 過去とばかり向き合って 今とは決して向き合わずに 後ろ向きで歩いてりゃ つまずいたって当たり前だ  留まる人に泣いたりしない 分かったつもり だから僕はもう 自分の為に生きたりしない 誰かの為に笑ってみたい 君みたいに  忘れた過去に泣いたりしない 過ぎない時間に泣いたりしない 君と笑った 季節が終わる 時は流れる たったそれだけ
ぼくら対せかいamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaモールの駐車場で花火してはしゃいでいる若い親子連れ 野球場とドンキのライト煌々と まるで系外惑星のメテオライト 二日酔い吐瀉した給付金 鱗粉にかぶれる地方都市 バイパスで先輩が死んだ ここ十年毎年死んだ 人生に意味を問うたら終わりだ って価値観で虫を潰した 僕らにとって哲学とは居酒屋の便所に貼ってあるポエムだ 飲みすぎたときにだけ「頷けなくもないな」なんて頭よぎる代物 翌日には汗と伝票であっという間に干上がる  光は木漏れ日 操車場の貨車に 働くあなたに いつか世界を変えたあなたに  かつては僕と君だけがいて その静謐な場所を世界と呼んで 結んだ身体 終末に青さを看取って 校舎の夕焼けときのこ雲 ブレザーのリボンと孤立の最果て オイルの染みたシャツで 幻想をトラックに積み込む  過去 未来 ぼくら対せかい  何かを置き去りにしてしまった気がするんだよ でもそれが何なのかはもう忘れた もしくは何かに置き去りにされたのかもしれない いつもせっかちで何かの使命みたいに 先を急ぐ彼女の名前はたしか「時間」 後ろ姿さえもう見えない その微笑さえ思い出せない  痛みは過ぎ去り かさぶたの夕焼け 古傷、疼けど かき消した目覚ましの音  かつては眼前に無限の荒野 行くも行かざるもただ勇ましく 倒れた友よ 決して置いて行きはしないぞ 繊細さ故、僕ら武装蜂起 劣勢から覆し掴みとる勝利 かつての栄光 梱包しても宛先不明  過去 未来 ぼくら対せかい  世界は変わると信じてた 僕らが変えると信じてた 離れ離れになったって 気持ちは変わらないと疑いもしなかった 裏切りも 欺きも いわれのない濡れ衣も へつらいも 言い訳も 口約束も マンガ喫茶も 満員電車も 見え透いたお世辞も 謝罪も 恥も罵倒も 本音を語れる仲間も かつての戦友も かつて笑えなかった笑い話も 音楽も 息子、娘も 政権も 右も左も 過去、現在も 未来の話も  束の間の休息、週末に 公園でぬるい風に吹かれて 繋ぎあう手に 時を経た分、それだけの温もり あの日救った世界の続きを あの日うち倒した世界のその後を 苦悩しながら 僕ら懸命に生きてた  過去 未来 ぼくら対せかい
フィロソフィーGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa辛くて悔しくて まったく涙が出てくるぜ 遮断機の点滅が警報みたいだ、人生の くさって白けて投げ出した いつかの努力も情熱も 必要な時には簡単に戻ってくれはしないもんだ  回り道、遠回り でも前に進めりゃまだよくて 振り出しに何度戻って 歩き出すのも億劫になって 商店街の街灯も消える頃の帰り道 影が消えたら何故かホッとして 今日も真夜中に行方不明  死ぬ気で頑張れ 死なない為に 言い過ぎだって言うな もはや現実は過酷だ なりそこなった自分と 理想の成れの果てで 実現したこの自分を捨てる事なかれ  君自身が勝ち取ったその幸福や喜びを 誰かにとやかく言われる筋合いなんてまるでなくて この先を救うのは 傷を負った君だからこそのフィロソフィー  都市の距離感解せなくて 電車は隅の方で立ってた 核心に踏み込まれたくないからいつも敬語で話した 心覗かれたくないから主義主張も鳴りを潜めた 中身無いのを恥じて ほどこした浅学、理論武装  自分を守って 軟弱なその盾が 戦うのに十分な強さに変わる日まで 謙虚もつつましさも むやみに過剰なら卑屈だ いつか屈辱を晴らすなら 今日、侮辱された弱さで  うまくいかない人生の為にしつらえた陽光は 消えてしまいたい己が影の輪郭を明瞭に 悲しいかな生きてたんだ そんな風な僕だからこそのフィロソフィー  正しいも正しくないも考えだすとキリがないから せめて望んだ方に歩けるだけには強がって 願って破れて 問と解、肯定と否定 塞ぎがちなこの人生 承認してよ弁証法 悲しみを知っている 痛みはもっと知っている それらにしか導けない 解が君という存在で  そもそも僕らが生きてく動機なんて存在しなくて 立ち上がるのに十分な 明日への期待、それ以外は 僕は僕の問いを解いて 君は君の、君だからこそのフィロソフィー
空に歌えばPLATINA LYLICamazarashiPLATINA LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば 後悔も否応無く 必然 必然 なるべくしてなる未来だ それ故、足掻け  蜃気楼 涙の川を漕ぎ出して 幾星霜 さよなら 行かざるを得ない 何を失ったとて  忘れない 悔しさも 屈辱も 胸に飾って  虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば 後悔も否応無く 必然 必然 断ち切るには眩し過ぎた 未来へ、足掻け  人を傷つけずには 本懐は遂げられず 失って構わないと思える 理想が道しるべ  笑うなら 笑ってよ 嘲笑も 道連れにして  あの日の君の声 言いたかった事 言えなかった事 空に歌えば 後悔を振り切って 必然 必然 投げ出すには背負いすぎた それ故、足掻け  苦悩は一陣の驟雨となりて 行かすものかと足にすがる嘲笑の泥濘 雨雲に幽閉 隔離された空 捕縛された暗がりからの逃走 掴んだものはすぐにすり抜けた 信じたものは呆気なく過ぎ去った それでも、それらが残していった、この温みだけで この人生は生きるに値する 失意の濁流を抜けて 曇天から射す一条の光 その時、既にもう 雨は上がっていた  虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば あの日なにか叫んでた君の声 言いたかった事 言えなかった事 空に歌えば 後悔も連れ立って 必然 必然 終わらすには失くしすぎた それ故、足掻け 有限 有限 残り僅かな未来だ それ故、足掻け
月光、街を焼くamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaカーテンから漏れる月明り それを頼りに書く手紙 今生さらばと結ぶなら 別れの手紙のはずでした  色々あったの色々を 未練がましく箇条書き 私の歴史を知る旅路 ペンを銃器に見立てては  乱射する空想は実感をかすり あるいは誰かに命中し 都市では空が炎上し 冷笑じみた街に高笑い  逃亡の日々がはじまって ついには追い詰められた僻地で 自由を振りかざした僕は 発砲された自由に殺される  閉じた目 冷めた目 触れた手 それだけ この旅程  どれだけ この夢 仮初め  世界を 燃やして 燃やして 燃やして あまだれ 逃げ出せ 逃げ出せ 逃げ出せ
たらればGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaもしも僕が天才だったなら たった一つだけ名作を作る 死ぬまで遊べる金を手に入れて それこそ死ぬまで遊んで暮らす もしも僕が王様だったなら 嫌いな奴は全員消えてもらう 僕以外、皆居なくなるかもな なら僕が消えた方が早いか  あなたの眠った顔見ていたら こんな僕も 悪くはないなって思えたんだ 無い物ねだりの 尽きない戯言  もしも僕の頭が良かったら 大学に行って勉強するよ 立派な仕事で親孝行して 両親が喜ぶ顔が見たかった  もしも僕が優しい人だったら 困ってる人は全員助ける 見て見ぬ振りで素通りして 惨めな気持ちになるのは、もう嫌だ もしも僕が話し上手だったら 深夜ラジオのパーソナリティーになる どこかの誰かの辛い一日を 笑顔で終わらせる人になる  あなたの眠った顔見ていたら こんな僕も 悪くはないなって思えたんだ 無い物ねだりの 尽きない戯言  もしも僕がミュージシャンだったなら 言葉にならない言葉を紡ぐ 誰も聞いた事無い旋律で そんな事考えていたっけな  もしも僕が名医だったなら 親父の病気は僕が治す 照れくさいから言わないけどな そういうとこばっかり似てるよな  あなたの眠った顔見ていたら こんな僕も 悪くはないなって思えたんだ 無い物ねだりの 尽きない戯言  もしも僕が神様だったなら 喜怒哀楽の怒と哀を無くす 喜と楽だけで笑って生きていて それはきっと贅沢な事じゃない  もしも僕が生まれ変われるなら もう一度だけ僕をやってみる 失敗も後悔もしないように でもそれは果たして僕なんだろうか
ひろ中島美嘉中島美嘉秋田ひろむ秋田ひろむShin Konoひろ お前に話したい事が 山ほどあるんだ聞いてくれるか? 何度も挫けそうになった事 実際 挫けてしまった事 お前の好きだったセブンスターを 吸うのも肩身が狭くなったし 彼女も「禁煙しなきゃね」って 言うもんだから まいるよな  あの日と同じ気持ちでいるかっていうと そうとは言い切れない今の僕で つまりさお前に叱って欲しいんだよ どんな暗闇でも 照らすような強い言葉 ずっと探して歩いて ここまで来ちゃったよ  もう無理だって言うな 諦めたって言うな そんな事僕が許さねえよ 他に進むべき道なんてない僕らにはさ お似合いの自分自身を生きなきゃな いつも見送る側 それでも追いかけた 間に合わなかった夢を憎んだ でもお前の居ない世界でも なんとかなるもんだ それが悲しい お前はまだ19歳のまま  やりたい事をやり続ける事で 失う物があるのはしょうがないか やりたい事も分からなくなったら その後におよんで 馬鹿みたいだな  どんなに手を伸ばしても届かないと思ってた 夢のしっぽに触れたけど 今更迷ってしまうのは 僕の弱さか 日の暮れた帰り道 途方も無い空っぽに 襲われて立ちすくむ 都会の寂寞に  もう無理だって泣いた 諦めたって泣いた でもそんな物きっと自分次第でさ 他に進むべき道なんてない僕らにはさ お似合いの言い訳を選んでただけ いつも見送る側 それでも追いかけた 諦めかけた夢を掴んだ でもお前の居ない世界じゃ 喜びもこんなもんか それが悲しい お前はまだ19歳のまま  今年も僕は年を取って お前は永遠に19歳で くだらない大人になってしまうのが 悔しいんだよ 悔しいんだよ なぁひろ 僕は今日も失敗しちゃってさ 「すいません、すいません」なんて頭を下げて 「今に見てろ」って愛想笑いで 心の中「今に見てろ」って なぁこんな風に かっこ悪い大人になってしまったよ だらしのない人間になってしまったよ お前が見たら絶対 絶対 許さないだろう? だから僕はこんな歌を歌わなくちゃいけないんだよ  ガキみたいって言われた 無謀だって言われた それなら僕も捨てたもんじゃないよな 誰も歩かない道を選んだ僕らだから 人の言う事に耳を貸す暇はないよな いつも見送る側 なんとか飛び乗った 身の程知らずの夢を生きている でもお前の居ない世界じゃ 迷ってばかりだ でも それもガキらしくて 悪かないのかもな 僕は歌うよ 変わらずに19歳のまま
ヒーローGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・YOSHIAKI DEWA食欲がないもんだからさ 別に小銭がない訳じゃないんだよ 君の横顔を見ていると そういう事を言いたくなるんだよ もしも明日世界の危機が来て 僕が世界を救う役目だったら 頑張れるのにな かっこいいのにな なんて空想だ なんて空想だ  そしたら 僕の亡骸 君が抱いて 泣きながら 「やれば出来るんだね」って 呟いて  いつだってヒーロー 笑われたっていいよ 人生は喜劇の 一幕の様なもんだろ 「ここはまかせろ」 とは言ったものの どうすりゃいいんだろう 断崖のヒーロー  なんて言っても世界の危機なんて そうそう来るもんじゃないんだけど それなりの人生の危機ってやつは 僕なんかにも訪れるもんで 孤独になっても夢があれば 夢破れても元気があれば 元気がなくても生きていれば 「生きていなくても」とかあいつらそろそろ言い出すぞ  そしたら 絶体絶命の危機の淵で 起死回生の一撃は きっと怒りか悲しみだ  いつだってヒーロー 殴られたっていいよ 垂らした鼻血の色 田舎の根雪の白 連敗続きの 擦り傷だらけの 挑戦者気取りの 断崖のヒーロー  小銭数えて 逆算する人生も 追いつめられて 首括る人生も もうよく聞く話しだ 驚かないよな 今が世界の危機かもね 誰も選んじゃくれないけど 頑張れるかもな かっこいいかもな ここでやれるんなら 今がまさにそうだ どうせ「世界よ終われ」と願っても 世界はくそったれのまま 続いてく  誰だってヒーロー そんな訳はねえよ いわゆる掃き溜めの ありふれた有象無象 そこで負けねえと 言ったもん勝ちの よくある強がりの 「いつだってヒーロー」  絶体絶命の 絶望的状況 それでも言い張るよ いつだってヒーロー
命にふさわしいPLATINA LYLICamazarashiPLATINA LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa好きな人ができた 確かに触れ合った アスファルトより土 鋼鉄より人肌 無意識に選ぶのが 冷たさより温みなら その汚れた顔こそ 命にふさわしい  身の程知らずと ののしった奴らの 身の程知らなさを 散々歌うのだ 前に進む為に 理由が必要なら 怒りであれなんであれ 命にふさわしい  こぼれた涙を蒸発させる為に 陽が照る朝を 飽きもせず こりもせず 待っている 待っている 全部を無駄にした日から 僕は虎視眈々と描いてた 全部が報われる朝を  世界を滅ぼすに値する その温もりは 二人になれなかった 孤独と孤独では 道すがら何があった? 傷ついて笑うその癖は  そんなに悲しむことなんて無かったのにな 心さえなかったなら  友達ができた 理想を分かち合った 向かうべき場所に 歩幅すら共にした 裏切られたっていいと 道端ひれ伏すような 酩酊の夜明けこそ 命にふさわしい  失くした何かの埋め合わせを 探してばかりいるけど そうじゃなく 喪失も正解と言えるような 逆転劇を期待してる そしてそれは決して不可能じゃない 途絶えた足跡も 旅路と呼べ  世界を欺くに値する 僕らのこれまでは 一人になれなかった 寂しがりや共が集って 道すがら何があった? 傷つけて当然な顔して  そんなに悲しむことなんて無かったのにな 心さえなかったなら  愛した物を守りたい故に 壊してしまった数々 あっけなく打ち砕かれた 願いの数々 その破片を裸足で渡るような 次の一歩で滑落して そこで死んでもいいと 思える一歩こそ ただ、ただ、それこそが 命にふさわしい  心を失くすのに値した その喪失は 喜びと悲しみは 引き換えじゃなかったはずだ 道すがら何があった? その答えこそ今の僕で  希望なんて いとも容易く投げ捨てる事はできる 心さえなかったなら  光と陰
幽霊amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa在りし日の幻影を ハンガーにぶら下げて 多情な少年は 出がけに人影を見る 去り行くものに外套を着せて 見送る先は風ばかり かじかむ指先でドアを開けて 未練を置きざりにして街に出る  繁華街で馴染みの顔と 音のしない笑い声 喧噪が静寂 楽しいと喜びが反比例しだして 意識の四隅に沈殿する 小さな後悔ばかりを うんざりする程看取り続けて 一人の部屋に帰る頃 どうでもいい落日が こんな情緒をかき混ぜるから 見えざるものが見えてくる  幽霊 夕暮れ 留守電 がらんどうの部屋
数え歌amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa一つ 人として真っ当に 人愛おしみ、人に失意 瞳に灯を宿すあの人 失せしともしび 夢に等しい 二つ 再び信ずるとて うだつあがらぬ詩にぶら下がり 裏切られた事も恨まぬ 負担を分け合う二人なら  三つ ミミズ腫れの三日月 身を隠すとばり 見つからぬように 四つ 寄る辺ない夜にこそ 僕の名前を呼んでくれ  一つ 二つ ただ悲しかった事 足し算したり 引き算したり 三つ 四つ 嬉しかった事 足し引きゼロで眠りたい夜  五つ いつかの傷も痛む 理屈では癒えぬ感傷と 後悔ですら慈しむ 去り行けば痛みすら愛おしい 六つ 移ろう人も街も むつ市の海辺、過去が映る 無痛でいられぬ人の世に ここだけは嵐もくつろぐ  七つ 懐かしいあの人の名は 夏のたもとに流れて泣いた 八つ 矢継ぎ早、急ぐ四季に 顔も忘れた母の呼び声  一つ 二つ 忘れてしまいたい事 足し算したり 引き算したり 三つ 四つ 消すに消せない事 足し引きゼロで眠りたい 五つ 六つ どうしようもなかった事 悔やんでみたり 開き直ってみたり 七つ 八つ 溢れ出した思い出 全部持っては行けない 明日には  九つ ここまでと、ここから 木漏れ日がコツコツ、ノックする部屋から とうの昔に消し去ったつもり 遠ざかる昨日 とうとうさよなら  一つ 二つ 離れたくなかった人 足し算したり 引き算したり 三つ 四つ 愛してくれた人 足し引きゼロで眠りたい 五つ 六つ 信じきれなかった人 悔やんでみたり 開き直ってみたり 七つ 八つ とめどない思い出 全部持っては行けない 明日には
星々の葬列amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa今でもよく思い出すんだ 昔見た 賑やかな行列 ブラスバンドに鼓笛隊 それはそれは華やかなパレード 白い鳥が雲に混じって 花火が弾けて振り向いた 沢山の人が笑ってた 僕もつられてきっと笑ってた  暗い海に 君と二人 そんな昔話をしてた 物憂気に星を見ていると こんなおとぎ話を教えてくれたんだ  笑って 笑って 天の川は星々の葬列 宇宙のパレード 宇宙のパレード さぞかし大きな星が死んだのでしょう  父が僕の手を強く引く いつもは無愛想な癖して あんまり子供みたいだから 僕もはしゃいでる振りをしたんだ ボロボロのサーカステントは あちこちに穴が空いていて 暗くなると光が漏れた まるで満天の星空みたい  暗い海に 君と二人 言葉もなくただ座ってた 波の音がリズムになった 僕らが見送る葬送行進曲  笑って 笑って 天の川は星々の葬列 宇宙のパレード 宇宙のパレード さぞかし綺麗な星が死んだのでしょう  沢山の人が集まった 静かな黒ずくめの行列 ブラスバンドは来ないけれど 花火ももう上がらないけど 灯りを掲げた行列は 夜空の星の映し鏡 沢山の人が泣いていた 僕もつられてきっと泣いていた  笑って 笑って 天の川は星々の葬列 宇宙のパレード 宇宙のパレード どこまでも長い行列  笑って 笑って 天の川は星々の葬列 宇宙のパレード 宇宙のパレード さぞかし大事な星が死んだのでしょう
明日には大人になる君へamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa明日には大人になる君へ 距離の最小単位を 時間の最小単位を “私”の最小単位を 細切れになった 映画フィルムの一コマのような静謐な場所で 自覚と無自覚の交差する三叉路で 初秋の風が撫ぜる歩道橋で そこで待ち合わせしよう  明日には大人になる君へ 私は自死を否定しない 私は孤独を否定しない 私は“私”という定義の領分については懐疑的でありたい 社会における境遇と その惰弱な精神を拠り所にした “私”と呼ぶには未成熟な自意識を 混同したりはしない  明日には大人になる君へ これから来る人生の屈辱においては 報復を誓うのも無理はないのかもしれない しかしながらその痛みが 君の尊厳に値するか知るべきだ 金品目的の窃盗犯は 私の書いた詩の一行だって盗めやしない 私はそれを尊厳と呼ぶ
虚無病GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa諸行無常未来都市 輪廻の環状線 抜け出せない因果と 去勢に至る 未来無き未来 選択肢なき幸福 感染 反戦 我に返るも 手遅れ 潜れ 潜れ オーバーテクノロジーと心中して 生け贄 犠牲 人間性  侵入禁止区の春 生命の樹形図  患って列をなせ、弱きブレーメン 人間反対の姿勢を声高に表明 総人類、何らかの病気だろどうせ 欠陥品どものファンファーレ  虚無の犠牲者  夕焼け溺死、滅亡前夜の 緑地公園クレーター跡地で 隣人ですら疑い合うから 争いも致し方ない ミクロ マクロ 本能のフラクタル ブラフマ 気まずさと迎合 因果交流電燈の曼荼羅 収束するべく いがみ合う  シェルターにノゲシが咲く 循環のライフゲーム  社会性脱ぎ去った我らは動物 北へ北へと頼りなく行軍 あらゆる恐怖症に欠落に躁鬱 失敗作どものファンファーレ  虚無の犠牲者  夢もない 希望もない 目的もない 味方もいない いない いない 人が嫌い 世界嫌い 言葉が嫌い 過去、未来 怖い 怖い 怖い しいたげられて 追いつめられたら やむをえず防衛機制 復讐の狼煙 脅し 暴利 思い通り 思い通り 思い通り  逆上して列をなせ、若きレベルエール 愛された事ないから愛は知らない 総人類、何らかの負い目を背負って 出来損ないどものファンファーレ  虚無の犠牲者
メーデーメーデーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa茫漠たる享楽の混濁する網膜を 老若男女すべからく漂白するコンダクト 思考なきマスゲーム 堕落の行進曲 反旗も空しく 価値と数の暴力 否応もなく 突き立てられる喉仏 己を殺せ 無明の権化 無能、クズも仏 色めき立つ世俗共の純粋なるアンチで 近代合理主義のここどん詰まりにて  テレビの向こうの多数の犠牲者には祈るのに この電車を止めた自殺者には舌打ちか 溜め息に似た自覚無き悪意が ファストフードの油の匂いみたいに飽和している東京 黙祷 少し黙れ喋り過ぎだ って我慢できず喋り出す自意識が 空白を埋めるな 踏みならすアスファルトに 生命浄化のアナトミー 等しくこの土地に死すなら  シスター どうか慈悲を我らアウトランダー 背徳とはなんだ 善は悪を孕んだ 罵ったあとですぐ抱きすくめる「この売女」 二十一世紀ようやく迎えた人類の反抗期 値段も善悪も美醜も移ろうように 謀反にするどく研ぐ段平 泣きじゃくりの賛美歌 己を忘却してはいないか? 中古本屋で百円均一のハイデガー  高層ビル 名無し アイロニー 物質主義 吐く血 センシティブ 燃やす運命 分別ない文明 香典返しは歌のラストシーンで死んで いずれ来る寂滅 自ずと判明する判決に泣いて メーデー メーデー って子供みたいに泣きじゃくる無邪気な愛で  大学卒業後、中小企業に就職 それを機に同級生の彼女と巣を作る 息子、娘一人づつ、四人家族の幸福 激務だが平均年収、越えて撫で下ろした胸 色んな事を諦めた 屈辱に顔しかめた そのお陰か都内の新築マンションには手が届きそうだ 少し光が射した 今まで以上に気張った それがまずかった  向上心や見栄が仲間を遠ざけた 鼻につくと陰口 罵り 嘲り 自分諭す、無になれ 同調圧力、ヒエラルキーの下で 住宅費 頭金 積み立て 鎖に繋がれた飼い犬だと気付いた 喜んでくれた妻の笑顔を裏切れなかった  ────これは全部想像だ 今日、電車に飛び込んだ男についての  高層ビル 名無し アイロニー 物質主義 吐く血 センシティブ 燃やす運命 分別ない文明 香典返しは歌のラストシーンで死んで いずれ来る寂滅 自ずと判明する判決に泣いて メーデー メーデー って子供みたいに泣きじゃくる無邪気な愛で  切り捨てるべきか 差別するべきか 淘汰されるべきか 実は悪意こそが普遍だ 「自分だけは大丈夫」という確信を この時代に持てるんなら 相当な権力者か馬鹿だ 八つ当たりの偽悪をひけらかしたいだけなら そのだらしない下水溝みたいな口を閉ざすべきだ 愛なき時代か そうは思わないが ぞんざいに扱われる愛も数知れず見た  僕は人を愛すが、それ以上に人を憎んだ 殺したい奴はいるが、守りたい人もできた 世界を恨む時代は終わった 貸しは返すつもりだが その期に及んで競い合うつもりか 勝つか負けるか 上か下か そうじゃない 賞金も勲章もない もはや生存競争だ なり振り構ってられるか 口を閉ざしてたまるか どうか生き残ってくれないか  高層ビル 名無し アイロニー 物質主義 吐く血 センシティブ 燃やす運命 分別ない文明 香典返しは歌のラストシーンで死んで いずれ来る寂滅 自ずと判明する判決に泣いて メーデー メーデー って子供みたいに泣きじゃくる無邪気な愛で
タクシードライバーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaショッピングモール、アウトレット、郊外の黄昏 家族連れ、人いきれ、シャツに聖者の肖像、滲んで 車の牽引ロープを買った伏し目がちな青年 自宅の鴨居にぶら下げて首を括る予定 地方都市と呼ぶのもはばかられる様な町で 地元の友人と未だつるんで、たまには呑んで 息苦しさを感じながらも幸福だとうそぶいて 青い青空が青過ぎてもはや黒で  タクシードライバー 世情を憂いて 溜め息で曇る生活に流行歌  飲み過ぎてくだまいて突っ走る四号線 政治批判でもなんでもいいから話しをして 途方もない真っ黒が喉につっかえて 吐き出したくないもの吐き出してしまいそうなんだ タクシードライバー 夜の向こうへ連れてって  優先席前に立ち尽くす妊婦がいたので 腹は立ったが結局なんにも言えなくて サラリーマンが性的倒錯をスマホの画面でまき散らして 世界の気まずさがこの車両に凝固してる 遠い国の爆破テロ、および犯行声明 僕が聞いたのはタクシーのラジオAM 窓から六本木の高層ビルがいけ好かねえ 物質主義が貫通してる、東京の楔として  タクシードライバー トランクを開けてくれ 僕らの荷物、多過ぎて歩けない  流れる都市の景色があまりにもきらびやかで 相対的に僕らの幸福は萎縮して 汗かいて一粒の喜びに明け暮れて そのくせ帰りの道筋だって人任せ  タクシードライバー 夜の向こうへ連れてって  ニュースの紛争、ネットに流れた死体のjpeg 痛みを無視出来るなら人は悪魔にだってなれる 排他主義反対と疎外する人間が居て 暴力反対という暴力には無自覚な奴がいて 不良になる為には、まず良い人間にならなければ 家出する為には、まず家に住まなければ 運転手さん、あなたは出会った中で一番の思想家 生活に根ざした哲学で疾走する思想家  タクシードライバー 窓ガラスを開けてくれ 淀んだ空気 開け放って 夏の風  将来も未来も視界不良の道半ばで けど、不安に人生を明け渡せる訳はねえ この長いトンネルは一体いつ抜けるんですかね? どうぞ行ける所まで行ってくれて構わねえ  タクシードライバー 夜の向こうへ連れてって
分岐amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa今振り返ればあの時だ って今がその時なのかも知れない 分岐点、選択肢、分かれ道、どっちみち答え合わせは明日以降 実りの季節の投資も 見通しの悪い小売業 未納家賃で頭たれ舌打ち がんじがらめ のたうちまわり 慢性的貧困に差した魔が 反社会的思想 明日は我身の 四の五の言ってる間に 飛行する夜行列車 逃避行  星系から星系、星巡り 過ぎる景色、時間は日めくり 何を目指して 何を残して 何が大事で 何が不必要で 現実逃避も果ての果て 誰も追いつけない水際まで 夢見心地、世俗との交差点 我に返る ここ、金貸し査定  正しいと正しいの間 宙ぶらりんの魂の声を聞いた 西も東も悪手だ 右も左も暗い四面楚歌 それでも迫る 道を選ぶ 掴み取れば自身の死すら気高く 脅されてるぞ銃器で 後になれば分かる今が分岐点
百年経ったらamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa眠りから覚めても動けない身体 病み上がり 人らしき人以下に成り下がり 価値のない物に価値を付け 価値観とうそぶくものに 支払いの義理はない  世界は酔っぱらい へらへら回るけど 戦闘機 暴力と言葉が釣り合えば  ビル風に寝転んで 百年経ったら起こして 土には還れぬもの達と添い寝して 裏庭の堅い実が 真っ赤になったら教えて この夏の訪れを そよ風に言付けて 空を越え  故郷が嫌い 雪が積もるの嫌い 思い出と心中するつもりもないし 夕凪の静寂 耳を澄ます海に あの娘が育った町だから そこは好き  世界一嫌いな人間と 世界一大事な人間を 一人しか救えない  だとしても迷うだろう そういうもんだ 人として 良心があってこそ 良心が傷むのだ 裏庭の堅い実が 真っ赤になったら教えて この夏の訪れを そよ風に言付けて 空を越え  荒廃したこの土地で もう生きていけないから ノアの箱船的宇宙船 炎を吐く飛行機雲  みんな 地球を出て行った  僕はそれに 手を振った さよなら  この町が燃え尽きて 百年経ったら起こして 土には還れぬもの達と添い遂げて 裏庭の堅い実が 真っ赤になったら教えて この夏の訪れを そよ風に言付けて  空を越え
ライフイズビューティフルGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa何がどうなって ここに立ってるんだ 時々われに帰って 首をかしげるんだ 歌うのが好きな少年だった だけどそれを誰にもいえない気弱な子だった 久しぶりだな そっちはどうだ? 元気してんなら 別にそれでいいんだ つまらねぇ愚痴は 言いっこなしだ 昔話もたまにはいいか  わいは今も歌っているんだ 暗い歌ばかり歌いやがってと人は言うが ぜってぇまけねぇって 気持ちだけで 今まで ここまで やってきたんだ これだけは本気でゆずれないんだ 背負ってるものが増えすぎたようだ 夢を諦めた人 捨てた人 叶えられず死んだ人 覚えているか?  あっけなく命や夢が消える星で ありふれた良くある悲しい話 そんなもんに飽きもせず泣き笑い 人生は美しい 一つを手に入れて一つを失くして いつも何か足りないって泣いている だけど後悔なんてしてやるものか 人生は美しい  いつもの居酒屋で はしゃぎすぎた 始発で帰る馬鹿達を 太陽が照らした 「俺らの夜明けがやってきたんだ」 誰かが言った 頭は痛いが 妙に笑えた そんな日々も 今はもう遠い あの頃のギターは埃をかぶってた けどな これだけは絶対言える 俺らの夜明けはもうすぐそこだ  信じた人や物が過ぎ去る街で ありふれたどこにでもある悔し涙 そんなもんに未だに突き動かされる 人生は美しい ファミレスで喧嘩したぶりのあいつが 電車に向かって手をふり続けていた 過ぎてゆく景色 二度と振り向かないよ 人生は美しい  こんな時間か そろそろ帰るか? なんだ帰りたくないって まぁ わいも同じだが 不安は多いが 進むべきだ 情熱一つで何でもできるはずさ 東京 青森 路上 ライブハウス きっと場所なんてどこでも良かった 歌う場所はどこでもいいぜ 歌う歌がわいの歌なら  悔し涙振りほどいて叫んだ歌 大事なものは二度と離さないよ 振り向くな後ろには花も咲かねぇ 人生は美しい じゃあなまたな身体だけは気をつけろよ しっかり歩けよふらついてるぜ 見ろよもう朝日が昇ってきた 人生は美しい 人生は美しい
吐きそうだGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa生きる意味とは何だ 寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか それとも酔いどれの千夜一夜 ていうか二日酔いでもう吐きそうだ 新しい家に引っ越した とは言っても西日とは未だ友人だ 安心とは縁遠い暮らしの最中で どっち付かずの夢想家 思い出す景色おぼろに 白黒写真みたいなあの日々 何度も僕は僕を殺し 血まみれの僕 未だ在住 心に 夜窓に不意に映るそいつは さながら亡霊か 恨めしそうな目だ 「いつでもこっちに戻って来なよ」 踏みとどまるのはいつだってギリギリだ 自分の価値観を自分で言い負かし そいつをまた否定する言葉遊び 建前を一枚ずつ剥がせば 頭の中すっかり嫌な奴 そりゃそうだ一糸纏わぬ人間は そもそも獣とさほど変わらない つまり犯人は僕自身なのだ っていうのはもう何度目のオチだ?  生きる意味とは何だ 寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか それとも酔いどれの千夜一夜 ていうか二日酔いでもう吐きそうだ  たった一瞬の たった一粒の 閃きが人生を変える でもそれを神様みたいに崇めるのは違うと思うんだ 愚直な自尊心が現実に跪いた 口をつく恨み節 確かによく切れたな 閃きには今も感謝するが 怠惰の言い訳になり得たのも然りだ 馬鹿にした奴 見返したいだけじゃ 目立ちたがりや 空虚な愉快犯 上か下かで競い合うその先に 僕ら生きてる虚しさを恥じて 群衆の意思の平均像の下敷きに なっているのもどうせ人間だ それなら自分が一番可愛いんだと 言ってみせろよこの獣どもが  生きる意味とは何だ 寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか それとも酔いどれの千夜一夜 ていうか二日酔いでもう吐きそうだ  埠頭を望むさびれた岸壁 潮風に錆び付いていく命 と呼ぶのも躊躇う様な暮らし ぶら下げ「それでも」と 未だ のたまい 所在などなく 行き場所もなく くすぶる魂すら持て余す 「後悔はない」という後悔を 引きずり重い足を歩かせる 愚痴は零すな 弱音を吐くな 素晴らしい人間になろうと思うな 我慢するべきだ 身を粉にして 道に迷っても戻りはするな 優しく在れ 義理堅く 恩は返せ 借りは作るな 無償の愛だ 無償の愛か? これこそエゴか? なんて嫌な奴だ  生きる意味とは何だ 寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか それとも酔いどれの千夜一夜 ていうか二日酔いでもう吐きそうだ
しらふamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa「自分以外皆死ね」ってのは「もう死にてえ」ってのと同義だ 団地からの三人称視点 寂れた外壁に吸いさしの煙草押し付け 現場監督の怒号に唾を吐いて夕暮れ もう消えてくれ 未だ歌手としては無名 ぼろぼろになるまで働いて食う飯はうめえ けど明日にはばっくれ 我慢、忍耐とは無縁 こんな僕に光が射すなら早くそうしてくれ  解体作業、ソープ、オフィス、世田谷の小学校 豊かな心、情操教育で現実を描こう アスベスト吸い込み、渡る現場は鬼ばかり 高所作業、安全帯無しで人生綱渡り こんなはずじゃなかった 頭で繰り返し これで何百回目かの人生の振り出し もう無理かもね 祈る気力もない流星 あの日期待した僕の才能、下方修正  努力 積み上げた労力は結局徒労 それなら目の前にある惰眠をむさぼろう 昨日出来たはずの世紀の名曲は 掃いて捨てる程ある駄作にも埋もれる駄作だ 埃だらけの作業服 冷たい視線 山手線 特に原宿より南は痛てえ 俳優、バンドマン、その日暮らしにホームレス 履歴書なしで派遣される工務店  事務所前チューハイで乾杯の晴天 古株の面々 まるで現代の蟹工船 妥協でされるがままの搾取 汗を酒で潤す さながらヨイトマケの唄か山谷ブルース 夢見がちな馬鹿とギリギリの奴らが集い 気がついたら僕もそんな一派の一人 泥酔にまかせて現実をずらかった 夢も消えちゃった 「今日の仕事も辛かった」  スナックの皿洗い、送迎じゃまどろっこい 大湊自衛隊員の愚痴には酷く悪酔い 次第に増える独り言、あの日の怒号、反響するエコー いや待て、これはもしかしたら幻聴 フラッシュバックで言葉を書く マッチポンプな自傷行為 宿命とは聞こえがいいが ようは体のいい呪いだ 早揚がりの泥酔の果てにふらふらの自意識が 下手な勘ぐりをし出す前にもう眠るか  「自分以外皆死ね」ってのは「もう死にてえ」ってのと同義だ 悪いのは僕か世界か 千鳥足じゃふるさとに吹く風だって冷てえ こんなんじゃ世間だっていざって時にはつれねえ 震えて朝焼け 外套の襟を立て 勇んで出てったはずのふるさとにまた立って もうここには居られねえ 自暴自棄な足取りで 分かったもう出てくよ 僕はすっかり素面で  老いも若きも酔っぱらいの三千世界で 我こそが純粋なる全うな素面で 痛み真っ向から食らい歌う酩酊いらずで 青年は詩を書く 離れた陰気な群れ 属する場所がないって場所にはぬけぬけと属して 舐め合う傷跡は蜜の様に甘え そのカビ臭い地下室からはさっさと抜け出して むき出しの肌で受け止める現実の
エンディングテーマGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaこんなに空が青いのは ちょっと勿体ないな 少し曇ってるくらいの方が 丁度いいよな 真っ白な病室の 窓の向こうでは そろそろ桜も咲くんだろうけどな 満たされていたいって いつも思うけれど 満たされていないからこその 願う力 腹が減ってる時の 食欲みたいな物 あなたはどうか大事にしてね  失う事に慣れたりしなかった 最後まで僕は悲しい人間でした だけどそれと引き換えに 僕は願うのです 生きて 生きて 生きていたいよ  僕が死んだら 流れ出すエンドロール 僕が主演の 青春群像 お世話になった人達の 名前がずらっと並べば 何時間掛かるか分からないや そんな事考えると ちょっと笑えてくるよな だからエンディングテーマはこんなもんだろ  幼い頃飼ってたペットが死んだとき あまりの悲しさに 出会わなきゃ良かったと思った 手にする喜びと 失う悲しみ 天秤にかけるのは 馬鹿げたことです  偉そうな事を言ったりしてごめんな 本当に僕が言いたい事は つまり 僕の中で生きている 僕が愛したもの達みたいに あなたの中で生きていたいよ  僕が死んだら 流れ出すエンドロール 人はそれぞれ 日常に戻って ふとした時に思い出して 欲しいけどさ 我ながら名作とは言えないもんな そんな事考えると ちょっと笑えてくるよな だからエンディングテーマはこんなもんだろ  失い続ける事で 何かに必死になれる力が宿るのなら 満たされていないってのは 幸せなのかな だとしたら 今の僕はきっと幸せなんだな なのに 心が痛いよ 涙が止まらないよ  あなたが死んだら 流れ出すエンドロール 僕はきっと 脇役だろうな 少し寂しいけれどきっと それでいいんだ あなたが幸せだった 証拠だから  僕が死んだら 流れ出すエンドロール あと18小節のエンディングテーマ あなたの胸に焼きついて 消えないような 気の利いた言葉を 言いたいんだけど そんな事考えてたら もう時間か 最後はやっぱり 「ありがとう」かな
花は誰かの死体に咲くamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa街路樹も染まるから 素知らぬ顔で赤色 裏切られた気分で 寒空の下で 嫌なニュースばかりで 耳を塞いでいたら 発車のベルを聞き逃して 南無阿弥陀仏 母親のあきれ顔 寒々とした旭町 非暴力の近海で爆撃機が飛んで 生活と空想 世俗と現実逃避の成れの果て  人類が誕生し約七百万年 今日までに死んだ人の全ての遺体が 土に埋まってんなら 君が生きてる町も 世界中どこだって誰かの墓場なんだ ぞっとしない話しだが それに救われたんだ 高層ビルもアパートも墓標みたいだ 憂鬱も悲しみも思い出も 分解してくれないか  綺麗でもなんでもねえ 小さな花が咲いた 君の無様の肯定 やむにやまれず生きて 名付けられもしないで 捨てられた生ゴミも 悔やみきれず死んでも 叶えられる事なかった誰かの夢も 一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く  町が夜を追い出そうとするから夜空の下 大げさに騒いでは炎を焚いた ビルの明かり 街灯 電飾看板など ついに都市は孤独を克服したのだ それでも田舎の夜を 一人で彷徨うより 募る都市の寂しさは一体なんだろう きっと人と比べてしまうから 僕の幸福は相対的だった  綺麗でもなんでもねえ 汚れた友が笑えば 僕の失敗の肯定 選べなかった道で 恥も外聞もねえ 抱きしめたあの人も 向かい風の嘲笑も 讃えられる事なかった君の勝利も 一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く  かつての戦場に人が営んだとて 悲惨な事件の現場に花手向けたとて 捨てられた町に未だ木々が根付くとて 祖父へのお供え物に虫がたかるとて 虚しさに生きてその最中に笑えよ さよならは一瞬だその最中に歌えよ 朽ちる命抱きしめて泣きじゃくる晩は 踏みしめてる土に祈れ生命賛歌  綺麗でもなんでもねえ 命が今日も笑えば 人の傲慢の肯定 逃れられぬ命を 逃げるように生きてよ 笑い合えたこの日々も 失くした日の痛みも なんとか死にきれそうなこんな人生も 一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
収束amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa海鳥が瓦礫の上空いなないた コンクリート世紀は知恵の数式 今じゃ遠い日のヒエログリフ かつての人の営み 腐食した建造物 侵食する植物の増殖 カンブリア爆発 ハタネズミがサカナを喰らえば 猛禽類が噛り付いて空へ誘った 逆光の太陽が燃え盛る 生き死にの律動 亜熱帯雨林と化した ここ東北の北端にも 湧き水、岩から滲みて 陽が落ちては冷却の星空に聞き入り 平穏が訪れたのだと知る 奪うも奪われるもなく 等しく星の砂塵となりて 唸り 遠吠え 求愛のさえずりや 威嚇のがなりとか 生命のオーケストラ  飲めや歌えや 騒げ愛おしいや 夜通しだ 呼応した鼓動しか物音しない ここ何億夜 規律無しの無秩序と思いきや 命の思想は確かに存在した  飲めや歌えや 騒げ愛おしいや 夜通しだ 呼応した鼓動しか物音しない ここ何億夜 荒廃したとは人の言い様だ ここにはもう人類は居ないのだから
多数決GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa臆病者ほど人を傷つけると言うなら 一番臆病なのはこの世界なのかもしれない 優しい奴ほど背中を丸めて歩く 腹いせにこの都会を踏んづけて歩く  時代は変わっていくのではなく吹きすさぶのだ 向かい風に逆った奴らは行っちまった 息を止めた憐れな孤独の悲しみ共 空元気が繁華街に反響して空虚  価値観も善悪も 多数決で決まるなら もしかしたら 生まれる場所を間違えたのかもな もういいよ いいよ この部屋は世界の隅で 機会を今かと、窺うには丁度いいかもしれない 賛成か 反対か 是非を問う 挙手を願う  多数派が少数派に面倒を押し付ける 持つ者は持たざる者を食い物にしてる 強い者が弱きを挫いて溜飲を下げ 都会は田舎をゴミ捨て場だと思ってる  人類最後の解決法が戦争だけなら 進化論も当てにはならなかったみたいだ その実、知恵のある振りをした獣だから 空腹もこれ以上無い動機になりえた  違和感も常識も 多数決で決まるなら もしかしたら当たり前も もう疑うべきかもな もういいよ いいよ この町は忘れ去られた 良からぬ事を企てるには丁度いいかもしれない 賛成か 反対か 是非を問う 挙手を願う  札束の数 名誉の数 友達の数 勲章の数 勝ち越した数 賞状の数 努力した数 褒められた数 僕らの価値は数字じゃない 自分の評価を人に任せる訳にはいかない 世界は移り変わる 昨日の価値は今日の無価値  罪悪も合法も 多数決で決まるなら もしかしたら百年後は もう全員罪人かもな もういいよ いいよ この世界は壊れすぎた 白紙から描き直すには丁度いいかもしれない 賛成か 反対か 是非を問う 挙手を願う
