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水樹奈々 ライヴレポート

水樹奈々 ライヴレポート

【水樹奈々 ライヴレポート】 『NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023 -LIGHTNING MODE-』 2023年1月21日 at さいたまスーパーアリーナ

2023年01月21日@

撮影:kamiiisaka/取材:榑林史章

2023.02.23

水樹奈々が声優として演じてきたヒーロー/ヒロインが登場するアニメ主題歌/挿入歌を中心に構成したライヴ『NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023』が、1月21日と22日の二日間、さいたまスーパーアリーナで開催された。“-LIGHTNING MODE-”と題した21日は、彼女がフェイト・テスタロッサ役で出演したアニメ『魔法少女リリカルなのは』シリーズの関連楽曲(12曲)を中心に全22曲を披露。水樹の誕生日当日に行なわれるライヴは5年振りとのことで、自身にとってもファンにとっても実にスペシャルな一夜となった。

MCで“サブタイトルが“-LIGHTNING MODE-”で、イメージカラーはイエロー。もうバレバレだったよね”と笑った水樹。もちろん多くのファンは察していたが、むしろそれによってライヴへの期待がより高まったと言える。というのも、『なのは』シリーズは水樹にとって代表作のひとつであり、「ETERNAL BLAZE」や「BRIGHT STREAM」などライヴでの定番曲や人気曲を数多く生み出した作品だからだ。

アニメ『魔法少女リリカルなのは』シリーズは2004年に第1期が放送。以降、『A’s』や『StrikerS』といった、続編や劇場版など多くの作品が制作された。水樹はヒロインのひとりで電撃(LIGHTNING)を操るフェイト・テスタロッサ役を演じている。また、ほとんどの主題歌と数多くの挿入歌を担当、思い入れの深いシリーズであることから自身が作詞を手がけた曲も多い。メランコリックなメロディーとともに強く激しいハートが表現されていることも、『なのは』楽曲の特徴のひとつだと言える。『なのは』をきっかけにファンになった人も多く、水樹の思い入れとファンの思い入れがひとつに混じり合ったことで、いつになくエモーショナルな気持ちにさせてくれるライヴとなった。

水樹の登場シーンは、実に胸が高鳴るものだった。ライヴは魔法のペンを手にした水樹が不思議な力を手にするというOPムービーからスタート。セットはアメコミから飛び出した街のような雰囲気。ヒーローは高いところから登場するという定石どおり、その一番高いビルの屋上に登場した水樹は、イエローと黒の衣装を身にまとったまさしくフェイトのイメージだった。

1曲目は『魔法少女リリカルなのは』第1期のOPテーマ「innocent starter」。高層ビルの中で歌うMUSIC CLIPのワンシーンも思い出され、後ろのスクリーンに映るキラキラとした光の映像も相まって、何かの奇跡が起きているかのような光景だった。そこから「BRAVE PHOENIX」「PHANTOM MINDS」と冒頭から『なのは』曲を3連発。すでに涙腺が崩壊したファンも多かっただろう。

恒例のあいさつとライヴの趣旨などを説明、当日が誕生日だったことも踏まえ、“大好きなみなさん、そして一緒に歩んできたキャラクターたちに囲まれて、バースデーを迎えられて世界一の幸せ者です。声優冥利、歌手冥利に尽きます”と、冒頭から感無量といった様子の水樹。『なのは』シリーズ以外の楽曲でも、さまざまな演出で楽しませてくれた。

「Mr.Bunny!」では2011年の「LIVE CASTLE」以来となるウサ耳をつけた白の衣装で会場を湧かせた。少し照れくさそうな表情ながら“私は約束を守る女なので!”と水樹。“次の卯年でもやっていいかな...?”と笑う表情も印象的だ。また、「FEARLESS HERO」では久しぶりにフライングしながらのパフォーマンス。優雅に宙を舞いながらの歌唱はそれこそ魔法少女のようで、アクロバティックな演出も水樹の真骨頂と言える。

恒例のショートムービーは水樹が“HERO NANA”に変身して悪と戦うストーリーで、ヒーローをテーマにしたこのライヴに花を添えた。『なのは』の八神はやて役で共演した声優・植田佳奈がヒーロー「ウエダカンヌ」としてゲスト出演し、“あきらめたらあかん!”というはやての関西弁を再現して会場の『なのは』ファンを湧かせる。“特別なパワーがなくても奇跡は起こせる。みんなからのエネルギーが、その力を与えてくれる。みんなというヒーローが、いつも私を鼓舞してくれている。これからもみんなで力を合わせて地球を救おう! みんなで笑顔を届けに行きましょう!!”――その言葉に会場もパワーアップし、「GET BACK」や「Destiny’s Prelude」など『なのは』曲で、さらにアツさを増した。

本編ラストはもちろんあの曲、『魔法少女リリカルなのはA's』のOPテーマ「ETERNAL BLAZE」。“この曲を通してたくさんのパワーをもらい、たくさんの新しい扉を開くことができた”と水樹。その想いに応えるように、客席を眩いばかりのオレンジ色の光が埋め尽くす。疾走感がありながらどこか優雅で、ハイトーンのメロディーが胸を打つこの楽曲。観客と水樹の心がひとつとなり、会場にはポジティブなエネルギーが満ちあふれた。

アンコールではサプライズでケーキが登場し、水樹のバースデーを全員でお祝い。“最高の一年にするぞ〜!”とコメント。そして、最後に“とびきりアツいあの曲。早くみんなで歌って、飛んで、絶叫できる日が来ますようにと祈りを込めて歌います”と紹介して、『魔法少女リリカルなのはStrikerS』挿入歌「Pray」を熱唱して締め括った。《黄昏の騎士となって 僕の全てを捧げよう》《君が願えば 銀河の彼方へ 無限に飛べるはず》...ヒーローは助けを求める声があれば、どんなところへも駆けつけるもの。日本全国をライヴで駆け巡り、生きる勇気を与えてくれる水樹奈々は、まさしくファンにとってのヒーローだ。

撮影:kamiiisaka/取材:榑林史章

水樹奈々

ミズキナナ:声優、歌手として高い人気を誇る。声優としてのデビュー作は1997年のプレイステーション用ゲーム『NOёL〜La neige〜』門倉千紗都役。歌手としては2000年12月にシングル「想い」でデビュー。09年6月に発売された7枚目のオリジナルアルバム『ULTIMATE DIAMOND』で声優として初のオリコンチャート1位を獲得し、11年12月と16年4月には東京ドーム2デイズライヴも大成功に収めた。

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