ライムライト

ライムライト 最初の恋を 最後だって思っていた
戸を叩いて 合図が来るのを 今日も待っていた

盆の間 帰るからって 言うだけは言った
遠く巻いた陽炎だけが本当の姿に見えた
張り付いた前髪が 三十五度を伝えた
あの夏の日 戦いの日

(軒先で蝉の音を聞きながら 藪の中の秘密基地を思う)
(あの時の僕たちは 信じて疑わなかった)

勿体ないほど生きて しまい込んだ

愛すべき無念
僕らだけの寄る辺
ただの偶然 時の修繕
繰り返しなんていらないから

愛すべき無念
幸せになってくれ
ただの偶然 時の修繕
取り返しなんていらないから

ライムライト 最初の恋を 最後だって思っていた
戸を叩いて 合図が来るのを 今日も待っていた

盆の間 夜風を切って 合言葉を言った
青く萌ゆる藪の中に 輝く住処があった
照らされた場所はもう眺めるだけになった
この夏の日 弔いの日

(何もかもが変わっていくなかで 季節だけが平等だった)
(起死回生の一発が来ることは ついぞなかった)

勿体ないほど生きて しまい込んだ

愛すべき無念
僕らだけで生きて
ただの偶然 時の修繕
繰り返しなんていらないから

愛すべき無念
幸せになってくれ
ただの偶然 時の修繕
取り返しなんていらないから

笑いながら泣いていた
あの夏の最終回
笑いながら泣いていた
僕たちは咲いていた
笑いながら泣いていた
あの夏の最終回
笑いながら泣いていた
いつまでも咲いているよね

溶け込んでいく声に
何も言えず立ち尽くした

愛すべき無念
僕らだけの寄る辺
ただの偶然 時の修繕
繰り返しなんていらないから

愛すべき無念
幸せになってくれ
ただの偶然 時の修繕
取り返しなんていらないから

ライムライト 最初の恋を 最後だって思っていた
戸を叩いて 合図が来るのを 今日も待っていた
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