スピードと摩擦GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa切れかけた街灯に照らされて 明滅繰り返す人々の影 ゴムの匂いと空気の湿り気 静寂と呼ぶには、はなはだ多弁 したがって 定まらぬ視点 星を滑って 東北に流転 蛾が群がって どうせ無駄だって 夢に焼け落ちて あとは何もねえ  行き先のない乗車券 此岸の終わりの夕景 地球の裏の荒野へ 早く連れてってくれ  夏の庭に犬の骨 死屍累々の日付 それを踏んづけて明日へ 気管支炎の音符で 血を吐くまで歌え 放射状 北の山背 そこに咲いた花でさえ 冒涜は許されて  僕は舌打ちをしたこの街へ いや、舌打ちしたのは街の方で 砂場に子供らの神話体系 その一粒ごと神は宿って 絡まって 切れぬ社会性 みだりに越えて 唾を吐き掛け 我が塞がって 来世疑って 無様に燃えて あとは何もねえ  獣と人の分岐点 命にたかる銀蠅 精子は霊地の巡礼 死ぬには早い降雪  国道沿いのラブホテル トワイライト純潔で 言葉足らずの夜明け 吃音的な世の果て それを飲み込んでは咽せる 結露に滴るカーテン 命が今焼け落ちて 車道に冬の銀河系  トラックの荷台に跨がって 歳月が通り過ぎた 交差点で横転して 血を流していた 窓越しにそれを見ていたら 命がじりじりと焦げる音を聞いた  スピードと摩擦 火花を散らして スピードと摩擦 内臓を焦がして  体内に発車の汽笛 血液は逃避の路線 旅立っては近づいて 離れてくのはどうして? 苛立ちは尚叫んで ひび割れた今日の風景 地表にうがつささくれ 二月は無垢な難破船  スピードと摩擦 内臓を焦がして
風邪amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa37度の微熱 もんどりうったソファーに亀裂 彼女の長い髪の毛 それで心を縛って祈れ 背後霊 どこにも飛んでかない様に もうふらふらしない様に 待合室で嘔吐した病院 人生汚してこそフィロソフィー  やりたいこと やりたくないこと やれること やれないこと 面倒くさくなってほっぽって 選択肢すらなくしちゃって 運命なんて他に選択肢が無かったってだけ 必然なんてなんとなくなるようになったってだけ  ごめんちょっと調子が悪いだけなんだよ本当に かれこれ数時間 便器にしがみついて 朦朧とうわ言
名前amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa君の名前はなんだっけ? ふと思い出せなくなって 言葉に詰まって噴き出した ヘラヘラ笑ってごめんな 人は一人で生きてけない それは確かに間違いじゃない 必ずどっかに属していて 家族 学校 社会とか  君の名札に書いてある もしくは名刺に書いてある もしくはカルテにかいてある ひそひそ影で呼ばれてる 肩書き 陰口 あだ名とか 全くもって僕は嫌い ひとまず話しをしようか それで全部分かるさ  嘘つき 理想家 夢想家 鬱病 右か左か 僕らただ生きてるだけで 名前だけ入れ替えられて 社会性不安障害 ギターロック JPOP フォーク 何だっていいだろ 僕の話しをまず聞いてくれよ  僕が小学生の時は “調子いい奴”と呼ばれたよ 人の顔色うかがって 人によって態度を変えて 音楽を始めてからは “バンドマン”と呼ばれたけど 高校卒業した途端 “フリーター”ってどうなのさ  僕自身はガキのまま 何にも変わってないけれど 時と場合と状況によって 名前は変わるらしい だからそんな落ち込まないで 僕は君を知ってるから 「誰だお前は」と言われたって お前が先に名乗れよ  債務者 クズにろくでなし 無職に 自殺志願者 僕らただ生きてるだけで 名前だけ入れ替えられて 無神経 保守派 革新派 不登校 中卒 高卒 何だっていいだろ 君の話しをまずは聞かせてくれよ  時には大げさな看板を背負わされて 時にはいわれない不名誉を着せられて 君のこれまでをいっぺんに語る事が出来る 名前なんてそうそうないよな だから  どんな風に呼ばれようと 好きにやるべきだと思うよ 君を語る名前が何であろうと 君の行動一つ程には雄弁じゃない  ゴロツキ 被害者 加害者 負け犬 傍観者 容疑者 僕らただ生きてるだけで 名前だけ入れ替えられて 愉快犯 情緒不安定 ホームレス 日雇い労働者 何だっていいだろ 君のやるべき事をやり遂げてくれよ  君の名前はなんだっけ? ふと思い出せなくなって ちなみに最近の僕はよく “皮肉屋”って言われるよ
季節は次々死んでいくPLATINA LYLICamazarashiPLATINA LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa季節は次々死んでいく 絶命の声が風になる 色めく街の 酔えない男 月を見上げるのはここじゃ無粋  泥に足もつれる生活に 雨はアルコールの味がした アパシーな目で 彷徨う街で 挙動不審のイノセント 駅前にて  僕が僕と呼ぶには不確かな 半透明な影が生きてる風だ 雨に歌えば 雲は割れるか 賑やかな夏の干涸びた命だ  拝啓 忌まわしき過去に告ぐ 絶縁の詩 最低な日々の 最悪な夢の 残骸を捨てては行けず ここで息絶えようと 後世 花は咲き君に伝う 変遷の詩 苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも  明日は次々死んでいく 急いても追いつけず過去になる 生き急げ僕ら 灯る火はせつな 生きる意味などは後からつく  君が君でいるには不確かな 不安定な自我が 君を嫌おうと せめて歌えば 闇は晴れるか 根腐れた夢に預かった命だ  拝啓 忌まわしき過去に告ぐ 絶縁の詩 最低な日々の 最悪な夢の 残骸を捨てては行けず ここで息絶えようと 後世 花は咲き君に伝う 変遷の詩 苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも  疲れた顔に足を引きずって 照り返す夕日に顔をしかめて 行こうか 戻ろうか 悩みはするけど しばらくすれば 歩き出す背中 そうだ行かねばならぬ 何はなくとも生きて行くのだ 僕らは どうせ拾った命だ ここに置いてくよ なけなしの  拝啓 今は亡き過去を想う 望郷の詩 最低な日々が 最悪な夢が 始まりだったと思えば 随分遠くだ どうせ花は散り 輪廻の輪に還る命  苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも  季節は次々生き返る
或る輝きamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa粘着質な夜明け 底なし沼と星空の類似 観測地点における寒波の去来 親不孝通りの吐瀉物の染み 捨て鉢なエンジン音の個人タクシー 残響と共に襟を立て、立ち去る季節 行くも行かざるも虚しいまま 湖面に不時着する落葉  断定的な微笑み 網膜 拡散 悲しみ 悲しみ  (上昇と同時に墜落する肢体 住宅街の夕景のささくれ 果たせぬ願い 明日への展望 来訪する季節 ついに出発しなかった旅路 あの日、あの時のあの子の微笑み 後部座席に思い出、遺失物 悲しみ 悲しみ)  或る特定の期限における爆発的な命の輝き 瞬き 疾走とはつまり燃え落ちる衛星の輝き 瞬き 肢体がバラバラになっても 痛みが炎と朽ち果てても 存在した 存在した 輝き  屈折したエゴが結ぶ実像 環状線、囚われの身の泊地の精神性 体育倉庫の堅い地面に裂傷 深夜一時にこだまする執行猶予的な笑い声 潰れたガソリンスタンドに横付けされた侘しさ 利他的な憤怒 日々、暮れていく感性 相対的な幸福 省略された人間性 病巣 雑音 悲しみ 悲しみ  (遮光カーテンに真夜中の染み 空白を埋める為の慣性運動 ぼたぼたと滲んでいく鼻血 遮断された生活の孤立 はためく企業の旗と不良カラス 自覚のない自堕落 死んでいく感性 値札の付いた幸福 間接的存在否定 虚言 悲しみ 悲しみ)
自虐家のアリーGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaいずれにしても立ち去らなければならない 彼女は傷つきすぎた 開かないカーテン 割れたカップ 流し台の腐乱したキャベツ 愛と呼べば全てを許した 母の仕打ちも割れた爪も 酷く痩せた膝を抱いて 責めるのはいつも自分の事ばかり  お前なんかどこか消えちまえと 言われた時初めて気付いた 行きたい場所なんて何処にもない ここに居させてと泣き喚いた 「窓から小さく海が見えるから 父さんとこの部屋に決めたの」と 昔嬉しそうに話していた 母は今夜もまだ帰らない  あの海と一つになれたらって そう思った後に少し笑った  自虐家のアリー 波の随に 歌って 被虐者の愛 波の随に 願った 抱きしめられたくて 嘘ついたあの日を 今でもずっと悔やんでる  私だけが知っているんだから わがままはとうの昔に止めた 時々とても優しく笑う それが母の本当の姿 物心ついた時から父は居ない 理由は今も聞けない 今夜も海を眺めながら 記憶の中だけ裸足の少女  あの海と一つになれたらって そう願ったのは何故だろう  自虐家のアリー 波の随に 歌って 被虐者の愛 波の随に 願った 抱きしめられたくて 嘘ついたあの日を 今でもずっと悔やんでる  苦しくてしょうがなくて 海への道駆け抜けた 砂浜で 月明かりの裸足の少女 愛されていないって 疑った私を許して 何もいらないよ これが最後のわがまま  自虐家のアリー 波の随に 浮かんで 被虐者の愛 波の随に 沈んだ あの人が愛した 父さんが愛した  この海になれたら 抱きしめてくれるかな 今でもずっと愛してる
ヒガシズムamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ上野 秋葉原 東京 押し合って生きる資格を得ろ ディストピア脱走 生存競争 先延ばしした生に未練はない カラスの声に メッチェンの笑み 性的不備、溜め込む6.5 畳 総人類反社会的 冒涜、不道徳の極み  あくまで未定の生存 「自分を大事に」とかって正論 言いたいだけだろ もううるせえよ 俗っぽさを崇めた世間の負債 人を嘲り 偽悪の無罪 潰した野花かつて飛ばした種子 地下鉄ひとすじ蜘蛛の糸 誰も群がらぬ蜘蛛の糸  星空と人々の距離の虚しさを 埋めるように差し込む夕日の赤が綺麗だ  ヒューマニズム レイシズム 陽が沈む 今日も沈む 有限の区切り、印として いざこざの間に陽が沈む 瞳の色 肌の色 髪の色 互いを見ろ 僕が僕として生きてる理由を 身に纏う証明 実存 実存 実存  憎しみあってばっか 血の気の多い平和主義ばっか 自由崇拝ゆえ、規律に発火 がれきに下敷きの人の営み 立ち消えるライン 神様不在  行くか戻るかなのなのなのなのな 先にたたず後にたち並ぶ 墓標みたいなビルと後悔  後何年 何ヶ月 何時間と 逆算した人生に 追いつめられて  ヒューマニズム レイシズム 陽が沈む 今日も沈む 世々、最小単位の死として ただ身代わりに陽が沈む 裁きたがり 泣きたがり 死にたがり 晒したがり 僕が僕として生きてる理由を 選び取る証明 実存 実存 実存  秋の砂浜にビーチサンダル ストーブの中 去年の灯油 いつ終わるとも知らないが 今日が確かに終わる事 明日も笑える不確かさ それでも約束繰り返し 曖昧な未来でまた会える 明日、多分、必ず、会える  夕日の前では誰もが等しく 赤く染まる罪と罰 夕日信仰ヒガシズム 全ては消え行く 脆くも崩れさる 有限の一区切り 夕日信仰ヒガシズム  ヒューマニズム レイシズム 陽が沈む 今日も沈む 善悪も我関せずとして 今日も今日とて陽が沈む 夕日の赤 死地の赤 嘘の赤  血潮の赤 僕が僕として生きてる理由を 身に宿す証明 実存 実存 実存
スターライトGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ僕らを取り囲むあらゆることに特別な事なんてない この手の中偶然の振りして居座る宝物も 出会うべくして出会った 奇跡のように光はなった ガラクタも 重なれば 僕を形作った もう駄目だって挫けそうな 時にだけ輝くものが つまり いつだって胸の奥に眠ってる  屑みたいな ゴミみたいな 小さな星を見つけたんだ 掴めはしなくても その明かりで 僕らは 前に進むよ  夜の向こうで何かが待ってて それを照らして スターライト 情熱 希望なんでもいいけど 僕らはここに居ちゃ駄目だ 片道切符は承知だジョバンニ 涙は捨てろ スターライト きっといい事ばかりじゃないけど だからこそ 僕らは行くんだよ  ここまでの旅路を思い出してよ 胸が張り裂けそうな別れも 死にたい程辛い時だってあったろう いつだったろうその度自分になんて言い聞かせてきたか 「ここが始まりだ 始まりだ」って 涙こらえたよ 終わりがどこにあるかなんて 考えるのはもう止めた つまり 言い換えれば全部が 僕次第  屑みたいな ゴミみたいな 小さな僕だって光るから 見つけて欲しいんだよ この声を 今すぐ空に投げるよ  夜の向こうで誰かが待ってて それを見つけて スターライト 愛だ恋だって解らないけど 僕らは一人では駄目だ 愛する人は守れカムパネルラ 弱気は捨てろ スターライト きっと悪い事ばかりじゃないよ 隣に あなたが居るなら  星めぐりの旅は続く 続く 終わらない オリオンの右肩で歌う 歌う 鷲は紅い目玉 泣くな 泣くな 旅人よ 故郷の姫りんごついばんだ 鳥になるか 鳥になるか そんな 夢をみたよ 涙も枯れたよ  夜の向こうに答えはあるのか それを教えて スターライト 失望 挫折うんざりしながら それでも 何かを探してる 近づけば遠くなるカシオピア 今は笑えよ スターライト いつか全てが上手くいくなら 涙は通り過ぎる駅だ
もう一度GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむバイトの面接ばっくれて 雨雲眺めて不貞寝さ ビールの空き缶で膨れた ゴミ袋で夢も潰れた どっかで諦めていて 無表情に生きている あまりに空っぽすぎて 途方に暮れちまうな 彼女が帰って来るまでに 言い訳を急いで思案する 何やってんだってしらけて どうでもいいやって居直る そうだこの感じ 今まで何度もあった 大事なところで僕は 何度も逃げ出したんだ  昨日から雨は止まない このままでは終わらない 敗北 挫折 絶望がラスボスじゃねえ 自分自身にずっと負けてきた 勝てない訳ないよ自分なら 僕が一番分かってる 僕の弱さなら  もう一度 もう一度 駄目な僕が 駄目な魂を 駄目なりに燃やして描く未来が 本当に駄目な訳ないよ もう一度 もう一度 僕等を脅かした昨日に ふざけんなって文句言う為に 僕は立ち上がるんだ もう一度  ここには希望も救いもない 分かってんならどっか行けよ 「昔は良かったな」なんて そりゃ白旗を振るって事 どっかで陰が落ちれば どっかに光は射すもの どこに立っているか位で 不幸せとは決まらねえ  昨日から雨は止まない でも傘なんて持ってない 悲痛 現実 僕らいつも雨曝しで って言う諦めの果てで 「それでも」って僕等言わなくちゃ 遠くで戦っている 友よ挫けるな  もう一度 もう一度 馬鹿な僕らが 馬鹿な希望を 馬鹿にされてこぼしたあの涙が 無駄だった訳ではないよ もう一度 もう一度 僕等を笑ったこの世界に ふざけんなって借りを返す為に 僕は立ち上がるんだ もう一度  静かな部屋の中 雨音だけが響いている どこにも行けないのか どこにも行かないのか 夢 希望 傷だらけで笑いあう友達 あの子の笑顔 全部ないよ 始まりはいつも空っぽ  もう一度 もう一度 押しつぶされる度つぶやいて ようやくたどり着いたこの場所に 正しさなんていらないよ もう一度 もう一度 あの日離れていった希望に ざまぁみろって言ってやる為に 何度も立ち上がるんだ もう一度
夜の一部始終amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ歴史が夜に作られる様に 明日への通行料金 未払い、眠る病人 思索に煩悩 日付を通せんぼ 古い文庫本と思想のディベート 言葉にすれば意味が伸し掛る だからいっそ無言を決め込む孤独と  慕情は夜に 憎しみも夜に 後悔も夜に 煩雑に作られて おんなじように言葉も歌も 夜に作られて 日が昇るまでに 消されたりした気持ちもあって 息を止めて 息を止めて  眠れない夜に それなりの理由 希死念慮は慰留 夜の一部始終 眠れない夜に 寺山の詩集 逃げるのも自由 夜の一部始終 眠れない夜に 言葉の無味無臭 人として未熟 夜の一部始終 眠れない夜に ぶり返したのは意趣 それはきっと杞憂 夜の一部始終
穴を掘っているamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ穴を掘っている 人生どこで間違えた 穴を掘っている 自暴自棄にスコップを突き立てる 風が唸る森 夜鷹なんかが鳴いちゃってさ まんまるな満月に 見張られてる25時  穴を掘っている あいつがとうとうしくじった 穴を掘っている これが はみ出し者の落とし穴 汗を拭っても 後悔までは拭えない 運の悪さだけは 勲章みたいに胸に張り付いてる  ぽかんと口を開けた闇に 幼い頃の幻想がちらつく 親父がよく言っていた 「悪人も天国に行けるぜ」  だって神様も悪人 だって事はガキだって知ってるぜ 泣いても喚いても祈っても こんな世界に生れ落ちたのが証拠 人生そんなもんなのかもね 諦めは早けりゃ早い方がいい 僕は僕を諦めたぜ 生まれてすぐさま諦めたぜ  穴を掘っている 友達だったあいつの為に 穴を掘っている もう動かない友達の為に ランタンの灯りで 僕の影が悪魔みたい この町の路上の 最期としてはよくある話  なんとか切り抜けられたら 全て上手くいくはずだった 親父がよく言っていた 「絶望を連れてくるのは希望」  だって神様も悪人 希望を持たせるだけ持たせて 泣いても喚いても祈っても 最後に突き落とすのがその手口 人生そんなもんなのかもね 諦めは早けりゃ早い方がいい 僕は僕を諦めたぜ 生まれてすぐさま諦めたぜ  穴を掘っている 背中に銃を突きつけられて 穴を掘っている 自分が入る穴を掘っている 全くくだらない 一生だったな笑えるぜ 頭にくるぜ なんで僕ばっかり この人生をバラバラにしちまう勢いで 穴を掘っている 穴を掘っている 穴を掘っている 穴を掘っている  どうせ僕だって悪人 だって事はガキの頃から決まってた 泣いても喚いても祈っても 生まれる場所までは選べないぜ 人生そんなもんなのかもね 諦めは早けりゃ早い方がいい さもなきゃ 馬鹿な人間になってしまうぜ その後に及んで諦めの悪い人間に  諦めの悪い人間になってしまうぜ
雨男GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ酷く疲れた幾つもの顔が 車窓に並ぶ東横線の高架 僕はと言えば幸か不幸か 道外れた平日の落伍者 音沙汰ない友達と重ねる 若かった親父を空想する 河川敷を覆う黒い雲が 暗くしたのは僕の行く末か  孤独と歩む創作の日々は ぬかるんだ道で途方に暮れた 迷子が泣き叫ぶ声にも似た 「愚にもつかない弱虫の賛歌」 そう後ろ指さされる事に むきになる己を恥と言うな 暗闇と生涯暮らすには 僕はもう沢山知りすぎた  優しくされたら胸が震えた それだけの為に死んでもいいや 本気で思ってしまった 笑ってよ 笑ってくれよ うな垂れて覗き込む水溜り 映り込む泣き顔踏みつけたり 上手くいかねぇもんなんだな 今日も土砂降り そういや いつかもこんな雨だった  未来の話は嫌いだった だから約束もしたくなかった 久しぶりに電話をかけてきた 聡は酷く酔っぱらっていた 何も変わらない地元訛り 泣きそうになる会話の端々 馬鹿な世間話をした後に 約束したんだ「行こうぜ飲みに」  がむしゃらに駆けた無謀な日々を 懐かしむだけの飾りにするな 恥さらしのしくじった過去と 地続きの今日を無駄となじるな 心が潰れた土砂降りの日に すがるものはそれ程多くない だからあえて言わせてくれよ 未来は僕らの手の中  友達の約束を守らなきゃ それだけが僕の死ねない理由 本気で思ってしまった 笑ってよ 笑ってくれよ うな垂れて覗き込む水溜り 映り込む相変わらずな僕に 苦笑い一つ放り込む 今日も土砂降り そういや いつかもこんな雨だった  悲観 楽観 交互に積み木崩し 振り返る度に痛む傷口 とうの昔に忘れたはずの笑い話 乗るか反るか? 行くか戻るか? 雨か晴れるか? やるか止めるか? 勝つか負けるか? 立上がれるか? やり直せるか? 生きるか死ぬか? 「やまない雨はない」「明けない夜はない」 とか言って明日に希望を託すのはやめた 土砂降りの雨の中 ずぶ濡れで走っていけるか? 今日も土砂降り  そういや いつかもこんな雨だった
後期衝動amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ「誰だお前は」と言われ続けて 赤字のライブで、だるい社会で ラジオに雑誌にインターネット 誰だお前は?誰なんだ僕は? 初期衝動もとっくに消えた 「今に見てろよ」って今も過ぎた だからと言って惰性ではなくて 言わざるをえない言葉について  バイトで散々陰口言われて 手に汗びっしょり膝が震えて 助走は長けりゃいいって言うが あまりに深い暗いどん底で 今が助走だって言い聞かせて 自分とばかり会話が増えて ついに僕は僕と二人暮らし そして気付くんだ「誰だお前は」  金も生活もどうでもいいよ 綺麗なものだけ見させてくれよ ライブ帰り浅虫の黄昏 そういう景色をもっと見たいよ 言葉は無力と誰かが言った 無力と言うのも言葉と知れば 恨み辛みも嫉妬も賛美も 全弾こめて、悲観蜂の巣だ  誰かの言葉で話すのやめた 誰かの為に話すのやめた ノルマ、売り上げ、数字じゃなくて 僕は言葉で会話がしたいよ 理想論、嘲笑うのは誰だ 歌手は理想を歌うのが常だ いいからお前さっさと歌えよ 一体全体、誰だお前は?
ヨクトamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむヨクトはとうとう気が触れたみたいだ 神経症的な陽光の断絶 ポリ袋の夜明けは半ば難破船 社会生活の規律に座礁する 陰口 ため口 鬱憤の捌け口 派遣 日払い 夢 労働 労働 プライドも希望もガラ袋につめた ゴミを漁るカラスが夕日に飛んだ  抜け出せない日々の泥沼に 片足突っ込んで もう全部諦めた  夢は必ず叶うから って夢を叶えた人達が 臆面もなく歌うから 僕らの居場所はなくなった ヨクトは散々失った 人としての最小単位だ カビ臭い部屋に寝転んで 世界が終わるのを夢想する  「用がないならもう電話はしないで」 昔付き合ってたあの娘は言う 僕にはすがるもの幾つあるだろう 空しくなるから考えるの止めた  泣きたいのは悔しさがあるからで 最後に泣いたのは もういつの事だっけ  誰が一番幸せか 比べ出したらもう末期だ 簡単に人を笑うなら 嘲笑はどうせ順繰りだ ヨクトは散々失った 人としての最小単位だ カビ臭い部屋に寝転んで 世界が終わるのを夢想する  ポケット地図 就業証明書 電気水道ガス請求書 時給 レシート 冷凍倉庫 愚痴 悪口 クズのショウウィンドウ 未開封包丁 2ちゃんに投稿 薄い壁の向こう側の幻聴 孤独の焦燥 やばいよどうしよう 教えてここから抜け出す方法 抜け出す方法 生きたいよもっと  僕らが道を選ぶなら 答え合わせなんてないから 誰かのせいにするのなら その誰かに生かされてるんだ ヨクトは散々失った 人としての最小単位だ どうせいつかは終わるなら せめて自分で選んだ終わり方
街の灯を結ぶamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ都会の喧噪に 田舎の田園に でかい異物感に ぶれっぶれのやわな自我が なに叫んだところで鉛色の雲に 跳ねっ返り 無惨に落ちて耽る徒労感に 「やっぱりダメか」が口癖のとんま 悔しさに涙一つ落としてみろよ 今日は今日とて 追い風は路傍に落ちて 光射すのは向こう側 待ち望む埠頭から  行こうか戻ろうか進退を突きつける 現実は常にシビアで情もなく 生活費に世間体に将来の安定に 全部かけたルーレットはやおら回りだし 「勝ち負けじゃない」とは苦し紛れに言うが 勝たなきゃならぬ理由も少なからず背負った あの人の手紙に 友人との約束に 連れ添う恋人に 過去の自分自身に  一人一人消えてく街 日暮れの駅迎えは来ない 勇気も覇気も野心もない それでも生きる僕は何? 街灯から街灯へ足を引きずって 星座の線みたいに 街の灯を結ぶ 止まるでも戻るでもなくひたすらに 星座の線みたいに 街の灯を結ぶ  始めは青く眩しい夢物語 多くの少年が未来へと勇み へましたって転んだって泣いたり笑ったり それを青春と呼んで社会へ旅立ったり 次第に脱落者は増える一人また一人 逃れられぬ幼児性 モラトリアムの闇 残りわずか数人の馬鹿が傷を舐め合い 気付けば一番馬鹿な僕が一人  一人一人消えてく街 日暮れの駅迎えは来ない 勇気も覇気も野心もない それでも生きる僕は何? 街灯から街灯へ足を引きずって 星座の線みたいに 街の灯を結ぶ 止まるでも戻るでもなくひたすらに 星座の線みたいに 街の灯を結ぶ  振り返ってもなんもねえ 綺麗なだけの思い出 この回り道がいつか僕を救ってくれる日まで 過去に勝つ為の今の僕になる為に 今に勝つ為の明日の僕になる為に 生き残ったのか 取り残されたのか なんにしても過ぎた人の顔は忘れない ありがとう さよなら 昨日を捨てた僕が 桜散った夜の五反田を歩いてる  一人一人消えてく街 日暮れの駅迎えは来ない 勇気も覇気も野心もない それでも生きる僕は何? 街灯から街灯へ足を引きずって 星座の線みたいに 街の灯を結ぶ 止まるでも戻るでもなくひたすらに 星座の線みたいに 街の灯を結ぶ
生活感amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ国道の 照り返し 尖る 青空に 銀河の幻想 北極星の 生活感 ストーブにくべる 深雪の 一夜 縷々として 立ち昇る 煙に 百日咳 巌々山の 袂の森に 幾千年に一度の 月夜 溜め息一つの 請求書 あの娘が 眠る 静寂が 映る 密林を 描いた壁紙に 世界を渡る 蚰蜒  僕の歌にしつこい汚れ 僕の歌にしつこい汚れ 僕の歌にしつこい汚れ 喜びの歌に 歌に
ひろGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむひろ お前に話したい事が 山ほどあるんだ聞いてくれるか? 何度も挫けそうになった事 実際 挫けてしまった事 お前の好きだったセブンスターを 吸うのも肩身が狭くなったし 彼女も「禁煙しなきゃね」って 言うもんだから まいるよな  あの日と同じ気持ちでいるかっていうと そうとは言い切れない今の僕で つまりさお前に叱って欲しいんだよ どんな暗闇でも 照らすような強い言葉 ずっと探して歩いて ここまで来ちゃったよ  もう無理だって言うな 諦めたって言うな そんな事僕が許さねえよ 他に進むべき道なんてない僕らにはさ お似合いの自分自身を生きなきゃな いつも見送る側 それでも追いかけた 間に合わなかった夢を憎んだ でもお前の居ない世界でも なんとかなるもんだ それが悲しい お前はまだ19歳のまま  やりたい事をやり続ける事で 失う物があるのはしょうがないか やりたい事も分からなくなったら その後におよんで 馬鹿みたいだな  どんなに手を伸ばしても届かないと思ってた 夢のしっぽに触れたけど 今更迷ってしまうのは 僕の弱さか 日の暮れた帰り道 途方も無い空っぽに 襲われて立ちすくむ 都会の寂寞に  もう無理だって泣いた 諦めたって泣いた でもそんな物きっと自分次第でさ 他に進むべき道なんてない僕らにはさ お似合いの言い訳を選んでただけ いつも見送る側 それでも追いかけた 諦めかけた夢を掴んだ でもお前の居ない世界じゃ 喜びもこんなもんか それが悲しい お前はまだ19歳のまま  今年も僕は年を取って お前は永遠に19歳で くだらない大人になってしまうのが 悔しいんだよ 悔しいんだよ なぁひろ 僕は今日も失敗しちゃってさ 「すいません、すいません」なんて頭を下げて 「今に見てろ」って愛想笑いで 心の中「今に見てろ」って なぁこんな風に かっこ悪い大人になってしまったよ だらしのない人間になってしまったよ お前が見たら絶対 絶対 許さないだろう? だから僕はこんな歌を歌わなくちゃいけないんだよ  ガキみたいって言われた 無謀だって言われた それなら僕も捨てたもんじゃないよな 誰も歩かない道を選んだ僕らだから 人の言う事に耳を貸す暇はないよな いつも見送る側 なんとか飛び乗った 身の程知らずの夢を生きている でもお前の居ない世界じゃ 迷ってばかりだ でも それもガキらしくて 悪かないのかもな 僕は歌うよ 変わらずに19歳のまま
それはまた別のお話amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむあれから僕ら幾星霜 始まりが遠くに霞む 国道の朝焼け 浅虫の黄昏 辛い事 泣いた事 笑った事  一つが二つあって 手を結んだら一つで 二人が分かち合って 一つずつの夢 悲しみのない世界で 眠って 眠って 明日の事とか それはまた別のお話  冷たい雪の粒が 思い出を積み上げる夜 君は優しく笑う 春を待つ想望 ストーブがしんと鳴る部屋の中  一つが二つあって 名を呼び合えば一つで 二人が分かち合って 一歩ずつの歩み 悲しみのない世界で 眠って 眠って 明日の事とか それはまた別のお話  辛い事も 泣いた事も 笑った事も 赤くなる 夕焼けがやってくる頃に 僕らは皆赤くなる  いい人も 悪い人も 怒った人も 赤くなる 夕焼けがやってくる頃に 等しく皆赤くなる  一つが二つあって 笑い合えたら一つで 二人が分かち合って たった一つの願い 悲しみのない世界で 眠って 眠って 明日の事とか それはまた別のお話
まえがきamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ上手く逃げおおせたと思っても 夕暮れ時の影みたいに付きまとう 不確かさは自身の背丈をこえて もはや死神の類いだ 心ならずとも流れ流れて どうせ戻れなどはしないのだ 自身の弱さや不成功を顧みる 青の時代はとっくに過ぎたのだ ひぐらしの声が 遥か遥か遠く 風が吹けば飛ぶよな、惨めな決意だが 触れたくても触れられないもの 消したくても消せはしないもの どっからどこまでが自分で どっからどこまでがあんたで  ────懐かしい感傷と呼ぶには 煤けすぎた失敗達と 行こうか行かざるかにあえぐ これからのあんたへ捧ぐ
あんたへGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむはやく 涙拭けよ 笑い飛ばそう 僕らの過去  行くあても帰る場所もないから 頭の中に僕の居場所を作った そこで笑っている父や母や恋人が かつての面影だと気付いて途方にくれる くだらねぇや と強がって壊した そしたら 意味もなく涙が溢れた 工業排水を垂れ流して汚れつちまつた 裏通りのどぶ川みたいな色の涙です  何があんたの幸せとか 正解と不正解の境界線だとか 結局決めるのはあんた自身で 自分で自分の首を絞める事はないよ 駄目な自分を愛するために まず必要なのは自分を許してやる事 必死に生きるのは得てして無様だから 人に笑われても気にすんな  明日は どうなるんだ 答えてみろよ神様  はやく 涙拭けよ 笑い飛ばそう 僕らの過去 そうだろう 今辛いのは 戦ってるから 逃げないから そんな あんたを 責めることができる奴なんてどこにも いないんだぜ  今日は何にもやる気が起きねぇから 一日中テレビばっかり見ていたんだけれど 「この人達はなんて幸せそうなんだ」 とか考え出したら急に笑えなくなった 眠れない夜のもてあました時間は 今日までの人生の反省会 頭を掻き毟って転げた 日々だって無駄にはならねぇよ  未来は 僕自身が 切り開いてみせるよ神様  はやく 涙拭けよ 笑い飛ばそう 僕らの過去 そうだろう 今辛いのは 戦ってるから 逃げないから そんな あんたを 責めることができる奴なんてどこにも いないんだぜ  あんたらしい 人生ってのは あんたらしい失敗の積み重ね 一つ一つ 積み上げては 僕ら積み木で遊ぶ子供みたい あんたらしく 転べばいい あんたらしく立ち上がればいい 他に何もいらねぇよ 他に何もいらねぇよ  はやく 涙拭けよ 笑い飛ばそう 僕らの過去 そうだろう 今辛いのは 戦ってるから 逃げないから そんな あんたを 責めることができる奴なんてどこにも いないんだぜ
匿名希望amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむバイトに向かう電車の中で うざい背広どもを睨みつけて イヤフォンで鳴る割ったmp3 知る人ぞ知る新人インディーズ 皆と同じはださいから って皆と同じ事をのたまい 何者かになれるはずだった まだチャンスが来ないだけだった  メンヘラと知って逃げ出したんだ 2、3回やっただけのあの娘が 置いてったバンドのCDだが 女々しくてとても聴けたもんじゃない メジャーに行ったらごり押しされて 売れ線になったら用無しだな 入り口のワゴンセールは まるで商業音楽の墓場  傷つけられたから 傷つけてやった それなのにイライラは 終わらない 終わらない  悩み多き君の 日々に平穏を 持たざる者には 悪あがきの力を 痛み多き君の 明日に光を 僕は君の代弁者じゃない 匿名を希望  やりたい事やり続ける為に あがき続けて半死半生だ それでも無気力に生きるよりは 大分ましだって知ってしまった あいつに才能があるはずない 大した人間であるわけない そもそもこの世はクズしかいない 同意するがそろそろ進みたい  傷つけられたけど 怒りも湧かないよ なんて言える程 大人じゃない くだらない  悩み多き君の 日々に平穏を 持たざる者には 悪あがきの力を 痛み多き君の 明日に光を 僕は君の代弁者じゃない 匿名を希望  「ゴミみたいな歌ばかり作って あいつはもう枯れてしまった」 散々文句ばかり言いやがる あれはかつての僕自身だった 文句があるならやってみせろよ 自分で自分の首を絞めて 遂には追いつめられたステージ際 せめて存在を叫んだ  悩み多き僕の 歌に結実を 声無き声には 抵抗の扇動を 痛み多き僕の 過去に終止符を 君の代弁者は君以外にいない 匿名の希望
冷凍睡眠amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ冷えたコンクリート もたれて頬を付ける 目線の先 西日に漂う埃を見る 何を話すでも無く 身動きとれず 僕は下手な絵空事ばかりを ずっと空想する 「もう助からないだろう」 君の父さんが言う 丁度その時 眼を細めて笑う君を思い出す 願えば叶うっていう言葉の空虚さだけが 僕の人生にそれからずっと ぶら下がり続ける  心臓は動いたまま眠り続ける 君がもしも死んだら 僕も死ぬ事が出来ただろうか あれから数ヶ月 食うや食わずの生活 生きながらに死んでいるって意味では僕も同じだ この世界からの逃避ばかり考えるのが 癖になり始めた頃に 保険会社の新商品 テレビ ラジオ ネットに 最近目にするコピー 「睡眠中に増える預金」 冷凍睡眠  未だ消えぬ鮮明な美しき日々の色と 幾ら願ってみても決して叶わない事 分かっているが時は絶えた既に手遅れ だからいっそ全部忘れて眠らせてくれ 延命措置によりただ続く寝息も 後ろ髪引かれるだけの断ち切れない糸 堪え難い 悪夢みたい もう忘れたい いや 忘れない 分からない おやすみなさい  それから六十年 僕は眠り続けて 月日は文字通りの悪夢として過ぎて 流転する万物は 無愛想で 冷め冷めとした態度だが 僕にとっては未だ恩人で あらゆる景色が変わり 君の病院も無くなり 始めは苦労した暮らしも 今ではなんとかやってる 晴れ晴れしい気持ちで 新しい人生をやり直す 君の事は忘れたよ ってそんなわけはない  美しい様々には魂が宿り その根底の連結で「美しい」は連なり 例えば夕暮れに望郷が蘇る様に 美しい様々が君の面影を呼び その儚さに脅され続ける日々の果てに 行き着くどん詰まりは やはり生き死にの闇 人は喪失を許容出来る生き物だ だが逃げ出した僕はその限りではない  未だ消えぬ鮮明な美しき日々の色と 幾ら願ってみても決して叶わない事 分かっているが時は絶えた既に手遅れ だからいっそ全部忘れて眠らせてくれ 延命措置によりただ続く寝息も 後ろ髪引かれるだけの断ち切れない糸 堪え難い 悪夢みたい もう忘れたい いや 忘れない 分からない おやすみなさい  すっかり抜け殻になり 歩く並木道 幻覚か 君にそっくりな女の子を見る 休日の陽射し 賑やかに笑うその声に 限りなく確信に近い 君の面影を見る やおら女の子が駆け寄って抱きついた 受け止めた そのしわしわの両手に咲いた あの笑顔はまるで懐かしの絵画か 互いに目を細めて笑う顔は まさに僕の希望だ それこそが僕の希望だ 夢にまで見た僕の希望だ これこそが僕の希望だ 失った僕の希望だ  未だ消えぬ鮮明な美しき日々の色と 幾ら願ってみても決して叶わない事 分かっているが時は絶えた既に手遅れ だからいっそ全部忘れて眠らせてくれ 延命措置によりただ続く寝息も 後ろ髪引かれるだけの断ち切れない糸 堪え難い 悪夢みたい もう忘れたい いや 忘れない 分からない どうすればいい?  冷えたコンクリート もたれて頬を付ける 目線の先 西日に漂う埃を見る 何を話すでも無く 身動きとれず 僕は下手な絵空事ばかりを ずっと空想する  下手な絵空事ばかりをずっと空想する
ドブネズミamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむTVを付けたまま眠っていたみたいで 砂嵐に耳鳴り 喉が渇いている どうしようもない程 笑うだけで苦しいよ こんな日は君が 居てくれたらな隣に  心無い男が指差して笑ってる 落としたその心が 東京湾 埋め立てる 綺麗な物が欲しくて 奪い合ってる人 綺麗な物を無くして 美しく泣いてる人  嵐が来る前に 早く帰っておいでよ そして君と眠る ルラルラルラ  渋谷の果て 地平線 渡り鳥が飛んでる わけもなく突然 一人ぼっちな気がして 人を信じる事 諦めちゃいけないよ それが最後の絆 この世界との きっと  嵐が来る前に 早く帰っておいでよ そして君と眠る ルラルラルラ  痛みの雨の中 ずぶ濡れでも笑ってよ ここが僕らの世界 ルラルラルラ  嵐が来る前に 早く帰っておいでよ そして君と眠る ルラルラルラ  痛みの雨の中 ずぶ濡れでも笑ってよ ここが僕らの世界 ルラルラルラ
終わりで始まりGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむいつもの帰り道ふと 見上げたいつもの夜空 なぜだか あの頃とは違って見えたんだ そうだな ぼくも 少しはまともになれたかな いや そうでもないか 今も変わらず 上手く笑えない毎日です あの頃の仲間も 無茶はしなくなった そりゃそうだ あいつも 立派な父親だもんな 部屋の中で死にそうな 顔をしていた僕も 今じゃこんな歌も歌えるようになった  友達のおかげで立ってるんだ 家族のおかげで歩けるんだ あなたのおかげで生きてるんだ 「ありがとう」なんて言いたかねぇや でもさ  いつか僕らが離れ離れになる その時だって笑っていたい 塞ぎ込んだ過去も正しかったと 言い張るために笑っていたい それだけでいつかの 叶わなかった夢も ただの過ぎた景色になるんだ 結局空っぽのままのこの手を 僕らは大きく振りあって 答えさえ見つけられなかった目に 涙を溜めてさよならして 悲しむな これがスタートラインだよ 僕らの終わりで始まり  この世界はそれほど 綺麗なもんじゃないけどさ そんなに急いで出て行く 事は無いじゃないか 僕等の期待を 世界はよく裏切るけれど 期待していなかった喜びに 時々出会えるんだ  裏切られた事に胸をはるんだ 信じようとした証拠なんだ 疑った分だけ損したんだ 「傷ついた」なんて言いたかねぇや だから  この先何があったって僕らは 振り向かずに走って生きたい つまずいた昨日も助走だったと 言い張るため走って生きたい それだけで 僕らの笑えない思い出も ただの笑い話になるんだ あの時ついに崩れ落ちた膝で 暗闇の中 駆け抜けて あの時砂を握った掌で 確かな物を掴みたくて 分かるだろう これがスタートラインだよ 僕らの終わりで始まり  日々が過ぎて 年が過ぎて 大切な人達が過ぎて 急がなくちゃ 急がなくちゃ なんだか焦って つまずいて もう駄目だ 動けねぇよ うずくまってても時は過ぎて 考えて 考えて やっと僕は僕を肯定して 立ち上がって 走り出して その時見上げたいつもの空 あの頃とは違って見えたんだ あの日の未来を生きてるんだ 全てを無駄にしたくないよ 間違いなんて無かったよ 今の僕を支えてるのは あの日挫けてしまった僕だ  「ありがとう」とか「愛しています」とか 分からないけど歌っていたい 信じてくれたあなたは正しかったと 言い張る為に歌っていたい それだけだ 僕の背中を押すのは あなたが喜んでくれる顔 あの時伸ばし続けたこの腕で 大きくギターかき鳴らして あの時何も言えなかった口で 下手くそな歌を 叫んで いつだって ここがスタートラインだよ 僕らの終わりで始まり
あとがきamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ通りすがる風景に 秋の陽はなんだかやけに鋭利 日常は徐行ぎみ 恐る恐る生きる意味 まるで酔っぱらいの世迷い言みたいに 口をつく苛立ち 弱音装う自己顕示 現実 妙に馴れ馴れしい あんたと上手くやれそうにないし  人の評価に怯え 孤独な夜は底冷えする様に事切れ もうやめた 諦めた で終わる一日に募る焦りは 「いってらっしゃい」 生返事とあくびで答える君の笑顔には なんとか報いたいと思う 心に密かに明かり灯る  東京 東京 どうか僕だけを選んでくれないか ほんとどうしようもない 安ホテルで不甲斐なさに泣いた 酩酊して笑い合う 分かち合う 価値だけ続いてくれれば 明日もまた笑顔で帰れる  「ただいま」  詰まるところは 明日を知る なだらかな日々につまずいて 向かうところは ありもせず 未来の居場所だって未定 詰まるところは 明日を知る なだらかな日々につまずいて (九月九日 夏惜しむ、蝉時雨の只中にて)
僕が死のうと思ったのはPLATINA LYLIC中島美嘉PLATINA LYLIC中島美嘉秋田ひろむ秋田ひろむ出羽良彰僕が死のうと思ったのは ウミネコが桟橋で鳴いたから 波の随意に浮かんで消える 過去も啄ばんで飛んでいけ 僕が死のうと思ったのは 誕生日に杏の花が咲いたから その木漏れ日でうたた寝したら 虫の死骸と土になれるかな  薄荷飴 漁港の灯台 錆びたアーチ橋 捨てた自転車 木造の駅のストーブの前で どこにも旅立てない心 今日はまるで昨日みたいだ 明日を変えるなら今日を変えなきゃ 分かってる 分かってる けれど  僕が死のうと思ったのは 心が空っぽになったから 満たされないと泣いているのは きっと満たされたいと願うから  僕が死のうと思ったのは 靴紐が解けたから 結びなおすのは苦手なんだよ 人との繋がりもまた然り 僕が死のうと思ったのは 少年が僕を見つめていたから ベッドの上で土下座してるよ あの日の僕にごめんなさいと  パソコンの薄明かり 上階の部屋の生活音 インターフォンのチャイムの音 耳を塞ぐ鳥かごの少年 見えない敵と戦ってる 六畳一間のドンキホーテ ゴールはどうせ醜いものさ  僕が死のうと思ったのは 冷たい人と言われたから 愛されたいと泣いているのは 人の温もりを知ってしまったから  僕が死のうと思ったのは あなたが綺麗に笑うから 死ぬことばかり考えてしまうのは きっと生きる事に真面目すぎるから  僕が死のうと思ったのは まだあなたに出会ってなかったから あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ  あなたのような人が生きてる 世界に少し期待するよ
