良い曲は時代を超えて人々の心に届くもの。古くは、かぐや姫の「なごり雪」をイルカがカバーして大ヒット。2000年代の初めにはウルフルズやRe:Japanらによってヒットした「明日があるさ」や井上陽水のカバーアルバム「UNITED COVER」もヒットした。また、島谷ひとみの「亜麻色の髪の乙女」やザ・ピ−ナッツの「恋のバカンス」など、カバーブームのきっかけとなったが、現在の様なカバーーブームには至らなかった。
2005年9月に発売された、徳永英明が女性アーティストの曲をカバーしたアルバム「VOCALIST」シリーズ(合計200万枚以上)の大ヒットで、レコード会社各社から他の歌手のヒットソングを歌うカバーアルバムや、なじみの深いJ-POPをボサノバ風にアレンジしたSotte Bosseなどが発売され、新しい切り口のカバーアルバムが続々登場し、幅広い世代で楽しめる多彩な楽曲が発売されブームを牽引している。
この背景には、新しいアーティスト不在という音楽業界の事情が大きく影響しており、さらには音楽配信の登場により、近年「CD」というパッケージ商品のあり方にも疑問を投げかける契機になっている。その結果、布施明や高橋真梨子など歌唱力のあるベテラン歌手がカバーブームにより再び注目されることになった。