早速ランキング表を見ると、1位はAKB48の4年前のメジャーデビュー作「会いたかった」。これは、AKB48のセールスが巨大化したことに加え、彼女たちのレギュラー番組のジングルやBGMに使われたり、更には『爆笑レッドシアター』などお笑い芸人がネタにしたりで、この1年で検索が再浮上してきたヒット作だ。その点では、発売以来3年間ずっと上位にいるGReeeeNの「愛唄」とは傾向が異なり、むしろ当時知らなかったファン層が支持しているのだろう。
3位のMONGOL800「小さな恋のうた」も、当時主に聞いていたリスナーではなく、倖田來未や新垣結衣がカバーすることで、再び注目されてきたようだ。ちなみに、カバーによって歌詞の検索数が伸びるのは、他でも頻繁に起こっており、JUJUのアルバム『Request』においては、「Hello, Again〜昔からある場所〜」「There will be love there -愛のある場所-」「First Love」「ギブス」「Time goes by」「すき」と合計6曲の世代超えの名曲が、オリジナルではなく、"JUJU"名義で総合TOP100レベルの人気となっている。
さらに興味深いのは、RADWIMPSがTOP15中の4割に当たる6曲ランクインしていることだ。しかも、ノンタイアップ曲、もしくはタイアップ曲でもドラマ主題歌など大ヒットが約束されていない楽曲ばかりで、いかに歌詞のチカラ、歌詞を気にさせる歌や演奏のチカラで、多くの人から支持され続けているか、そしてそれが彼らのCDのロングセラー化にも繋がっているかが分かる。なお、これらの人気曲は、昨年の同時期よりも歌詞検索数が伸びている。これは、今年発売された「マニフェスト」や「携帯電話」をキッカケとして、旧作にも興味を持ったという、まさに理想的な"世代超えヒット"が起こっているという何よりの証拠だろう。2曲ランクインしているBUMP OF CHICKENや、圏外に人気曲のあるHYについても同様の現象が起こっている。
つまり、歌詞が注目されるアーティストは、"世代超えヒット"によって、より長らく活動することが出来、またそのようなアーティストは、意外にもバンドが多いということだ。いや、バンドが多いのではなく、他の歌姫系やアイドルグループが次から次へと"消費される"タイプばかりとなっていて、歌詞で残るタイプが少なすぎるのかもしれない。その意味で、このランキングに様々なタイプのアーティストが挙がってくるようになれば、音楽マーケットはより面白くなるのかもしれない。