Today中島美嘉中島美嘉秋田ひろむ秋田ひろむ出羽良彰くだらない くだらないって不貞腐れてばっか 投げやりな毎日が 道端で転がってら 鳩も食いつきやしない 今だろう? いや後にしよう そして僕は今に到って 逃げ道もなくなって 後は飛び込むしかなくなった  自分に嘘をついて 理想を捻じ曲げて 手に出来た夢なんてさ 一つもないよ  有限 つまり僕は明日を信じないよ だって今日が最後だとしたなら 後悔ばかりの人生です だから僕は今日を投げ打って でかい理想に張って 勝って 笑って死にたいんだ それだけの価値の今日だ  幾つの分かれ道 幾つの決意 くぐり抜けて ここに流れ着いたんだろう 思い出してみるんだよ 選んだ道の数だけ 覚悟や別れがあったんだ そしてそれは今も僕の 背中に重く圧し掛かる  忘れちゃいけない 捨てた僕の罪と そうしてまで 手にしたかった 夢って奴を  有限 つまり僕は過去を信じないよ だって今日と昨日の境目なんて 実は誰かが決めたもんです だから生きている限り続く 僕の物語にいつだって 燃え尽きたいな それだけの意味の今日だ  ひたむきに生きる君の今日も 投げやりに生きる僕の今日も 楽しくて名残惜しい今日も 悲しくてやりきれない今日も 夕立ちが去った街の今日も 被弾した戦場の今日も 誰かが生きられなかった今日も 誰かがあんなに望んだ今日も 全部同じ重さで 全部同じ尺度で 今僕らの目の前にあるよ 今僕らは今日を生きてるよ  有限 つまりどんな今日も 限りある一生の一ページ だとしたなら読み飛ばしてもいい今日はないです だから僕は描き直すんだ 新しい僕等の第二章 ちぐはぐでも そんなもんだろ僕の一生 それだけのものだよ
風に流離いGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ「彼女に振られたんですよ」 と心療内科の先生に 相談したら 自業自得だと説教されて帰された 二度と来るかこのヤブ医者 悪いのは百も承知だ って開き直れる程強くない さながら自己嫌悪の吹きだまり  夢とか希望とか未来は 今の僕にとっては脅しだ その類いの漫画 小説 映画 音楽は資源ゴミ 昔は夢もあるにはあった その夢が枕元でほざく 「おまえじゃ駄目だこの役立たず 特別と思うなゴミ屑」  夢なんて無い 期待してない 無気力のまるで生きてる死体 だけどわずかに 忸怩たる思い 生きてるプライドは捨てきれない 遅い夜中に 不意に泣いたり 行ったり来たりのギリギリのサイン 月が夜空に 余裕で浮かび 早く朝よ来いと願うばかり  やるしかない所にまで 気付けば追いつめられてたんだ 方法や手段は選べない 凡庸な僕 才能不在 挑んではヘマして悩んで いつからかそれが楽しくて 笑われたのは数限りなく その度ムキになる天の邪鬼  時給幾ら余命切り売り 残された時間に苛立ち 時に裏切られたりしたよ でもそれが糧になりゃ儲け物 失うものなんて何も無い 手にする方が多いくらい 死んだ魚の眼の少年 僕はお前に感謝するぜ  夢なんて無い 期待してない 無気力のまるで生きてる死体 必死な奴に 後ろ指差し 嘲笑った奴を見返したい ってのは建前 認められたい が目的のしがない唄うたい 勝ちなんてない 負けなんてない 死ぬまで続く無様な戦い  手を差し伸べてくれた人に ホントに感謝してるんだよ もう少し取って置くべきだろう 鞄一杯のありがとう やるべき事伝えるべき事 怠けりゃそこで途絶える航路 他人ではなく 面目じゃなく 自分の為に今は歌いたい  夢なんて無い 期待してない 無気力のまるで生きてる死体 だけど確かに 抗う歌に わずかながら空の光は射し 生きる力に 自ずと変わり 死に切れぬ僕の弁明と成り 風に流離い 理解し難い と言われても他に道など無い 風に流離い 理解し難い と言われても他に道など無い 風に流離い 理解し難い と言われても他に道など無い
曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
ジュブナイルPLATINA LYLICamazarashiPLATINA LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ自分嫌いな少年少女 ありがとうじゃ満たされぬ今日も 理解しがたい異質なイデオ はみ出し物の孤独な闘争 虐げられた少年少女 撫でる青痣、ミミズ腫れの頬 それよりも悲鳴上げる心 自分対世界の様相  「人間嫌い」っていうより 「人間嫌われ」なのかもね 侮辱されて唇噛んで いつか見てろって涙ぐんで 消えてしまいたいのだ 消えてしまいたいのだ  君が君を嫌いな理由を 背負った君のまま 成し遂げなくちゃ駄目だ 僕は讃える君等のジュブナイル 向こう見ずだっていい 物語は始まったばかりだ  自信過剰な少年少女 認められない不遇な才能 何者にもなれない怒りと それとは裏腹の自己嫌悪 誇り高き少年少女 それでも曲げぬ自分の意志を 未だ枯れない表現欲と 無謀さを武器に駆ける浮世  僕らに変な名前を 付けたがるのはいつも部外者 「綺麗事だ 理想論だ」 って理想も語れなきゃ終わりだ 僕らここに居るのだ 僕らここに居るのだ  君が君を信じる根拠を 誇示する君のまま やり遂げなくちゃ駄目だ 僕は讃える君等のジュブナイル 世間知らずだっていい 物語は始まったばかりだ  そこから一歩も動かないのなら 君は「侮辱された人間」だ そこから一歩 歩き出せたら 君は「負けなかった人間」だ 怖いとは言うべきじゃないな 辛いとは言うべきじゃないな どうせ誰も助けてくれない それを分かって始めたんだろう  誇り高き少年少女 それでも曲げぬ自分の意志を 未だ枯れない表現欲と 無謀さを武器に駆ける浮世  君が君で居られる理由が 失くしちゃいけない 唯一存在意義なんだ ここに讃えよ愚かなジュブナイル 最後の最後に 笑えたらそれでいいんだよ 物語は始まったばかりだ
春待ちamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ駅を背にして右の路地 貨物倉庫の突き当たり コインランドリーのはす向かい あの子の家に向かう道  たどる記憶は数あれど たどる道ならこれだけと やがて捨て行く胸中の 感傷だけで暖をとる  或る町 多雨去り べた雪 水雪 最後に 歯向い 舞う雪 春待ち  高波 間に間に 這う鳥 白夜に 間違い 吐く闇 お悔やみ 春待ち  この先 増す闇 それ等に たじろぎ やおらに 描く歌詞 価値なし 春待ち  花咲き 秒読み かすかに 注ぐ陽 幸先 この日に 去る街 春待ち  いずこに 春待ち
性善説GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむねえママ あなたの言う通り 彼らは裁かれて然るべきだ 奪えるものは全部奪っていった 崩れたビルに 戦車と夕日  ねえママ あなたの言う通り 隣人は愛して然るべきだ 陰口ほど醜いものはないわ 手を取り合って 微笑み合って  こんな時代に生き延びるだけでも 容易くはないわ どうか幸せに  寝ぼけ眼でテレビをつけて ぼやけた頭に無理矢理流れ込んだ 殺人だ強盗だ人身事故だ 流行だアイドルだ もううるせえよ 人心地つける余裕もなく 僕らの日々は流れに摩耗して 明るいニュースを探している 明るいニュースを探している  ねえママ あなたの言う通り 他人は蹴落として然るべきだ 幸福とは上位入賞の勲章 負けないように 逃げないように  目を覆い隠しても悲鳴は聞かされて 耳を塞いでも目をこじ開けられて  真っ白な朝日に急かされて あの子の家に向かう電車の中 馬鹿な男の下世話な自慢話に 子供を連れ車両を変える母親を見たよ 各々の思想がぶつかり合って 満員電車は個人的な紛争地帯 僕は僕を保つので精一杯で その実誰かの肩にもたれていたよ  ねえママ あなたは言ったじゃないか 嘘をつけばバチがあたると 神に祈れば救われると 苦労はいつか報われると ねえママ 僕は知ってしまったよ 人間は皆平等だと 世界はあるがまま美しいと それ等は全くの詭弁であると  否定されてしまった性善説の 後始末を押し付けられた僕らは 逃げ場もなく小箱に閉じ込められて 現実逃避じゃなきゃもう笑えねえよ 「人は本来優しいものですよ」 それが嘘だと暴いたのはあんただろ 教育だ宗教だ道徳だ 何でもいいから早く次のをくれよ  ねえママ あなたの言う通り 自分を善だと信じて疑わないときは 他方からは悪だと思われてるものよ あなただけが私の善なのよ
ミサイルGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ取り返しの付かない未来は 今更どうすることも出来ないと 鈍色に輝きをくすぶらせて ワンルームのベッドの中で不貞寝している つけっぱなしにしたテレビでは アナウンサーが黒い服を着て 参列者に話を聞いている 「未来がお亡くなりになりました」 テロ関連施設ミサイル攻撃のニュースを聞きながら 胸を痛めてみせる家賃未納の夢にぶら下がる僕の頭上を 人生を俯瞰でしか感じられない僕らの日常を すれすれにかすめてミサイルが飛んでった  僕らの自由とはミサイルで 僕らの自由とは平和主義で 全てを作り直したくて 全てを壊してみたりする 僕らの自由とは芸術で 僕らの自由とはリストカットで 全ての人に認められたくて 全ての人を憎んだりする  誰が悪いとか言ったって 等しく惨めに命を這いずって 「死にたくねぇ」と言えばそれですんでしまう それだけに何百小節も費やして 年3万人の自殺者の切迫した動機のそれぞれを 食い物にする唄うたいとワイドショーの明確な類似性を 人生の気まずさを穴埋めしたいが為の大義を すれすれにかすめてミサイルが飛んでった  僕らの自由とは心療内科で 僕らの自由とは承認欲求で 全ての人に優しくされたくて 傷ついた振りをしてみたりする 僕らの自由とは信仰で 僕らの自由とは唯物論で 全て人の為だと言い聞かせて 奪い合っていたりする  固有名詞に放たれた銃声は 僕らにとっては時報ほどの響きで 上空を通り過ぎたミサイルは 未だ誰の「心」にも落下せず 自堕落な生活の果てに待つ結末ののっぴきならなさと 暗雲たれ込める時代の不安がはからずもリンクした 「どうせならこのもやもやを ろくでもないこの世界を」 なんて口走る自己弁護を 吹き飛ばしてくれよ  僕らの自由とは帰らぬ日々で 僕らの自由とはこぼれる一雫で 全て願えば報われると 明けない夜に願ってる 僕らの自由とは背徳で 僕らの自由とは不自由で ただ一つを手にするために 全てを投げ捨てたりする
僕は盗むamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ星を盗む。オリオン座を盗む。リゲルを盗む。 小さい頃読んだ物語を盗む。エンディングを盗む。 プロローグを盗む。体育館に横たわるあの子の物思いを盗む。 性的な初夏の涼風を盗む。煙草を盗む。 煙を盗む。感傷のつんざく様な痛み以外を盗む。 夜を盗む。のたうち回る僕の輪郭を切り落として盗む。 その空欄を埋める為の、よく出来た嘘を盗む。 旅人の軌跡だけを盗む。西日の射す部屋で聞いた雨音を盗む。 盗まれた過去を盗む。  ちぎれ雲が北へ南へ、僕は途方に暮れて突っ立って。 優しい人になりたくて、完璧な人になりたくて。 あれこれ探していたけれど、そいつを届けてあげたいけれど。 もう間に合いそうもない。とても間に合いそうもない。  僕の影よ。僕らはずっとこのままだ。
パーフェクトライフGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ上手くいかねぇや っていつもの事だろ 不出来な人間なのは痛いほど分かってる さっき飲み込んだあの言葉は 日の目を見る事も きっとないんだろうな そうやって積もった部屋の埃みたいな 感情が僕等を息苦しくさせてるんなら 自分を守りたくて閉め切ったドアも窓も 無理してでも開けなきゃ窒息しちゃうよ  悩みはどうせ消えない 振り回されてばかりの世界の中で 溺れそうに もがきながら それでも悪くないなって思えるものが  どれだけあったら失敗じゃない? 僕らの人生は 完璧な人になりそこねたよ 何もねぇ人生  人の心に土足で入り込んで ドアも窓も勝手に開け放ったあなたの おかげで僕は人生を台無しにしちゃうような 素敵な風景に出会えたんだ どこから始まって どこまで続くのか この物語の落とし前をどうやってつけようか いつだって考えるけど 答えは今も見つからないんだよ けど今日が終わりじゃない事だけは分かってる  どこまでいけるか 分からないんだけどさ スタートラインに ようやく立てたよ こんな風に 僕等を駆り立てる出来事が  どれだけあったら失敗じゃない? 僕らの人生は 完璧な人になりそこねたよ 何もねぇ人生  不完全な青春終えて 不完全な夢を見て 不完全な挫折の末に 不完全な大人になって  でも不完全なやりかたで 不完全なりに生きてきた 君自身は疑いようも無い  出会いと別れにただ泣き笑い それだけの人生か でも それだけあったら失敗じゃない 僕らの人生は 完璧な人にはなれないけれど 完璧な人生
ラブソングPLATINA LYLICamazarashiPLATINA LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ未来は無いぜ 陽も射さない 時代葬ったカタコンベ 油田から昇る黒煙に 咳き込む妹微笑んで 西のバラックに配給を 取りに行った兄は帰らない 「お買い求めはお急ぎを」 とテレビだけが嫌に賑やかだ  満たされた時代に生まれた と大人は僕らを揶揄した どこに安寧があるのだと 気付いた時にはもう遅かった 不穏な煙が立ち昇り あれは何だと騒ぎ立てた 奴から順に消えて行った 今じゃ町ごと墓場だ  愛すら知らない人が 居るのは確かだ それを無視するのは何故だ それを無視するのが愛か?  ATM 電気椅子 ストレルカとベルカ 紙幣と硬貨 愛こそ全て 再来世と来世 社会性 人の指の首飾り 花飾り 愛こそ全て 信じ給え  土砂降りの雨の中を 傘もささないで歩いた 「傘が無い」と口ずさむけど むしろ傘を買う金が無い 狭いアパートに戻っても 惨めでまた死にたくなった 「お買い求めはお急ぎを」 とテレビだけが嫌に賑やかだ  夢すら持てない人が 居るのは確かだ それを歌にしては駄目か? それを無視するのが歌か?  資本主義 ノンフィクション フィクション 個室ビデオ 虚無 人生回顧 愛こそ全て シグナルとシグナレス 始発電車 自殺 唄うたいと商業主義 愛こそ全て 信じ給え  未来には期待しないよ 息も出来ないよ 夜の闇の中 不安で眠れない 愛されるだとか 愛するんだとか それ以前に僕ら 愛を買わなくちゃ 消費せよ 消費せよ それ無しではこの先 生きてけない 消費せよ 消費せよ それこそが君を救うのだ  社会性不安 買春 輪廻転生 ラブソング ラブソング 愛と平和 無銭飲食 墓石 愛こそ全て 自動小銃 生命保険 物欲 ビデオゲームと人殺し 愛こそ全て  急いで買いに行かなきゃ 誰よりも多く買わなきゃ 奪ってでも手に入れなきゃ 愛を買わなくちゃ
ナガルナガルamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ幾時代かがありまして 悲しいことが起こりました もう 知らない振りはできないよ 僕らは知ってしまったから 当たり前の事なんですが 日々は 流る 流る 流る  着飾るもんが無くなって 格好つけるもんが無くなって 裸の心で向かい合う そんな時が来たって気がするよ  涙流る 時も流る 僕ら確かなもんをさがしてる 街は変わる 人も変わる 昨日ゴミだった君の心も 捨てないでよ  ビル風の吹き溜まりでは 肩を落とし歩く君の 夢、希望はファンタジーじゃなく 歩幅の延長線上にある 大事なもの大事と言え 君は 進む 進む 進む  強がる理由が無くなって 不幸ぶる理由も無くなって 本音の言葉で向かい合う そんな時が来たって気がするよ  涙流る 時も流る その速度より早く走り抜け 街は変わる 人も変わる 昨日報われなかった願いも 捨てないでよ  過去から未来 繋ぐ実線 ミクロからマクロ帰結して 流転に物思う暇なく 有史以前と同じ風が吹く 時代の愛の価値移ろい 未来永久に過ぎ去る理 時代の愛の価値移ろい 離したくないと抱いたの何?  痛みも全部無くなって 喜怒哀楽も全部無くなって 「平穏だ」なんて閉じこもる そんな毎日なんてくそくらえ  涙流る 時も流る そんな世界じゃ僕ら一瞬だ 急げ 急げ 急げ 急げ 昨日笑われた君の本気も 捨てないでよ 君の番だよ
セビロニハナamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ鈍感さは強さとして 昨日までの様々は 過ぎた景色と振り返らず 敏感さは弱さとして 誰も眼にくれない 人混みの機微に傷ついて  瞬間 突風吹き抜けて 背広の襟に張り付く花に 気付く人など少ないが  気付いた君が都市を行く 痛みを知った 足取りで 恥ずかしそうに都市を行く  君に張り付く花びらが 君の名前を語ってる
ナモナキヒトGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ一人の夜の寂しさを 言い訳にしてみても 傷つける為の言葉は 空しくなるだけ それでも 心に穴が空いて そこに流れ込んだ泥水は 全部吐き出さなきゃ 苦しくても吐き出さなきゃ  上手くいかないときは 何をやっても駄目で 駄目だ駄目だって思ってりゃ 上手くいくもんもいかないよな カーテンの隙間から 朝日が急かしやがるんだ もう出掛ける時間だよ しょうがない出掛けるか  名も無き僕 名も無き君 何者にもなれない僕達が ぼろぼろに疲れ 流れ着いた街で たった今すれ違ったのだ それを 出会いと呼ぶには つかの間過ぎたのだが 名前を付けてくれないか こんな傷だらけの生き方に  誰かが君の事を 悪く言っていたとしても 大丈夫 人の生き方は 良い悪いではないのだ 目の前の分かれ道の 選択に悩みこそすれど それを不正解と言ってしまう選択こそ 最も不正解なのだ  上手く行かない時は 人のせいにしそうなもんで それを自分のせいにしてる 君は優しすぎるから 駅のホームでも ため息さえ飲み込んで 息を詰まらせているのは 全く君らしいよ  名も無き僕 名も無き君 何者にもなれない僕達が ぼろぼろに疲れ 流れ着いた街で たった今すれ 違ったのだ それを 運命と呼ぶには ありふれていたのだが 名前を付けてあげるのだ その傷だらけの生き方に  人知れず流した涙 隠していた悔しさ 名付けられる事無い 詠み人知らずの悲しみ ビルの風に舞い上がり 路地の隅に吹き溜まる 始めから無かったみたいに忘れるか 僕達の名も無き悲しみは 今こそ讃えて然るべきだ 僕達の名も無き悲しみは 君に見つけられるのを待っている  名も無き僕 名も無き君 何者にもなれない僕達が ぼろぼろに疲れ 流れ着いた街で たった今すれ違ったのだ それを 必然と呼ぶには 瑣末過ぎたのだが 今こそ 名前を呼び合うのだ この傷だらけの生き方の 名も無き人
ハレルヤamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ希望と挫折 交互に足踏みしてここに来たよ けど別にこれといって何かを成し遂げたわけじゃない 夜空が僕らの憂鬱な溜息に撃ちぬかれて ぽっかり開いた穴みたいな満月が ちょっと悲しい  時々このまま消えてしまいたいって思うのは 僕らは何故だか儚いものに憧れるから 中央線を惰走するセンチメンタルを称えよ 主よ 僕らの未来は等しく 凍えるレールの上  これからどこへ向かおう 僕らも どうせちっぽけな宇宙の塵  ハレルヤ 君の明日が 素晴らしい日であるように 願いをかけなくちゃ 流れ星 走り出す刹那 放つ火花が「今」なんだ 欲しいのは 今だけ  僕の好きなバンドのCDが「退屈だ」と歌う 君は真面目な顔で助手席の窓を見つめてる 秋の空が鉄橋を走る電車に切り裂かれ そこから吹き出した血液みたいな夕日がなんだか怖い  一人じゃないんだよと歌って 彼女の胸が張り裂けてしまえばいい  ハレルヤ 君の明日が 素晴らしい日であるように 願いをかけなくちゃ 流れ星 駆け抜ける刹那 放つ火花が「今」なんだ 欲しいのは 今だけ  まるで生きてるなんて感じねぇ まるで誰かの夢を見てるみてぇ まして喜びなんて信じねぇ こんな僕でも今を生きてみてぇ 生きてみてぇ  ハレルヤ 僕の明日が 退屈に溺れるなら いっそ燃え尽きたいよ 流れ星 砕け散る刹那 放つ火花が「今」なんだ 欲しいのは 今だけ
アイスクリームamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ駅のエレベーターがあまりにも唯物的で この六月のとある一日ですら とても唯物的に思えて だから僕は 僕の情緒と秘密を交わし合う  改札を抜けると 少し夏の匂いがして 色んな人が最大公約数的に笑って その重量が 個人的な空白と釣り合わず 僕は 僕の情緒と秘密を交わし合う  虚しい 寂しい と言ったら終わり 虚しい 寂しい と言ったら終わり 虚しい 寂しい と言ったら終わり 虚しい 寂しい  石畳の歩道が 日照りでとても熱そうだから 今年の六月は ここに捨てていこうと アイスクリーム屋の看板を見て 思った
アポロジーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ暗いところに隠れたら 誰にも見つからないと思ってた だけど自分の姿さえ見失ってしまうとは 困ったな ほんとの事は分からない ずっと考えてるけど分からない 優しい人にはなれない 打算と狡さの怠け者  星空が水面に映ったみたいな 街の灯を眺めてた あんまり綺麗だから そこまで歩いたら生ゴミ臭かった 酔っぱらって抱き合う男女 混濁した頭で見るなら この世はきっと美しい ゴミ溜めだって美しい  嘘は泥棒の始まりです 自分に正直に生きなさい 幼い頃の約束は 大人になった今も有効ですか 出来て当たり前の事が 出来ない出来損ないの僕ら 開き直れるならまだましか 反省ばっかじゃ世話無いな  約束なんて何一つ守れなかった僕らのアポロジー 世界に文句ばっか言ってたら 誰も愛しちゃくれねぇよ ごめんなさい ちゃんといえるかな? ごめんなさい ちゃんといえるかな?  世界から爪弾きにされて 息を殺して身を潜めて 一世一代の復讐で 腹から笑えると思ってた 世界に笑われた分だけ 世界を嘲笑ってみたら なんだかとっても虚しくて 尚更惨めになりました  小さな川の連なりが やがて海にたどり着くような 僕らの無粋な罪悪が 涙となって流れたんだ 汚れた海は許せないな 汚れた涙も同じだ 悔しくてしょうがないよ 嫌われたい訳じゃないよ  期待通りに生きる事なんて出来ない僕らのアポロジー 傷つけ合ってばっかりいたら信頼なんて 出来ねぇよ ごめんなさい ちゃんといえるかな? ごめんなさい ちゃんといえるかな?  陰口たたいて 舌出して 嘘ばっか付いて痛い目みて 大人になっても同じだ ふて腐れてんのも同じだ どこまで行っても逃げられない 僕は僕からは逃げられない 明日から生まれ変わるから そう言って今日に至りました  誰かの為に生きるなんて出来なかった僕らのアポロジー 自分勝手に生きる僕を 全て許してくれたあの娘に いつまで経っても変われない平凡な 僕らのアポロジー どんなに嫌っても ただ僕を受け入れてくれた世界に ごめんなさい ちゃんといえるかな? ごめんなさい ちゃんといえるかな? 御免なさい ちゃんと言わなくちゃ
カラスamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ上空に群れをなして飛ぶカラス 陽が落ちても 今朝からの雪は止まず 僕はと言えば 交互に足踏み 未だ繰り返す それだけの日々には唄を すべからく  むつ市の風は 人の気も知らず 馬鹿げた苦悩や 恥を 吹き曝す それを寒いと 嘆くに非ず 偉大で不遜な 慈悲をはらむ 北風にただ姿勢を正す  上空に群れをなして飛ぶカラス 北風に僕は答えを探す
ハルルソラamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ正午の陽射しが乾かしてしまった 昨日までの雨 昨日までの苦悩 週末は彼女が遊びに来るから ものぐさな僕も部屋を掃除する  この町の嘘が 車の追い風に吹かれて転がる 歩道に落ち葉の千切り絵 何もない事が幸せだと思うよ 僕らを悩ませる面倒くさい事が  ほら 子供達が笑って 走る道に季節のハレーション 面影 思い出 綯い交ぜの写し絵 変わらないものが 変わらなければいい  晴るる空 ルララ 僕らが歌歌えば 描き直すには大きすぎる 青空が今日も綺麗です  休日の工事現場 でかい建物にカラスも留まれば 夕日も留まる 生活の為には背に腹変えられず 安らぎを売るには それは安すぎる  ほら 風が森を駆け抜け ざわめく声が嘆きかは知らぬが 後ろめたい気がして聴けないよ 変わらないものを 変えるのは難しい  晴るる空 ルララ 僕らが歌歌えば 描き直すには大きすぎる 青空が今日も綺麗です  風の吹く先に何もないよ 陽が沈む先に何もないよ 僕らが望む答えは きっと無いよ ただ世界がそこにあるだけ 初めからそこにあるだけ  晴るる空 ルララ 僕らが歌歌えば 描き直すには大きすぎる 空が綺麗です 晴るる空 ルララ 僕らが歌歌えば 描き直すには大きすぎる 青空が今日も綺麗です
祈りamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむロウソクの灯を眺めてたら 笑った日の事を 思い出したよ 風の音が少し 怖いけれど 僕は大丈夫 そっちはどうだろう  届けたい声が 届かない距離に 横たわる無数の想いが 橋となるまで  祈りは祈りのまんま あなたの枕元に 願いは願いのまんま 明日の太陽と共に 「僕らは無力だ」と暗闇に祈るのが 本当に無力とは信じないぜ  ロウソクの灯を眺めてたら これからの事が 不安になったよ 今は少しだけ 落ち込んでいいよ いつか必ず笑うと 約束するなら  解きたい不安が 解けない夜に 散らばる無数の悲しみが 星となるまで  祈りは祈りのまんま 凍えた手と手の間 願いは願いのまんま 明日の曇天の隙間 「僕らは無力だ」と暗闇に祈るのが 本当に無力とは信じないぜ  二度と帰らぬものに 雪が降り積もる もう会えない日々に 雪が降り積もる 震えるあなたの肩に 雪が降り積もる 昨日と同じ雪が降る 昨日と同じ雪が降る  祈りは祈りのまんま 汚れたその頬を称え 願いは願いのまんま 明日の暗闇を照らせ 「僕らは無力だ」と暗闇に祈るのが 本当に無力とは信じないぜ
デスゲームamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ吹き消される命は テレビラジオの向こう側 フルHDの光沢でも 悲劇は鮮明に映らず ルサンチマンはネットで 不埒な世界を呪うβテスト 虚しい虚しくないは今夜の バラエティーを見終わったら 部屋から出られないのは コミュニケーション不全の弊害 週刊誌の受け売りだが 当人は全く無自覚 アイロニーで言うだけじゃ 伝わらないこの気持ちは コンビニの一番隅 埃をかぶってる粗悪品  ああ 一滴の涙が 海に勝るとは知らなかったな  今世紀のデスゲーム 厭世的デスゲーム 冷笑の365日の向こうに何がある? 僕らの首を絞めてるのは この中に居る誰かだ 悲観主義では逃げ出せない 時代のクローズドサークル 悪い奴は誰だ 悪い奴は誰だ  一番正気なものが 一番滑稽な事もある 一番正しいものが ひょっとして一番悪かも 見過ごした些細なものに 寝首をかかれる事もある 「安心しろ」と言う奴に 背中を見せてはいけない 人殺しの道具が 人一人の価値に勝る 疑心暗鬼の密室では 頼れるのは自分だけだ 追い詰められてる焦燥 今なら間に合うはずだが 「救ってよ」って叫びも どこか他人事の当事者  ああ 一滴の涙が 海に勝るとは知らなかったな  今世紀のデスゲーム 厭世的デスゲーム 冷笑の365日の向こうに何がある? 僕らの首を絞めてるのは この中に居る誰かだ 悲観主義では逃げ出せない 時代のクローズドサークル 悪い奴は誰だ 悪い奴は誰だ  正義も悪もない 事実は物語よりもくだらない 悪意で悪事を働く 悪人の影さえ見えない エピローグ間近のこの世界で生き残るなら 一番正しい奴を疑え 自分自身をまず疑え  今世紀のデスゲーム 厭世的デスゲーム 冷笑の365日の向こうに何がある? 僕らの首を絞めてるのは おそらく無自覚な奴だ 悲観主義では逃げ出せない 時代のクローズドサークル 悪い奴は誰だ 悪い奴は誰だ
空っぽの空に潰されるPLATINA LYLICamazarashiPLATINA LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ受け取った手紙が増えすぎて 自分の荷物は捨てていった 満たされた気持ちになって その実また空っぽだ お金は多い方がいい 友達は多い方がいい 安心も多い方がいい 結局幸福とはなんだ 必ず死ぬと書いて必死 夢の中と書いて夢中 まさに必死で夢中になって 僕らは季節を駆け抜けた 怪我ばっかりが増えたけれど 痛ぇと笑える仲間が居た 昔の自分に嫉妬するな そいつが君の仮想敵だ  楽しけりゃ笑えばいいんだろ 悲しい時は泣いたらいいんだろ 虚しい時はどうすりゃいいの? 教えて 教えて 名残惜しさも無くさよなら 巡り巡る季節は素っ気無い それに何を期待すりゃいいの? 教えて 教えて 空っぽの空に潰される  結局人間ってのは 一つや二つの欠落はある 何かが足りないと思うか 何かが必要と思うか 最低限の荷物はある 僕にはこれで十分すぎる もう一度僕は駆けてみよう 必死で夢中に駆けてみよう 今日が暮れて今日がやってくる 流れのままにとは行かないが 嫌なものを嫌と言ってたら こんな今日に流れ着いた だから今日は記念日だ 戦った僕の記念日だ ただ一つだけ問題がある 全くもって虚しい今日だ  楽しけりゃ笑えばいいんだろ 悲しい時は泣いたらいいんだろ 虚しい時はどうすりゃいいの? 教えて 教えて 名残惜しさも無くさよなら 愛した人や物はあっけない それに何を期待すりゃいいの? 教えて 教えて 空っぽの空に潰される  弱音を吐いたら楽になるか 泣くだけ泣いたら楽になるか 死にたいと言えば気持ちいいか そこから踏み出したくはないか どっかに忘れ物をしたよ 教室か母のお腹の中 恒久的な欠落を 愛してこその幸福だ  楽しけりゃ笑えばいいんだろ 悲しい時は泣いたらいいんだろ 虚しい時はどうすりゃいいの? 教えて 教えて 暗いところからやって来て 暗いところへ帰っていくだけ その間に 何が出来るの? 教えて 教えて 空っぽの空に潰される
古いSF映画GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ昨日の夜遅く テレビでやっていた映画を見たんだ 未来の世界を舞台にした 海外の古いSF すでに世界は汚染されて マスクなしじゃ肺がただれて 瓦礫の如きメトロポリス 未開の惑星みたいな地球 逃げ込んだ先は地下室 ただし80000km2の 昔はシェルターと呼ばれていたが 今じゃ都市と呼んで差し支えない 人工太陽 人工植物 そもそも人工じゃないものはない ほぼ人間と変わらぬAI 誰もそれに疑問は抱かない  殺人 略奪 治安維持も無く 力は力でしか抗えない 犯罪の5割はアンドロイド 科学の飽和を憎む主人公 前時代のCGもほどほどに 徐々に核心に迫るミステリ だが実は彼もアンドロイド ってのがその映画のラストカット  僕らが信じる真実は 誰かの創作かもしれない 僕らが見てるこの世界は 誰かの悪意かもしれない 人が人である理由が 人の中にしかないのなら 明け渡してはいけない場所 それを心と呼ぶんでしょ  風がそよぎ 海が凪ぎ 空に虫と鳥が戯れる 木々は今青々と 四季の変わり目にさんざめく 見てみろよ 当たり前にある景色も 大事にしなきゃなって思うでしょ この世界に不必要なのは人類だって話もある 説教じみた話じゃつまらない 分かってるだからこそ感じて 経験は何よりも饒舌 そしてそれを忘れちゃいけないよ 草木に宿る安堵の情念 昔の人は神様と呼んだ ほら触れて想像してみなよ この温もりを君は何と呼ぶ?  僕らが信じる真実は 誰かの創作かもしれない 僕らが見てるこの世界は 誰かの悪意かもしれない 人が人である理由が 人の中にしかないのなら 明け渡してはいけない場所 それを心と呼ぶんでしょ  どう? 理解できたかな これが人類の原風景 上映はこれにて終了です 拡張現実プラネタリウム お帰りの際は保護服と マスクをお忘れないように 手元のモニタでご確認を 本日の東京汚染予報  僕らが信じる真実は 誰かの創作かもしれない 僕らが見てるこの世界は 誰かの悪意かもしれない 人が人である理由が 人の中にしかないのなら 明け渡してはいけない場所 それを心と呼ぶんでしょ 僕らが愛した故郷が 殺されてしまうかもしれない 僕らが待ってた未来は 誰かの筋書きかもしれない 人が人である理由が 人の中にしかないのなら 受け入れてはいけない事 それは君自身が決めなきゃ  昨日の夜遅くテレビで やっていた映画を見たんだね 不安になるのは分かるけれど フィクションはあくまでフィクション この先どうなるかなんて そんなこと僕に聞かないで 答えは君自身が見つけて 僕は名も無いアンドロイド
渋谷の果てに地平線amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ渺茫たる二十五時 風の止む路地 気色ばむ都市の喧騒 白々しい顔で歩く僕 この途方もなさに 立ち眩み 思わず身を預けた うらぶれたセンチメンタル その純真の成れの果てを 侮蔑のストロークで ドブの臭いがする川に投げ捨て 大きく広がった波紋に浮かぶ 顔 顔 顔  胸の張り裂けそうな僕に代わって どこか遠くで犬が泣いた 望郷に咽ぶ僕に代わって 都市の空に鳥が飛んだ  渋谷の果てに地平線 渡り鳥が飛んでいる 故郷に泣いてくれるな
夜の歌amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ雨が降り始めて 僕はふと歩みを緩めた 雨雲に滲む月明かり あれが僕の目指す光 見えない物だから 見失っても当たり前 今日も僕は僕の心に 確かめて歩く夜明け前 この一生に 意味があって 何か託されてるとしたら それはきっと つまらないよな 僕に意味なんかなくても いいよ  夜の中で 息を潜めて 僕らは朝を 待っていやしない 些細な傷と 君は戦う 明日はきっと 笑えるように  希望は唯一つで 諦める訳は捨てるほど ぬかるんだ道に立ち尽くし 行こうか戻ろうか悩んで 結局歩き続けて その向こうで光が射して その時僕らは思うだろう 「今まで生きていて良かった」 その一瞬の 為だったんだ 今まで積み上げたガラクタ 多くの時間 多くの挫折 数えきれない程の涙  夜の中で 息を潜めて 僕らは朝を 待っていやしない この失望に 僕は抗う 明日もきっと 歩けるように  雨粒が落ちて アスファルトで弾ける 叶わない願いならいっそ洗い流すか 立ち止まっては悩んで 不安を消しては歩いて そんな繰り返しで僕等の旅路は続く その手を伸ばしていてよ その胸が凍えていても 不安の雨の 中で今夜は雨宿りしてさ  夜の中で 息を止めてた それでも朝は やって来るから この寂寥に 僕らは生きる ただ一瞬の 輝きのために  雨が降り止んで 僕はやっと歩き始めた 青空にうすく昼のつき あれが僕の目指す光
逃避行GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ地下鉄にへばり付いたガム踏んづけて もう何もかも嫌になった ああもう全部止めだ ここにしがみ付いてる価値はない そもそも前から気に食わなかった イライラすんのは割りにあわない 辛酸舐める日々の逆境 夢が重荷になってりゃ世話ねぇ  磨り減ったスニーカーじゃ 雨の日は上手く走れない 磨り減った魂じゃ 辛いとき上手く笑えない  たまらずに人ごみを走った 今思えばあれが始まりだ 押しつぶされた僕の逃避行 上手く行かなけりゃ死んでやるぜ 「死に損なった」って言うより 「生き損なった」ってのが正しい そんな僕らの長い旅が たった今始まったばかりだ  自由に生きたいと思えば思うほど 向かい風は勢いを増した 結局どこに行ったって 問題はそれなりにあるもんだ でも それなら なおさら 僕は僕を選ばなきゃいけない 終わりが訪れた時 後悔しない僕に出会いたい  振り切った臆病が 馬脚現せと狙ってる 乗り切った困難は 姿を変えて襲い掛かる  銃弾の雨を掻い潜った これが僕の選んだ戦場 夢や時給や社会体の 奴隷になってる暇はないぜ 「生きながらえた」って言うより 「生かされてる」って方が正しい そんな僕らの長い旅は 決して孤独なんかじゃなかった  僕等を走らせるなら きっとなんだっていい 恩義でも逃避でも 世間体でも逆恨みでも 問題は僕らがどこまで行けるかって事 僕らがいつまで戦い続けるかという事  そもそも前から気に食わなかった きっかけなら何でも良かった あのへばり付いたガム踏んでやろう そいつのせいにしてやろう 僕の場合は逃げ出したいから なのに今も戦っているよ それでいいだろ  たまらずに人ごみを走った あの日のスピードで生きたいな 掴み取るその理想の重さ 僕らの悔し涙と等価 死に場所を探す逃避行が その実 生きる場所に変わった そんな僕らの長い旅の 先はまだまだ遠いみたいだ
千年幸福論GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむこの地上にあるもの全てが 時と共に形変え行くものならば 僕らが抱いてる貴いものに 本当にすがる価値はあるのでしょうか 気まぐれに摘んだ たおやかな花は 見る影もなく醜く枯れた そんな風に変わってしまうかな とても優しいあなたも  千年続く愛情を 千年続く友情を 千年続く安心を 千年続く幸福を 僕らは望んで止まないけれど そんなもの何処にありましょうか  電車の脱線事故が起こったって 夕方のテレビニュースでやっている 亡くなった人の家族や恋人の 悲しみに目をそむけてしまう 終わりはいつかやってくると知った時 初めて人が愛しくなる あなたじゃなくて良かったと思う僕は やはり浅ましい人間でしょうか  千年続く愛情を 千年続く友情を 千年続く安心を 千年続く幸福を 馬鹿げた事かもしれないけれど あなたよどうか生きていて  あなたが居なくなっても生きる僕を 許せないといったら笑うでしょうか? 僕がいなくても生きていくあなたを 「悲しい」と言ってはいけませんか?  千年続く愛情を 千年続く友情を 千年続く安心を 千年続く幸福を 千年続く自負心を 千年続く安らぎを 千年続く友愛を 千年続く熱情を 千年続くいたわりを 千年続く尊厳を 千年続く生命を 千年続く喜びを 終わりがあるから美しい そんなの分かりたくもないよ  終わりはいつも早すぎる
遺書amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ広大無辺な荒野を遮るものは何も無く まして引き摺る想いなどあるものか また明日を夢見るも 今日が過ぎ行き今日となり 手にするものは数あれど 連れて行く物は数少ない  無用な涙はくれてやれ 去るものにだけくれてやれ 理想も夢想も綯い交ぜの 独りよがりの詩歌には 拍手や涙は似合わない 吹き曝し位が丁度いい そこを 私の墓標にしてください  手向ける花は風任せ 野花の種子が舞うでしょう 雨が降ったら喜んで 虫の死骸と眠ります 私は土になるのです  誰かに踏まれる土になる
美しき思い出GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむこの世界に 嘘しかないなら こんなに楽な事はないよな たまに本当が まざっているから 面倒くさいけど 信じてみるんだ  辛いことや悲しいことは 時間が解決してくれると言うけれど 嬉しいことや楽しいことも 少しずつ薄れてしまうよ だったら明日のことだけ 考えて生きていきたいな それが出来ない僕等は 時々こうやって思い出す  吉祥寺の街中 手をつないで見上げた青い空 桟橋に座ってみた花火 登校拒否 夏の夕暮れ 飲みすぎて ゲロ吐いた 中野の駅前 月明かりを反射して キラキラしてた あの娘のピアス イライラする 美しき思い出  忘れたいこと 忘れたくないこと  生きることと死んでしまうこと 考えだすと 頭がおかしくなりそうだ 結局僕が抱えられる荷物は この両手に納まる分だけ だったらそれでいいよな 人から見ればゴミくずみたいな 不恰好な思い出をつれて 僕は未来へ向かうとするよ  あの娘に手を引かれて 病院へ向かう途中の長い坂 虹色のレジャーシート レスポール 青森の星空 逃げたくて 吐き捨てた ナイフみたいな言葉 張り裂けたあの子の心 ジグソーパズル たりないひとかけら 美しき思い出  忘れたいこと 忘れたくないこと  今この手の中 この胸の中 大事なものが幾つかあるよ 失くした数だけ 壊した数だけ 愛するという事の価値を知るんだ だったら失敗ばかりの僕等は 人より愛することが出来るはず だから ほら 思い出してみるんだよ 忘れたいこと 忘れたくないこと  誰かに笑われてる気がして 外に出られなくなった事 あの子の家から帰る途中 目白通りで見た朝焼け 幼い頃感じた父の背のぬくもり 西新宿 故郷の海 白紙のノート 置き去りの夢 行かないで 行かないで 蝉時雨  才能あるのに死んでしまった仲間 今でも遠くで頑張る友達 未だに僕を支えてくれる彼女 鍵をかけた部屋 戦っていた あの頃の僕 壊れた心 壊れたギター ありがとう ありがとう 大嫌いだよ 美しき思い出  忘れたいこと 忘れたくないこと
14歳amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ灰の歌 才能不在 哀悼弔い  常磐線下りのホーム 電線にとまるカラスの憂鬱 それを見ている彼女が抱える笑い飛ばせない 日々の 憂鬱 毎日同じ繰り返しだけどもう子供じゃないんだから 去った物は追いかけず 過ぎたことは振り返らず 間違ってる気もするけど きっとしょうがないわ 夢を見て 上京した 少年の長い髪が 都市のビル風に揺れている それを彼女は見てる 見てる カラスの目玉で見てる 見てる  灰の歌 才能不在 哀悼弔い  ここがどこかなんて分からない 冷めた嘲笑が気に食わない あれはアレイの白色矮星 それで僕は燃やされてしまいたい いっその事灰になって 風に吹かれて消えてしまえ 鍵をかけた部屋に篭って 燃え尽きるも何もありゃしねぇ オレンジ色のマンションの ベランダで親子が笑ってた きっと明日もいいことが 起こると信じて疑わない そんな響きの声だから 僕らの胸は張り裂けた 遠くに雨雲 明日はきっと雨だから  楽しくないけど笑ってみた それでも僕等空っぽだから 今すぐ何かを始めなくちゃ それなら僕は歌を歌うよ 好きな歌を歌う 好きな歌を歌う 好きな歌を歌う  灰の歌 才能不在 哀悼弔い  なによりも普通を望んでた少年期の自意識の屋根裏 「人に嫌われたくなかった」 そんな名前のポスターで部屋は真っ暗 いったい僕はなんになれる って結局何者でもありゃしねぇ 青春の残り火みたいな 夜露をすすって今日も生きる アメリカの映画みたいな ハッピーエンドは来なかった 結局僕は僕だから 結局今日は今日だった 明日を変えられる力が 僕らにはあるはずだった テレビはいつものバラエティー 少し笑えた  悲しくないけど涙落ちた いつでも僕等空っぽだから 今すぐ何かを始めなくちゃ それなら僕は歌を歌うよ 好きな歌を歌う 好きな歌を歌う 好きな歌を歌う  生きたくないけど生き残った 彼女は今日も空っぽだから 今すぐ何かを伝えなくちゃ それなら僕は歌を歌うよ 夢とかないけど歌ってみた 結局全部ゴミ屑だから 今すぐ何かを遺さなくちゃ それなら僕は歌を歌うよ 好きな歌を歌う 好きな歌を歌う 好きな歌を歌う
