LIVE REPORT

シド ライヴレポート

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【シド ライヴレポート】 『ID-S限定 SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~』 2023年1月21日 at LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)

2023年01月21日@

撮影:今元秀明/取材:山本弘子

2023.01.31

結成20周年の幕開け。シドが1月21日と22日の2日間にわたって東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でオフィシャルメンバーズクラブ会員限定公演『ID-S限定 SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~』を開催した。

初日の21日。紗幕がかかったステージにひとりひとりの音が加わっていくかたちで明希(Ba)、Shinji(Gu)、ゆうや(Dr)の順にシルエットが映し出され、マオ(Vo)が歌い始めたのは“令和歌謡”をキーワードに制作された最新オリジナルアルバム『海辺』の最後を飾るスケール感のある「海辺」。続いて押し引きのある演奏がマオの憂いを帯びたヴォーカルを際立たせるインディーズ時代の「紫陽花」が披露され、ジャジーな「KILL TIME」へ。4人が揃ってステージに立つのは1年2カ月振りということもあり、楽曲が演奏されるたびに大きな拍手が湧き起こる。

マオが“お待たせしました”と挨拶し、“ずっと俺たちのことを一番近くで応援してくれたみんなとなら、最高の1年のスタートを切れそうな気がしています。次は少し懐かしい曲をお届けします。「ミルク」”と曲名を告げると驚きと嬉しさを抑えきれない客席のあちこちから思わず声が漏れた。前半のセットリストは洗練されたムーディなシド。「ミルク」同様、懐かしいナンバー「刺と猫」では、マオとShinji、明希の3人がセンターに集結する場面もあり、メンバー同士が会話しているように音が奏でられた。思えばシドは昔から“成熟”を感じさせるレトロで大人びた楽曲を生み出してきたバンドでもあり、ライヴの完成度には定評があった。ゆうやから始まる楽器陣のソロセクションでは、月日を重ねてさらに磨かれたスキルが発揮される。マオが再度ステージに登場し、トーチの炎の演出の中で披露された「涙雨」はしっとりと始まり、後半に向かうにつれ熱量を増す表現力がさすがだった。

中盤のMCでは久々のライヴに高揚している4人が笑顔を見せ、仲睦まじい様子でファンを喜ばせる。話を仕切ったのは明希で“待ったでしょ? 後ろの方、見えてる? 聴こえてる? ここから見たことのない景色へ俺たちと一緒に行きませんか?”と煽り、髭を伸ばしているShinjiを“カッコ良くて、渋くてダンディ”と紹介するもののShinjiは“マオ、明希、ゆうや、Shinji、4人集まったぞ。いや~、本当にいいバンドです”とマイペースな様子。Shinjiはマオに“(太田胃散のように)いい薬です!みたいな”とツッコまれながらも、人気者になりたくて自己主張が強かったバンドの初期を回想した。ゆうやはいつもの調子で会場を会話で和ませながら“これから20周年の旅が始まるわけですが、いい意味で進化したシド、いい意味で変わらないシドをたくさん味わってください”と締め、マオもShinji同様に過去を振り返った。“20年前の俺たち、ギラギラしてたな。4人でどういうことをやればいいのか考えてひたすら活動してましたね。対バンの人たちは敵だと思ってたし。でも、そういうギラギラした面があったシドも僕は好きでした”と1年をかけて20周年を祝っていくと宣言。ファンからのアツい拍手が鳴り響いた。

マオが“後半は盛り上がる曲を――”と告げ、“行けるか!?”と叫びながら煽ること自体に懐かしさを感じたらしく何度も叫んでいたのも微笑ましく、初期からの人気曲「アリバイ」では場内の手が一斉にあがり、マオがShinjiの顎髭にタッチ。Shinjiがドラム台に上がってゆうやと呼吸を合わせる。「夏恋」ではお馴染みのマオの煽りに歓喜の空気が充満した。Shinjiと明希が向かい合わせで絡んだり、マオがステージにしゃがんでファンの顔を見ながら歌ったりと華やかなアクトが繰り広げられた。この日、もっとも激しいナンバー「CANDY」も投下され、明希がセンターでスラップをキメる「MUSIC」へと続く。本編はファイヤーボールの演出の中、「プロポーズ」で締め括られた。

マオがみんなの背中をそっと押したいと思い歌詞を書いたという「君色の朝」がやさしく包み込んだアンコールでは、拍手や声援が響く中、ステージに飛び出していくアンコールが当たり前ではないことを再認識させられた1年数カ月だったと伝え、4月からアニバーサリーツアー『SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」』を開催することを報告。このツアーから声出しが解禁になることもアナウンスしたマオが“何年も何年もみんなのキャーキャーを待ち焦がれてる”と言えば、明希も“ライヴってみんなの声もひとつの音だと思うんですよね”と真理を突き、Shinjiは“俺が一番暴れる。声は出さないけど”と謎発言を放つ(笑)。喋ろうとしたゆうやが遮られ“俺の時間は?”と拗ねるなど、再びステージはワチャワチャとしたムードに――。ちなみにツアーはアルバム『海辺』の曲のみならず、懐かしいナンバーも演奏する集大成的な内容になるとのことだ。

そして、最後に届けられたのはライヴのタイトルでもある「Re:Dreamer」。追い風も向かい風も吹いた20年の月日の中、改めて夢に向かっていく意志を感じさせるナンバーが放たれ、盛り上がりではゴールドとシルバーのテープが勢い良く発射。20周年の幕開けに相応しいエンディングとなった。

撮影:今元秀明/取材:山本弘子

シド

シド:2003年結成。08年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。10年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった13年には初のベストアルバム『SID 10th Anniversary BEST』をリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライヴを開催し、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。16年1月、シングルベストアルバム 『SID ALL SINGLES BEST』を発表。18年はバンド結成15周年&メジャーデビュー10周年のアニバーサリーイヤーとして、計50本以上にも及ぶ全国ライヴハウス公演やアジアツアーを実施し、19年3月にグランドファイナルとして横浜アリーナ公演を大成功に終えた。20年3月にシングル「delete」を発表。11月より3作品連続配信を経て12月23日にシングル「ほうき星」をリリースする。21年には自身初の配信ライヴと河口湖ステラシアターでのライヴも控えている。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 7

    07. Instrumental

  2. 14

    <ENCORE>

  3. 17

    03. Re:Dreamer

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