冬が来る前にamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ冬が来る前に 夜半の波止場でビールを飲もう 星座の肩に腰掛けて 溜息も潮風も似たもんさ  冬が来る前に 三保野公園で草滑りしよう 水飲み場の横の柱にさ これまでの失敗も掘り刻もう  冬が来る前に 忌々しいこの街を踏み鳴らそう 池袋駅前中央分離帯 ずっとそこで待っている  冬が来る前に 冬以外の四季を縫い合わそう そいつをコートに仕立てて襟立てて 凍えて僕は待っている  二度と来ないものを待っている 二度と来ないものを待っている 昨日が来るのを待っている ずっとそこで待っている ずっと待っている ずっと ずっと
未来づくりamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ思えば僕はずっと僕の事 嫌いだったんだ そんな事 忘れてたよ 何でだろう 多分あなたに出会ったからです 思えば僕はずっと人のこと 疑ってばかりいたよな 相変わらず笑うのは下手 だけど笑う数は増えました  時が過ぎる事は怖くない 明日はきっと素晴らしい これはそんな歌  And I will say ありがとう ただいま じゃあね 永遠は こんな風に 当たり前に 出来ていくのかな  思えば僕はずっと逃げていた 愛するのも愛されるのも 向き合う事は怖いからな さらけ出した心は尚更 本当は僕もきっと分かってた このままじゃいけないって事 上手くいくか分からないけど 僕なりに頑張ってみるよ  きっと損をしてた 今までの信じようとしない僕は それを取り戻すよ  And I will say ありがとう ただいま じゃあね 信頼は こんな風に 当たり前に 出来ていくのかな  今までのことなんて帳消しにしたいんだけれど 今日までの失敗なんて破り捨ててしまいたいけれど こんな僕だからこそ あなたが好きになってくれたって言うなら もういいよ もういいよ それだけでもういいよ 胸はって 僕は僕だって 言ったっていいんでしょ いつだって ここに帰ってきたっていいって言ってよ 僕は精一杯僕を肯定するよ ただ僕を 信じてくれたあなたを 肯定する為に  And I will say ありがとう ただいま じゃあね 未来は こんな風に 当たり前に 出来ていくのかな
この街で生きているGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ空白みたいな 何もない空を ずっと眺めていたら 全部がもうどうでも いいやって思えて来るんだよ ちっぽけな悩みも 僕が生まれた 僕が生きてる 街の空  悩み出したら きりがないこと よく知っているけど くだらない事 考えてへこんでも 明日笑えればいい そんな風に ゆっくり歩く 帰り道  争ったり いがみ合ったり 日々のとがった部分も 飲み込んだ街で 嘆いても 笑っても 見上げるこの空には  いつでも紅い夕焼け 戸惑う未来教えて 歩きなれた街で 僕ら迷子みたいに 明日の道しるべ 探してる この先後どれ位 信じてゆけるのかな ふいに止んだ風に 不安になったりして この街で生きている  夜の帳に 最終のJR 君を連れて消えた 逃げ道じゃない 感傷でもないんだよ 僕らの思い出は 何があっても 僕は味方だ 友達よ  迷ったり 嫌になったり 先の見えない闇も 切り裂いた君に 一つでも 叶わない 願いなんてあるものか  あの時紅い夕焼け 戸惑う未来託して 誓った夢 理想も 今じゃガラクタみたいに 時の流れに 錆付いて それでも 信じたいよ 何にも終わってないよ 知らん顔で過ぎてく 日々に 強がったりして この街で生きている  春夏秋冬 変わっていく街の景色 その中で 抗ってる 君も 僕も 希望 誹謗 理想 自嘲 戦ってる相手は 疑う心だ つまり自分だ  いつもの紅い夕焼け 旅立つ君の影が 歩きなれた街で 細長く横たわって 明日の道しるべ みたいに伸びる この先後どれ位 悩んで歩くのかな それでいいや 僕らは 希望も苦悩も抱えて この街で生きている これからも生きていく
おもろうてやがて悲しき東口amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむくそ暑い新宿のど真ん中でふいに眼球にしがみ付く映像 浮浪者が口ずさむ名も無き歌は 不穏な流れ弾みたいに キャバクラの女が乗ったタクシーに下敷きの社会性に命中 遺失物係に忘れられた新聞紙にくるまれた位牌 墜落したアンタレス 地平線に浮かぶ巨大な顔 酔っ払った東京がたむろして おもろうてやがて悲しき東口  孤独になれない僕らの弱さ 誰に向けるでもないカラシニコフ 孤独になれない僕らの弱さ 心に飾って一人歩む
ピアノ泥棒amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ僕は泥棒 昔の話 話半分は酒の席のご愛嬌 真に受けるなよ 本気にするなよ 今となっては笑い話の類 僕は泥棒 中野のアーケード 雨宿りの振りして品定めの日曜 色とりどりの傘が開いて閉じて 心も躍る休日のパレード  二丁目の角の 新しい楽器店 でかいトラックが止まって何やら搬入中 もっと昔には ピアノ弾きでもあった いや 本当さライブだってよくやったもんさ だからピンと来た スタインウェイのヴィンテージ ピアノ弾きなら誰もが憧れる名品 正直目がくらんだ あいつがあれば 僕は誰よりも上手く弾けるのに  あのピアノ盗んで 弾きたいな取って置きの 自慢のクラシックバラード それを聴いたら 出て行ったあの娘も 落ちぶれちまった僕をきっと見直すはずさ ピアノ盗んで やり直したいな僕の くそったれの人生 丁度 人目を避けてコソコソ生きるのに 嫌気が差してきたところなんだ  とは言うものの あんな大物は無理だ 所詮僕はケチな巾着切り専門 盗むのが無理なら ちょっと弾くだけでもいいんだ いや 近くで眺めるだけでも満足だ そうと決まれば 早速忍び込んだ 午前三時の静寂は僕の相棒だ ピアノを前にして じっとしてられなかった おもむろに鳴らす午前三時のニ長調  このピアノを聴いて どうだ僕の取って置きの 自慢のクラシックバラード 流れ出すのは 美しい日々の調べ その憂いはまるで帰らぬ日々の後悔 ピアノを聴いて どうせ野垂れ死ぬだけの くそったれの人生 生きるために盗んで 盗むために生きてきた 拍手一つだって貰えないステージで  全部嘘だぜ 何だその顔 こんな馬鹿な話があるわけないだろ 今からステージ そう僕の出番さ こう見えてもピアノは得意なんだ  このピアノを聴いて どうだ僕の取って置きの 自慢のクラシックバラード 流れ出すのは 馬鹿な男のメロディー 執行猶予付きの ろくでなし賛歌 ピアノを聴いて どうせ野垂れ死ぬだけの くそったれの人生 それならば ステージの上で拍手喝采 こいつもそんなに悪いもんじゃないぜ
理想の花amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ過去の連なりのくるぶしに できた青痣を青春と名づけて それをまるで仇のしるしみたいに 夜になる度撫でて 想いは晴れたか? もういいよ 何も憎まず 心に歌を 多くは望まず 心に歌を そして 最後には頼りない祈りを 申し訳程度に宿した 種子を飛ばし  どこへ行こうが 花である 迷いにだけ咲く 花である 場所を選ばぬ 花である 理想に根をはる 花である  雨上がりに咲くideal
さくらamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむその時の僕らはといえば ビルの屋上で空を眺めているばかり バイトを抜け出し 汗と埃にまみれた 取り留めのない夢物語 互いに抱えてるはずの ちゃちな不安は 決して口には出さない約束 中央線が高架橋の上で おもちゃみたいに カタカタ なった  なぁ 結局僕らは正しかったのかな? あんなに意地になって 間違ってなんかいないって やれば出来るって 唇噛み締めて夜に這いつくばって その闇の中で言葉にならない嗚咽のような叫びは 千川通りで轢かれていた カラスの遺体みたい 痛い 痛い  ふざけんな ここで終わりになんかすんな 僕等の旅を「青春」なんて 名づけて過去にすんな 遠ざかる足音に取り残された 悔し涙は絶対忘れないよ 踏みつけられたフライヤー拾い集める 代々木公園も気付けば春だった 苦笑いの僕等 舞い落ちる  桜  日当たりが悪くなるから 窓の外にある大きな木が嫌いだった 春になって 花をつけるまで 僕はその木が 嫌いだったんだ 今になってはどうでもいい話だけれど なんかちょっとだけ後悔してるんだ ほんとにどうでもいい話だったかな ごめんな  駅前のロータリー 夕焼けが悲しい訳を ずっと 考えていたんだ 終わるのが悲しいか それとも始まるのが悲しいか 街灯がそろそろと灯りだした つまりは 終わりも始まりも同じなんだ だったらこの涙に用はない さっさと 失せろ 胸がいてーよ いてーよ  一人の部屋に 春一番の迷子 二人で選んだカーテンが揺れてます どうせなら 荷物と一緒に この虚しさも運び出してくれりゃ良かったのに 何もなかったように僕は努める 最後に君が干してった洗濯物 なんでもなく 張り付いた  桜  過ぎ去った人と 新しく出会う人 終わりと始まりで物語りは進む だとしたら それに伴った悲しみさえ 生きていく上でのルールだから 投げ捨ててきた涙拾い集めて 今年も気付けば春だった 僕は 歌う 歌う 歌う  さくら さくら 今でも さくら さく 消えない さくら さくら 僕等の さくら さく 物語
アノミーGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ愛など無い知らない 謎解けない吐きたい 雪溶けない吐けない プラスチックの天の川が 汚染ゆえに遊泳禁止 アダムとイブが風俗ビルの空き屋に住むって現世の虚無 終電後の下りのホーム ハックルベリーがゲロの横で眠ってる  アダムにとって知恵の樹の実とは イブの連れ子か パチンコ玉か 某都市の歓楽街で エデンはどこに? いたるところに 午前中に笑ってた家族の写真が 夕方のトップニュース テレビを消して現実に戻る 横たわる死体に目を落とす  禁断の果実齧ったって 羞恥心は芽生えなかった 神を殺したのは私 神に殺されるのも私  愛って単純な物なんです なんて歌ってる馬鹿はどいつだ アノミー アノミー そんなら そのあばずれな愛で 68億の罪も抱いてよ アノミー アノミー  黙ってりゃ腐る身体を サーベルみたいにぶら下げ歩む命 あっちじゃ化物に見えたとか 向こうじゃ聖人に見えたとか 物を盗んではいけません あなたが盗まれないために 人を殺してはいけません あなたが殺されないために  禁断の果実齧ったって 追放なんてされなかった 神を許したのは私 神に許されたのも私  愛って特別なものなんです なんて歌ってる馬鹿はどいつだ アノミー アノミー そんなら その尻軽な愛で 68億の罪も許してよ アノミー アノミー  神様なんて信じない 教科書なんて信じない 歴史なんて燃えないゴミだ 道徳なんて便所の紙だ 全部嘘だ 全部嘘だ って言ってたら全部無くなった 愛する理由が無くなった 殺さない理由が無くなった  愛って複雑な物なんです なんて歌ってる馬鹿は私だ アノミー アノミー そんなら この神経過敏な愛で 救えた命はあったか? アノミー アノミー 救ってよ
奇跡GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ今夜生まれてくる命と 死んでしまう命 そして懸命に輝く命と 無駄に生き長らえる僕 「こんな夜は消えてしまいたい」とよく思うけれど お前なんか消えてしまえ 何で今日まで生きてたんだ  無駄じゃないって思いたくて 此処まで無理して走ったんだ この先もそうするつもりだよ それも無駄になったらどうしよう 「こんな夜は消えて しまいたい」とよく思うけれど 今終わったら全部が無駄で 何か残したくて生きる  正解でも 間違いでも それが分かるのはどうせ未来 今は走るだけ  生まれた事が 奇跡だったら 息をするのも 奇跡 奇跡 ここで笑うか 泣き喚こうが どっちにしても 奇跡 奇跡  色んな事が起こるものさ 長く生きりゃそれに伴って 嬉しい事楽しかった事 もちろん逆も同じ数だけ 「こんなはずじゃない」と 思うのは僕らの傲慢で 引き金になった出来事が 過去には無数に存在する それを一々悔やんだって 今更どうにもなりはしない 核心はもっと深いところ 僕が生まれた所以に至る 父と母の出会いから もっと言えばその血筋から そして最後に行き着く場所は 宇宙の始まり その確率  愛してます その気持ちは どっからやって来て 何処へ消えるんだろう 何故消えるんだろう  愛されたのが 奇跡だったら 愛した事も 奇跡 奇跡 幸せだった それでよかった 後悔しない 奇跡 奇跡  唇噛み締めて自分の無力さになす術もなく 泣いた悔しさ 身体半分持ってかれるような 別れの痛みとその寂しさ それさえも奇跡だと言えたなら 思えたなら 無価値な事も特別になる ありのままで奇跡だから  生きてる事が 奇跡だったら つまずいたのも 奇跡 奇跡 歩き出すのも 諦めるのも 好きにさせろよ 奇跡 奇跡  つまずいたのが 奇跡だったら このもやもやも 奇跡 奇跡 立ち向かうのも 引き返すのも 僕らの答え 奇跡 奇跡
クリスマスGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ小さな雪の粒も積み重なれば 景色を変えるのは不思議ですね どうしようもない日も積み重なれば 年月となるのは残酷ですね  僕が真夜中の部屋で一人 今年の懺悔を始めた頃 遠い街の少女が 丁度眠りについた時 雪が降り出した  罪深い三百幾日に 白い雪の粒が舞い落ちて それが年明けまで続けば この過ちも枯れてくれるかな どこか遠くミサイルが飛んで 流星と見間違えた少女 願いを一つ唱えたところ 今日は美しいクリスマス  街のドブ川に冬の星座が 健気に光るから石を投げ入れた 水面に千切れて別れた双子座の 再会を待ってたらバイトに遅れたよ  イヤフォンの中でしゃべるFM 曲紹介で途切れた音の間に ぶつかった男の舌打ち 地下鉄の風は故郷の 海風に似てる  罪深い三百幾日に 白い雪の粒が舞い落ちて それに心がかじかむのなら 憎しみも凍ってくれるかな どこか遠くミサイルが飛んで 流星と見間違えた少女 願いを二つ唱えたところ 今日は美しいクリスマス  汚れた僕が汚した世界 だからこそ嫌いになれないよ 相変わらずの世界だから 君には見せたくないんだけど どうか 失望しないように どうか 言ってくれないか それでも好きだと  罪深い十二月の朝に 白い雪の粒が舞い落ちて それに優しさが埋もれたなら こんなに眩しいわけはないよ どこか遠くミサイルが飛んで 流星と見間違えた少女 願いを三つ唱える前に 目を覚ましたら パパのプレゼント  さあ祈ろうぜ世界の為に 救いようない僕らの為に 見てみろよ酷い世界だろ 今日は美しいクリスマス
ポルノ映画の看板の下でGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ古びた団地の陰が伸びる 荒れ果てた花壇飲み込む 子供がペンで書いた墓標 吹き曝しの無常に花も咲かねぇ 風来のカラス水遊び タクシー会社の駐車場 錆びたフェンスが路上に朽ちて この街の裂傷跡みたい  辛い辛いとはよく言うが 苦悩で死んだ例は無し 寂しげな気分が丁度いい 常日頃私に丁度いい だから私はそれを纏って 夜空の舞台の道化方 降るのは星屑かゴミ屑か どっちにしろ屑に変わりねぇ  生きてくのが面倒なら 死んじまうのも面倒だ 曲を作るのも面倒だ 世界中みんな面倒だ  ポルノ映画の看板の下で ずっと誰か待ってる女の子 ふざけた日常 マフラー代わりにしても かじかんだその未来 ぬくむ事無く 夢なんてもんは偶像だ それを崇める私、背徳者 願えば叶うよ 叶うよ 叶うよ うるせぇ背後霊 才能不在  桜が散って綺麗だからと 人生に例えてしまう程の 人並みのロマンチシズムなら 私も持ち合わせていますが 花が散ったと涙をして 花が咲いたと涙をして 遂には終日涙して これが鬱と気付いてりゃ世話ねぇ  前向くのが面倒なら 後ろ向くのも面倒だ 眠りにつくのも面倒だ 一切合財面倒だ  ポルノ映画の看板の下で ずっと誰か待ってる女の子 ふざけた思い出を ピアスにして飾っても 無表情な日々は 立ち去るばかり 夢こそが最後のメシアだと それを流布する誇大妄想狂 願えば叶うよ 叶うよ 叶うよ うるせぇ背後霊 才能不在  街ノ灯ニハ冷笑ガ群ガッテ 点イテハ消エル光明 浮カブ顔ノソレゾレ 光トハ絶エザル灯ニシテ 疑ウベキハ自己ノ思弁 ツマリ諦観 諦メノ果テニ 流シタ血ノ赤 故郷ノ空ノ赤 炎上スル死地ノ赤 冷々ト流ルル 唯歳月ハ流ルル ソレニ空シイモアルカ ソレニ根源ナドアルカ  ポルノ映画の看板の下で ずっと誰か待ってる女の子 ふざけた希望を 花瓶に挿して飾っても 殺風景な日々は 味気ないまま 夢こそが人の闘争だと それを誇示する私共シンパ 願えば叶うよ 叶うよ 叶うよ うるせぇ背後霊 才能不在
ポエジーamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ僕らは順応しない 僕らは反省しない 僕らは戦争したい 約束は出来るだけしない 百貨店の下着売り場は暗い 反政府ゲリラ組織に入りたい 無秩序の無こそ知りたい 僕らの溜息が礫になって校庭に落下する瞬間を見たい あの子のスカートになりたい 過ぎた憂鬱は悲劇ではなく喜劇的であると主張したい こんな寂しい幸福について君と語り合いたい 刃渡り15センチのそれで最終的な自己帰結を試みたい  ペガサスの羽音を聞いてみたい 初冬の空に出せなかった手紙を燃やしたい それが夕日に照らされる頃に泣きたい 本家の桜の木をもう一度見たい 死にたい 死にたい と言って死ねなかった僕らが 生きる今日がこんなに白々しいものだと伝えたい それでも死ななくて良かったと思う日がたまにある事を伝えたい 母親の胸にもう一度抱かれたい 僕は僕を愛したい
ワンルーム叙事詩GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ家賃6万のアパートで僕らは世界を旅する 燃える都市 干上がった運河 呆然と立ち尽くす老人 僕らのワンルーム叙事詩は無線LANで 半永久的に加速する その遠心力で横転した 原型をとどめてない幸福 そいつを僕に売ってくれよ 笑える心を売ってくれよ 本日天気は終末型 頼みの理想もしなびたか 世界が終わる もうすぐ終わる 空しい 寂しい が新しい流行 もう全部嫌になったから この部屋に火をつけた  燃えろ 燃えろ 全部燃えろ この街の美しい朝日も そいつに不似合いな思い出も 再戦の明日に勇む夢も 雨にも負けて 風にも負けて 雪にも夏の暑さにも負けて それでも 人生って奴には 負けるわけにはいかない 一人立ち尽くす そこはまるで焼け野原  黙って炎を眺めていた 次第に騒がしくなる路上で 世界は無声映画の スローモーションみたいに滑稽に見えた サイレンでふと我に返った 帰るべき我がある事に驚いた あぁ 僕はまだ 僕である事が許されるみたいだ 赤いランプで途切れ途切れに 照らされる隣人の狼狽 膜一枚隔てた外で この街は夏祭りの様相 薄笑いをこらえきれなくなったところで 羽交い絞めにされた 僕は 僕は 必死に叫んだ 消すなそいつは僕の魂だ  燃えろ 燃えろ 全部燃えろ これまで積み上げたガラクタも そいつを大事にしてた僕も 奇跡にすがる浅ましさも 雨にも負けて 風にも負けて 雪にも夏の暑さにも負けて それでも 人生って奴には 負けるわけにはいかない 一人 立ち尽くす そこはまるで焼け野原  どうせ未来は 終点の袋小路 新しい自分を 見つけたいと願うなら 過去の事は燃やしてしまおうぜ 灰になるまで  燃えろ 燃えろ 全部燃えろ 古いものは全部投げ入れろ 高くそびえ立つこの炎 この先照らすかがり火としよう 雨にも負けて 風にも負けて 雪にも夏の暑さにも負けて それでも 人生って奴には 負けるわけにはいかない  燃えろ 燃えろ 全部燃えろ 新しい自分に出会うため 溜息で吹き消すな炎 涙で失わせるな炎 雨にも負けて 風にも負けて 雪にも夏の暑さにも負けて それでも この自分って奴には 負けるわけにはいかない 一人 立ち尽くす そこはまるで 焼け野原
コンビニ傘amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ冷笑の365日にずぶ濡れの コンビニ傘が土にも還らず ゴミでも非ず モノでも非ず 役立つでも無く 邪魔するでも無く 昼はカラスに啄ばまれ 夜には星座を睨みつけ  磔にされた街路樹が「ほら」と言うから つられて見上げた上空に 冬の雨雲と毎秒3kmで飛び去る弾道ミサイル  冬の雨は冷たいんだよな と呟きあって また目を閉じた
真っ白な世界amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ朝 目が覚めたら 雪が降っていて 曇った窓こすって しばらく見ていたよ あなたの居ない世界は 寒くて嫌いだな 子供みたいに愚痴って 僕は家を出る  変わらない日々に 何を願って 僕等は生きている? ありふれた事だね きっと  積もる 積もる 白い雪 全部真っ白に染めてよ 明日の景色さえも 変えてくれよ  決して終わらないと 思ってた事が 気付いたら終わって いたりするからさ 持て余した情熱も 傍にあった笑顔も もっと大切に しなきゃいけなかった  昨日も過去も無いよ 積み重なった今を疑ったりしないで 僕はここにいるよ 確かに  積もる 積もる 白い雪 全部真っ白に染めてよ ばかなこの僕に 降り積もれよ  朝 目が覚めたら 僕は泣いていて 腫れた目をこすって しばらく考えたよ あなたのいない世界で どこへ行けばいい? それでも行くんだよ どこかへ行くんだよ  積もる 積もる 白い雪 全部真っ白に染めてよ こんな涙さえも 凍らせてよ  積もる 積もる 白い雪 全部真っ白に染めてよ 今日から全てを やり直すため
無題GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ木造アパートの一階で 彼は夢中で絵を描いていた 描きたかったのは自分の事 自分を取り巻く世界のこと 小さな頃から絵が好きだった 理由は皆が褒めてくれるから でも今じゃ褒めてくれるのは 一緒に暮らしている彼女だけ でも彼はそれで幸せだった すれ違いの毎日だけど 彼女はいつもの置手紙 桜模様の便箋が愛しい 気づいたら夜が明けていた 気づいたら日が暮れていた 気づいたら冬が終わってた その日初めて絵が売れた  状況はすでに変わり始めてた 次の月には彼の絵は全て売れた 変わってくのは いつも風景 誰もが彼の絵を称えてくれた 彼女は嬉しそうに彼にこう言った 「信じてた事 正しかった」  絵を買ってくれた人達から 時々感謝の手紙を貰った 感謝される覚えもないが 嫌な気がするわけもない 小さな部屋に少しずつ増える 宝物が彼は嬉しかった いつまでもこんな状況が 続いてくれたらいいと思った 彼はますます絵が好きになった もっと素晴らしい絵を描きたい 描きたいのは自分の事 もっと深い本当の事 最高傑作が出来た 彼女も素敵ねと笑った 誰もが目をそむける様な 人のあさましい本性の絵  誰もが彼の絵に眉をひそめた まるで潮が引くように人々は去った 変わってくのは いつも風景 人々は彼を無能だと嘲る 喧嘩が増えた二人もやがて別れた 信じてた事 間違ってたかな  木造アパートの一階で 彼は今でも絵を描いている 描きたかったのは自分の事 結局空っぽな僕の事 小さな頃から絵が好きだった 理由は今じゃもう分からないよ 褒めてくれる人はもう居ない 増える絵にもう名前などない  気付けばどれくらい月日が過ぎたろう その日久々に一枚の絵が売れた 変わってくのは いつも風景 その買主から手紙が届いた 桜模様の便箋にただ一言 「信じてた事 正しかった」
爆弾の作り方GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ干からびた栄光が 国道沿い 血も流さず潰れているぜ 欠陥だらけの僕らの 苦悩もこれまた無残な廃品 歌にしたって誰も聴かないし いまだに金にもならねぇし 今日も夕焼けの帰り道 くすぶってんのはどこのどいつだ  分からないものは分からないし やりたくないことはやらないし そう言ってら落伍者扱い 立派な社会不適合者 やり続けることの情熱も 今じゃ余計な不穏分子 純粋でいることの代償は つまり居場所が無いって事だ  行き場の無いイノセンス イノセンス 今に見てろって部屋にこもって 爆弾を一人作る 僕らの薄弱なアイデンティティー ひび割れたイノセンス イノセンス こんなんじゃないって奮い立って 僕は戦う つまりそれが 僕等にとって唯一の免罪符  誰よりも優しい あの子が息を潜めて泣いています 街の噂で聞いたんだ これがきっとこの世で一番の不条理 街には危険がいっぱいだから 誰にも会わず自分を守る 僕等は常に武器を探してる それがナイフじゃないことを祈る  張り裂けた胸はくっつかない セロハンテープでとめた心 またいつ剥がれるのかと 今日もびくびくしながら生きるぜ 間違ってしまった僕等の たった一つ正しい涙 潔白でいる事の代償は 誰かを傷つけるって事だ  行き場の無いイノセンス イノセンス 今に見てろって部屋にこもって 爆弾を一人作る 僕らの薄弱なアイデンティティー ひび割れたイノセンス イノセンス こんなんじゃないって奮い立って 僕は戦う つまりそれが 僕等にとって唯一の免罪符  許されない僕等が 許されるための手段 傷つきやすい僕等が 身を守るための方法 僕は歌で 君はなにで? 僕は歌で 君はなにで?  行き場の無いイノセンス イノセンス もう泣かないでまた立ち上がって 底知れない君の武器で 打ち砕く虚無的なイデオロギー ひび割れたイノセンス イノセンス 追いすがる不安振りきる為に 僕は歌う つまりそれが 僕の兵器でありアイデンティティー
夏、消息不明amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ夏、消息不明。 太陽の熱に干上がった僕らの今日が、 コインランドリーの日陰で、ペットボトルを片手にうな垂れていた。  夏、消息不明。 猛スピードで4号線を走り抜けた僕らの悲しみは、 情熱の揺らぎによく似た陽炎にスリップして横転。 廃車置場の片隅に放置されていた。  夏、消息不明。 ここ数年姿をくらましていた、僕らのいつかの夏が、 廃ビルの非常階段にもたれながら、タバコを吹かして 「夏が近いな」なんて言った。
隅田川GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ面映い思い出一つ 紐解く手が震えています 幸せとは つまり つまり あなたのことです 古い歌口ずさむたび それと見紛う 面影を見る さわれないなら いっそ いっそ 消えてください  日暮れて連れあう 街に蝉時雨 繋いだ手と手を離さなきゃよかった 僕を支えてくれていたのは いつだって  笑いあう喜びでした 許しあういたわりでした 見落としそうな程小さな 特別達でした 隅田川花火が咲いて 散るまでには会いに行きます 移ろう季節の真ん中で全てが綺麗だった  浴衣帯 盆提灯が照らしだす 朱色の影絵 心の中 ずっと ずっと 張り付いてます  変わらない町並みふきだした二人 変わっていたのは僕等だけですね 日々を鮮やかに変えていたのは いつだって  重ねあう優しさでした 言い合える絆でした 忘れてしまう程些細な 特別達でした 隅田川花火が咲いて 散るまでには会いに行きます 移ろう季節に留る事できないと知りながら  火影に群がる虫として 僕はあなたに焦がれて 幼い強がりかなぐり捨てて 素直になれたらそれで良かったんだ  本当に欲しかったのは そこにあった笑顔だけでした それだけで僕はどこまでも 行ける気がしてたんだ 隅田川花火が咲いて その真下で出会いと別れ あなたがくれたその全てに ありがとうって聞こえますか
カルマamazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむどうかあの娘を救って  地球が落とした暗幕に 星座の落書きをする子供達は コンクリートのベッドでアフリカゾウの夢を見る 輸送トラックの荷台で悪路に身を揺らしながら 廃墟に沈む夕日を眺める兵士は 荒れ果てた世界を吹き抜ける 生ぬるい夏の風にさえ 故郷を思うのだろう 朝市の喧騒の中 健気に笑うあの娘を どうか救ってください  愛と金と宗教に 折り合いをつけられなかった僕達は 理想郷を探すのを止めた 愛に飢えて 金に飢えて 神様に飢えて 盗みを働くのは悪だと誰が言えるのだろう ましてやそれが果物の 一つや二つ だとて ましてやそれが人の命の 一つや二つ だとて  窓を開けて 夏の風だ  星が綺麗な夜に 月を眺めては物思うけれど あれにも値札がついてるって話だぜ 流れ星にだって うかうか願いをかけていられやしない そんな時代になりました この街の上空をミサイルが飛んで言ったって ラジオのパーソナリティーが言う 優しいラブソングをBGMに ラジオのパーソナリティーが言う  どうかあの娘を救って  食うか食われるかで世界は回るのだと 無粋なトカゲはインタビュアーに語るのだが 巧言に勇み立つその尻尾が今まさに かじりつかれている事に気付いていない それを滑稽だと笑う僕等も つまり むなしい競争の延長線上 不意に手渡されるバトンを 受け取ってしまったのだ フラッシュに照らされたインタビュアーの顔は 笑っている様にさえ見えたのです  窓を開けて 夏の風だ  奪った奴から 奪い取れというのなら きっと最後には誰もいなくなる 奪った奴を許せと言うのなら きっと盗人ばかりの世界になる いや そもそも僕らは皆 盗人だ この世界で生きるって事は すでに 罰なのかもしれない  夜道を照らすのは 大気圏で燃え尽きた宇宙船が 最後に放った光 あの娘はふと空を見上げて 今日も何かを祈るのです ボタンのかけ違いで 敵か見方か 殺す側か殺される側か 野山に咲く花もあれば アスファルトに咲く花もある  僕らが願うのは 唯一つ 幸せになりたいって事 それがほしくて もがいて もがいて もがいて 奪って 奪って 奪って 奪って それでも笑って生きていたいと健気に 海の風に微笑むあの娘は 愛する人が銃で撃たれたことを まだ知らない  どうかあの娘を救って
夏を待っていましたGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむ君はまだ覚えてるかな 幼い頃の暑い六月 廃線になった線路を 僕等はどこまでも歩いた 乗り気で水筒なんかを ぶら下げてきた雅敏は おじちゃんに買ってもらったマウンテンバイクを自慢した  「けどな 俺はおじちゃんが嫌いなんだ 母ちゃんをいつも泣かせてばかりいるから」 僕は何だか気まずくなって 目をそらしたんだ 雅敏の顔に大きな青痣があったから  降りだした夕立に走りだす つぶれた無人駅で雨宿り 明日は何して明後日は何して くだらない話で笑い転げる 嵐の予感に胸が高鳴る あの時僕ら皆は確かに 夏を待っていました  ここに居たくないってのと どこかに行きたいってのは 同じ意味なのかな なんにしろ歩こうか 体育と部活が何より苦手な靖人は とうとう膝を抱えてこう呟いた 「僕はいつも皆に置いてきぼりで 本当にダメなやつでごめんな」 僕らはなんだか笑ってしまった つられて靖人も涙目で笑った  背の高い夏草でかくれんぼ 鬼は迫り来る時間の流れ もういいかいまだだよって叫んだよ 僕は今も見つからないままで あの時と同じ膝をかかえて 部屋から青い空を見上げて 夏を待っていました  身長が高くて喧嘩が強い 太平はいつも 無茶な遊びを思いつく 「この鉄橋に一番 長くぶら下がったやつの 言うことは何でも聞かなきゃダメだぜ」 僕らはびびって出来なかったけど 太平は平気な顔でぶら下がる 7年後に太平はビルから飛び降りた そんな勇気なら無いほうが良かった  高層ビルの下でかくれんぼ あれから何年がたっただろう もういいかいまだだよって声もない もしも今日があの日の続きなら 僕らの冒険を続けなくちゃ 六月の空を僕は見上げて 夏を待っていました
光、再考GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewaもし生まれ変わったらなんて言いたくない どうしようもない 僕の人生も長い付き合いの内 愛しくなってくるもんで ぶつかって 転がって 汗握って 必死こいて 手にしたものは この愛着だけかもな まぁいいか そんな光  時々虚しくなって全部消えてしまえばいいと思うんだ 神様なんてとうの昔に阿佐ヶ谷のボロアパートで首吊った 綺麗な星座の下で 彼女とキスをして 消えたのは 思い出と自殺願望 そんな光  朝が来るたび陰鬱とした気持ちでそれでも青い空が好きなんだ 公園ではしゃぐ子供達と新聞紙被って寝てる家の無い人 未来は明るいよ 明るいよ くしゃみを一つしたら 大勢の鳩が 大空へ飛び立った  どこへ行けばいいんですか 行きたいとこへ勝手に行けよ 何をすればいいんですか 僕は誰に尋ねてるんだろう 何か始めようと震えてる ジャングルジムの影が長くなって 僕は今から出かけるよ ここじゃないどこか そんな光  彼女が歓楽街でバイトをはじめて夜は一人になった 特に寂しくは無いけど急にテレビ番組が好きになった 朝彼女が戻って 僕が部屋を出て行く 無垢に笑う彼女が本当に綺麗だと思った そんな光  子供の頃の影踏み遊びを思い出してる 追いかけても 決して掴めない物 まるで蜃気楼 だけど僕は気付いてる 本当は手にしたくなんか無いんだよ ずっと追いかけていたいんだよ もっと胸を焦がしてよ 死ぬまで走り続けたいんだよ  流れ流れて明日は東へ 出会いと別れを繰り返して 光と陰を股にかけて 泣き笑いを行ったりきたり そうだよ 大丈夫 大丈夫 皆同じだよ 上手くいかない時は誰にでもあるよ そんな光  日が沈みまた昇るように 花が散りまた咲くみたいに 全てはめぐりめぐって 全てがほら元通り もし生まれ変わったらなんて 二度と言わないで 今君は日陰の中にいるだけ ただそれだけ
つじつま合わせに生まれた僕等GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa遠い国の山のふもと この世で一番綺麗な水が湧いた やがてそれは川になり そこに群れを作った魚を 腹を空かした熊が食べて 猟師が熊の皮をはいで それを市場で売りさばいて 娘の為に買った髪飾り 悪い人間がやってきて 全部奪ってしまったのは 歴史のちょうど真ん中辺り 神様も赤ん坊の時代 母親のこぼした涙が 焼けた匂いの土に染みて それを太陽が焦がして 蒸発して出来た黒い雨雲  その雲は海を越えた砂漠に 5ヶ月ぶりの雨を降らせた 雨水を飲んで生き延びた詩人が 祖国に帰って歌った詩 それを口ずさんだ子供達が 前線に駆り出される頃 頭を吹き飛ばされた少女が 誰にも知られず土に還る  そこに育った大きな木が 切り倒されて街が出来て 黒い煙が空に昇る頃 汚れた顔で僕等生まれた 善意で殺される人 悪意で飯にありつける人 傍観して救われた命 つじつま合わせに生まれた僕等  高層ビルに磔の 価値観は血の涙を流す 消費が美徳の人間が こぞって石を投げつけるから 金にもならない絵をかいた 絵描きは筆をへし折られて 見栄っ張りで満員の電車が 走る高架下で暮らしている 喜怒哀楽をカテゴライズ 人に合わせて歌が出来て 悲しい時はこの歌を 寂しい奴はあの歌を 騙されねーと疑い出して 全部が怪しく見えてきて 人を信じられなくなったら 立派な病気にカテゴライズ  不健康な心が飢えて 悲劇をもっと と叫んでいる 大義名分が出来た他人が やましさも無く断罪する 人殺しと誰かの不倫と 宗教と流行の店と いじめと夜9時のドラマと 戦争とヒットチャートと  誰もが転がる石なのに 皆が特別だと思うから 選ばれなかった少年は ナイフを握り締めて立ってた 匿名を決め込む駅前の 雑踏が真っ赤に染まったのは 夕焼け空が綺麗だから つじつま合わせに生まれた僕等  ふざけた歴史のどん詰まりで 僕等未だにもがいている 結局何も解らずに 許すとか 許されないとか 死刑になった犯罪者も 聖者の振りした悪人も 罪深い君も僕も いつか土に還った時  その上に花が咲くなら それだけで報われる世界 そこで人が愛し合うなら それだけで価値のある世界 だからせめて人を愛して 一生かけて愛してよ このろくでもない世界で つじつま合わせに生まれた僕等
ムカデGOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa給水塔に反射する夏の太陽 器用に生きる象徴としての 彼女の笑顔 汗ばんだ静動脈に巣食う褐色の火薬じみた病理 僕が僕ではない感覚 もしくは錯覚 六十億の溜息に巻き起こる黄砂 逃げ場なく息も絶え絶えな ムカデ 涙の濁流を這って 何処へ 行こう 何処も 駄目だ 居場所 が無い 神様僕は分かってしまった 空っぽの夜空が綺麗 あの黒い空白に埋もれてしまえたらって 願う そうか もしかしたら 僕は 死にたいのかな  愛は愛の振りして 全部飲み下せと刃物覗かせる 今日は今日の振りして 全部やり直しだと僕を脅かす こっから踏み出すなよ 絶対だぞ 誰だ後ろから押す奴は ほら後一歩だ そうだ 夢がぶら下がる最果ての絞首台  西日に染まる郊外の公団住宅 心臓を針でつつかれる様な感傷 及び 生きてる事に対しての罪悪感 付きまとう闇 立ちはだかる闇 赤面症の季節における リビドーの肥大 故の 現実からの逃避 妄想 妄想 妄想 遮断機に置き去りの自意識 真っ二つに割れる数秒前 赤が光る 消える 光る 消える 光る 消える 消えろ チャイナドレスの女 田園都市線 劣等 劣等 過去 過去 全部消えろ 神様 殺してやる  過去は過去の振りして 全部受け入れろと喉に絞めかかる 夜は夜の振りして 全部おまえのせいだとがなりたてる こっから逃げ出すなよ 絶対だぞ 誰だ後ろから押す奴は ほら後一歩だ そうだ 夢がぶら下がる最果ての絞首台  僕は触れていたかった まだ繋がっていたいよ ビルの屋上に立った 今更思い出すんだ 春の木漏れ日に泣いた 母の声が聞こえんだ 此処にいてもいいですか 此処にいてもいいですか  空は空の振りして 全部知ってるぞって僕を見下す 人は人の振りして 全部吐き出せと僕を睨み付ける こっから踏み出すなよ 絶対だぞ 誰だ後ろから押す奴は ほら後一歩だ そうだ 夢がぶら下がる最果ての絞首台  僕は触れていたかった まだ繋がっていたいよ ビルの屋上に立った 今更思い出すんだ 春の木漏れ日に泣いた 母の声が聞こえんだ 此処にいてもいいですか 生きていてもいいですか
少年少女GOLD LYLICamazarashiGOLD LYLICamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa校庭の隅っこで 体育座りしてぼんやりと見てる 野球部のフライを眺めるように なんとなく未来を見てる いつかは変わってしまうかな 大好きなあの子の笑顔とか 馬鹿だったあいつらも 大人になってしまうかな 今まさにヒットを放った 4番バッターのあいつは 一年後の冬に 飲酒運転で事故って死んだ その時 誰もがあまりの空っぽに立ち尽くしていた 母さんが汚れたバットを抱きながら泣き叫んでいた  僕が憧れた彼女は 男に逃げられたストレスで 過食気味になったと笑った こけた頬を引きつらせ 右手には悪趣味な指輪と かさぶたの吐きだこ 諦めるのは簡単と コーヒーをすすった  夜の街を彷徨いながら 昔話に夢中になってた そんな事もあったねと 彼女は笑いながら泣いた それでも それでも 頑張れなんて言えなかった さよなら さよなら せめて笑いながら手を振った  少しずつ 諦める事ばっかり上手になってた 我慢する事が 人のためになると思ってた 記憶の隅に積み重ねた 無謀な夢と悔し涙 押し殺したホントの気持ちが むなぐらに掴みかかる 「どうしてここに居るんだよ 今すぐに逃げ出せよ 望んだ様に生きられないなら 死んでんのと同じだ」 そうだ 僕も君ももう一度新しく生まれ変われるよ 傷ついて笑うのは 金輪際もうやめにしよう  凍える夜に一人だから 僕等は間違った事もやった 心無い人が多すぎて 僕らは無駄に強くなった それでも それでも 間違いじゃないと信じたいな さよなら さよなら 強がりは夜の闇に溶けた  校庭の隅っこで 体育座りしてぼんやりと見てる 野球部のフライを眺めるように なんとなく未来を見てる 僕は変わってしまったかな 時々不安で恐くなるよ ホームインした四番バッターがはしゃいで笑う声  それぞれの不安を抱えて それぞれ未来へ歩んでいった それぞれが痛みを抱いて それぞれ今日に立ち尽くした なんだろう なんだろう 涙が溢れてしょうがないよ さよなら さよなら 思い出なんて消えてしまえ どうせ明日が続くなら 思い出なんていらないよ この足を重くするだけの感傷なら どぶ川に蹴り捨てた それでも それでも 涙が枯れる事はないから さよなら さよなら せめて僕は笑いながら泣いた
初雪amazarashiamazarashi秋田ひろむ秋田ひろむamazarashi・Yoshiaki Dewa青森駅前に雪が降る 果たせなかったいつかの約束が バス停に留まる少女が吐いた 白い息と一緒に夜空に消えた 積もりだしたのは彼女の記憶と 感傷とわずかな後悔 長く伸びる僕の足跡も やがてそれに消されるだろう  思えば遠くへ来たもんだ いや と言うより振り出しに戻ったのか 自嘲気味に踏み出すその一歩は 今日も変わらず迷ってばかり それでもここに留まるよりは いくらかましだと信じてる 肩に積もった雪をみて思う 少し休みすぎたみたいだな  いかないでくれと 呼び止める 思い出を 振りほどいて僕は どこまでいけるのだろ  初雪が 風に吹かれて 僕らの街 通り過ぎただけ 君の優しさ 風に吹かれて 僕の胸 通り過ぎただけ  雪は昨日から止むことを知らず 出かけようとドアを開けた手を止める 綺麗だなと思うより早く 面倒くさいななんて一人ごちる 傘はないし 時間も無い ましてや期待なんてあるはずも無く ただ向かうべき目的地と 焦燥だけは捨てるほどある  そんな毎日を生きてます 僕はなんとかやってます これを幸福とは思いませんが かといって不幸とも思いません ただ 君がいなくなったことで 出来た空白を埋められずに 白黒に見えるの街の景色 決して雪のせいではないのでしょう  悲しいことなんて あるものか あるものか 振りほどいて僕は 急いで出かけなくちゃ  初雪が 風に吹かれて 僕らの街 通り過ぎただけ 君の優しさ 風に吹かれて 僕の胸 通り過ぎただけ  雪は今日も止むことを知らず 急ぐ僕の足はもつれる 笑い合った長い月日も 確かに分かり合えた何かも 全部嘘だと言い切れたら 僕は簡単に歩けるのに でも大丈夫 ちゃんと 前に進めているよ  初雪が 風に吹かれて 僕らの街 通り過ぎただけ 僕はそれに 少し泣いただけ 冬の風に 心揺れただけ
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